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フェイクとレッテル
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嘯くのは嘘つくのとは違う。
「狼が来たぞ~!」
少年は丘の上からコブタの家を
次々と襲っていくオオカミを見つけて、
大声で叫びながら村へと駆け戻った。
「なんだと、大変だ」
その声に反応した村人たちが手に手に
武器となるような農具を携えて血相を変え
駆けつけて来た。
「どこに狼はいるんだ⁈」
辺りを村人たちは探し回った。
「どこにもいないじゃないか」
少年はコブタを襲ったオオカミが
次に村にやってくるだろうと考えた。
だから「狼が来た」と告げたのである。
しかし、3軒目の煉瓦造りのコブタの
家から狼は出てこなかった。結果…
少年の言葉は〈うそ〉となった。
この一度の判断の誤りが少年を
苦しめることになった。
少年に貼られたレッテル《嘘つき》
文字通りの村社会の世間は少年を
いつまでもいつまでも非難した。
そして、、、
少年の心は次第に粉々に砕けた。
この騒ぎを悪賢いオオカミは目敏く
利用した。肉の奴隷と化した末っ子の
コブタを夜な夜ないたぶりながら。
◾️◾️◾️
少年はオオカミを見かける度に村へと
駆け戻り「狼が来たぞ」と報せた。
粉々に砕けた信頼を元に戻す為だけに
その報せが本当だと証明する為に。
だが村人たちは、もうスッカリ、
レッテル貼りした少年の報せに
踊らされることも無くなっている。
……………… ………………
当のオオカミは、少年の前に姿を現し
いかにも〈今から村を襲う〉とみせかけては
何もせずに隠れ家のブタの家へ引き返した。
やがて誰も警戒心を持たなくなり彼は
本当に村へと出掛けて易々と羊を狩った。
獲物は煉瓦造りの家に持ち込んで雑食の
末っ子ブタとゆっくりと味わう。お陰で
末っ子のコブタは今のところオオカミに
喰われなくて過ごしていた。
子羊の血のついた口をペロペロと
舐めながら思い出したように彼は呟いた。
「安定が一番大事だな…」
「狼が来たぞ~!」
少年は丘の上からコブタの家を
次々と襲っていくオオカミを見つけて、
大声で叫びながら村へと駆け戻った。
「なんだと、大変だ」
その声に反応した村人たちが手に手に
武器となるような農具を携えて血相を変え
駆けつけて来た。
「どこに狼はいるんだ⁈」
辺りを村人たちは探し回った。
「どこにもいないじゃないか」
少年はコブタを襲ったオオカミが
次に村にやってくるだろうと考えた。
だから「狼が来た」と告げたのである。
しかし、3軒目の煉瓦造りのコブタの
家から狼は出てこなかった。結果…
少年の言葉は〈うそ〉となった。
この一度の判断の誤りが少年を
苦しめることになった。
少年に貼られたレッテル《嘘つき》
文字通りの村社会の世間は少年を
いつまでもいつまでも非難した。
そして、、、
少年の心は次第に粉々に砕けた。
この騒ぎを悪賢いオオカミは目敏く
利用した。肉の奴隷と化した末っ子の
コブタを夜な夜ないたぶりながら。
◾️◾️◾️
少年はオオカミを見かける度に村へと
駆け戻り「狼が来たぞ」と報せた。
粉々に砕けた信頼を元に戻す為だけに
その報せが本当だと証明する為に。
だが村人たちは、もうスッカリ、
レッテル貼りした少年の報せに
踊らされることも無くなっている。
……………… ………………
当のオオカミは、少年の前に姿を現し
いかにも〈今から村を襲う〉とみせかけては
何もせずに隠れ家のブタの家へ引き返した。
やがて誰も警戒心を持たなくなり彼は
本当に村へと出掛けて易々と羊を狩った。
獲物は煉瓦造りの家に持ち込んで雑食の
末っ子ブタとゆっくりと味わう。お陰で
末っ子のコブタは今のところオオカミに
喰われなくて過ごしていた。
子羊の血のついた口をペロペロと
舐めながら思い出したように彼は呟いた。
「安定が一番大事だな…」
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