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ぼくの楽しいハネムーン

第十二話

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 館のまえに到着すると、二時間後に迎えに来てもらうようドライバーに頼み、リムジンを降りる。

「ねえ秋良。追加料金を払えば、特別展示室にも入れるんだって。見てみたい?」

 伊織さんの勧めに受けつけのメニューを見てみると、”恐怖の部屋”というゾーンがあると書かれている。

 胸を張って言うコトではないが、ぼくは大の怖がりだ。できるコトなら立ち入りたくはない。けれどせっかく遥々やってきたのだ、しっかり見物しておかなければ勿体なくもある。

 それに伊織さんは、どちらかというとホラーが好き。彼の顔を恨めしく眺め、悩んだ末「はい」と小さく返事をした。

 入館して初めは楽しい気分で蝋人形を見てまわり、念願だったマイケル・ジョーダンとのツーショットも手に入れた。

 見て楽しみ、写真に収めて楽しみと、すべてを見てまわり満足したところで……、例のゾーンに向かうときがやってきた。

「すごいね秋良、ほら見てごらんよ。ギロチンの歯や首置台に、血がべったりだ」

 横から縦から斜めから、色々な角度から伊織さんがギロチンを見物する。模型の向こう、足許には木の箱が置かれていて、なかには血だらけの生首が――
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