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かうんせりんぐ
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オマエ、タヒね!クそが!負け犬め!
ただ流行っている悪態を書き込んだ、
気に入らないコメントしている奴に。
こんなに汚く罵倒できるのは新しく
作ったこのサブアカウントだからだ。
なぜだか、攻撃的な言葉を並べて
相手を黙らすと、勝った気分になり
なんとも言えない高揚感を得られるのだ。
それは、真面目な本体アカウントでは
ぜったいに得られない超感覚だった。
ただ最近は攻撃的な発想がいつでも
頭の中に渦巻いて、少し恐怖さえも
感じている…今日この頃。
匿名で気軽にカウンセリングを
受けられる、会社のあのシステムを
この際、利用してみようかな…
……………… ……………… ………………
「いま、流行している精神疾患の
サブアカウントシンドロームでしょう、
検査しますので、この問診票の
QRを読み込んで回答して下さい」
画面に映し出されたバーチャルの
医師を模したキャラクターに言われた。
「流行ってる?精神疾患?」
俺は思わず聞き返してしまった。
AI音声感知が、それにすかさず反応し
リアル会話風に声を返してきた。
「まぁ、そうですね」
その言い方が単調で気に入らない、
更に、俺は問い合わせをしてみる。
「そんな⁉︎つまり、それは
私の頭がオカしいって事ですか?」
ここ最近の高性能AIは素晴らしい。
質問の意図を汲み取り、的確に返す。
「答えは次の通りです。
精神疾患と頭がオカしいは医学上、
同等ではありませんから何のご心配も、
ありません、次の質問を受け付けます」
その言い回しが人間ッぽくなくて
つい、反感を持って反応してしまった。
「先生、そうですかね?
私には、オマエはアタマがオカしい、
そんな風にしか受け取れませんよッ」
嫌味を込めて、オマエという呼称で
ロボット風の医者に言ってやった。
「ワタシのこと?オマエ…ですか。
その問診票の回答をしてみて下さい、
それに従って診断をしますので…」
嫌味には流石に反応しないかと
思っていたが「ですか?」だとッ!
カチンと頭の中で音がしてキレた。
「ほら、ほら、ほら、ほらぁ!
やっぱり、アタマがオカしいって
言ってるのと同じじゃないか!」
まだ言葉を選んだのだが、やや声は
大きくなり、口調には叱責を含んだ。
それに対して、AI医師が返答する。
「ですからね…」
その言葉を遮って俺は声を被せる。
「ですからじゃねぇよ
アンタは論理が破綻してんだよ!先生」
「…」
「ほら、反論できない、ギャハハハハ」
「…」
「オラオラ、何とか言ってみろよ」
手元のカルテ画面にAI先生がスラスラと
英語ではなく、読めないから多分ドイツ語で
何かを書きこんだ。
〈Ich bin froh, dass du stirbst〉
「イッ・フィン・フォー・アス・テ・゙スタァブス」
ドイツ語は読めない俺が聞き返す。
「なにを、何を書いたんだよ、おい!」
しばらくの沈黙の後で、先生が抑揚のない
怒気を全く含まない無表情な声色で言う。
「このタヒにぞこないが」
誰もが幸せで静かな時間が流れていく。
ただ流行っている悪態を書き込んだ、
気に入らないコメントしている奴に。
こんなに汚く罵倒できるのは新しく
作ったこのサブアカウントだからだ。
なぜだか、攻撃的な言葉を並べて
相手を黙らすと、勝った気分になり
なんとも言えない高揚感を得られるのだ。
それは、真面目な本体アカウントでは
ぜったいに得られない超感覚だった。
ただ最近は攻撃的な発想がいつでも
頭の中に渦巻いて、少し恐怖さえも
感じている…今日この頃。
匿名で気軽にカウンセリングを
受けられる、会社のあのシステムを
この際、利用してみようかな…
……………… ……………… ………………
「いま、流行している精神疾患の
サブアカウントシンドロームでしょう、
検査しますので、この問診票の
QRを読み込んで回答して下さい」
画面に映し出されたバーチャルの
医師を模したキャラクターに言われた。
「流行ってる?精神疾患?」
俺は思わず聞き返してしまった。
AI音声感知が、それにすかさず反応し
リアル会話風に声を返してきた。
「まぁ、そうですね」
その言い方が単調で気に入らない、
更に、俺は問い合わせをしてみる。
「そんな⁉︎つまり、それは
私の頭がオカしいって事ですか?」
ここ最近の高性能AIは素晴らしい。
質問の意図を汲み取り、的確に返す。
「答えは次の通りです。
精神疾患と頭がオカしいは医学上、
同等ではありませんから何のご心配も、
ありません、次の質問を受け付けます」
その言い回しが人間ッぽくなくて
つい、反感を持って反応してしまった。
「先生、そうですかね?
私には、オマエはアタマがオカしい、
そんな風にしか受け取れませんよッ」
嫌味を込めて、オマエという呼称で
ロボット風の医者に言ってやった。
「ワタシのこと?オマエ…ですか。
その問診票の回答をしてみて下さい、
それに従って診断をしますので…」
嫌味には流石に反応しないかと
思っていたが「ですか?」だとッ!
カチンと頭の中で音がしてキレた。
「ほら、ほら、ほら、ほらぁ!
やっぱり、アタマがオカしいって
言ってるのと同じじゃないか!」
まだ言葉を選んだのだが、やや声は
大きくなり、口調には叱責を含んだ。
それに対して、AI医師が返答する。
「ですからね…」
その言葉を遮って俺は声を被せる。
「ですからじゃねぇよ
アンタは論理が破綻してんだよ!先生」
「…」
「ほら、反論できない、ギャハハハハ」
「…」
「オラオラ、何とか言ってみろよ」
手元のカルテ画面にAI先生がスラスラと
英語ではなく、読めないから多分ドイツ語で
何かを書きこんだ。
〈Ich bin froh, dass du stirbst〉
「イッ・フィン・フォー・アス・テ・゙スタァブス」
ドイツ語は読めない俺が聞き返す。
「なにを、何を書いたんだよ、おい!」
しばらくの沈黙の後で、先生が抑揚のない
怒気を全く含まない無表情な声色で言う。
「このタヒにぞこないが」
誰もが幸せで静かな時間が流れていく。
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