運命を逆転させた公女

 (笑)

文字の大きさ
上 下
12 / 14

第十一章 バルフォア侯爵の反撃

しおりを挟む


バルフォア侯爵家の陰謀が暴かれたことで、ウィンチェスター家は一時的に優位に立ったものの、アメリアはこのままでは終わらないと感じていた。貴族社会は表面的には平穏を取り戻したかのように見えたが、バルフォア侯爵が反撃を仕掛けてくることは間違いなかった。

「彼がこのまま引き下がるとは思えないわ…」

アメリアはそう感じ、騎士団長エドワードとクラリスにさらなる監視を命じた。バルフォア侯爵家の影響力はまだ完全に失われておらず、今度は裏からウィンチェスター家を揺るがそうとするだろうと予感していた。

---

数日後、エドワードから報告が入った。

「お嬢様、バルフォア侯爵家が密かにウィンチェスター家の領内で不穏な動きを見せています。彼らは密かに雇った兵士たちを使い、領地内で混乱を引き起こそうとしているようです」

アメリアはすぐにその事態を把握し、彼女の予感が的中したことを確信した。バルフォア侯爵家は、表向きの影響力を失ってもなお、陰でウィンチェスター家を攻撃する方法を模索していたのだ。

「兵士を使って混乱を引き起こすなんて、彼らはますます追い詰められている証拠ね。けれど、このまま放っておくわけにはいかない」

アメリアは冷静に行動を決め、エドワードに対して領内の防衛を強化するよう命じた。彼女はさらにクラリスにもバルフォア侯爵家の内部事情を探るよう指示し、反撃の準備を整えた。

---

その夜、クラリスは王宮内の信頼できる情報網を使い、バルフォア侯爵家の動きを探っていた。彼女は宮廷で働く召使いや侍女たちから話を聞き、徐々にバルフォア侯爵が仕掛けている裏工作の全貌を掴んでいった。

「バルフォア侯爵は、ウィンチェスター家の家臣や商人を買収しようとしているようです。彼らを味方につけ、内部から公爵家を揺さぶるつもりです」

クラリスの報告を受け、アメリアは一瞬驚いたが、すぐに冷静さを取り戻した。バルフォア侯爵はウィンチェスター家に対して外部からの攻撃だけでなく、内部崩壊を狙っている。彼が家臣や商人を味方につけようとしているのは、彼女にとって想定の範囲内だった。

「内部からの攻撃は最も厄介ね。でも、彼らの裏切りを防ぐ手はまだあるわ」

アメリアは、信頼できる家臣たちに対して裏切りの可能性について警告を発し、彼らを再び結束させるための措置を取った。彼女は、商人や家臣たちに対する支援を強化し、バルフォア侯爵の買収に対抗するための施策を次々と打ち出していった。

---

その一方で、バルフォア侯爵家もアメリアの反撃に対応していた。彼らは王宮内での影響力を使い、アメリアを追い詰めようと更なる策を練っていた。バルフォア侯爵は、アメリアに対して最も近い存在を裏切らせることで彼女を孤立させようと考えていた。

ある日、アメリアはエドワードから衝撃的な報告を受ける。

「お嬢様、内部の情報が漏れている可能性があります。我々の作戦が外部に筒抜けになっているようです」

アメリアは一瞬動揺したが、すぐに冷静さを取り戻した。

「誰かが裏切っている…内部にスパイがいるということね」

彼女は即座に対応を考え、裏切り者を探し出すための罠を仕掛けることに決めた。信頼できる家臣たちと連携し、情報が漏れている経路を突き止めるための偽の作戦情報を流し、その結果を監視することにした。

---

数日後、アメリアが仕掛けた罠に引っかかった者が現れた。彼女の最も信頼していた家臣の一人がバルフォア侯爵に通じていたことが判明し、彼が密かに情報を流していた事実が明るみに出た。

「まさか…彼が裏切っていたなんて」

アメリアはショックを受けたが、すぐに彼を問い詰め、事の詳細を聞き出した。裏切り者はバルフォア侯爵家から多額の金銭を受け取っていたことを認め、彼女の目の前で悔い改めた様子を見せたが、アメリアは冷徹に彼を処罰することを決めた。

「あなたが私を裏切ったことは決して許されないわ」

裏切り者は厳しい処罰を受け、バルフォア侯爵の手先であったことが公に暴露された。これにより、バルフォア侯爵の影響力はさらに失われ、彼らの立場はますます危うくなった。

---

アメリアは冷静に領地と内部を再編成し、バルフォア侯爵家に対するさらなる反撃の準備を整えた。彼女の計画は、着実に成果を上げていたが、最後の決戦が迫っていることを感じ取っていた。

「次で終わりにするわ。彼らを完全に追い詰めて、二度と立ち上がれないようにする」

アメリアの心には、再び強い決意が芽生えていた。バルフォア侯爵家との戦いは最終局面を迎えつつあった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

全部未遂に終わって、王太子殿下がけちょんけちょんに叱られていますわ。

下菊みこと
恋愛
悪役令嬢に仕立て上げられそうだった女性が、目の前でけちょんけちょんに叱られる婚約者を見つめているだけのお話です。 国王陛下は主人公の婚約者である実の息子をけちょんけちょんに叱ります。主人公の婚約者は相応の対応をされます。 小説家になろう様でも投稿しています。

「私が愛するのは王妃のみだ、君を愛することはない」私だって会ったばかりの人を愛したりしませんけど。

下菊みこと
恋愛
このヒロイン、実は…結構逞しい性格を持ち合わせている。 レティシアは貧乏な男爵家の長女。実家の男爵家に少しでも貢献するために、国王陛下の側妃となる。しかし国王陛下は王妃殿下を溺愛しており、レティシアに失礼な態度をとってきた!レティシアはそれに対して、一言言い返す。それに対する国王陛下の反応は? 小説家になろう様でも投稿しています。

完結 愚王の側妃として嫁ぐはずの姉が逃げました

らむ
恋愛
とある国に食欲に色欲に娯楽に遊び呆け果てには金にもがめついと噂の、見た目も醜い王がいる。 そんな愚王の側妃として嫁ぐのは姉のはずだったのに、失踪したために代わりに嫁ぐことになった妹の私。 しかしいざ対面してみると、なんだか噂とは違うような… 完結決定済み

旦那様、愛人を作ってもいいですか?

ひろか
恋愛
私には前世の記憶があります。ニホンでの四六年という。 「君の役目は魔力を多く持つ子供を産むこと。その後で君も自由にすればいい」 これ、旦那様から、初夜での言葉です。 んん?美筋肉イケオジな愛人を持っても良いと? ’18/10/21…おまけ小話追加

未亡人となった側妃は、故郷に戻ることにした

星ふくろう
恋愛
 カトリーナは帝国と王国の同盟により、先代国王の側室として王国にやって来た。  帝国皇女は正式な結婚式を挙げる前に夫を失ってしまう。  その後、義理の息子になる第二王子の正妃として命じられたが、王子は彼女を嫌い浮気相手を溺愛する。  数度の恥知らずな婚約破棄を言い渡された時、カトリーナは帝国に戻ろうと決めたのだった。    他の投稿サイトでも掲載しています。

前回は断頭台で首を落とされましたが、今回はお父様と協力して貴方達を断頭台に招待します。

夢見 歩
ファンタジー
長年、義母と義弟に虐げられた末に無実の罪で断頭台に立たされたステラ。 陛下は父親に「同じ子を持つ親としての最後の温情だ」と断頭台の刃を落とす合図を出すように命令を下した。 「お父様!助けてください! 私は決してネヴィルの名に恥じるような事はしておりません! お父様ッ!!!!!」 ステラが断頭台の上でいくら泣き叫び、手を必死で伸ばしながら助けを求めても父親がステラを見ることは無かった。 ステラは断頭台の窪みに首を押さえつけられ、ステラの父親の上げた手が勢いよく振り下ろされると同時に頭上から鋭い刃によって首がはねられた。 しかし死んだはずのステラが目を開けると十歳まで時間が巻き戻っていて…? 娘と父親による人生のやり直しという名の復讐劇が今ここに始まる。 ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ 全力で執筆中です!お気に入り登録して頂けるとやる気に繋がりますのでぜひよろしくお願いします( * ॑꒳ ॑*)

訳あり侯爵様に嫁いで白い結婚をした虐げられ姫が逃亡を目指した、その結果

柴野
恋愛
国王の側妃の娘として生まれた故に虐げられ続けていた王女アグネス・エル・シェブーリエ。 彼女は父に命じられ、半ば厄介払いのような形で訳あり侯爵様に嫁がされることになる。 しかしそこでも不要とされているようで、「きみを愛することはない」と言われてしまったアグネスは、ニヤリと口角を吊り上げた。 「どうせいてもいなくてもいいような存在なんですもの、さっさと逃げてしまいましょう!」 逃亡して自由の身になる――それが彼女の長年の夢だったのだ。 あらゆる手段を使って脱走を実行しようとするアグネス。だがなぜか毎度毎度侯爵様にめざとく見つかってしまい、その度失敗してしまう。 しかも日に日に彼の態度は温かみを帯びたものになっていった。 気づけば一日中彼と同じ部屋で過ごすという軟禁状態になり、溺愛という名の雁字搦めにされていて……? 虐げられ姫と女性不信な侯爵によるラブストーリー。 ※小説家になろうに重複投稿しています。

義妹の嫌がらせで、子持ち男性と結婚する羽目になりました。義理の娘に嫌われることも覚悟していましたが、本当の家族を手に入れることができました。

石河 翠
ファンタジー
義母と義妹の嫌がらせにより、子持ち男性の元に嫁ぐことになった主人公。夫になる男性は、前妻が残した一人娘を可愛がっており、新しい子どもはいらないのだという。 実家を出ても、自分は家族を持つことなどできない。そう思っていた主人公だが、娘思いの男性と素直になれないわがままな義理の娘に好感を持ち、少しずつ距離を縮めていく。 そんなある日、死んだはずの前妻が屋敷に現れ、主人公を追い出そうとしてきた。前妻いわく、血の繋がった母親の方が、継母よりも価値があるのだという。主人公が言葉に詰まったその時……。 血の繋がらない母と娘が家族になるまでのお話。 この作品は、小説家になろうおよびエブリスタにも投稿しております。 扉絵は、管澤捻さまに描いていただきました。

処理中です...