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マスクとメガネで

この余韻に包まれながら

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 一晩中眠れないまま、泣き明かしたぶざま過ぎる俺の顔......
 出来る事なら、学校が休みだと良かった......
 女子なら、化粧でかなり誤魔化しが効きそうだが、俺はメンズ用の化粧品など持ってないし、この先も持たないつもりだ。
 仕方ないから、季節外れ感有るけど、花粉症用のメガネでもして、紙マスクでカバーしよう。
 
「浅間、大丈夫か?」

 放課後、花粉症ではなく、原因はミレーユさんの件だと分かっている道下が、心配そうに声をかけて来た。

「大丈夫に見えるか!俺は、お前と違って、繊細で情に厚いんだ!」

「まあそういう事にして、覚悟は出来たか?」

「覚悟出来ても出来てなくても、取り敢えずは向かわないと!」

 俺達は、足早にミレーユさんが待つ公園の東屋へ向かった。

 ミレーユさんは、今日もまた、眩しいほどのいつもの笑顔で、待っていてくれた♡

 何度、この笑顔を見ても、見慣れる事無く、俺は毎回、初めて会った時から同じようにドキドキを繰り返してしまう!
 嫌な事が有っても100%吹き飛びそうな、ミレーユさんの笑顔の破壊力!
 その笑顔だけでも見られるのなら、俺は、おじいさんになっても、ずっとずっと、この場所に通い続けたかったのに......
 
 この存在自体神がかっている美少女が......
   今日この時を最後に、俺達の前から去ってしまう!

 そうなると......
 次回、ミレーユさんが地球を訪れるのは
 遠い未来......
 
   もう俺達がおじいさんになっても
 ミレーユさんと再会する事など叶わないのだろうな......

 考えただけで、また号泣しそうになる......

 それでも
 俺は、地球人男性の代表として
 恥じない態度で臨まねばならない!!

 ミレーユさんに......
 地球人は女々しいと勘違いされてしまったり
 最後の最後で引かれたりするのは嫌だ!!
 
 ミレーユさんにとっても、俺は、地球での輝かしい思い出の1シーンとして、いつまでも存在し続けたい!

「浅間さん、大丈夫ですか?」

 いつもしてないメガネとマスク姿の俺に驚いているミレーユさん。

「いや~、これはその~、平気っす!」

「面白いけど、聞かないでおいてあげて」

 道下がフォローのつもりだろうで言ったようだが、あまりフォローされている気がしない。
 大体、なんで、こいつは、この期に及んで、こんな平気なのか、全く理解に苦しむ!!

「今日は、お世話になったお2人にお礼と、最後の施術をさせて頂きますね」

 ミレーユさんは、最後というこの日も、俺がドキドキし続ける美しい笑顔と美しい声色のまま接している......

 この美しい声と美しい笑顔
 本当に最後なんだ......

 最後なのだから
 ミレーユさんの一挙一動を
 目に焼き付けなくては!

 ミレーユさんをガン見してしまう俺は、花粉症メガネとマスクの奥から血走りそうな目をしてそう!
 メガネとマスクのおかげで、きっとワンクッション置いてくれているのが救いだ!
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