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シオンちゃん
しおりを挟むホラー小説の設定は、故人となったVTuberのファンである少女の恐怖体験についてを綴っています。
どうぞご覧ください。
その夜、空気は静かで、部屋の中にはただ少女の息遣いとパソコンの静かなファンの音だけが聞こえた。
彼女の名前は美咲、熱心なVTuberファンだった。
彼女が愛してやまなかったVTuber、月影リリィは数ヶ月前、突然の事故で亡くなってしまった。それ以来、美咲はリリィの古い配信を見返しては、寂しさを紛らわせていた。
しかし、ある夜、普段とは異なる通知が彼女のスマートフォンに届いた。それはリリィのチャンネルからの生配信の案内だった。
画面に表示されたのは、リリィがいつも使っていた愛らしいアバター。しかし、その目は空虚で、声は遠く震えていた。
「みなさん、こんばんは。リリィです、今夜は特別な配信を始めます…」
美咲は息をのんだ。リリィが亡くなったことを知りながらも、彼女の心は一瞬、希望に満ち溢れた。
しかし、頭の中では死んだはずのリリィが生きてるはずがないと理解しようとしていた。
画面の中のリリィは何かが違っていた。
彼女の動きはぎこちなく、話す言葉は断片的で意味不明なものが多かった。
「リリィ…本当にあなたは…?」
リリィだよね?
そんな言葉がこぼれそうになるものの、動画はこちらのことなど関係なく進む。
「今日は私の熱心なファンから1人特別企画に招待しようと思います」
美咲が言葉をチャットに入力しようとしたその時、リリィの目が彼女を見つめた。
これは何かの悪戯だろうか、そう感じるにはその視線はリアルすぎた。
「美咲ちゃん、私をいつも応援してくれる女の子だよ」
画面から聞こえるリリィの声は絶望に満ちていた。
そしてそれを見ている私もあまりの恐怖に鳥肌が立つ。
何故本名を知っているのか?
リリィは知らないはずの個人情報を知られているという恐怖に不気味さを感じた。
「美咲ちゃんには私の企画を手伝って貰います、その名も交換ゲームです」
交換?
可愛いアバターのはずがとても気持ち悪いものに見えた。
「リリィの中には別の人がいるんだけど、電池が切れちゃって次の人に回さないといけなかったんだよね」
言葉の意味がわからない。
それでも、それはとても悍ましいものに見えた。
「だから、次の人が美咲ちゃんだよ」
「美咲ちゃんと私の中の人を交換するってことの意味、分かった?」
分かるはずがない。
もうこの奇妙な動画を見ていたくなかった。気分が悪い。
美咲の手はその動画を消そうとマウスの手に向かった、
はずだ。
気付けば自分の手には薄い陰のようなものが、いや、これは、
「私だよ」
その声が聞こえた瞬間、美咲は意識を失った。
~後日~
「やっほ~、みんな大好きリリィだよっ❤️」
今日もみんなよろしくね♪
そんな言葉と共に動画の前のファンは大喜び。
いつもと変わらぬテンションのリリィを応援するファンはいくらでもいた。謎の復活を遂げて、不審がる人や不安な噂を流す人もいたがみんな、リリィのファンになった。
リリィはずっと終わらない
『今日、マンションで不気味な物音がするとの通報から現場に駆けつけた警官が中で意識のない重症者を発見しました。』
『発見された美咲さんは干からびたような状態で、ギリギリ一命を取り留めていましたが、脳に異常があったそうです』
『リリィだよっ、リリィだよっと何度も繰り返し呟いているそうです』
いかがでしたでしょうか?
なにぶん自分も初めてのホラーなもので緊張しています。
それでもこの作品で少しでも怖いと思えた人がいれば幸いです。
次回では、裏サイトに入った少年について話したいと思います。
お読みくださりありがとうございました。
『先輩、この件なんですけど』
『あぁ。一応確認したが本当に潰されてたな、その人の家』
『しかも、そのマンションも妙なんですよ』
『妙?』
『そのマンション建造途中で放置されてるんですよ』
『...事故でもあったのか?』
『そう、なんですかね?』
『まあ本人のアカウント自体は問題なく使えてるんだろ?』
『そうですが…』
『なら、俺たちにはもう関係ないだろ。はい、この話はおしまい』
『大丈夫、なのか?』
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