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しおりを挟むこのヒトのどこに のめり込んだのだろう?穏やかに眠っている寝顔を覗き込んで ふと考えてみる
決して答えなんてでない この問題。それでもこの人と生きて行く事を決めた。
たくさん悩んで、でも決めた事。世間がなんと言おうと もう戻ることの出来ないこの道。
そっと、頬を撫でると眉間にシワを一瞬寄せて だるそうに目を開けた。
(結?どうした?)
そう言うと、いつものように少し大きく綺麗な手で淡いピンクに染めた髪をクシャっと撫でてくれた。
(楓が、あまりにも良く寝てるからついね~)
クスっと笑って見せると楓もクスっと笑って、タバコに手を伸ばす。
体を だるそうに起こすとカチッと火を点けると フゥーっと煙を吐き出した。
(結だって、同じだろ?いつも良く寝てるだろ?)
そう言うと背中から軽く抱きしめてくれる
男の子ではない楓の腕は細くしなやかで本当に綺麗だ。
こんな彼女との出会いはもう何年も前の事だった
何気なく、初めたSNSで結自信はセクシャルな問題を公にしてやっていた。自分は両性愛者であることをプロフィールに公開していたのだ。
何より、黒執事のコスプレ画像を良く挙げていたのでフォロアーも多かった。
そんなたくさんのフォロアーの中に彼女がいた。
ただ黒執事が好きなだけで繋がった縁だった。
黒執事が繋がりとなってお互いに良く連絡をとるようになっていった。
年上の彼女は、お姉さん的な存在だった。そんな彼女も多くのフォロアーがいてファンも着いていた。
とても中性的な姿に魅了されている方が多かった。
そんな中、突然仲良くなっていった2人にヤキモチをやく子も多くいた。そんなある日のことだった
結愛:良かったら直接電話しませんか?
Lion:構わないよー(笑)
結愛:それじゃ今夜ねー!
自分は彼女と違って独り身だった。結愛との何気ないメッセージのやり取りはとても心地良かった。
無邪気に話す結愛はどんな子なんだろ?
とにかく久しぶりに緊張を味わった。いつものように漫画喫茶で働いたが変な緊張感が続いた。
ただ、妹分と話すだけなのに不思議な気分だった
仕事も終わり荷物を持ちまだ雪の降る北の大地を足早に家路を急いだ。
(あと少しで、結愛と話せる)
その思いだけでいつもの気だるい帰り道もいつもと変わるのが不思議だった
家に着くなり、前もって教えてもらったメールに直接メッセージを送った。
(今、仕事終わったよ。自分から掛けようか?)
(気にしないで結から掛けるから)
そんなメールのやり取りをしていると
今まで、あまり鳴らなかった携帯が鳴り出した。
さすがに少し緊張しながら、電話に出た
(もしもし?)
恐る恐る声をかけると、明るく可愛らしい声が響いた。
(あっ、楓?はじめましてじゃないけど、はじめまして)
(なんだそりゃ~確かに はじめましてって感じじゃないね~)
そんな感じに、お互いの近況やら趣味の話しやらと長々と話した。
とにかく元気で可愛い子だった。若くて小さくて可愛いまるで猫の様な女の子って感じがした。
それからは毎日、お互いの携帯の充電が切れるまで話し続けた。
彼女とは、電話だけでは満足できなくて成り行きでSkypeでお互いに顔を見て話す様になっていった。
彼女は、綺麗な金髪の髪に毛先のみをピンクに染めていて、肌は白く可愛らしい子だった。
実際に自分と話してる事に違和感すら覚えるほどだった。
このころには、ダーリン。ハニーとふざけて呼び合う様になっていた。
でも、まだ僕の秘密は告げられない。彼女は、まだ知らない僕が性同一だということを。
どうして伝えることが出来る?僕は、もう30年以上女として生きてきた。例え、それが苦痛でも。
もちろん彼氏もいた。女になろうと努力していた。自分の中の男を封印していたのに、なんだ?この感じは?
また、僕を苦しめる違和感が爆発しそうだった。
彼女と話していると毎日は楽しかった。どんなに嫌な事があっても、彼女はいつも僕の味方でいてくれた。でも、この感じはなんだろ?彼女の優しさに埋もれていたいけど僕はどうしたらいい?
彼女への想いは憧れ?それとも
訳が分からなくて、頭がグルグルする毎日が訪れた。
この想いにピリオドを打たなくては。
そんな時、職場の先輩から声をかけられた。
(食事に行こうよ。)
普段なら、こんな誘いは面倒だから乗らないのに食事だけならと誘いに乗ってしまった。
2人で居酒屋へ向かい、たわいの無い話しをしていた。傍から見れば男と女、柄にも無く酒に飲まれた。
もちろん、記憶なんてあるわけない。朝 目が覚めるとお互いにあってはならない姿だった。
そんな中、先輩から言われた言葉。
(お前と結婚前提に付き合いたい。)
僕の中では、無理だと思ったが結愛への想いを断ち切れるかもと思い利用させていただくことにした。しかし結愛にどう伝えたらいいのか。本当に悩んだ。
本心では無いが先輩と付き合う様になって気づけば同棲していた。休みになると彼のものが少しずつ増えていった。
しかし、結との毎日の電話やSkypeは続いていて彼氏の事は秘密にしていた。
でもそんな、ある日 結に伝えると一瞬無言になったが
(良かったね~じゃあ電話迷惑?)
(そんな事ないよ。邪魔したら出てけと言ってあるから)
(そっかぁー)
僕は知らない。その間が何を示すのかを
だからこそ、彼を愛する努力をしたが無理だった。
1週間もすると結にも彼氏ができた。とにかく束縛する男だったが この時ばかりは女の身体に感謝した。
結に笑顔が無くなって行くのが目に見えてわかった。綺麗な金髪も黒く染め直していた。
彼の為に努力をしていた。そんな結を見て助けてあげたいって思っても助ける事ができなかった。
僕には、そんな資格はない。
どんなに苦しんでいても僕は彼女を幸せに出来ない。
結の手を取る資格すらない。
だからこそ、せめて彼女のお姉さんでいよう。
この子を姉として見守って行こう。
そう、心に決めた。
楓に彼氏が出来た。何故だろ?喪失感に襲われた。
楓に彼氏が出来るなんて考えた事が無かった。
そんなある日、電話でつい聞いてしまった。
(結はバイセクシャルなんだよね。楓はノーマルなん?)
(偏見ないけど、自分はノーマルかな?)
この答えが、心に強く突き刺さる。
好きになっては、いけない人に恋をしてしまった事実。
この思いを墓まで持っていく覚悟を決めた。結を妹の様に可愛がってくれる楓。
結は楓の妹でいよう。いつまでも仲の良い姉妹の様に。
そんな中、結を好きだという男ができた。別にどうでも良い人だったけど。この想いを断ち切れるならと付き合いはじめた。
彼は、とても束縛する人だった。服装から髪に至るまで口を出した。
男と電話、メールすべて禁止されていた。
しばらくは結と夜中に秘密の電話タイム日々が続いた。彼に ばれない様に必ず公衆電話から電話してきていた。せめてもの救いが同棲していないことだ。でも携帯チェックが毎日あるから 携帯からは 架けられない。
それでも、毎日少しの時間でも電話で声を聞けば安心した。
基本は彼への不平不満。その間に日々の報告が入る感じだ。たまに結が電話越しに歌を口ずさんだりする。ただ、それだけで安心する。
結と出会って、初めてボカロと言うものを知った。
結が口ずさむから興味もって聴くようになった。二人で、口ずさむこともあった。
そんな、ある日知らない番号から入電があった。
(あの楓さんの携帯ですか。結と付き合ってるマコトです。お願いです。結と連絡取らないでください。貴方がいるから結は俺だけを見てくれない。あげくには別れたいなんて言って来る様になったんです。貴方は結を幸せに出来ないだろ?結婚もできないし子どもを作ることも出来ない。結のために絶縁してください。)
黙って聴いてれば言いたいように言われた。さすがにカチンと来たので ついに言ってしまった。
(黙って聞いてれば、てめぇのやってることは結が一番嫌いな束縛なんだよ!だいたい結は てめぇの人形じゃねぇんだよ。世の中の全てが許しても自分は てめぇを許さねぇ。結を傷つけて…てめぇにだけは 結をやるわけにいかないわ。)
相手が絶句しているのが震える声で痛いほど理解できる。きっと彼なりの愛情表現だったんだろう。
もう、これ以上結を誰かに渡したくない。そんな感情がふつふつ沸きあがった。
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