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番外編 かわいい人.10
しおりを挟むティフォは抵抗らしい抵抗もできないまま、二度三度とくっついては離れるだけのキスを受け入れる。
頰を撫でるアキラの柔らかな手が、小さく震えているのに気付いた。
うるんだ黒い瞳をふんわりと細めたアキラは、こつんと額を合わせて吐息だけでつぶやく。
『すき……』
ぎゅううっと心臓が雑巾絞りをされたように痛い。ティフォは触手で顔を覆った。
その触手越しにアキラからのキスの雨が降ってくる。
青くゆだった顔がおさまらない。
『ティフォ。そんなに俺のキスが嫌? かわいいティフォの顔を見せて?』
触手の隙間からアキラを見上げれば、不安げに眉を下げるアキラと目があった。
「い、嫌じゃない……から、困ってる」
『よかった。俺の初めてのキスが、好きな人に嫌がられてなくて』
がばりと覆いかぶさってきたアキラは、許可を得たとばかりに喜々としてティフォの口内を舌でもてあそんだ。
ティフォの口内にびっしりと生える大臼歯の突起を熱心に愛撫されれば、どんどんと力が抜けていく。
「ま、待って。い、嫌じゃないけど、いいとも言ってないんだからね!?」
ティフォの叫びもむなしく、かさかさに乾燥していたシワだらけの触手が、ぬたぬたと濡れはじめてしまうのだった。
『こんなにすぐ気持ちよくなっちゃう体、一人でどうやって慰めてたの? 俺、ちょっと心配なんだけど』
ティフォの触手のぬめりで体を濡らしたアキラは、思わせぶりな手つきで触手をなぞっていく。
ティフォの体はひくひくと震え、さらに触手を甘い粘液で滴らせた。
「ムームだけだ、よ。私が、こんなふうになるのは、ムームだけ……。んっ!」
アキラはたまらねぇなと小さくつぶやいて、口でぬちゅりと触手をくわえ込んだ。
柔らかな髪を揺らしながら頭を前後に動かせば、飲み込みきれずに口からあふれ出た触手粘液が糸を引いてしたたり落ちる。
ティフォは快楽でぐにゃぐにゃにとけながら、愛しいアキラをうっとりと見つめた。
不埒なアキラの手と口は、ティフォを優しく愛撫していく。
かつてムームがなぞった性感帯を一つ残らずたしかめるように、ゆっくりと時間をかけてすみずみまで愛されて――。
ティフォが気付いたときには、触手の奥に慎ましやかに存在する総排出腔を見せつけるような体勢をとらされていた。
「ふえ?」
『いい子、いい子。もっと気持ちよくしてやるから、もう少しそのままで、な?』
「はあ、んっ、だ、だめぇ。そこは、赤ちゃんできちゃうから、ぁ」
アキラの指が、ティフォのつるりとしたスリット状の総排出腔を撫でる。
それだけで待ちきれないとばかりに中からこぽりと粘液が濡れでて、ティフォは自分の躰のはしたなさに震えた。
とにかく恥ずかしい。
年老いた体で未来ある若者にこんな痴態を見せて、いったい自分は何をしているのだろうかと、なけなしの理性が訴えている。
『かわいいな。子作りエッチ、期待してるの?』
「ち、ちが! や、やっぱり、もうやめ……」
『違う? ここの赤ちゃんの部屋に、俺のペニスが欲しくないの? 俺は、ここに入りたい。俺のペニスを入れて、こすって、奥までかき混ぜたい』
「ひゃ、はぁ、んっ!」
アキラの体に似つかわしくないサイズの生殖器を擦りつけられ、ティフォの腰は無意識のうちに迎え入れるように動く。それでもアキラは入ってこなかった。
ティフォが期待と羞恥にぐちゃぐちゃになりながらアキラを見れば、アキラは苦しそうに歯を食いしばっていた。
『でも、ティフォが嫌なら、我慢する。俺、ティフォに嫌われたくない。好きだよ。好き。好きなんだ』
枯れたとばかり思っていたティフォの体は、本能に忠実だった。
愛しい人が欲しくてたまらないと訴えている。
総排出腔の奥で卵が降りてくるのを感じながら、ティフォは震える触手で体を開き、アキラにおねだりをするのだった。
「う、も、くださいっ! わ、私のここに……お願いアキラぁ、きてぇ……」
『嬉しい。ティフォ、しっかり見ててね。俺のペニスがティフォのここに入るとこ。まだきれいな色の未使用ペニスがやらしく色付くくらい、これからいっぱい、エッチ、しようね?』
ずくりと先端の侵入を許したティフォの総排出腔は、もっともっとと貪欲にぜん動しながらアキラを飲み込んでいく。
「あ、あ、あ、や、おっき……」
『うんっ。入った、ね。……はぁ、ティフォのなか、とっても気持ちいい。どこも痛くない? 大丈夫?』
「き、きもちいっ、あ! 気持ちいいぃ!」
『まだ体は子どもだけど、ねっ、ここは、ちゃんと射精もできる大人ペニスだから安心してね。うんと優しく種付けしてあげる。ムームを超えるくらい、いっぱい子作りしようね!』
ぐんと突き入れられ、なかの襞が子種をよこせとばかりにぐにぐにと痙攣した。
奥で優しくこねるように動かされれば、ぼこぼこと卵が排出されていくのが分かった。
アキラは卵をごりごりと押しつぶすようにしながら中で何度も射精をし、ティフォは意味のなさない喘ぎ声を上げ続けたのだった。
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