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2 思わぬ事態になりました
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「えっちょっ、旦那様!?」
夫が行ってしまった。
止める間もなく消えてしまった彼に私は呆然とする。
しばらくそのまま呆然としていると、ヒラヒラと一枚の文が手元に舞い降りてきた。
魔法の風に乗ってやってきたそれは、今しがた去っていった夫、ヴィクターからのものだった。
羊皮紙に走り書きされた文字があり、『しばらく待ってくれ。宮廷魔術師を辞めてくる』との文字が。
焦ったのかすごい走り書きで、所々の文字が崩れている。
しばらくその文を眺めていたが、逃しがたいことが書かれてあることに気づいた。
「えっ、宮廷魔術師を辞める!?」
ヴィクターの大事な天職である宮廷魔術師。王国には彼を超えるほどの実力者はおらず、夫が辞職すれば王国の軍事力は一気に下がってしまう。
まさか離縁しようとしただけで夫が宮廷魔術師を辞めようとするとは想定していなかった。
あまりの事態に私は混乱し始める。不味い。これは物凄く不味い気がする。
「えっと、手紙を送らなきゃ。今すぐ止めないと!」
慌てて自室に戻り、辞職を阻止するために夫におくる文をしたためることになった。
夫が行ってしまった。
止める間もなく消えてしまった彼に私は呆然とする。
しばらくそのまま呆然としていると、ヒラヒラと一枚の文が手元に舞い降りてきた。
魔法の風に乗ってやってきたそれは、今しがた去っていった夫、ヴィクターからのものだった。
羊皮紙に走り書きされた文字があり、『しばらく待ってくれ。宮廷魔術師を辞めてくる』との文字が。
焦ったのかすごい走り書きで、所々の文字が崩れている。
しばらくその文を眺めていたが、逃しがたいことが書かれてあることに気づいた。
「えっ、宮廷魔術師を辞める!?」
ヴィクターの大事な天職である宮廷魔術師。王国には彼を超えるほどの実力者はおらず、夫が辞職すれば王国の軍事力は一気に下がってしまう。
まさか離縁しようとしただけで夫が宮廷魔術師を辞めようとするとは想定していなかった。
あまりの事態に私は混乱し始める。不味い。これは物凄く不味い気がする。
「えっと、手紙を送らなきゃ。今すぐ止めないと!」
慌てて自室に戻り、辞職を阻止するために夫におくる文をしたためることになった。
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