4 / 5
坂元の推理
しおりを挟む
坂元は、柿を美味しそうに頬張る老紳士に近付いた。
「御主人様、初めまして。今日からメイドとして働かせて頂きます、坂元和子です」
挨拶した坂元を一瞬だけチラリと見た老紳士。
「謎解きは、どうなっておる?」
自己紹介はスルーされたのを感じた坂元。
「皆さん、頑張って謎解きしているようです」
「坂元さんだったかね、なぜ、ここに残っているんじゃ?」
坂元が謎解きをしていない事が不可解そうな老紳士だったが、彼女はまだ初回ゆえに、解雇になる心配が無いのだと分かった。
「『あの人が冷たい』だけでは、新人の私には到底分かりかねますので」
坂元が言うと、老紳士がワッハッハ笑いをした。
「正直なメイドじゃのう。新人というハンデが有るから、特別に教えてあげねばな。わしの『あの人』は、色白でのう、とても有能なんじゃが......」
もっとヒントを聞き出せるかと思ったが、そこで老紳士は止めた。
「色白で有能な人なんですね!」
「うむ、それだけ教えたら、答えが分かったも同然じゃろ」
坂元は、お手洗いに行く素振りをして、その情報をグルーブラインで使用人達に送った。
使用人達は、そのヒントを提示しても、まだ悩み続けている様子をラインのメッセージで確認出来た。
制限時間まではまだ1時間半は有るが、このヒントが有っても、使用人達には全く思い当たる節が無さそうだった。
このままでは、制限時間になり、坂元以外の使用人達は全員解雇となるのだろうか?
そうなると新人でありながら、新人ではなくなってしまうという微妙な立場になるのが困る坂元。
ヒントを得ても、何の解決にもならず、途方に暮れていた時、取り敢えず、お手洗いまで来たついでに、用を足そうと思った坂元。
「これは......!!」
猛暑が続いていたが、今朝は少し肌寒い朝だった。
冷え性の坂元だから、気付けたのかも知れない。
「御主人様、私にも、『あの人は冷たかった』です!!だから、説き伏せて来ました」
「御主人様、初めまして。今日からメイドとして働かせて頂きます、坂元和子です」
挨拶した坂元を一瞬だけチラリと見た老紳士。
「謎解きは、どうなっておる?」
自己紹介はスルーされたのを感じた坂元。
「皆さん、頑張って謎解きしているようです」
「坂元さんだったかね、なぜ、ここに残っているんじゃ?」
坂元が謎解きをしていない事が不可解そうな老紳士だったが、彼女はまだ初回ゆえに、解雇になる心配が無いのだと分かった。
「『あの人が冷たい』だけでは、新人の私には到底分かりかねますので」
坂元が言うと、老紳士がワッハッハ笑いをした。
「正直なメイドじゃのう。新人というハンデが有るから、特別に教えてあげねばな。わしの『あの人』は、色白でのう、とても有能なんじゃが......」
もっとヒントを聞き出せるかと思ったが、そこで老紳士は止めた。
「色白で有能な人なんですね!」
「うむ、それだけ教えたら、答えが分かったも同然じゃろ」
坂元は、お手洗いに行く素振りをして、その情報をグルーブラインで使用人達に送った。
使用人達は、そのヒントを提示しても、まだ悩み続けている様子をラインのメッセージで確認出来た。
制限時間まではまだ1時間半は有るが、このヒントが有っても、使用人達には全く思い当たる節が無さそうだった。
このままでは、制限時間になり、坂元以外の使用人達は全員解雇となるのだろうか?
そうなると新人でありながら、新人ではなくなってしまうという微妙な立場になるのが困る坂元。
ヒントを得ても、何の解決にもならず、途方に暮れていた時、取り敢えず、お手洗いまで来たついでに、用を足そうと思った坂元。
「これは......!!」
猛暑が続いていたが、今朝は少し肌寒い朝だった。
冷え性の坂元だから、気付けたのかも知れない。
「御主人様、私にも、『あの人は冷たかった』です!!だから、説き伏せて来ました」
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
伏線回収の夏
影山姫子
ミステリー
ある年の夏。俺は十五年ぶりに栃木県日光市にある古い屋敷を訪れた。某大学の芸術学部でクラスメイトだった岡滝利奈の招きだった。かつての同級生の不審死。消えた犯人。屋敷のアトリエにナイフで刻まれた無数のXの傷。利奈はそのなぞを、ミステリー作家であるこの俺に推理してほしいというのだ。俺、利奈、桐山優也、十文字省吾、新山亜沙美、須藤真利亜の六人は、大学時代にこの屋敷で共に芸術の創作に打ち込んだ仲間だった。グループの中に犯人はいるのか? 俺の脳裏によみがえる青春時代の熱気、裏切り、そして別れ。懐かしくも苦い思い出をたどりながら事件の真相に近づく俺に、衝撃のラストが待ち受けていた。
《あなたはすべての伏線を回収することができますか?》
テレ子
倉田京
ミステリー
社会人として一人暮らしをする美里。彼女の興味は人とは少し違っている。
そんな彼女の住むアパートに同居人がやってきた。その名は『テレ子』
テレ子は美里に対してあるいたずらを執拗に繰り返すようになる。
ある日、美里はテレ子のいたずらの意図に気がつく。
テレ子が美里に伝えたかった事とは…
濡れ衣の商人
鷹栖 透
ミステリー
25歳、若手商社マン田中の平穏な日常は、突然の横領容疑で暗転する。身に覚えのない濡れ衣、会社からの疑いの目、そして迫り来る不安。真犯人を探す孤独な戦いが、ここから始まる。
親友、上司、同僚…身近な人物が次々と容疑者として浮かび上がる中、田中は疑惑の迷宮へと足を踏み入れる。巧妙に仕組まれた罠、隠蔽された真実、そして信頼と裏切りの連鎖。それぞれの alibi の裏に隠された秘密とは?
緻密に描かれた人間関係、複雑に絡み合う動機、そして衝撃の真相。田中の執念深い調査は、やがて事件の核心へと迫っていく。全ての謎が解き明かされる時、あなたは想像を絶する結末に言葉を失うだろう。一気読み必至の本格ミステリー、ここに開幕!
セイカイ〜全ての暗号を解き明かせ〜
雪音鈴
ミステリー
制限時間内に全ての暗号を解き明かし脱出する《ゲーム》へと強制参加することになった主人公。その先に待ち受けているものとはーー?
【暗号を解く度に変化していく景色と暗号の解読を楽しみながらも、主人公の行く末を見守ってあげて下さい。また、読者の方々にも、2話目から暗号(という名のなぞなぞもあり。難易度は話数が進むごとに上げていきます)を解き明かしてもらう形式になっているので、楽しんでいただければ幸いです(*^^*)】
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる