星の記憶

鳳聖院 雀羅

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第2証【黙示録】

【黙示録】ep.12『紅き獄炎、蒼き極怨』(後)

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サージェス『…ビスマルク…おい…ビスマルク…』
『…ッチ…くそっ、時間がねぇ』
『よりによって、こんな時に…』
仕方ねぇ…かまってられるか、先行くぞ…』
従事者『居たぞ、奴等だ…捕らえろ』
サージェス『…うっさい!どけ!』
従事者の猛攻をすり抜けながら、サージェスは、その目的の場所にたどり着いた
『さぁて…と』
『どいて…』ビスマルクが扉を蹴破る
サージェス『お、おぃ…』
二人は、奥へと進む
ビスマルク『…』
『…おかしい、いやに静かだと思わないか?』
サージェス『あぁ…』

謎の声『…スマルク、…ビ…スマ…ルク…』
『…るな、ビスマルク…来るな』
ビスマルク『誰だ…』
ビスマルクが辺りを警戒し剣を構える
右、左と声がビスマルクの廻りをぐるぐると回る
ビスマルクも、また右へ左へ
ビスマルク『…』
ビスマルクが何かを見つけて
『これは…何?』
サージェス『…紛れもなく…』
『人だ…』
ビスマルク『え?』
サージェス『…星の欠片…』
サージェスが話を続けようとした時
男性『…星の…欠片、…その欠陥品だょ…』
ビスマルク『その声?…父さん?父さんなの?』
サージェス『よぉ…せんせ』
『嬢ちゃんどこだ?』
ビスマルク『ジャンヌは?…ジャンヌは?』
ファングが無言で指を指す
その先には大きな医療カプセルに入ったジャンヌの姿があった
ビスマルク『…』
『父さん…いったい何を考えているの?』
ファング『ダメだった…この子の力を持ってしても…ダメだったんだ』
半狂乱したファングがジャンヌの入った医療カプセルを拳で砕く
ビスマルク『…、ジャンヌ~』
混乱に乗じて、サージェスはファングを拘束する
『悪いが、嬢ちゃんの始末はあとからだ、時間がねぇ…せんせだけでもいただいてくぜ』
ビスマルク『…ちょっと』
ジャンヌ『…やめなさい…』
ジャンヌが突然サージェス目掛け矢をつがえる
ジャンヌ『離れて…姉さんと、父さんから…』
『パシュ…』手の震えを抑えきれず、矢が飛ぶ
ファング『やめろ~ジャンヌ…彼は…彼等は…』
ファングはサージェスの前に立ちはだかる
 『グッ…』
さらに、ファングの前にビスマルクが立ちはだかる 
ジャンヌの放った矢はビスマルクの左肩を射ぬいた?… 
ビスマルク『…ジャンヌ……グッ…あなた…は…』
『自分が…何を…しようと…しているか、…わかって…いる…の?…』

サージェス『…ビ…ビスマルク?…何故、俺を…助けた?』
ビスマルク『違うわ…ジャンヌが罪を犯すのは、私の理想じゃないの…』   
 『グッ…痛っ…』
ビスマルクが矢を引き抜く
ジャンヌ『ビスマルク…大丈夫?…』
『え?…どういうこと?』
ビスマルクの左肩から流れ落ちた鮮やかな血は炎を帯び、そこにはえる草木を焼き尽くしていた
それと共鳴するかのようにジャンヌにも変化が現れる
ジャンヌ『…身体…が…あ…つ…い』
サージェス『去らばだ…ジャンヌ~』
山影から『待て…』そして光が差す…
その光の中から再び、声が響く
謎の騎士達『星は自らを焼き、欠片と成りて、降り注ぐ…』
『ようこそ…彗星のビスマルク』
『我等…五星騎士ヴァルキュラス…』
サージェス『…はぁ、はぁ…』
『やったのか?…やったのか?…俺は…』
騎士の一人 『ええ…約束通り、しかし、それはまだ一部…これで、あのお方の赦しを得られたとは思わないことです』         

サージェス『…』
『?…』
『ジャンヌ…が……ファングも居ねぇ…』

ジャンヌ『…ビスマ…』
ゲイボルグ『…シッ…ジャンヌ様、お静かに…』
『到着が…少々、遅くなりました』
ジャンヌ『…サイラム?』
サイラム『…』人差し指を口元に当て、コクりと頷く
ファング『…サイラム…私は間違っていたのだろうか?…』
サイラム『…いずれ、我々はこの空に浮かぶ星までも手に入れる時が来る…』
『ジャンヌは、星じゃょ』
『星の巫女じゃ』
そして指を指し難しい顔立ちで
『あの子も…のぉ…』

第2証【黙示録】完
次回 第3証【イブの断片】
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