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序章
第一章:運命の出会い
しおりを挟む藤井未来は、どこにでもいる普通の女子高校生だった。学校が終わり、夕焼けに染まる街を友達と歩いて帰る毎日。試験勉強や、友人たちとの会話、これからの高校生活に思いを馳せていた。
しかし、その日、彼女の平凡な日常は一変する。
「危ない!」
未来は、自分の目の前で車道に飛び出そうとする小さな子供を見て、反射的に声を上げた。足が勝手に動き、彼女は子供を抱きかかえるようにして車道の端に押しやった。
次の瞬間――。
激しい衝撃が未来の体に走り、視界が真っ白になった。痛みとともに、彼女は理解する。自分が車に轢かれたのだ、と。
「これで私は……終わりなのかな……」
未来の意識は遠のき、やがて暗闇に飲み込まれていく。しかし、命をかけて子供を守れたことに後悔はなかった。
そのとき、どこからか声が響いた。
「勇気ある優しい少女よ……」
「誰……?」
未来は驚きつつ、あたりを見回したが、誰もいない。声だけが静かに耳元に響いていた。
「私は、ある星から来た宇宙人だ」
「え? 宇宙人……?」未来は混乱する。
「君の勇気に敬意を表し、私の命を君に分け与えようと思う」
「えっ、ちょっと待って……。あなたの命を私に?それじゃあ、あなたはどうなるの?」未来は戸惑ったが、その声は穏やかに続けた。
「君と一心同体となるだけだ。君の意識は独立しており、私は普段は眠りについている。君が助けを必要としたときのみ、私の力を借りることができる」
「でも、そんなこと……」
「心配するな。私の存在は君の生活には干渉しない。ただ、君が危機に直面したとき、私の力が君を助けるだろう」
「それなら……大丈夫かも……」
未来はまだ信じられなかったが、少し安心した。
「これを持っていけ」未来の手に、突然光る棒状のアイテムが現れた。
「これ、何?」
「ベータスティックだ」
「これを使うとどうなるの?」
「君に力を与える。だが、心配することはない」
未来は棒を眺めたが、どうにもその無骨なデザインが気に入らなかった。
「……ちょっとダサくない?」
宇宙人の声が少し困惑したように響いた。
「…すまん」
「それに携帯するのにも不便なサイズだよ。胸の谷間にでもはさんでおけというの?セクハラかしら?」
「それは……不適切だったな」
次の瞬間、ベータスティックが光り、コンパクトなペンダントに変わった。
「これなら……いつでも持ち歩けるわね」
「使用するときは、元の形状に戻る」
そう告げられた瞬間、未来の視界は再び暗闇に包まれた。
「私は……生き返るのかな?それとも今見たことはただの夢だったのか……?」
未来は意識を失い、全てが静まり返った。
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未来は一度命を落としながらも、謎の宇宙人の助けを借りて、再び目を覚ますことになる。彼女の新しい人生と冒険は、これから始まろうとしていた。
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