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ティータイム

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 このテーブルセット、よく見れば見覚えがあるわね。公爵家での大規模なお茶会があるときに使っていたヤツでは? つまりとてもお高い。公爵家の所有物 = とてもお高い。もうこのテーブルセット目当てに強盗団が踏み込んできてもおかしくないレベルだ。

 いや、この短期間で三つもテーブルセットを準備するなら公爵家から持ってくるのが一番手っ取り早いけど……マリーさんは商会を運営しているのですからもう少し物の価値というものを理解していただけませんこと?

「それとこちらはお土産ですわ!」

 と、マリーが出してきたのは紅茶の茶葉。……なのだけど、量が多い。木箱が三つ。運搬人(大人の男性)が二人がかりで運ぶ大きさの木箱が三つって。花屋じゃなくて喫茶店を始めろと?

「すべてうちの商会が取り扱っている茶葉ですので、欲しがる人がいましたら紹介をお願いしますわ!」

 商魂たくましいわね相変わらず。

 ――夢だったお花屋さん。
 切り花はまだ準備中。鉢物もこれから仕入れ。店内にあるのは三つのテーブルセットと三つの木箱。中身は茶葉。

 いやこれのどこがお花屋さんなのか……。私の夢はどこ行った……?

 なんかもう店内がよく分からないことになっているけど、とりあえずお礼を言っておく私たっだ。開店祝いありがとうございますー。

「ではさっそくティータイムとまいりましょうか!」

 テーブルセットに腰を落ち着けるマリーと、すかさずお茶会の準備を始めるセバスさん。荷馬車の中からケーキセットや茶器を持ってきてテーブルの上に広げていく。店のど真ん中でティータイムとか神経図太すぎません?

 マリーが期待を込めた目で私を凝視しているので、ため息をつきつつセバスさんからティーポットを受け取る。

 学園では校舎内にメイドや従者を連れて行くことができなかったため、生徒会活動の時には私がお茶を入れていたのだ。……だって、他の役員は王太子殿下とか、公爵令息とか、公爵令嬢ばかりなんだもの。身分的に伯爵令嬢の私がお茶を入れるしかないじゃない?

 ちなみに貴族の偉さで言うと公爵・侯爵・辺境伯・伯爵・子爵・男爵・騎士爵の順番に偉いので、伯爵令嬢の私は中堅貴族ということになる。……いや実家は没落気味で、家族から疎まれていたので伯爵令嬢を名乗るのも烏滸おこがましいのだけれども。

 とにかく、昔取った杵柄ではないけれど、慣れているのでさっさとやってしまいましょう。
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