37 / 42
新しい生活へ
しおりを挟む
日の光を感じて目が覚めた。
「ふわぁー」とつい欠伸をしていると
「おはよう詩織…」その甘い声に振り向くと肩肘を立てた亘くんが私の髪の毛を撫でていた。
「おはよう」そう返すと「チュッ」とリップ音をならして唇を交わす。啄むようなその甘いその口づけに身を返して亘くんと向き合う。しっかりと亘くんを感じたくて唇を合わせた。
「そんな積極的にされたら我慢できなくなっちゃうから…」耳元で囁かれて少し恥ずかしくなってしまった。でも亘くんを感じたかった。
隣の布団の中でスヤスヤと寝ているわが子の横でキスなんて…と思いながらも口づけを交わした。差し込まれた熱につい甘い声が出そうになるのを必死で抑えてると亘くんにクスッと笑われてしまった。
「このままだと色々と抑えられなくなりそう。しかも俺こんなんだし…」亘くんに手を掴まれ触った場所はすでに立ち上がりかけていた…思わず顔を真っ赤にしていると…
「その反応、初めての感じてかわいい」と目尻にキスをされた。
私も身体の奥の熱が疼いてきたが、ここは沙代子さんの家だし…みんながいる。しかも隣ではまだ気持ち良さそうに寝ている息子がいる。抑えないとね…そう思いながら熱のこもった目で亘くんを見てしまった。
「詩織…愛してる。愛してるよ。だから…また詩織をこの手で抱きたい。今すぐは無理だけどね」そう言って抱きしめられて、もう一度だけキスをした。お互いの熱を感じながらも吐き出せないもの苦しさを感じながらも起き上がる。すると
「まんまっ」と息子が起きてきた。
亘くんを見つけるなり「ぱっぱっ」と駆け寄って体当たりする。すぐさま望夢の体を抱っこするとケラケラと朝から賑やかな笑声が響いた。
トントン部屋のノック音がしてきた。「はぁーい」「詩織ちゃん起きてる?ご飯食べましょう」沙代子さんの声が聞こえて私たちは支度をして部屋を出た。
望夢と笑い合ったせいか私の身体の熱もおさまっていた。
みんなで朝ごはんを食べた後、沙代子さんと絢さんに向き合った。
「沙代子さん、絢さん今まで詩織と望夢を守っていただいてありがとうございました。これからも、どうか支えてください。そしてもし僕のことを認めていただけるのなら…この書類にサインをいただけないでしょうか?」
そう言ってテーブルの前に出された婚姻届を見て2人は目配せをしていた。
「僕はずっと詩織と生きていきたいと思ってました。すれ違ってしまったあの日からもずっと…なのでお願いします」
亘くんが深々と頭を下げたので私も頭を下げた。
「2人とも頭を上げて」沙代子さんに言われて頭を上げた。
沙代子さんもあやちゃんも目に涙を浮かべて微笑んでくれた。
「ずっとね、詩織ちゃんには幸せになってほしいと思ってたのよ…」そう切り出した沙代子さんは亘くんの目を見て話始めた。
私が札幌で働き始めた頃のこと。いつも悩んでそうな顔してるけど何も声をかけられなかったこと。
そして仕事中に倒れて妊娠してるとわかったこと。結婚するのかと思ったが父親には知らせない、仕事も辞めて違う所に行くと言った私を引き止めたこと。
「一緒に暮らそうと声をかけたの最初に住んでた所は単身者用だったから…私もね…シングルで絢を産んだの。絢が産まれる前に病気で死んでしまったけど…だから詩織ちゃんを助けたかった。望夢がお腹にいる時も頑張ってたのよ。元々頑張り屋さんだったけど、望夢が産まれた時は嬉しかった。なんだか孫ってこんな感じなんだろうって、だからいつか望夢のお父さんに会わせたいって思ってた。だからこうやってまた出会えたのは縁があったからよ。これから支え合って頑張りなさい。私はいつでも応援してる。でも本当に私たちが証人でいいの?亘さんのご両親とか…」
「沙代子さんとあやちゃんがいいんです。望夢と安心して毎日過ごさせてもらえたし、私にとってお母さんとお姉ちゃんだから」
「沙代子さん、詩織と望夢にとって大切なお2人ですから…僕もその一員になりたいので、お願いします」
そう言って頭を下げた。
「ありがとう。書かせてもらうわね」
証人欄に沙代子さんとあやちゃんの名前が埋まった婚姻届を見てまた涙が溢れた。
「これから出しに行くんでしょ?望夢は?保育園はまだお休にしてるでしょ?」
「はい。一緒に連れて行こうと思います」
「2人で行っておいでよ。私休みだし、暇だから。大河もまだ寝てるけど、夕方までいるだろうからさ」
「でも…」
「色々、話もあるでしょ。ゆっくりしていいから。遠慮しなくていいから…ね。」
「じゃあお言葉に甘えて…行ってきます」
「うん。うん。行っておいで、のぞ~パパとママにバイバイしよー」
あやちゃんが抱っこしようとすると
「イヤー」と亘くんの足元にしがみついた。沙代子さんや、あやちゃんが宥めてもダメだった。置いていかれると思ったのか余計に泣き出してしまった。私達はそのまま望夢も抱っこして役所に向かった。
「ふわぁー」とつい欠伸をしていると
「おはよう詩織…」その甘い声に振り向くと肩肘を立てた亘くんが私の髪の毛を撫でていた。
「おはよう」そう返すと「チュッ」とリップ音をならして唇を交わす。啄むようなその甘いその口づけに身を返して亘くんと向き合う。しっかりと亘くんを感じたくて唇を合わせた。
「そんな積極的にされたら我慢できなくなっちゃうから…」耳元で囁かれて少し恥ずかしくなってしまった。でも亘くんを感じたかった。
隣の布団の中でスヤスヤと寝ているわが子の横でキスなんて…と思いながらも口づけを交わした。差し込まれた熱につい甘い声が出そうになるのを必死で抑えてると亘くんにクスッと笑われてしまった。
「このままだと色々と抑えられなくなりそう。しかも俺こんなんだし…」亘くんに手を掴まれ触った場所はすでに立ち上がりかけていた…思わず顔を真っ赤にしていると…
「その反応、初めての感じてかわいい」と目尻にキスをされた。
私も身体の奥の熱が疼いてきたが、ここは沙代子さんの家だし…みんながいる。しかも隣ではまだ気持ち良さそうに寝ている息子がいる。抑えないとね…そう思いながら熱のこもった目で亘くんを見てしまった。
「詩織…愛してる。愛してるよ。だから…また詩織をこの手で抱きたい。今すぐは無理だけどね」そう言って抱きしめられて、もう一度だけキスをした。お互いの熱を感じながらも吐き出せないもの苦しさを感じながらも起き上がる。すると
「まんまっ」と息子が起きてきた。
亘くんを見つけるなり「ぱっぱっ」と駆け寄って体当たりする。すぐさま望夢の体を抱っこするとケラケラと朝から賑やかな笑声が響いた。
トントン部屋のノック音がしてきた。「はぁーい」「詩織ちゃん起きてる?ご飯食べましょう」沙代子さんの声が聞こえて私たちは支度をして部屋を出た。
望夢と笑い合ったせいか私の身体の熱もおさまっていた。
みんなで朝ごはんを食べた後、沙代子さんと絢さんに向き合った。
「沙代子さん、絢さん今まで詩織と望夢を守っていただいてありがとうございました。これからも、どうか支えてください。そしてもし僕のことを認めていただけるのなら…この書類にサインをいただけないでしょうか?」
そう言ってテーブルの前に出された婚姻届を見て2人は目配せをしていた。
「僕はずっと詩織と生きていきたいと思ってました。すれ違ってしまったあの日からもずっと…なのでお願いします」
亘くんが深々と頭を下げたので私も頭を下げた。
「2人とも頭を上げて」沙代子さんに言われて頭を上げた。
沙代子さんもあやちゃんも目に涙を浮かべて微笑んでくれた。
「ずっとね、詩織ちゃんには幸せになってほしいと思ってたのよ…」そう切り出した沙代子さんは亘くんの目を見て話始めた。
私が札幌で働き始めた頃のこと。いつも悩んでそうな顔してるけど何も声をかけられなかったこと。
そして仕事中に倒れて妊娠してるとわかったこと。結婚するのかと思ったが父親には知らせない、仕事も辞めて違う所に行くと言った私を引き止めたこと。
「一緒に暮らそうと声をかけたの最初に住んでた所は単身者用だったから…私もね…シングルで絢を産んだの。絢が産まれる前に病気で死んでしまったけど…だから詩織ちゃんを助けたかった。望夢がお腹にいる時も頑張ってたのよ。元々頑張り屋さんだったけど、望夢が産まれた時は嬉しかった。なんだか孫ってこんな感じなんだろうって、だからいつか望夢のお父さんに会わせたいって思ってた。だからこうやってまた出会えたのは縁があったからよ。これから支え合って頑張りなさい。私はいつでも応援してる。でも本当に私たちが証人でいいの?亘さんのご両親とか…」
「沙代子さんとあやちゃんがいいんです。望夢と安心して毎日過ごさせてもらえたし、私にとってお母さんとお姉ちゃんだから」
「沙代子さん、詩織と望夢にとって大切なお2人ですから…僕もその一員になりたいので、お願いします」
そう言って頭を下げた。
「ありがとう。書かせてもらうわね」
証人欄に沙代子さんとあやちゃんの名前が埋まった婚姻届を見てまた涙が溢れた。
「これから出しに行くんでしょ?望夢は?保育園はまだお休にしてるでしょ?」
「はい。一緒に連れて行こうと思います」
「2人で行っておいでよ。私休みだし、暇だから。大河もまだ寝てるけど、夕方までいるだろうからさ」
「でも…」
「色々、話もあるでしょ。ゆっくりしていいから。遠慮しなくていいから…ね。」
「じゃあお言葉に甘えて…行ってきます」
「うん。うん。行っておいで、のぞ~パパとママにバイバイしよー」
あやちゃんが抱っこしようとすると
「イヤー」と亘くんの足元にしがみついた。沙代子さんや、あやちゃんが宥めてもダメだった。置いていかれると思ったのか余計に泣き出してしまった。私達はそのまま望夢も抱っこして役所に向かった。
24
お気に入りに追加
155
あなたにおすすめの小説
マイナー18禁乙女ゲームのヒロインになりました
東 万里央(あずま まりお)
恋愛
十六歳になったその日の朝、私は鏡の前で思い出した。この世界はなんちゃってルネサンス時代を舞台とした、18禁乙女ゲーム「愛欲のボルジア」だと言うことに……。私はそのヒロイン・ルクレツィアに転生していたのだ。
攻略対象のイケメンは五人。ヤンデレ鬼畜兄貴のチェーザレに男の娘のジョバンニ。フェロモン侍従のペドロに影の薄いアルフォンソ。大穴の変人両刀のレオナルド……。ハハッ、ロクなヤツがいやしねえ! こうなれば修道女ルートを目指してやる!
そんな感じで涙目で爆走するルクレツィアたんのお話し。
好きすぎて、壊れるまで抱きたい。
すずなり。
恋愛
ある日、俺の前に現れた女の子。
「はぁ・・はぁ・・・」
「ちょっと待ってろよ?」
息苦しそうにしてるから診ようと思い、聴診器を取りに行った。戻ってくるとその女の子は姿を消していた。
「どこいった?」
また別の日、その女の子を見かけたのに、声をかける前にその子は姿を消す。
「幽霊だったりして・・・。」
そんな不安が頭をよぎったけど、その女の子は同期の彼女だったことが判明。可愛くて眩しく笑う女の子に惹かれていく自分。無駄なことは諦めて他の女を抱くけれども、イくことができない。
だめだと思っていても・・・想いは加速していく。
俺は彼女を好きになってもいいんだろうか・・・。
※お話の世界は全て想像の世界です。現実世界とは何の関係もありません。
※いつもは1日1~3ページ公開なのですが、このお話は週一公開にしようと思います。
※お気に入りに登録してもらえたら嬉しいです。すずなり。
いつも読んでくださってありがとうございます。体調がすぐれない為、一旦お休みさせていただきます。
今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。
そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。
だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。
そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。
年下の彼氏には同い年の女性の方がお似合いなので、別れ話をしようと思います!
ほったげな
恋愛
私には年下の彼氏がいる。その彼氏が同い年くらいの女性と街を歩いていた。同じくらいの年の女性の方が彼には似合う。だから、私は彼に別れ話をしようと思う。
王宮医務室にお休みはありません。~休日出勤に疲れていたら、結婚前提のお付き合いを希望していたらしい騎士さまとデートをすることになりました。~
石河 翠
恋愛
王宮の医務室に勤める主人公。彼女は、連続する遅番と休日出勤に疲れはてていた。そんなある日、彼女はひそかに片思いをしていた騎士ウィリアムから夕食に誘われる。
食事に向かう途中、彼女は憧れていたお菓子「マリトッツォ」をウィリアムと美味しく食べるのだった。
そして休日出勤の当日。なぜか、彼女は怒り心頭の男になぐりこまれる。なんと、彼女に仕事を押しつけている先輩は、父親には自分が仕事を押しつけられていると話していたらしい。
しかし、そんな先輩にも実は誰にも相談できない事情があったのだ。ピンチに陥る彼女を救ったのは、やはりウィリアム。ふたりの距離は急速に近づいて……。
何事にも真面目で一生懸命な主人公と、誠実な騎士との恋物語。
扉絵は管澤捻さまに描いていただきました。
小説家になろう及びエブリスタにも投稿しております。
好きな男子と付き合えるなら罰ゲームの嘘告白だって嬉しいです。なのにネタばらしどころか、遠恋なんて嫌だ、結婚してくれと泣かれて困惑しています。
石河 翠
恋愛
ずっと好きだったクラスメイトに告白された、高校2年生の山本めぐみ。罰ゲームによる嘘告白だったが、それを承知の上で、彼女は告白にOKを出した。好きなひとと付き合えるなら、嘘告白でも幸せだと考えたからだ。
すぐにフラれて笑いものにされると思っていたが、失恋するどころか大切にされる毎日。ところがある日、めぐみが海外に引っ越すと勘違いした相手が、別れたくない、どうか結婚してくれと突然泣きついてきて……。
なんだかんだ今の関係を最大限楽しんでいる、意外と図太いヒロインと、くそ真面目なせいで盛大に空振りしてしまっている残念イケメンなヒーローの恋物語。ハッピーエンドです。
この作品は、他サイトにも投稿しております。
扉絵は、写真ACよりhimawariinさまの作品をお借りしております。
好きだった幼馴染に出会ったらイケメンドクターだった!?
すず。
恋愛
体調を崩してしまった私
社会人 26歳 佐藤鈴音(すずね)
診察室にいた医師は2つ年上の
幼馴染だった!?
診察室に居た医師(鈴音と幼馴染)
内科医 28歳 桐生慶太(けいた)
※お話に出てくるものは全て空想です
現実世界とは何も関係ないです
※治療法、病気知識ほぼなく書かせて頂きます
優しい微笑をください~上司の誤解をとく方法
栗原さとみ
恋愛
仕事のできる上司に、誤解され嫌われている私。どうやら会長の愛人でコネ入社だと思われているらしい…。その上浮気っぽいと思われているようで。上司はイケメンだし、仕事ぶりは素敵過ぎて、片想いを拗らせていくばかり。甘々オフィスラブ、王道のほっこり系恋愛話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる