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想い人
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叶愛はポケットから、スタンガンのような形状の電気を流す装置を出し、抱き締めたまま離れようとしない昂佳の腰に使用した。
「痛い! ……師匠、ヒドイです~!」
「ヒドイのはどっちだ! 無断で抱き付いてくるとは! 無礼にもほどがある!」
叶愛の反応から、どうやら、22世紀には、スキンシップなどという慣習も無いのか、叶愛だけが異例で、周囲から、そのような事を体現された経験が無いのか、どちらかなのだろうと伺った昂佳。
その2人の様子を離れた位置から見ていたのは、昂佳の想い人である真鍋千絵と、その友人の吉中真由佳だった。
「あれ、うちのクラスの天津じゃん! 横にいるハーフみたいなキレイな子、誰? 彼女?」
昂佳と叶愛のやり取りなど聴こえていない位置から、長い間抱き付いていた2人の様子を見ていた真由佳の憶測に、カチンとなった千絵。
「知らない!」
「天津は、てっきり千絵の事が好きだと思っていたのに~! あんな見かけた事の無い感じの、もったいないくらいキレイな彼女がいたとはね~!」
その真由佳の言葉が余計に癇に障り、相手がどんな少女で、昂佳とはどんな関係なのか、近付いて確かめたい衝動に駆られた千絵。
真由佳をその場に取り残し、昂佳達の方へ向かって、長い髪の毛を揺らしながら、1人ズンズンと歩き進んで行った。
「えっ、千絵? まっ、無理もないか~!」
千絵の突然の行動に唖然としていたが、慌てて後を追った真由佳。
叶愛の容姿がよく見える所まで近付くと、2人が接近してきている千絵に気付き振り向いた。
「あっ、真鍋さん……」
「昂佳、誰なんだ、この女は?」
叶愛の輝きを放つ緋色の瞳に吸い込まれそうになるような衝撃を受け、かたまった状態の千絵。
「わっ、すごくキレイな目の色……」
磁石に吸い寄せられるように、その瞳から目が離せなくなる千絵。
後から追い付いた真由佳も、千絵と同様、叶愛の瞳に釘付けになった。
「えっ、その目、ガチなやつ? カラコンじゃないんだ?」
自分と同じ年頃の少女2人に凝視され、顔を歪ませた叶愛。
「そういう好奇の目を向けられるのは、堪えられぬ!」
叶愛を憤慨させると、2人に何か良からぬ仕打ちが襲い掛かりそうな気がして、慌てて手を引っぱり、千絵や真由佳から遠ざけさせた昂佳。
「師匠、あの子達も悪気が有ったわけではなくて……ただ、師匠のような緋色の瞳は見た事が無くて、美しいから、ついつい見入ってしまっただけなんです! 僕もその気持ちは、よく分かるので……」
十分に距離が開いた所で止まり、いきなり、また走らされて息苦しそうにしている叶愛に説明した昂佳。
「は~、苦しいではないか! 自分のペースで疾走するな! こっちは、タイムトラベルしただけで、通常に比べて体力消耗が半端無いのだからな!」
少しの距離を軽く走ってみただけで、ここまで叶愛が苦しがるとは予想も出来なかった昂佳は焦った。
「すみません、師匠! さっきの女の子達に師匠が、何か手を下したら大変と思って……」
言い訳しながら、千絵を思い浮かべて赤面した昂佳。
「何をそんなに動じる事が有るのだ? さては……さっきの女子は、昂佳の想い人とな?」
叶愛に見透かされてドキッとなった。
「はい、髪の毛の長い方の真鍋さんは、僕の大事な初恋の人なんです」
昂佳が頬を尚更赤らめながら伝えた。
「痛い! ……師匠、ヒドイです~!」
「ヒドイのはどっちだ! 無断で抱き付いてくるとは! 無礼にもほどがある!」
叶愛の反応から、どうやら、22世紀には、スキンシップなどという慣習も無いのか、叶愛だけが異例で、周囲から、そのような事を体現された経験が無いのか、どちらかなのだろうと伺った昂佳。
その2人の様子を離れた位置から見ていたのは、昂佳の想い人である真鍋千絵と、その友人の吉中真由佳だった。
「あれ、うちのクラスの天津じゃん! 横にいるハーフみたいなキレイな子、誰? 彼女?」
昂佳と叶愛のやり取りなど聴こえていない位置から、長い間抱き付いていた2人の様子を見ていた真由佳の憶測に、カチンとなった千絵。
「知らない!」
「天津は、てっきり千絵の事が好きだと思っていたのに~! あんな見かけた事の無い感じの、もったいないくらいキレイな彼女がいたとはね~!」
その真由佳の言葉が余計に癇に障り、相手がどんな少女で、昂佳とはどんな関係なのか、近付いて確かめたい衝動に駆られた千絵。
真由佳をその場に取り残し、昂佳達の方へ向かって、長い髪の毛を揺らしながら、1人ズンズンと歩き進んで行った。
「えっ、千絵? まっ、無理もないか~!」
千絵の突然の行動に唖然としていたが、慌てて後を追った真由佳。
叶愛の容姿がよく見える所まで近付くと、2人が接近してきている千絵に気付き振り向いた。
「あっ、真鍋さん……」
「昂佳、誰なんだ、この女は?」
叶愛の輝きを放つ緋色の瞳に吸い込まれそうになるような衝撃を受け、かたまった状態の千絵。
「わっ、すごくキレイな目の色……」
磁石に吸い寄せられるように、その瞳から目が離せなくなる千絵。
後から追い付いた真由佳も、千絵と同様、叶愛の瞳に釘付けになった。
「えっ、その目、ガチなやつ? カラコンじゃないんだ?」
自分と同じ年頃の少女2人に凝視され、顔を歪ませた叶愛。
「そういう好奇の目を向けられるのは、堪えられぬ!」
叶愛を憤慨させると、2人に何か良からぬ仕打ちが襲い掛かりそうな気がして、慌てて手を引っぱり、千絵や真由佳から遠ざけさせた昂佳。
「師匠、あの子達も悪気が有ったわけではなくて……ただ、師匠のような緋色の瞳は見た事が無くて、美しいから、ついつい見入ってしまっただけなんです! 僕もその気持ちは、よく分かるので……」
十分に距離が開いた所で止まり、いきなり、また走らされて息苦しそうにしている叶愛に説明した昂佳。
「は~、苦しいではないか! 自分のペースで疾走するな! こっちは、タイムトラベルしただけで、通常に比べて体力消耗が半端無いのだからな!」
少しの距離を軽く走ってみただけで、ここまで叶愛が苦しがるとは予想も出来なかった昂佳は焦った。
「すみません、師匠! さっきの女の子達に師匠が、何か手を下したら大変と思って……」
言い訳しながら、千絵を思い浮かべて赤面した昂佳。
「何をそんなに動じる事が有るのだ? さては……さっきの女子は、昂佳の想い人とな?」
叶愛に見透かされてドキッとなった。
「はい、髪の毛の長い方の真鍋さんは、僕の大事な初恋の人なんです」
昂佳が頬を尚更赤らめながら伝えた。
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