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第五章「陰謀の証拠を追って」

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アスカとレオンは、リチャードの陰謀を暴くために確実な証拠を集める決意を新たにし、王都から遠く離れた村や町を訪れる旅に出た。リチャードが私腹を肥やすために国の資源を不正に操作しているという噂を耳にしていたアスカは、まずはその実態を探るべく、地方の村で彼が残した痕跡を追うことにした。

最初に訪れたのは、物資がなかなか届かず貧困に苦しむ小さな村だった。村の長老に話を聞くと、リチャードが一方的に税を上げたり、物資を横取りしたりしていたことが分かった。長老は眉をひそめ、静かに言った。

「私たちのような貧しい村は、彼にとって何の価値もないのだろう。食糧も薬も、すべてリチャード様の権力を増やすために奪われている」

長老はそう言って、アスカに古い帳簿を渡した。そこには、村が本来受け取るべき物資や資金が記録されていたが、明らかに実際の受け取り量と大きな差があった。アスカはその帳簿を手に取り、これがリチャードの不正の証拠として使えることを確信した。

「ありがとうございます。この帳簿をお預かりします。私たちが必ず真実を明らかにしてみせます」

アスカが深く礼を述べると、長老は涙を浮かべ、静かに頷いた。

次に彼らは、近隣の町で物資を運ぶ商人たちに話を聞くことにした。商人の一人は、リチャードの指示で特定の貴族にだけ物資が届くように細工されていることを知っており、ため息をつきながら告白した。

「リチャード様は、自分に都合のいい者にだけ恩恵を与え、私たちのような商人はただの駒に過ぎない」

その商人は証言と共に、物資の不自然な流れを示す領収書の写しをアスカに手渡してくれた。彼女はそれを受け取り、リチャードの悪行を証明する大切な証拠として記録に加えた。

「リチャード様は、王都に帰る際、よく大金を携えていかれるのだが、それがどこから出ているのか、誰も知ろうとはしない」

商人の話に、アスカは胸に怒りがこみ上げるのを感じた。リチャードは地方の人々から絞り取った金を自分の贅沢のために使っていたのだ。彼の不正によって苦しむ人々の姿を思い、アスカは決意を新たにした。

こうして数日間の調査を経て、アスカとレオンはリチャードの不正行為を裏付けるいくつもの証拠を手に入れることができた。これで彼の陰謀を暴き、正義を果たすための準備が整った。


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王都への帰路に立つ二人の胸には、新たな希望と覚悟が宿っていた。王都に戻るのは不安でもあったが、それ以上に、彼らは真実を明らかにする使命を強く感じていた。そしてついに、王都の城門が見えてきた。

アスカとレオンは王宮に入り、王に面会を求めた。王は二人が戻ってきたことに驚きつつも、アスカの無実の訴えとリチャードの不正に関する証拠を確認するため、彼女に時間を割いた。

「陛下、私は無実です。そしてリチャード様が、私を追放に追いやった主犯であることを証明する証拠を持っています」

アスカは深々と頭を下げ、長老の帳簿や商人たちの証言を王に見せ、次々とリチャードの不正を暴いていった。リチャードが国の資源を私物化し、地方の人々から搾取していた証拠が並ぶ中で、王は深い思案にふけった。

「リチャードよ、これは一体どういうことだ?」

王が鋭い声で問いかけると、リチャードは狼狽し、必死に言い逃れをしようとしたが、アスカが集めた確実な証拠の前では、もはや弁明の余地はなかった。王は顔を曇らせ、厳しい処罰を下すことを決断した。

「アスカ、君はよく戦ってくれた。我々は君に感謝している。君のような忠義ある者を、我々は見誤っていた」

王はアスカに向かって謝罪の言葉を述べ、彼女の名誉を回復するための措置を講じることを約束した。アスカは深く頭を下げ、王の謝罪を受け入れたが、彼女はそれ以上の望みを持たず、ただ人々を助けるための自由を望んでいた。


---

こうしてアスカは名誉を回復し、リチャードの陰謀を暴くことに成功した。しかし、彼女は王都に留まることを辞退し、再び旅に出ることを選んだ。アスカの心には、王都の華やかさよりも、辺境で助けを必要としている人々が浮かんでいたからだ。

「ありがとう、レオンさん。そして、さよなら」

アスカは旅立ちの朝にレオンに礼を述べ、彼に別れを告げた。彼もまた、彼女の決断を尊重し、見送りながら微笑んだ。

「アスカ、君は本当に強い人だ。君の道が、いつも光に満ちたものでありますように」

こうしてアスカは新たな希望と共に王都を後にし、再び人々を癒し続けるための旅に出発した。そして、彼女の名は「追放された聖女」として王国中に広まり、多くの人々の希望の象徴として語り継がれることとなった。



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