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03.アラジンとランプの魔人
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かろうじて割れた地面の端につかまり、地の底に落ちるのを免れたアラジンは叫んだ。
「おじさん、助けて!」
ところが、ジャファルはアラジンに向かって手を伸ばし、無情な叫びをあげた。
「ランプを寄こせ!」
「袋に入っているので、片手じゃ無理です! 僕を助けてよ!」
「お前なんか持ちあがらん! 無理だ! いいからランプだけを寄こせ!」
「そんな……助けて! おじさん! うわああああ」
手をかけていた地面の端が崩れて、アラジンは地の底に吸い込まれていく。
「……この高さだと、流石に死んだか。ちっ。長年かけて仕込んできたのに、とんだ無駄足だった」
ランプを手にする事が出来なかったジャファルは、アフリカに戻ることにした。
アラジンはどうなったかというと──なんと生きていた!
地の底には落ちたが、傷一つなく生きていた。
「困ったなあ」
ジャファルに裏切られて心はボロボロだったが、体はピンピンしていた。
「どうやったら出られるんだ……」
アラジンの持ち物など、ランプとダイヤモンドのイチジクしかない。仕方がないので、ランプを弄った。こすこす。すりすり。ぼわん! 煙と共にランプから人型の何かが出て来た。
「わ、わ、何? どういうこと?」
「呼ばれて飛び出てジャジャジャジャーン! ちょっとこれ言ってみたかったんだよね~! どもども! ランプの魔人でーす! よろしくね~」
(なんだ、このチャラいやつ)
「あ、びっくりしちゃってるかんじ? ワタシはそのランプの持ち主の願い事を三つまで叶えてあげられる魔人だよ」
「そうなの? じゃあ、この洞窟から外に出してくれる?」
「いいよ~! お安い御用。今回は出血大サービスで、願い事ノーカンで叶えてあげるね~」
じゃあ、ハグハグしようね~。と、むっちりとした魔人雄っぱいに包まれたアラジンは、「雄っぱいふわふわ。気持ちいい」と、魔人に抱っこされたまま瞬間移動で自分の家に戻った。
「さてさて、願い事は何にするぅ~?」
魔人の質問に対して、ジャファルに裏切られるなどの洗礼を受けて心がすっかり汚れてしまったアラジンは、物欲に走った。
「使い切れないほどの金銀財宝が欲しい!」
「かしこまり~!」
ざくざくと自分の部屋が埋もれるほどの金銀財宝があふれ、「魔人、サービスするよ~」と、あれよあれよというままに立派な御殿まで建てられて。金銀財宝は御殿の蔵に吸い込まれていった。
ところで、この話はあくまで『物語の脇役』について語るもの。つい、アラジン青年の雌堕ちっぷりが楽しくて字数を割いてしまったが、ここからはアラジン青年について掻い摘んで語るとしよう。
この後、アラジンは市場にお忍びで来たこの国の王女と恋に落ちたり、王女と結ばれるために二つ目の願いとして、アラジンを王子だと経歴詐称したり。見事に王をだまくらかして王女がもともと婚約していた宰相の息子と婚約破棄をさせて、アラジンが婚約者として国中に認知されたり。アラジンの派手な行動によってアラジンが生きている事がジャファルにバレて、ランプを奪われたり。紆余曲折あってジャファルがランプの精になる呪いにかかったり……様々なことがあり、明日は王女とアラジンの結婚式ということに相成った。
「おじさん、助けて!」
ところが、ジャファルはアラジンに向かって手を伸ばし、無情な叫びをあげた。
「ランプを寄こせ!」
「袋に入っているので、片手じゃ無理です! 僕を助けてよ!」
「お前なんか持ちあがらん! 無理だ! いいからランプだけを寄こせ!」
「そんな……助けて! おじさん! うわああああ」
手をかけていた地面の端が崩れて、アラジンは地の底に吸い込まれていく。
「……この高さだと、流石に死んだか。ちっ。長年かけて仕込んできたのに、とんだ無駄足だった」
ランプを手にする事が出来なかったジャファルは、アフリカに戻ることにした。
アラジンはどうなったかというと──なんと生きていた!
地の底には落ちたが、傷一つなく生きていた。
「困ったなあ」
ジャファルに裏切られて心はボロボロだったが、体はピンピンしていた。
「どうやったら出られるんだ……」
アラジンの持ち物など、ランプとダイヤモンドのイチジクしかない。仕方がないので、ランプを弄った。こすこす。すりすり。ぼわん! 煙と共にランプから人型の何かが出て来た。
「わ、わ、何? どういうこと?」
「呼ばれて飛び出てジャジャジャジャーン! ちょっとこれ言ってみたかったんだよね~! どもども! ランプの魔人でーす! よろしくね~」
(なんだ、このチャラいやつ)
「あ、びっくりしちゃってるかんじ? ワタシはそのランプの持ち主の願い事を三つまで叶えてあげられる魔人だよ」
「そうなの? じゃあ、この洞窟から外に出してくれる?」
「いいよ~! お安い御用。今回は出血大サービスで、願い事ノーカンで叶えてあげるね~」
じゃあ、ハグハグしようね~。と、むっちりとした魔人雄っぱいに包まれたアラジンは、「雄っぱいふわふわ。気持ちいい」と、魔人に抱っこされたまま瞬間移動で自分の家に戻った。
「さてさて、願い事は何にするぅ~?」
魔人の質問に対して、ジャファルに裏切られるなどの洗礼を受けて心がすっかり汚れてしまったアラジンは、物欲に走った。
「使い切れないほどの金銀財宝が欲しい!」
「かしこまり~!」
ざくざくと自分の部屋が埋もれるほどの金銀財宝があふれ、「魔人、サービスするよ~」と、あれよあれよというままに立派な御殿まで建てられて。金銀財宝は御殿の蔵に吸い込まれていった。
ところで、この話はあくまで『物語の脇役』について語るもの。つい、アラジン青年の雌堕ちっぷりが楽しくて字数を割いてしまったが、ここからはアラジン青年について掻い摘んで語るとしよう。
この後、アラジンは市場にお忍びで来たこの国の王女と恋に落ちたり、王女と結ばれるために二つ目の願いとして、アラジンを王子だと経歴詐称したり。見事に王をだまくらかして王女がもともと婚約していた宰相の息子と婚約破棄をさせて、アラジンが婚約者として国中に認知されたり。アラジンの派手な行動によってアラジンが生きている事がジャファルにバレて、ランプを奪われたり。紆余曲折あってジャファルがランプの精になる呪いにかかったり……様々なことがあり、明日は王女とアラジンの結婚式ということに相成った。
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