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漆黒の魔女
津波
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「ノワール様」
「なんですか?」
「貢ぎ物が届いております」
「そうですか。では、受け取りましょう」
「はい」
「誰からの贈り物です?」
「西の魔女様からです」「そう……今回は、何を送ってきたのかしら?」
「魔法の杖ですね」
「これは…なんという…」
「いかがなされました?」
「この杖は、封印しておきなさい」
「どうしてですか?これほどの物を…」
「私には、必要のないものです」
「わかりました」
「あと、これを届けてきたものに伝言をお願いします」
「はい」
「次は、ありませんよと」
「はっ!」
「さて、私は、出かけてきます」
「どちらへ?」
「ちょっとした野暮用です」
「お待ちください。」
「どうしました?」
「報告がございます」
「なんですか?」
「クリステリテリア様がなくられました」
「なんてことでしょう!」
「残念です」
「死因はなんだったの?」
「冒険者に撃たれたようです。」
「そう。その冒険者を調べておきなさい」
「かしこまりました」
☆☆☆
「あ~やっと終わった。今日は、疲れたな」
「本当よね。早く帰って休みたい」
「そうだね。ところで、これからどうする?」
「どうするって?」
「だって、漆黒について何もわからなかったじゃん?」
「そういえばそうだな。」
「でも、漆黒が魔女教会なのは、間違いないんでしょ?」
「ああ、それは間違いないだろう」
「じゃあ、魔女教会の本部に乗り込まないとね」
「えっ!?」
「魔女教会は、本拠地がどこかわからないんだよ
。だから、魔女教会の本部に行って情報を集めるしかないでしょ?」
「それもそうなんだけど……。魔女教会の本部はどこにあるかわからないんだぞ」
「じゃあ、この街の魔女教会をしらべてみるとか?」
「そんな簡単に言うけど……」
「それに、魔女教会は、私たちを狙ってるかもなの」
「あっ、確かに……なんか、私らの情報を探ってるみたい」
「だから、本部の場所がわからなくてもなんとかなるよ」
「そうだといいけど……」
「とりあえず、ギルドに戻ろう」
「そうだな」
☆☆☆
「お帰りなさい。遅かったですね」
「ただいま戻りました」受付嬢に挨拶をする。
「はい。これが報酬です」
「ありがとうございます」
「それで、何かわかりましたか?」
「いえ、特には……」
「そうですか。また、依頼を受けてくれませんか?」
「いいですよ。みんなもいいよね?」
「うん。もちろん」
「じゃあ、明日から本格的に調査を始めましょう」
席をたつと、チャプと足元で音がする。
「あれ?」
足元にみずがたまってる?
「おねーさん、なんかゆかにみずがたまってるんですけど?みずもれ?」
受付嬢に聞く。「床が濡れてるのは、雨漏りのせいです。修理を頼んでいたのですが、まだ終わってなくて」
「雨漏り?」
「はい。修理の業者は、明日来ることになっています」
「でも?だんだんふえてますよ?」
最初1センチぐらいのみずかさだったが、いまは、5センチぐらいの深さ担った来た、ここだけでなく、ギルドの建物全体に水がたまってる。
「大変だ!洪水になる!」
「すぐにギルドから出てください」
「はい」
外に出るとさらにひどかった。
街の人々が叫びながら逃げている。
ギルドから少し離れた場所にある市場は、大混乱になっていた。
「みなさ~ん。落ち着いて避難してください。」
「これって二階とかに避難した方がよくありませんか?」
「そうですね。まずは、上の階に避難しましょう」
階段を駆け上がり、二階にいく。
「みなさ~ん。こちらに集まってくださ~い」
誘導係の指示に従い、二階に集まる。
「みなさ~ん。ここに集まってください」
「はい。わかりました」
「みなさ~ん。ここで待機していてください」
「わかりました」
しばらくすると、ギルドの職員が来て、全員を部屋に案内していく。
「全員、集まりましたね。では、順番に部屋に入っていってください」
☆☆☆
「雨も降ってないのにどうして?」
「そうだな。これは異常事態だ」
「魔女教会が関係してるのかな?」
「魔女教会のやつらの仕業だろうな」
「とにかく、今は待つしか無いな」
☆☆☆
次の日。
街は、完全に水没していた。
昨日も、今日も晴天だ。なのに、街のほとんどの建物が水浸しになっている。
一階部分は、完全に水の下だ。
しかも、奇妙なことに透き通るような透明度だ。
さかながおよいでるのがみえてる。
「ひどい状況ね」
「ああ、早く何とかしないと……」
「そうだね。ちょっと、その辺調べてきます。」
真魚は、なんか嬉しそうに水の中にダイブする。
「真魚ちゃん大丈夫?」
「ああ、見てみろ。全然、問題なさそう」
「ほんとだ……」
「この建物もかなり浸水してるわ」
「この建物の中を調べてみるか?」
「そうね。そうしましょ」
☆☆☆
「この扉は、鍵がかかってるな」
「開けられる?」
「ちょっと待ってくれ」
アルは、魔法を唱える。
『解除』
カチャッと音がなり、扉が開かれる。
「よしっ、開いたぞ」
「ありがと」
中には、誰もいない。
「うっ……臭い……」
腐臭が漂ってくる。
「誰かいたのか?」
「えっ?なんでわかるの?」
「そりゃ、人の気配を感じたからだな」
「そうだったんだ……。でも、人がいなかったよ」
「そうなのか?」
「うん。でも、何かが動いたような形跡があるよ」
「本当か?でも、なんでこんなに死体が転がってんだ?」
「なんでだろうね……。」
「とりあえず、探索を続けよう」
「うん」
☆真魚は水没した街中を泳いでいく。
さっき、魚が泳いでた。確かに淡水魚だった。
この水、真水だけど、どこから来てる?
雨は降ってない
水源を探そう。☆☆☆
「この辺りには、何も無さそうだな……」
「そうだね……」
「そっちはどうだ?」
「ダメ……」
「はぁ……疲れたな……」
「そうだね……」
「少し休もう……」
酒場らしき建物に入り天井まで浮き上がった椅子を掴んで座るとそのまま床まで沈んでいく。
このまま上流まで行くしかないないわね。
椅子から立ち上がり泳ぎ出すと椅子は浮き上がり再び天井間で浮いて行く。
透明度がすごい。
流れに逆らって上流へ上流へとおよでいく。やがて水没した森の中へと進む。
ずいぶん広範囲に広がってる。
どんな水量なの!これじゃあ、いくら何でも広すぎる。
それに、これだけの水、どこかでせき止められないと……
下流はどこまで続いてるの?
あまり考えたくはない。
今は上流に向かうしかなない。
☆☆☆
湖まで水没してる。
湖の中心に中洲があり建物が見える。
もちろん水没していている。
建物内部に侵入するが、既に避難したのか、無人であった。
内装をみる限り教会のようだ。
中庭のような場所に入り込むと井戸と思われるものがありそこら水が湧き出してるようだ。
井戸の中を除くと魔法使いの杖がささっていた。真魚は、杖を引き抜く。
水流は止まった。
真魚は杖をもってギルドの方へ向かって泳ぎ出す。☆☆☆
ギルド方向へは、下流なので流れにのってらくらく進んでいける。
途中、いくつかの建物を通り過ぎたがやはりどの建物も水没していた。
ギルドの建物が見えてきた。
水面から顔を出す。
まだ二階のテラスにみんな集まってる。
「ただいま」
「おかえりなさい」
「お帰り」
「これが原因だったみたい」
杖を受付のおねーさんにわたす。
壁が真魚を水からテラスに引き上げる。
「それ、魔女の杖じゃない!」
「そうなの?」
「そうよ。魔女の魔力を感じるもの」
「これが、魔女の杖なんだ。なんか、変な感
「水量がすごいから水が引くまで何日か、かかりそうです」
真魚はみてきたことをギルマスに詳しく報告する。
ギルドマスターは、ギルドの会議室で会議をしていた。
この街のギルドマスターは、元冒険者でAランクの実力の持ち主である。
彼は、魔女教会について独自に調査を進めていた。
魔女教会は、裏組織であり表の社会では、その存在を知る者は少ない。
魔女教会のトップは、魔女と呼ばれているらしいが詳細は不明だ。
魔女教会の目的は、異世界人召喚による世界征服だと噂されている。
しかし、その真偽を確かめる手段は今のところない。
今回、街の水没事件の原因となった魔女の杖は、街の教会に保管されていたもので、今回の水没事件の被害者が所持していたものだ。
☆☆☆
街の教会では、シスターたちが、街の人々の怪我の治療にあたっていた。
「みなさま、落ち着いてください。順番に治療しますので並んでくださいね」
「ありがとうございます」
「このお水はいったい?」
「わかりません」
「お水も綺麗ですね」
「そうですか?」
「ええ」
「そういえば、この水、透き通っていてとてもきれいですよね」
「そうね」
「こんなに透き通る水見たことありません」
「そうね。透き通るような透明な水なんて初めてみました」
「そうよね」
☆☆☆
街の水が引くまで3日かかった。
水か引くと真魚達はギルドから魔女教会の建物の調査を依頼された。
水が引いたため湖が現れそこの中洲の建物が今回の原因の現場だ。
水の底に沈んでたとき同様、無人のままだ。
「この建物の中を調査するように言われてるんだけど」
「魔女の教会か……」
「なんか、不気味な雰囲気ね……」
「そうだな」
中に入るとそこは礼拝堂のようだった。
中は静まり返っている。
奥に進むと祭壇があり、その上には、魔女の像が置いてあった。
「これは……」
「どうした?」
「ここに魔女の像があるの」
「魔女の?」
「うん」
「こんなところに?」
「うん」
「まぁいいや。それより何かあるぞ」
「ほんとだ……」
そこには、何かがあった痕跡がある。
「何かがここで、儀式を行ったみたいね……」
「そうだろうな……」
「でも、何をやったんだろう?」
「わからん……」
「何か手掛かりになりそうなものはないかしら?」
「う~ん……ないな……」「そうね……」
「この部屋は、これで終わりだな……」
「そうだね……」
☆☆☆
「何か見つかりました?」
「いや……」
「そうですか……」
「とりあえず、ここを出ましょう」
「そうだな……」
「ちょっと待って机の中に書類があるわ」
「本当か?見せてくれ」
「これよ」
「なになに?『召喚』……なんだこれ?」
「水に濡れて滲んでしまってるのでわからないわね……。とにかく、調べてみましょう」
「そうだな」
「この部屋の資料は、全て回収しましょう。」
☆☆☆
「これを見て」
「なんだこれ?魔法陣みたいなものか?円の中に模様が書いてあるな」
「これ、魔法陣じゃない?私達を召喚した時のと同じ感じがする」
「そうなのか?俺はよくわかんないけどな」
「そうなの……?」
「ああ、魔法のことは、俺にはさっぱりだからな」
「そうなのね。じゃあ、これは、どうなのかしら?」
「う~ん、なんとも言えないが、魔女教会の儀式と関係してるかもしれないな」
「そうよね。じゃあ、魔女教会に持っていけばわかるかも!」
「じゃあ、早速いこうぜ!」
☆☆☆
ギルドに戻ると、ギルドマスターが待っていた。
「調査の結果を教えて欲しいのだが……」
「はい。まず、建物内の調査ですが、特に変わったところはありませんでした」
「そうか……」
「次に、地下の部屋を調査したのですが、そこに、このようなものがありました」
「これは、魔法陣じゃないか?」
「そうですね。それと、この魔法陣は、魔女教会のものかもしれません」
「そうか、わかった。ありがとう」
「いえ」
「ところで、この魔法陣だが君たちで使ってみる気はないかね?」
「えっ?」
「いや、もし、魔女教会がこの魔法陣を使って、我々を異世界から呼び出したのなら、また、同じ方法で呼び出される可能性がある」
「そうですね」
「そこで、君たちの出番というわけだよ」
「なるほど」
「それで、どうかね?」
「待って、勝手に召喚したりした、その人に迷惑をかけるよ。それにあのとき魔女は多くの人々の生命を引き換えにしてたわ。絶対ダメ。それに使い方たもわからない」
「使い方は、君たちのみつけてくれた書類を修復魔法で復元したら、召喚魔法の記載があったよ」
ギルマスは、その書類を見せてくれる。
確かに、召喚魔法のことが書かれていた。
召喚魔法の発動方法。
召喚対象は、人間。ただし、魔力の多いものに限る。
召喚する場所。
魔女教会。
魔女教会に保管されている魔女の杖を使用しなければならない。
「あれ最後に次のページへとかいてあるけど次ないよ?」
「それは、発見された書類に続きはみつからなかった」
「使い方が完全に解明されてないのを使うのは危険過ぎます」「そうか……」
「他に方法はありませんか?」
「そうだな……無いわけではない」
ギルマスは、考え込む。
「他の方法を考えてみてください。」
「わかった……」
☆☆☆
「今、思いついたんだけど」
真魚は、みんなを集めて話始める。
「どうしたの?」
「洪水の原因だった魔女の杖って召喚の道具なのよね?」
「そうだけど?」
「洪水の原因は、杖ではなくて、召喚された何かのせいかだったら?」
「何かって?」
「例えば、魔女の眷属とか……」
「魔女の眷属か……」
「魔女の眷属って何?」
「魔女の使い魔のことよ」
「そうなんだ……」
「魔女の眷属の可能性が高いわね……」
「そんなのがまだ、どこかをウロウロしてるとしたら?やばくない?」「そうよね……」
「どうしよう……」
「とりあえず、魔女教会の周辺を捜索しょう!」
☆☆☆
街の周辺の森を探索していると大きな黒い影を見つける。
「あれは何?」
「わからない……」
「とりあえず、行ってみよう」
近づくと、そこには、巨大なカラスがいた。
「なんかデカいな……」
「そうね……」
「こいつからは、邪悪な気配を感じる……」
「そうね……」
「こいつが、魔女の眷属なのか?」
「そうかもね……」
「どうする?」
「倒さないと街に被害が出るかも……」
「そうだな……」
「じゃあ、いくぞ!」
☆☆☆
真魚達は、洪水の原因をつきとめるこはできなかった。
「洪水の原因は、やっぱり杖だったのかしら?」
真魚達はギルドに今日の調査報告におとずれる。「そうか……」
「何かわかりましたか?」
「いや、まだだ……」
「そうですか……」
「今日は、もう遅い。泊まっていきなさい」
「いいんですか?」
「ああ」
「ありがとうございます」
「あああ!!!!」
「どうしたの?」
「また水が!」
「大変だ!すぐに避難しないと」
「皆さん落ち着いてください。水は引いてますよ」
「えっ?本当だ」
「前回より増水ペースが早いよ!」
どんどん水かさが増えていく。
「早く逃げないと」
「ちょっと待って、なんか変じゃない?」
「えっ?」
「水位が下がっているわ」
「本当だ」
「大変だーっ!」
外にいた冒険者が飛び込んだ来た、
「津波が来るぞ!みんな逃げろう!」
水かさが急激に増えてきた。
「みんな急いで!」
そして、水かさが膝の高さまでくる。
「真魚さん!」
受け付けのおねーさんが怯えた顔で呼んでる。
「壁さん!私に命を預けてくれる?」
「おう!」
「よし!私を連れて津波の方へ向かって!」
「おい、どうするつもりなんだ!」
「説明してる暇はないわ!津波のスピードは半端じゃない!急いで向かって!」
「わかった!」
「真魚ちゃん無茶よ!」
お雪は真魚をとめようとする
「お雪さん!私を信じて」
「…わかった!」
「急げ壁!」
いきなりの呼び捨てだ。まぁいっか……
「おう」
☆☆☆
「もう少しで到着よ!」
「どこまで近づく?」
「最低でも10メートルまで近づくいて」
「一瞬でのみ込まれる距離だぞ!」
「お願い」
「わかった」
☆☆☆
「ついたぞ!」
「降ろして、私が倒れないよ支えて!全く、自分の足が役に立たないことがこわなにうらめしくおもったことはないわ!」
「安心しろ!俺がお前の足だ!」
「命預かります!」
(とは言ったもの津波ほど早い流れおさえられるかしら?
弱気はダメ!失敗した沢山の人が死んでしまう!絶対止める!)
真魚の身体が光り輝く。
「いくわよ!…海流制御…」
目の前で津波が凍ったように固まって止まる。
しかし、あちこちから雨漏りの様に水滴落ちるように流れ始める。
「勢いを殺すまでしかできなかった」
壁の腕の中で真魚は崩れちた。
☆☆☆
「大丈夫か?」
「ダメ…津波の広大なエネルギーを全て相殺したの。ゆっくりと水かさが増えるから、その間に避難を…」
真魚はそのまま意識を失う。
「無理しすぎだ!」
壁真魚抱き上げギルドに向かう。
「真魚が時間を稼いでくれた、今のうち全員に避難するように指示してくれ」 ギルドの受付嬢に伝える。
「わかった」
「私は、真魚ちゃんを病院に連れて行くわ」
「わかった。頼む」
☆☆☆
病院で診察を受ける。
「衰弱してます。津波のエネルギーを打ち消すため、限界以上のエネルギーをまさに、搾り出しのでしょう!」
医師は、深刻な顔をする。
「そんなに悪いのか?」
「このままでは、危ないかもしれません」
「なんとかならないのか?」
「回復魔法をかけていますが、かなり体力を奪われています。それに、魔力も枯渇寸前です」
「意識を取り戻して食べ物を摂取してエネルギーを回復できなければ危険ですね」
「そんな!」
「そうよ!点滴!点滴すれば!」
「お雪落ち着け!こちらの世界にそんなものはない!」
「じゃあどうしたら!」
「とにかく、真魚の回復を祈るしかない……」
☆☆☆
前回以上の大洪水にはなったが、増水のスピードは、とてもゆっくりだったので避難の時間は十分だった。
しかし、、その分水が引くにまで10日もかかった。冒険者ギルド。真魚ことを知るもの達は沈痛な思いだった。
当日当番だった受付嬢のリアンナもそんな一人だった。
「あの子は、きっと帰ってくるよね……」
その時ドアが開く。
「しかし、今回水引くのが遅くて商売上がったりだぜ。どうせなら、洪水そのものを消してくれればよかったのな!気が利かねーったりありしねー!確か真魚とか言う小娘だっけ?ちょっと、顔がいいからって調子にのってんじゃねーの」
津波の恐ろしさを知らない無責任な冒険者が笑いながら入ってきた。「ちょっと、あんた達!いくらなんでも、それは言い過ぎじゃない?」
「何だ?おめーは?」
「あたしは、このギルドで受け付けをしてる、リアンナよ!」
「ふーん。で?それがどうした?」
「どうしたって!あなた達の言ってることは間違ってるわ!」
「はぁ?おめー馬鹿じゃねーの?どこが間違ってんだよ!」
「だって、真魚さんは、津波を止めるために頑張ってくれたんだもん!」
「はい?」
「だから、津波を止めようとしてくれたじゃない!」
「いやいやいやいや、おめー、頭おかしいんじゃねえか?」
「おかしくないわよ!」
「いやいやいや、津波止めるなんて、人間にできるわけねーだろ!」
「でも、真魚さんはやってくれたのよ!」
「はい?マジで?」
「ええ、本当よ!」
「おい、みんな聞いてくれ!津波を止めた女がいるらしいぞ!」
「そうだぞ。」
「本当だ、おまえらはしらんのか?」「俺見たぞ!あれは凄かった!もう、津波が凍ったみたいになって、水が引いて行ったぞ!」
「本当かよ!信じられん!」
「本当よ!みんな見てたわよ!」
「おいおい、みんな見間違えてねー」
「おい、みんな、こいつらたたきだそうぜ!」
「おう!」
「おい、待てよ!みんなで話そう!」
「おい、誰か来てくれ!」
「あらっ、どうかしたの?私もあなたを叩き出す方に一票よ!」
男は全員に外へと叩き出された。
「ありがとうございます!真魚さんの事悪く言われて腹たったけど、なかなか言い出せなくて困っていたんです」
「そうなのよ、あいつら私達が、あの子のこと知らないと思って、ひどいこと言ってるのよ!本当に許せない!」
「あっ、私も手伝います!私、こう見えても元Aランクの冒険者です。力仕事は任せて下さい」
「私も手伝うわ!」
「皆さん、ありがとうございます!」
「お礼を言うのは、まだ早いわよ。」
「はい!頑張りましょう!」
「おお!」
「てめーらもど!うるせーぞ!少しは、静かに神に祈りやがれ。あの娘が元気に戻って来ることを!」
「はい……」
☆☆☆
3日たつても真魚の意識は戻らなかった。
壁もお雪も真魚のそばから離れようとしなかった。
☆☆☆
「真魚ちゃん目を覚まして!」
「早く起きないと、また俺が守れないじゃないか!」
☆☆☆
さらに3日が過ぎた。
☆☆☆
「真魚ちゃんお願い……」
「真魚ちゃん……」
☆☆☆
そしてその日の夕方、のどを通らな夕食を無理やりくちに押し込んで戻ってきた壁とお雪が、真魚の部屋を扉を開けると薄暗い部屋の中に人影がある。「誰だ!」
壁は剣を抜き構える。
「真魚ちゃん!」
ベッドはもぬけの殻だ。
「きゃー!」
風でカーテンめくれ夕日が差し込む。
その姿がはっきり見える。
真魚だ。
真魚の姿が夕日を浴び金色に染まってる。
しかし、彼女は自分の足で立ってる。
金色に染まってた髪をよくみれば実際に金髪に変わってる。
「真魚なのか?」
「真魚ちゃんなの?」
「私はエリーゼです」
「なんですか?」
「貢ぎ物が届いております」
「そうですか。では、受け取りましょう」
「はい」
「誰からの贈り物です?」
「西の魔女様からです」「そう……今回は、何を送ってきたのかしら?」
「魔法の杖ですね」
「これは…なんという…」
「いかがなされました?」
「この杖は、封印しておきなさい」
「どうしてですか?これほどの物を…」
「私には、必要のないものです」
「わかりました」
「あと、これを届けてきたものに伝言をお願いします」
「はい」
「次は、ありませんよと」
「はっ!」
「さて、私は、出かけてきます」
「どちらへ?」
「ちょっとした野暮用です」
「お待ちください。」
「どうしました?」
「報告がございます」
「なんですか?」
「クリステリテリア様がなくられました」
「なんてことでしょう!」
「残念です」
「死因はなんだったの?」
「冒険者に撃たれたようです。」
「そう。その冒険者を調べておきなさい」
「かしこまりました」
☆☆☆
「あ~やっと終わった。今日は、疲れたな」
「本当よね。早く帰って休みたい」
「そうだね。ところで、これからどうする?」
「どうするって?」
「だって、漆黒について何もわからなかったじゃん?」
「そういえばそうだな。」
「でも、漆黒が魔女教会なのは、間違いないんでしょ?」
「ああ、それは間違いないだろう」
「じゃあ、魔女教会の本部に乗り込まないとね」
「えっ!?」
「魔女教会は、本拠地がどこかわからないんだよ
。だから、魔女教会の本部に行って情報を集めるしかないでしょ?」
「それもそうなんだけど……。魔女教会の本部はどこにあるかわからないんだぞ」
「じゃあ、この街の魔女教会をしらべてみるとか?」
「そんな簡単に言うけど……」
「それに、魔女教会は、私たちを狙ってるかもなの」
「あっ、確かに……なんか、私らの情報を探ってるみたい」
「だから、本部の場所がわからなくてもなんとかなるよ」
「そうだといいけど……」
「とりあえず、ギルドに戻ろう」
「そうだな」
☆☆☆
「お帰りなさい。遅かったですね」
「ただいま戻りました」受付嬢に挨拶をする。
「はい。これが報酬です」
「ありがとうございます」
「それで、何かわかりましたか?」
「いえ、特には……」
「そうですか。また、依頼を受けてくれませんか?」
「いいですよ。みんなもいいよね?」
「うん。もちろん」
「じゃあ、明日から本格的に調査を始めましょう」
席をたつと、チャプと足元で音がする。
「あれ?」
足元にみずがたまってる?
「おねーさん、なんかゆかにみずがたまってるんですけど?みずもれ?」
受付嬢に聞く。「床が濡れてるのは、雨漏りのせいです。修理を頼んでいたのですが、まだ終わってなくて」
「雨漏り?」
「はい。修理の業者は、明日来ることになっています」
「でも?だんだんふえてますよ?」
最初1センチぐらいのみずかさだったが、いまは、5センチぐらいの深さ担った来た、ここだけでなく、ギルドの建物全体に水がたまってる。
「大変だ!洪水になる!」
「すぐにギルドから出てください」
「はい」
外に出るとさらにひどかった。
街の人々が叫びながら逃げている。
ギルドから少し離れた場所にある市場は、大混乱になっていた。
「みなさ~ん。落ち着いて避難してください。」
「これって二階とかに避難した方がよくありませんか?」
「そうですね。まずは、上の階に避難しましょう」
階段を駆け上がり、二階にいく。
「みなさ~ん。こちらに集まってくださ~い」
誘導係の指示に従い、二階に集まる。
「みなさ~ん。ここに集まってください」
「はい。わかりました」
「みなさ~ん。ここで待機していてください」
「わかりました」
しばらくすると、ギルドの職員が来て、全員を部屋に案内していく。
「全員、集まりましたね。では、順番に部屋に入っていってください」
☆☆☆
「雨も降ってないのにどうして?」
「そうだな。これは異常事態だ」
「魔女教会が関係してるのかな?」
「魔女教会のやつらの仕業だろうな」
「とにかく、今は待つしか無いな」
☆☆☆
次の日。
街は、完全に水没していた。
昨日も、今日も晴天だ。なのに、街のほとんどの建物が水浸しになっている。
一階部分は、完全に水の下だ。
しかも、奇妙なことに透き通るような透明度だ。
さかながおよいでるのがみえてる。
「ひどい状況ね」
「ああ、早く何とかしないと……」
「そうだね。ちょっと、その辺調べてきます。」
真魚は、なんか嬉しそうに水の中にダイブする。
「真魚ちゃん大丈夫?」
「ああ、見てみろ。全然、問題なさそう」
「ほんとだ……」
「この建物もかなり浸水してるわ」
「この建物の中を調べてみるか?」
「そうね。そうしましょ」
☆☆☆
「この扉は、鍵がかかってるな」
「開けられる?」
「ちょっと待ってくれ」
アルは、魔法を唱える。
『解除』
カチャッと音がなり、扉が開かれる。
「よしっ、開いたぞ」
「ありがと」
中には、誰もいない。
「うっ……臭い……」
腐臭が漂ってくる。
「誰かいたのか?」
「えっ?なんでわかるの?」
「そりゃ、人の気配を感じたからだな」
「そうだったんだ……。でも、人がいなかったよ」
「そうなのか?」
「うん。でも、何かが動いたような形跡があるよ」
「本当か?でも、なんでこんなに死体が転がってんだ?」
「なんでだろうね……。」
「とりあえず、探索を続けよう」
「うん」
☆真魚は水没した街中を泳いでいく。
さっき、魚が泳いでた。確かに淡水魚だった。
この水、真水だけど、どこから来てる?
雨は降ってない
水源を探そう。☆☆☆
「この辺りには、何も無さそうだな……」
「そうだね……」
「そっちはどうだ?」
「ダメ……」
「はぁ……疲れたな……」
「そうだね……」
「少し休もう……」
酒場らしき建物に入り天井まで浮き上がった椅子を掴んで座るとそのまま床まで沈んでいく。
このまま上流まで行くしかないないわね。
椅子から立ち上がり泳ぎ出すと椅子は浮き上がり再び天井間で浮いて行く。
透明度がすごい。
流れに逆らって上流へ上流へとおよでいく。やがて水没した森の中へと進む。
ずいぶん広範囲に広がってる。
どんな水量なの!これじゃあ、いくら何でも広すぎる。
それに、これだけの水、どこかでせき止められないと……
下流はどこまで続いてるの?
あまり考えたくはない。
今は上流に向かうしかなない。
☆☆☆
湖まで水没してる。
湖の中心に中洲があり建物が見える。
もちろん水没していている。
建物内部に侵入するが、既に避難したのか、無人であった。
内装をみる限り教会のようだ。
中庭のような場所に入り込むと井戸と思われるものがありそこら水が湧き出してるようだ。
井戸の中を除くと魔法使いの杖がささっていた。真魚は、杖を引き抜く。
水流は止まった。
真魚は杖をもってギルドの方へ向かって泳ぎ出す。☆☆☆
ギルド方向へは、下流なので流れにのってらくらく進んでいける。
途中、いくつかの建物を通り過ぎたがやはりどの建物も水没していた。
ギルドの建物が見えてきた。
水面から顔を出す。
まだ二階のテラスにみんな集まってる。
「ただいま」
「おかえりなさい」
「お帰り」
「これが原因だったみたい」
杖を受付のおねーさんにわたす。
壁が真魚を水からテラスに引き上げる。
「それ、魔女の杖じゃない!」
「そうなの?」
「そうよ。魔女の魔力を感じるもの」
「これが、魔女の杖なんだ。なんか、変な感
「水量がすごいから水が引くまで何日か、かかりそうです」
真魚はみてきたことをギルマスに詳しく報告する。
ギルドマスターは、ギルドの会議室で会議をしていた。
この街のギルドマスターは、元冒険者でAランクの実力の持ち主である。
彼は、魔女教会について独自に調査を進めていた。
魔女教会は、裏組織であり表の社会では、その存在を知る者は少ない。
魔女教会のトップは、魔女と呼ばれているらしいが詳細は不明だ。
魔女教会の目的は、異世界人召喚による世界征服だと噂されている。
しかし、その真偽を確かめる手段は今のところない。
今回、街の水没事件の原因となった魔女の杖は、街の教会に保管されていたもので、今回の水没事件の被害者が所持していたものだ。
☆☆☆
街の教会では、シスターたちが、街の人々の怪我の治療にあたっていた。
「みなさま、落ち着いてください。順番に治療しますので並んでくださいね」
「ありがとうございます」
「このお水はいったい?」
「わかりません」
「お水も綺麗ですね」
「そうですか?」
「ええ」
「そういえば、この水、透き通っていてとてもきれいですよね」
「そうね」
「こんなに透き通る水見たことありません」
「そうね。透き通るような透明な水なんて初めてみました」
「そうよね」
☆☆☆
街の水が引くまで3日かかった。
水か引くと真魚達はギルドから魔女教会の建物の調査を依頼された。
水が引いたため湖が現れそこの中洲の建物が今回の原因の現場だ。
水の底に沈んでたとき同様、無人のままだ。
「この建物の中を調査するように言われてるんだけど」
「魔女の教会か……」
「なんか、不気味な雰囲気ね……」
「そうだな」
中に入るとそこは礼拝堂のようだった。
中は静まり返っている。
奥に進むと祭壇があり、その上には、魔女の像が置いてあった。
「これは……」
「どうした?」
「ここに魔女の像があるの」
「魔女の?」
「うん」
「こんなところに?」
「うん」
「まぁいいや。それより何かあるぞ」
「ほんとだ……」
そこには、何かがあった痕跡がある。
「何かがここで、儀式を行ったみたいね……」
「そうだろうな……」
「でも、何をやったんだろう?」
「わからん……」
「何か手掛かりになりそうなものはないかしら?」
「う~ん……ないな……」「そうね……」
「この部屋は、これで終わりだな……」
「そうだね……」
☆☆☆
「何か見つかりました?」
「いや……」
「そうですか……」
「とりあえず、ここを出ましょう」
「そうだな……」
「ちょっと待って机の中に書類があるわ」
「本当か?見せてくれ」
「これよ」
「なになに?『召喚』……なんだこれ?」
「水に濡れて滲んでしまってるのでわからないわね……。とにかく、調べてみましょう」
「そうだな」
「この部屋の資料は、全て回収しましょう。」
☆☆☆
「これを見て」
「なんだこれ?魔法陣みたいなものか?円の中に模様が書いてあるな」
「これ、魔法陣じゃない?私達を召喚した時のと同じ感じがする」
「そうなのか?俺はよくわかんないけどな」
「そうなの……?」
「ああ、魔法のことは、俺にはさっぱりだからな」
「そうなのね。じゃあ、これは、どうなのかしら?」
「う~ん、なんとも言えないが、魔女教会の儀式と関係してるかもしれないな」
「そうよね。じゃあ、魔女教会に持っていけばわかるかも!」
「じゃあ、早速いこうぜ!」
☆☆☆
ギルドに戻ると、ギルドマスターが待っていた。
「調査の結果を教えて欲しいのだが……」
「はい。まず、建物内の調査ですが、特に変わったところはありませんでした」
「そうか……」
「次に、地下の部屋を調査したのですが、そこに、このようなものがありました」
「これは、魔法陣じゃないか?」
「そうですね。それと、この魔法陣は、魔女教会のものかもしれません」
「そうか、わかった。ありがとう」
「いえ」
「ところで、この魔法陣だが君たちで使ってみる気はないかね?」
「えっ?」
「いや、もし、魔女教会がこの魔法陣を使って、我々を異世界から呼び出したのなら、また、同じ方法で呼び出される可能性がある」
「そうですね」
「そこで、君たちの出番というわけだよ」
「なるほど」
「それで、どうかね?」
「待って、勝手に召喚したりした、その人に迷惑をかけるよ。それにあのとき魔女は多くの人々の生命を引き換えにしてたわ。絶対ダメ。それに使い方たもわからない」
「使い方は、君たちのみつけてくれた書類を修復魔法で復元したら、召喚魔法の記載があったよ」
ギルマスは、その書類を見せてくれる。
確かに、召喚魔法のことが書かれていた。
召喚魔法の発動方法。
召喚対象は、人間。ただし、魔力の多いものに限る。
召喚する場所。
魔女教会。
魔女教会に保管されている魔女の杖を使用しなければならない。
「あれ最後に次のページへとかいてあるけど次ないよ?」
「それは、発見された書類に続きはみつからなかった」
「使い方が完全に解明されてないのを使うのは危険過ぎます」「そうか……」
「他に方法はありませんか?」
「そうだな……無いわけではない」
ギルマスは、考え込む。
「他の方法を考えてみてください。」
「わかった……」
☆☆☆
「今、思いついたんだけど」
真魚は、みんなを集めて話始める。
「どうしたの?」
「洪水の原因だった魔女の杖って召喚の道具なのよね?」
「そうだけど?」
「洪水の原因は、杖ではなくて、召喚された何かのせいかだったら?」
「何かって?」
「例えば、魔女の眷属とか……」
「魔女の眷属か……」
「魔女の眷属って何?」
「魔女の使い魔のことよ」
「そうなんだ……」
「魔女の眷属の可能性が高いわね……」
「そんなのがまだ、どこかをウロウロしてるとしたら?やばくない?」「そうよね……」
「どうしよう……」
「とりあえず、魔女教会の周辺を捜索しょう!」
☆☆☆
街の周辺の森を探索していると大きな黒い影を見つける。
「あれは何?」
「わからない……」
「とりあえず、行ってみよう」
近づくと、そこには、巨大なカラスがいた。
「なんかデカいな……」
「そうね……」
「こいつからは、邪悪な気配を感じる……」
「そうね……」
「こいつが、魔女の眷属なのか?」
「そうかもね……」
「どうする?」
「倒さないと街に被害が出るかも……」
「そうだな……」
「じゃあ、いくぞ!」
☆☆☆
真魚達は、洪水の原因をつきとめるこはできなかった。
「洪水の原因は、やっぱり杖だったのかしら?」
真魚達はギルドに今日の調査報告におとずれる。「そうか……」
「何かわかりましたか?」
「いや、まだだ……」
「そうですか……」
「今日は、もう遅い。泊まっていきなさい」
「いいんですか?」
「ああ」
「ありがとうございます」
「あああ!!!!」
「どうしたの?」
「また水が!」
「大変だ!すぐに避難しないと」
「皆さん落ち着いてください。水は引いてますよ」
「えっ?本当だ」
「前回より増水ペースが早いよ!」
どんどん水かさが増えていく。
「早く逃げないと」
「ちょっと待って、なんか変じゃない?」
「えっ?」
「水位が下がっているわ」
「本当だ」
「大変だーっ!」
外にいた冒険者が飛び込んだ来た、
「津波が来るぞ!みんな逃げろう!」
水かさが急激に増えてきた。
「みんな急いで!」
そして、水かさが膝の高さまでくる。
「真魚さん!」
受け付けのおねーさんが怯えた顔で呼んでる。
「壁さん!私に命を預けてくれる?」
「おう!」
「よし!私を連れて津波の方へ向かって!」
「おい、どうするつもりなんだ!」
「説明してる暇はないわ!津波のスピードは半端じゃない!急いで向かって!」
「わかった!」
「真魚ちゃん無茶よ!」
お雪は真魚をとめようとする
「お雪さん!私を信じて」
「…わかった!」
「急げ壁!」
いきなりの呼び捨てだ。まぁいっか……
「おう」
☆☆☆
「もう少しで到着よ!」
「どこまで近づく?」
「最低でも10メートルまで近づくいて」
「一瞬でのみ込まれる距離だぞ!」
「お願い」
「わかった」
☆☆☆
「ついたぞ!」
「降ろして、私が倒れないよ支えて!全く、自分の足が役に立たないことがこわなにうらめしくおもったことはないわ!」
「安心しろ!俺がお前の足だ!」
「命預かります!」
(とは言ったもの津波ほど早い流れおさえられるかしら?
弱気はダメ!失敗した沢山の人が死んでしまう!絶対止める!)
真魚の身体が光り輝く。
「いくわよ!…海流制御…」
目の前で津波が凍ったように固まって止まる。
しかし、あちこちから雨漏りの様に水滴落ちるように流れ始める。
「勢いを殺すまでしかできなかった」
壁の腕の中で真魚は崩れちた。
☆☆☆
「大丈夫か?」
「ダメ…津波の広大なエネルギーを全て相殺したの。ゆっくりと水かさが増えるから、その間に避難を…」
真魚はそのまま意識を失う。
「無理しすぎだ!」
壁真魚抱き上げギルドに向かう。
「真魚が時間を稼いでくれた、今のうち全員に避難するように指示してくれ」 ギルドの受付嬢に伝える。
「わかった」
「私は、真魚ちゃんを病院に連れて行くわ」
「わかった。頼む」
☆☆☆
病院で診察を受ける。
「衰弱してます。津波のエネルギーを打ち消すため、限界以上のエネルギーをまさに、搾り出しのでしょう!」
医師は、深刻な顔をする。
「そんなに悪いのか?」
「このままでは、危ないかもしれません」
「なんとかならないのか?」
「回復魔法をかけていますが、かなり体力を奪われています。それに、魔力も枯渇寸前です」
「意識を取り戻して食べ物を摂取してエネルギーを回復できなければ危険ですね」
「そんな!」
「そうよ!点滴!点滴すれば!」
「お雪落ち着け!こちらの世界にそんなものはない!」
「じゃあどうしたら!」
「とにかく、真魚の回復を祈るしかない……」
☆☆☆
前回以上の大洪水にはなったが、増水のスピードは、とてもゆっくりだったので避難の時間は十分だった。
しかし、、その分水が引くにまで10日もかかった。冒険者ギルド。真魚ことを知るもの達は沈痛な思いだった。
当日当番だった受付嬢のリアンナもそんな一人だった。
「あの子は、きっと帰ってくるよね……」
その時ドアが開く。
「しかし、今回水引くのが遅くて商売上がったりだぜ。どうせなら、洪水そのものを消してくれればよかったのな!気が利かねーったりありしねー!確か真魚とか言う小娘だっけ?ちょっと、顔がいいからって調子にのってんじゃねーの」
津波の恐ろしさを知らない無責任な冒険者が笑いながら入ってきた。「ちょっと、あんた達!いくらなんでも、それは言い過ぎじゃない?」
「何だ?おめーは?」
「あたしは、このギルドで受け付けをしてる、リアンナよ!」
「ふーん。で?それがどうした?」
「どうしたって!あなた達の言ってることは間違ってるわ!」
「はぁ?おめー馬鹿じゃねーの?どこが間違ってんだよ!」
「だって、真魚さんは、津波を止めるために頑張ってくれたんだもん!」
「はい?」
「だから、津波を止めようとしてくれたじゃない!」
「いやいやいやいや、おめー、頭おかしいんじゃねえか?」
「おかしくないわよ!」
「いやいやいや、津波止めるなんて、人間にできるわけねーだろ!」
「でも、真魚さんはやってくれたのよ!」
「はい?マジで?」
「ええ、本当よ!」
「おい、みんな聞いてくれ!津波を止めた女がいるらしいぞ!」
「そうだぞ。」
「本当だ、おまえらはしらんのか?」「俺見たぞ!あれは凄かった!もう、津波が凍ったみたいになって、水が引いて行ったぞ!」
「本当かよ!信じられん!」
「本当よ!みんな見てたわよ!」
「おいおい、みんな見間違えてねー」
「おい、みんな、こいつらたたきだそうぜ!」
「おう!」
「おい、待てよ!みんなで話そう!」
「おい、誰か来てくれ!」
「あらっ、どうかしたの?私もあなたを叩き出す方に一票よ!」
男は全員に外へと叩き出された。
「ありがとうございます!真魚さんの事悪く言われて腹たったけど、なかなか言い出せなくて困っていたんです」
「そうなのよ、あいつら私達が、あの子のこと知らないと思って、ひどいこと言ってるのよ!本当に許せない!」
「あっ、私も手伝います!私、こう見えても元Aランクの冒険者です。力仕事は任せて下さい」
「私も手伝うわ!」
「皆さん、ありがとうございます!」
「お礼を言うのは、まだ早いわよ。」
「はい!頑張りましょう!」
「おお!」
「てめーらもど!うるせーぞ!少しは、静かに神に祈りやがれ。あの娘が元気に戻って来ることを!」
「はい……」
☆☆☆
3日たつても真魚の意識は戻らなかった。
壁もお雪も真魚のそばから離れようとしなかった。
☆☆☆
「真魚ちゃん目を覚まして!」
「早く起きないと、また俺が守れないじゃないか!」
☆☆☆
さらに3日が過ぎた。
☆☆☆
「真魚ちゃんお願い……」
「真魚ちゃん……」
☆☆☆
そしてその日の夕方、のどを通らな夕食を無理やりくちに押し込んで戻ってきた壁とお雪が、真魚の部屋を扉を開けると薄暗い部屋の中に人影がある。「誰だ!」
壁は剣を抜き構える。
「真魚ちゃん!」
ベッドはもぬけの殻だ。
「きゃー!」
風でカーテンめくれ夕日が差し込む。
その姿がはっきり見える。
真魚だ。
真魚の姿が夕日を浴び金色に染まってる。
しかし、彼女は自分の足で立ってる。
金色に染まってた髪をよくみれば実際に金髪に変わってる。
「真魚なのか?」
「真魚ちゃんなの?」
「私はエリーゼです」
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