足枷《あしかせ》無しでも、Stay with me

ゆりえる

文字の大きさ
12 / 45
12.

凌空の気持ちと……

しおりを挟む
「かなり辛そうだったね、牧田さん」

 病室から出て、声が届かないくらいの距離まで離れてから 凌空りくが言った。

「俺らって、無力だよな。牧田の足の痛さも、心に受けた傷も代わってあげられない」

 悔しそうに、うな垂れた 瑞輝みずき

「でも、僕らには、牧田さんを支えてあげる事が出来るよ! 女友達が彼女を見捨てても、僕らはずっと見守って行こう!」

  瑞輝みずきの背中を叩いて励ました 凌空りく

「そうだな。ありがとう、 凌空りく! お前は、関係無いのに、俺のせいで、こんな事に巻き込んでしまって」

「気にするなよ、友達なんだから! 手伝わせてくれよ!」

  凌空りくのような頭脳明晰で、温厚な性格の頼れる友人がいる事を誇りに感じた 瑞輝みずき

「それに、僕は、牧田さんが好きだから……」

  凌空りくが、そういう事をストレートに言うとは思わなかった 瑞輝みずきは面食らった。

「えっ、 凌空りく、お前、牧田の事、好きだったのか! そんな話、今まで聞いてねえよ! いつから?」

「小学生低学年の頃からだよ。ほら、牧田さんって、アルビノ系女子というか、色白だし、髪の毛も茶色のネコっ毛で、 華奢きゃしゃだから、妖精みたいにキレイな子だな~って思っていた」

 小学生の低学年の時からずっと、 凌空りくが 詩奈しいなをそういう目で見ていたと初めて知り、驚いた 瑞輝みずき

「確かに、牧田は、色素薄い系で目立つからな」

「今までは、ただそういう繊細そうなイメージが気になるだけだったけど……あの時、骨折した時から、痛いとか弱音を吐かず、 瑞輝みずきを かばって、笑顔でいる牧田さんを見ていると、いつの間にか、その頑張っている様子に、すっかり心打たれてしまってた」

  凌空りくの気持ちがよく分かるほど、 瑞輝みずきもまた、 詩奈しいなに対し、償いの気持ちと同時に、何か放っておけない気持ちにさせられていた。

「そうだな~、分からなくも無いよ。牧田の 健気けなげさって、なんか心に来る」

  瑞輝みずきが言うと、 凌空りくは少し前から気になっていた事を尋ねた。

「 瑞輝みずきは、牧田さんの事をどう思っているの?」

「別に、俺は……足首を怪我させた責任が有るから、牧田の足が治るまでは、支えてあげなくてはと思っているだけだ!」

 親友の 凌空りくが、 詩奈しいなを想っているのだったら、協力したい 瑞輝みずき

「それだけなんだ……? 好きとかって気持ちは無い?」

 事故の後から気になっていた 瑞輝みずきの気持ちを確認しようとする 凌空りく

「人として好きか嫌いか? って聞かれたら好きだけど、 凌空りくが想うような好きという気持ちではない……」

「ただ……」

  瑞輝みずきが続けて言おうとしたが、思い止まった。

「ただ……?」

「いや、何でもない。随分と昔の事だし、気のせいだったかも知れないから」

「なんか、それ気になるな~! 教えろよ、 瑞輝みずき!」

  凌空りくに追及されて、隠すのも妙だと思い、小学4年生の二人三脚で体験した不思議な感覚を伝えた。

「そんな感覚になったのは、後にも先にもそれっきりだったから、何だったのか分からないけど。牧田の事は、小4の時から、それがずっと気になってた。右足首の骨折っていうのも、ちょうど二人三脚の時に結んでいたのが牧田の右足首だったのも、引っかかっている……」

 今まで、誰にも言わずにいた事を初めて 凌空りくに話し、いつになく動揺している 瑞輝みずき

「 凌空りく、この事、誰にも言うなよ! 俺が、頭おかしい奴だと思われてしまうから!」

「分かったよ。そうか、そんな事が有ったんだ……それって、牧田さんの方も感じ取っていたのかな、その時?」

「そういう話は、牧田とはしてなかったけど。でも、確か、あの時、俺が驚いたら、牧田もビックリ まなこで、こっちガン見してたから……もしかすると、同じ感覚を味わっていたのかも知れない」

 2人とも同時に感じていたとすると、怪我した部位的にも、未来に起きる事の予兆として、何らかの未知なる力により、その時の2人に感じさせられていたのかも知れないと思えた 凌空りく

「不思議だね……この世の中、人間が認識出来てない事の方が圧倒的に多く存在するって言うけど、それもその1つなのかも知れない」

  凌空りくらしい解釈の仕方だった。

「俺が牧田を手伝ったりしているのって、もしかして、 凌空りくは嫌か?」

 車椅子の使用時には、 詩奈しいなの右足首が回復するまで、 瑞輝みずきが背中を貸してスムーズに移動出来ていたが、毎回目の当たりにしている 凌空りくの心境を考えると、これからは別の方法を考えようとする 瑞輝みずき

「嫌でも、今は、僕は 瑞輝みずきに比べて貧弱だし、もし、僕に任されて、グラついて、牧田さんの足が悪化する方が怖いから、そればっかりは 瑞輝みずきに ゆだねる事にするよ。でも、僕もこれからは、 瑞輝みずきに負けないくらい身体鍛える事にするから!」

 少し前にも、 凌空りくが身体を鍛えると言っていたのを聞いていたが、その根底には、 詩奈しいなへの想いが有ったのだと理解した 瑞輝みずき

「頼もしいな~! 勉強一辺倒だった 凌空りくが、好きな人の為に身体を鍛える事を意識し出すとは!」

  瑞輝みずきに褒められ、照れ笑いをした 凌空りく

「 瑞輝みずき、この件は他言無用で!」

「お前が危なっかしいうちは、黙っておくよ!」

 弱みを握ったような口調で言った 瑞輝みずき

「危なっかしくなくなっても黙ってて! じゃないと、 瑞輝みずきの小4の時のおかしな体験談、言っていいのかな~?」

「お前、それは止せ! それは、言ったら、ホントにヤバイやつだからな!」

 久しぶりに、大声で笑い合った 瑞輝みずきと 凌空りく
  詩奈しいなが怪我して以来、ずっと何かに とらわれたような感覚で、2人は思い切り笑う事すらも忘れていたのだった。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】ひとつだけ、ご褒美いただけますか?――没落令嬢、氷の王子にお願いしたら溺愛されました。

猫屋敷むぎ
恋愛
没落伯爵家の娘の私、ノエル・カスティーユにとっては少し眩しすぎる学院の舞踏会で―― 私の願いは一瞬にして踏みにじられました。 母が苦労して買ってくれた唯一の白いドレスは赤ワインに染められ、 婚約者ジルベールは私を見下ろしてこう言ったのです。 「君は、僕に恥をかかせたいのかい?」 まさか――あの優しい彼が? そんなはずはない。そう信じていた私に、現実は冷たく突きつけられました。 子爵令嬢カトリーヌの冷笑と取り巻きの嘲笑。 でも、私には、味方など誰もいませんでした。 ただ一人、“氷の王子”カスパル殿下だけが。 白いハンカチを差し出し――その瞬間、止まっていた時間が静かに動き出したのです。 「……ひとつだけ、ご褒美いただけますか?」 やがて、勇気を振り絞って願った、小さな言葉。 それは、水底に沈んでいた私の人生をすくい上げ、 冷たい王子の心をそっと溶かしていく――最初の奇跡でした。 没落令嬢ノエルと、孤独な氷の王子カスパル。 これは、そんなじれじれなふたりが“本当の幸せを掴むまで”のお話です。 ※全10話+番外編・約2.5万字の短編。一気読みもどうぞ ※わんこが繋ぐ恋物語です ※因果応報ざまぁ。最後は甘く、後味スッキリ

つまらない妃と呼ばれた日

柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。 舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。 さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。 リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。 ――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。

可愛らしい人

はるきりょう
恋愛
「でも、ライアン様には、エレナ様がいらっしゃるのでは?」 「ああ、エレナね。よく勘違いされるんだけど、エレナとは婚約者でも何でもないんだ。ただの幼馴染み」 「それにあいつはひとりで生きていけるから」 女性ながらに剣術を学ぶエレナは可愛げがないという理由で、ほとんど婚約者同然の幼馴染から捨てられる。 けれど、 「エレナ嬢」 「なんでしょうか?」 「今日の夜会のパートナーはお決まりですか?」  その言葉でパートナー同伴の夜会に招待されていたことを思い出した。いつものとおりライアンと一緒に行くと思っていたので参加の返事を出していたのだ。 「……いいえ」  当日の欠席は著しく評価を下げる。今後、家庭教師として仕事をしていきたいと考えるのであれば、父親か兄に頼んででも行った方がいいだろう。 「よければ僕と一緒に行きませんか?」

里帰りをしていたら離婚届が送られてきたので今から様子を見に行ってきます

結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
<離婚届?納得いかないので今から内密に帰ります> 政略結婚で2年もの間「白い結婚」を続ける最中、妹の出産祝いで里帰りしていると突然届いた離婚届。あまりに理不尽で到底受け入れられないので内緒で帰ってみた結果・・・? ※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています

黄泉津役所

浅井 ことは
キャラ文芸
高校入学を機にアルバイトを始めようと面接に行った井筒丈史。 だが行った先は普通の役所のようで普通ではない役所。 一度はアルバイトを断るものの、結局働くことに。 ただの役所でそうではなさそうなお役所バイト。 一体何をさせられるのか……

処理中です...