上 下
92 / 109
第22話宇宙恐龍

アリアの秘密研究

しおりを挟む
#### アリア研究所の秘密

「研究は、なにもやってないの?」クラリスが不意に尋ねた。

「やってないことにしてる」
とリアは少し困ったように答えた。

「やってないことにしてる?」
クラリスが疑問を投げかける。

「偉そうな人に口出しされたくない」
アリアは率直に答えた。

「そうか」
ミラは納得したように頷いた。

「みんなだけに見せる」

アリアは微笑みながら鍵のかかった隣の部屋に案内した。

ミラはぎょっとした。壁にはゼクスの写真のような画像、いや間違いなく写真が貼られていた。写真のないこの世界に写真がある。これもアリアのスキルで作り出されたのだろう。しかし問題はそこではなかった。ゼクスの写真だ!

「しろがね様?」 ミラが驚きの声を上げた。
「しろがね様を研究してるの?」

アリシアとセシリアも疑問に思い、「しろがね教徒になったの?」と尋ねた。

「宗教違う。物理的に科学的に調べてる」
アリアは冷静に答えた。

「えー!神様だよ?」
セシリアが驚いて言った。

「そこに実体がある存在なら調べたい」
アリアは熱心に言った。

「あ、アリア、あまりむちゃしないで。神罰がくだったらどうするの?」
キャナルが真剣に心配している。

「神罰?興味深い。どういうシステムで作動するのか知りたい」
アリアは好奇心に満ちた目で答えた。

全員があっけにとられる。
その時、ミラの目に机の上に置かれた一枚の紙が入った。
「アリアちゃん、これ見せてもらっていいかしら?」

「いいよ。それ多分理解できるのミラ様だけだと思う」 
アリアは答える。

ミラは手に取ってじっくり見る。そこには難解な数式と化学式が連なっていた。

『え?や、やばい、これ、この子、やばいわ、やばすぎる…。ゼ、ゼクスぅ』ミラは頭の中でゼクスに呼びかけた。頭の中言葉さえうわずる。


『セクシウム光線の化学式だな』ゼクスの声がミラの頭に答える。声は冷静だが、驚愕の感情が伝わる。

『こんなの解析できるものなの?』

『人間に理解できると思わなかった』

二人は動揺していた。

「あ、アリアちゃん、これしろがねさまのあれだよね?」 
ミラが震える声で尋ねた。

「ミラ様、やっぱり、その化学式理解できるんだ」
アリアは感心したように答えた。

「これ、他の人見せちゃだめよ、危ないから」
ミラはうわずった声で警告した。

「大丈夫、多分誰も理解できないから」
アリアは自信を持って言った。

後ろから、ヒルデガルトとクラリスが覗き込む。

「わかります?」
クラリスがヒルデガルトに尋ねる。

「数字の羅列にしか見えない」

「ですわね」

「ドクターファストなら、わかるかもよ」
ミラが不安げに言うと、

「そうか、あのじーさんは、たしかにあぶない」
アリアは真剣な表情になった。

「でも、これどうするの?」
ミラが尋ねる。

「レギオンに搭載できないかなと思って」とアリアが答えた。

「え?レギオン、溶けちゃわない?」ミラは驚く。

「そこが最大のネック。と言ってもまだ出力する装置さえ出来てないけど」とアリアは少し悔しそうに答えた。

ミラはその紙をじっと見つめながら、アリアの才能とそのリスクの大きさに改めて驚いた。

『やっぱり、この子の才能とスキルは、やばすぎる』

「でも、アリアちゃん、これが成功すれば、すごいことになるわね。でも危険も伴うから、慎重にね」ミラは優しく言った。

アリアは頷く
「もちろん」


「応援するよ。でも、本当に気をつけてね」と優しく言った。

「ありがとう、ミラ様」とアリアは微笑んだ。

こうして、アリアの研究所での秘密の研究が明かされ、彼女の挑戦が続くことが示された。

「こっちのはしろがね様の御使い様の絵ね」
ミラは、一瞬、動揺するが、認識阻害が機能しているらしく、モザイク状態の画像。

「お姿がはっきりしないのね」
アリシアががっかりした様子で見ている。

「記録が妨害されるような機能が働いている」
アリアが答えた。

全員が帰った後、アリアは一人研究所に残っていた。
静かな室内でゼクシウム光線の解析シートをじっと見つめている。「ミラ様は、やっぱり…」
アリアは小さく呟いた。引き出しから一枚の写真を取り出す。それは画像補正済みのエンゼルフォームの写真だった。全てが鮮明に記録されているその写真を見つめながら、アリアは思考を巡らせた。「ミラ様は一体何者なんだろう?」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】さようなら、婚約者様。私を騙していたあなたの顔など二度と見たくありません

ゆうき@初書籍化作品発売中
恋愛
婚約者とその家族に虐げられる日々を送っていたアイリーンは、赤ん坊の頃に森に捨てられていたところを、貧乏なのに拾って育ててくれた家族のために、つらい毎日を耐える日々を送っていた。 そんなアイリーンには、密かな夢があった。それは、世界的に有名な魔法学園に入学して勉強をし、宮廷魔術師になり、両親を楽させてあげたいというものだった。 婚約を結ぶ際に、両親を支援する約束をしていたアイリーンだったが、夢自体は諦めきれずに過ごしていたある日、別の女性と恋に落ちていた婚約者は、アイリーンなど体のいい使用人程度にしか思っておらず、支援も行っていないことを知る。 どういうことか問い詰めると、お前とは婚約破棄をすると言われてしまったアイリーンは、ついに我慢の限界に達し、婚約者に別れを告げてから婚約者の家を飛び出した。 実家に帰ってきたアイリーンは、唯一の知人で特別な男性であるエルヴィンから、とあることを提案される。 それは、特待生として魔法学園の編入試験を受けてみないかというものだった。 これは一人の少女が、夢を掴むために奮闘し、時には婚約者達の妨害に立ち向かいながら、幸せを手に入れる物語。 ☆すでに最終話まで執筆、予約投稿済みの作品となっております☆

転生した平凡顔な捨て子が公爵家の姫君?平民のままがいいので逃げてもいいですか

青波明来
恋愛
覚えているのは乱立するビルと車の波そして沢山の人 これってなんだろう前世の記憶・・・・・? 気が付くと赤ん坊になっていたあたし いったいどうなったんだろ? っていうか・・・・・あたしを抱いて息も絶え絶えに走っているこの女性は誰? お母さんなのかな?でも今なんて言った? 「お嬢様、申し訳ありません!!もうすぐですよ」 誰かから逃れるかのように走ることを辞めない彼女は一軒の孤児院に赤ん坊を置いた ・・・・・えっ?!どうしたの?待って!! 雨も降ってるし寒いんだけど?! こんなところに置いてかれたら赤ん坊のあたしなんて下手すると死んじゃうし!! 奇跡的に孤児院のシスターに拾われたあたし 高熱が出て一時は大変だったみたいだけどなんとか持ち直した そんなあたしが公爵家の娘? なんかの間違いです!!あたしはみなしごの平凡な女の子なんです 自由気ままな平民がいいのに周りが許してくれません なので・・・・・・逃げます!!

結婚式をやり直したい辺境伯

C t R
恋愛
若き辺境伯カークは新妻に言い放った。 「――お前を愛する事は無いぞ」 帝国北西の辺境地、通称「世界の果て」に隣国の貴族家から花嫁がやって来た。 誰からも期待されていなかった花嫁ラルカは、美貌と知性を兼ね備える活発で明るい女性だった。 予想を裏切るハイスペックな花嫁を得た事を辺境の人々は歓び、彼女を歓迎する。 ラルカを放置し続けていたカークもまた、彼女を知るようになる。 彼女への仕打ちを後悔したカークは、やり直しに努める――――のだが。 ※シリアスなラブコメ ■作品転載、盗作、明らかな設定の類似・盗用、オマージュ、全て禁止致します。

異世界で買った奴隷が強すぎるので説明求む!

夜間救急事務受付
ファンタジー
仕事中、気がつくと知らない世界にいた 佐藤 惣一郎(サトウ ソウイチロウ) 安く買った、視力の悪い奴隷の少女に、瓶の底の様な分厚いメガネを与えると めちゃめちゃ強かった! 気軽に読めるので、暇つぶしに是非! 涙あり、笑いあり シリアスなおとぼけ冒険譚! 異世界ラブ冒険ファンタジー!

心の声が聞こえる私は、婚約者から嫌われていることを知っている。

木山楽斗
恋愛
人の心の声が聞こえるカルミアは、婚約者が自分のことを嫌っていることを知っていた。 そんな婚約者といつまでも一緒にいるつもりはない。そう思っていたカルミアは、彼といつか婚約破棄すると決めていた。 ある時、カルミアは婚約者が浮気していることを心の声によって知った。 そこで、カルミアは、友人のロウィードに協力してもらい、浮気の証拠を集めて、婚約者に突きつけたのである。 こうして、カルミアは婚約破棄して、自分を嫌っている婚約者から解放されるのだった。

義理姉がかわいそうと言われましても、私には関係の無い事です

渡辺 佐倉
恋愛
マーガレットは政略で伯爵家に嫁いだ。 愛の無い結婚であったがお互いに尊重し合って結婚生活をおくっていければいいと思っていたが、伯爵である夫はことあるごとに、離婚して実家である伯爵家に帰ってきているマーガレットにとっての義姉達を優先ばかりする。 そんな生活に耐えかねたマーガレットは… 結末は見方によって色々系だと思います。 なろうにも同じものを掲載しています。

皇太子の子を妊娠した悪役令嬢は逃げることにした

葉柚
恋愛
皇太子の子を妊娠した悪役令嬢のレイチェルは幸せいっぱいに暮らしていました。 でも、妊娠を切っ掛けに前世の記憶がよみがえり、悪役令嬢だということに気づいたレイチェルは皇太子の前から逃げ出すことにしました。 本編完結済みです。時々番外編を追加します。

【完結】野垂れ死ねと言われ家を追い出されましたが幸せです

kana
恋愛
伯爵令嬢のフローラは10歳の時に母を亡くした。 悲しむ間もなく父親が連れてきたのは後妻と義姉のエリザベスだった。 その日から虐げられ続けていたフローラは12歳で父親から野垂れ死ねと言われ邸から追い出されてしまう。 さらに死亡届まで出されて⋯⋯ 邸を追い出されたフローラには会ったこともない母方の叔父だけだった。 快く受け入れてくれた叔父。 その叔父が連れてきた人が⋯⋯ ※毎度のことながら設定はゆるゆるのご都合主義です。 ※誤字脱字が多い作者ですがよろしくお願いいたします。 ※他サイトにも投稿しています。

処理中です...