銀色の巨神とデュアルヒロインweb edition

第2話

その名はゼクス

【第1章：目覚めとペンダントの秘密】

ミラが目を覚ましたのは、ふかふかのベッドの上だった。柔らかなシーツに包まれた彼女は、一瞬、自分がどこにいるのか理解できなかった。豪華な天蓋付きのベッド、繊細なレースで飾られた天蓋が目に入る。「天井が高い……」と呟きながら、彼女はゆっくりと身を起こした。

周りを見渡すと、部屋は豪華な装飾品や高級家具で満たされており、まるで貴族の館のような雰囲気だった。壁には美しい絵画が掛けられ、窓からは手入れの行き届いた庭園が見える。驚きながらも、ミラは何とか落ち着こうと深呼吸をした。

その時、彼女は胸元にかかったペンダントに気づいた。見覚えのあるそれに、彼女の心はざわついた。古びた銀の装飾が施されたペンダントの中央には、不思議な光を放つ青い宝石が埋め込まれている。ミラはそのペンダントに触れてみた。

「断っておくが、興味本位では、使わないほうがいい」

突然、頭の中に低い声が響いた。その声は落ち着いていたが、どこか威圧感があった。

「誰！どこにいるの？」ミラは驚いて辺りを見回したが、部屋には誰もいない。

「私は、君の中にいる」

「……宇宙人さん？」ミラは思わず尋ねた。まさか、と思ったが、それ以外の可能性が思いつかなかった。

「その通りだ」

「どうして？」ミラは戸惑い、少し声を潜めて聞いた。

「君の命を救うため、一心同体となったからだ。わかりやすく言えば、一つの命を二人で共有している」

「……シェアハウスか何か？」ミラは思わず苦笑したが、声の真剣さに、冗談ではないと感じた。

「ところで、こっちに転生したのに、あなたもついてきたの？」ミラは再びペンダントに触れながら尋ねた。ペンダントは冷たく、指先に微かに震えが伝わる。

「そうだ、魂が融合しているからな」

「はぁ？で？これを使うとどうなるの？」

「私の体と君の体が入れ替わる」

「え？入れ替わるって、どういうこと？」ミラは驚き、再びペンダントを見つめた。

「私のデフォルトのサイズは40メートルだ」

「……40メートルって、この屋敷の天井、突き破るんじゃないの？」ミラは驚いて天井を見上げた。

「その通りだ。だから、必要がない時は使わないほうがいい」

ミラはため息をつき、ペンダントを撫でながら窓の外を見つめた。「なんだか、随分と面倒なことになったな……」

第2章：ゼクスとの出会い

ミラはゼクスと名乗るその存在とのやりとりを続け、次第に彼との奇妙な共存生活に慣れつつあった。彼女はゼクスが自分のプライバシーには踏み込まないことを知り、少し安心していた。

「私に話しかける時は、声を出さなくてもいい。頭の中で呼びかけるだけで十分だ」とゼクスは言った。

「あっ、そうなんだ。でも、もっと早く教えてくれたらよかったのに……」ミラは苦笑した。すでに何度か声を出してゼクスに話しかけてしまい、家族や使用人から奇妙な目で見られた経験があったからだ。

ゼクスはそれ以上余計なことは言わず、ミラが彼に話しかけない限り静かにしていた。ミラも新しい環境と生活に慣れるために、少しずつ心の準備を進めていた。転生して貴族の令嬢となった彼女は、これからどんな運命を迎えるのか、それを知るにはまだ時間が必要だった。

第3章：新たな冒険の始まり

新しい世界での生活が始まり、ミラはこれまでの人生とはまったく異なる日々を送っていた。彼女は広大な庭園を散歩し、豪華なティータイムを楽しみながら、異世界の生活を満喫していたが、心の片隅にはいつもゼクスの存在を感じていた。

「さて、これからどうなるのかな……」ミラは窓の外に広がる庭園を見つめながら呟いた。庭には色とりどりの花が咲き誇り、風が優しく吹き抜けている。その風が彼女の心にも新しい冒険の予感を運んできた。

彼女の冒険は、今、始まったばかりだった。