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第12章 人狼

人狼5

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レオンが人狼の姿から元に戻った後、自警団は彼を無事に拘束し、学院内の一室に連行した。彼の意識が戻ると同時に、リチャードと他のメンバーたちは取り調べを開始した。

「レオン・ヴァレンタイン、君がこの学院で起こった襲撃事件の犯人なのか?」リチャードは厳しい口調で問いかけた。

レオンは疲れ切った表情でうなだれながら答えた。「……そうだ。」

「なぜこんなことをしたんだ?理由を話せ。」リチャードはさらに追及する。

レオンはしばらく黙り込んでいたが、やがて重い口を開いた。「僕には選択肢がなかったんだ。呪いを受けてしまってから、夜になると人狼に変身してしまうんだ。」

「呪い?」リチャードは驚きの表情を浮かべた。

「そうだ。昔、ある古代の遺跡で見つけた本に触れた瞬間、呪いがかかってしまった。それ以来、夜になると人狼に変身してしまうんだ。制御することもできないまま、僕はただ暴れることしかできなかった。」レオンの声には深い苦悩が滲んでいた。

リチャードはレオンの言葉に耳を傾けながら、その内容を整理した。「つまり、君自身も被害者ということか…。」

アルフォルスが冷静に口を開いた。「呪いを解く方法はないのか?」

レオンは首を横に振った。「今のところ、見つかっていない。僕はただ、この学院の皆を危険に晒したくなかっただけなんだ。」

ハロルドが続けて質問を投げかけた。「では、どうして襲撃を繰り返していたんだ?」

「制御が効かなくなったんだ。意識が途切れる度に、気がついたらまた誰かを傷つけていた。」レオンは悔しそうに拳を握りしめた。

その時、ヴィーナが静かに部屋に入ってきた。「呪いを解く方法を探しましょう。君が望んでいないなら、きっと何か方法があるはずよ。」

レオンは驚きと感謝の入り混じった表情でヴィーナを見つめた。「君が…?」

ヴィーナは微笑んで頷いた。「ええ、諦めないで。必ず解決策が見つかるはず。」

リチャードは決意を新たにした。「そうだ、ヴィーナさんの言う通りだ。レオン、君も協力してくれ。私たちは君を見捨てたりしない。」

レオンは涙を浮かべながら、「ありがとう…」と小さな声で言った。

しかし、レオンの処遇については学院だけで決めることはできなかった。
自警団は彼を当局に引き渡し、その判断を待つことになった。

レオンの取り調べが終わり、学院内は一時的な平穏を取り戻したが、ミラは自室で一人考え込んでいた。「先祖還りみたいなものかしら?」ミラはふと、レオンの呪いについて思いを巡らせた。
レオンの変身は古代の呪いによるものであり、その制御が効かない苦しみは想像を絶するものだった。
彼女は、自分自身の力についても思いを巡らせ始めた。
「私もいつか、力が暴走してしまったらどうしよう…」
ミラの心には、一抹の不安が芽生えていた。
彼女の力は強大であり、それを使いこなすことができる自信はあったものの、制御を失った時のことを考えると恐ろしかった。 
「彼はどうなるのかしら…」
ミラはレオンのことを考えながら呟いた。
「私なら彼を救える」
ゼクスが、頭の中で話しかけてきた。
「え?本当に?」
「ああ」
「どうやって?」
「簡単だ。月に向かってゼクシウム光線を撃てばいい」
「ええ?」
「月を破壊すれば、二度と人狼にならなくて済むだろ」
「それはそうかもしれないけど…はっ!あぶない。うっかり信じるとこだった。冗談はやめてね」
「さすがだ。よく冗談と気がついたな」「そんな事したら重力のバランスが崩れてどんな天変地異が起きるかわからないでしょ?」
「その通り」
「たちの悪い冗談よ!」ミラはため息をつきながら、窓の外を見つめた。学院の庭には、日常の平穏が広がっている。

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