小さな町の 冬の おはなし

じいさんたちの恋話

「そうそう、 思い出したよ！
 幸助は あん時、美奈子ちゃんにプロポーズしたんだよなあ。
ありゃたしか陣取り遊びをしていた時だよ」

「おう、オレも思い出した！
 美奈子ちゃんは、オレらのアイドルだったのになあ。先に言った者もん勝がちとはなあ。
 悔しかったなあ。こんちくしょう……」

 すると、ちょうどその時。
「皆さん、ご苦労さま。お茶と、手作りチョコレートを持ってきましたよ。
 今日は、ばれんたいんでぇ、ってね。
男の皆さんにチョコレートを差し上げる日なんですって」

 美奈子ちゃんの話が出た時に、ちょうど本人が登場したものだから、皆がどっと笑った。
 ポッと頬を染めた幸助じいさんは、今年の春に還暦を迎える。
 同世代の幼なじみが こうして集まり、最後に登場した『美奈子ちゃん』は、彼らみんなの 初恋の人でもあった。

 雪遊びのまっ最中、幸助が美奈子に、いきなりプロポーズしたのだ。
 まだ小学生のころのこと。

 幼い恋は、その時から大切に育まれ、二人は本当に結ばれて、現在にいたる。

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