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突然の下命
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ソロアピアン大陸で最も広大な領土を持つピエムスタ帝国の帝都トラルーラは、一年で最も輝くシーズンを迎えていた。
皇帝の居城、リドス宮殿の庭園の木々は鮮やかな赤や黄金に色づいており、白亜の城壁とのコントラストが美しい。澄んだ空は高く、雲ひとつない。心地よい爽やかな秋風が、中庭の回廊を歩く第三皇女コルネリア・ラムベールの豊かな栗色の髪を揺らした。
――こんな時間にお父様の部屋に呼ばれるなんて珍しい。きっと、大事な話なのね。
王の居室のある中央棟に早足で歩を進めるコルネリアの顔は、かすかに緊張している。
それもそのはず、コルネリアを呼び出したのは、尊敬する父であり、ピエムスタ帝国の皇帝セアム三世だった。彼はここのところ、先の戦争の処理で多忙を極めており、家族ですら謁見するのは難しい。皇后である母ですら、顔を合わせない日々が続いていると零していたほどだ。
そんなセアム三世からの呼び出しなのだから、おそらく重要な要件があるのだろう。
回廊を抜け、中央棟の階段をあがったコルネリアは、すぐに皇帝の執務室の重厚な扉をノックした。すぐに侍従が扉を開け、コルネリアは中に通される。
古い本と葉巻の匂いがする執務室で、皇帝セアム三世は窓辺の椅子に腰掛けて腕を組んでいた。コルネリアと同じ栗色の髪には白いものがちらほら混じるものの、堂々とした体躯には皇帝としての威厳が漂う。
コルネリアは背筋を伸ばし、優雅に一礼する。
「この国の偉大なる太陽、皇帝陛下にご挨拶申し上げます。お呼びでしょうか、お父様」
「おお、来たか。儂の大事な娘、コルネリアよ」
セアム三世は部屋に入ってきた愛娘を笑顔で迎えたものの、その笑顔にはどこか陰りがあった。皇帝に相応しい、全てを照らす太陽のような笑顔を浮かべている父にしては珍しい表情だ。心なしか顔色も悪い。
「お父様、どうなされたのですか? お顔色が優れないようですが」
「お前は相変わらず、優しい娘だ。しかし、儂のことを案ずる必要はない」
一瞬寂しげに微笑んだセアム三世だったが、次の瞬間には威厳のある皇帝の顔になった。
「我が娘、コルネリアよ。エツスタン公爵リシャール・ラガウェンのもとへお前を嫁がせようと思う」
急に結婚を下命されたコルネリアは、薄緑色の目を大きく見開いた。
結婚を命じられること自体は、別に驚くべきことではない。コルネリアは十九歳。結婚適齢期が十代半ばであるこの国では、むしろ少々遅すぎる年だ。現にコルネリアの二人の姉は、十代半ばで結婚している。
それに、皇族の一員としてこの世に生を享けた以上、政略結婚を命じられる覚悟もできていた。
しかし、結婚相手がリシャール・ラガウェンとなれば話は別だ。
「エツスタンの元王子が、わたくしの結婚相手ですか……」
「すまない。お前には、非常に難しい立場に身を置いてもらうことになるだろう。可能であれば、避けたい選択ではあったが……」
セアム三世は深く皺が刻まれた眉間を揉む。
エツスタン公爵領といえば、先の戦争でピエムスタ帝国が支配して間もない、海と山脈に挟まれた北の領土であり、元はエツスタン王国と呼ばれていた地域である。
古代語で「長い冬の国」という意味を持つエツスタン王国に住む人々は、古代の神話に出てくるエルフの末裔とも言われており、独自の文化と精巧な工芸品で知られていた。エツスタン人たちは、細々と、しかし誇り高くその文化を守ってきたのである。
しかし、二年前に北方の海のはるか向こうにあるハンソニア王国とエツスタン王国の間で戦争が起こった。ハンソニアは、不凍港を持つエツスタンを足掛かりにしてソロアピアン大陸すべての覇権を握ろうと企んでいたのだ。
これを看過できないソロアピアン大陸最大の領土を持つピエムスタ帝国がエツスタン王国に加勢し、先の戦争は辛くもピエムスタ・エツスタン連合軍が勝利した。
しかし、先の戦争はエツスタンに深い傷跡をのこした。
戦場の舞台となったエツスタンの地は、目も当てられないほど荒廃した。ハンソニアの野蛮な騎士たちは田畑を踏み荒らし、街や村を燃やしつくしたのである。しかも、かなり徹底的に。
さらに悲劇的なことに、エツスタンは名君と誉れ高かった国王、ヨナソン王とその妻クラウディアを失ってしまった。
エツスタン王国の王族は、ヨナソン王の一人息子リシャールのみとなってしまったのである。リシャールは12歳。政を為すにはあまりに幼い。
そこで、当面の間、ピエムスタ帝国はエツスタン王国を支配下に置くと宣言した。リシャールは表向き、エツスタン公爵という地位を封爵され、エツスタン王国はエツスタン公爵領へとその呼び名を変えることとなった。
この措置はあくまで一時的なものであるとセアム三世は繰り返し宣言したが、それに納得するエツスタン人はほとんどいなかった。それどころか、「混乱に乗じて国を乗っ取った卑怯者」とピエムスタに強く反発する始末。
しかし、ピエムスタ帝国とて、荒廃したエツスタンを放置するわけにもいかない。エツスタン首都オルナにある不凍港がハンソニア王国の手中に落ちれば、次に狙われるのはピエムスタ帝国の広大な領土だ。目下、南の新興国であるラーク王国との関係に頭を悩ませているピエムスタ帝国にとって、ハンソニアのエツスタン支配だけは何としてでも避けねばならない。北からハンソニア、南からラークに挟まれてしまえば、ピエムスタはその覇権を大きく損ねてしまうことになるだろう。
セアム三世はコルネリアに難しい顔をした。
「リシャール・ラガウェンは、12歳。さすがに実権を渡すには若すぎる。一方で、ピエムスタ帝国から使者を派遣したとして、あの国は反発を強める一方だろう。そこで、お前にはリシャール・ラガウェンの配偶者となり、リシャールを補佐するという名目でよくあの領土を治めてほしいのだ」
「念のため確認しますが、お父様はエツスタン王国を永久に支配したいわけではないのですよね?」
コルネリアの質問に、セアム三世は白いものが混じりはじめた顎髭を撫でた。
「……あのエツスタンを支配できるとは思わない方がいい。そもそも、ピエムスタ帝国とエツスタン王国は歴史的に敵国同士時代の方が長い。先帝の時代は激しい戦を何度となく繰り返している。我が帝国がエツスタンを併呑したところで、いずれ道を違えるのは目に見えている。かような辺境の地であれば、派兵費も馬鹿にならん。それならば、共生の道を歩んだほうがピエムスタ、エツスタン両国の利益になろう」
エツスタンの民は、エツスタンの王族に対しての忠誠心が高いと言われている。ピエムスタ帝国の皇帝に従うくらいなら、誇り高く滅びの道を歩むだろう。だからこそ、やみくもに領地を拡げるより、共生によって得られる実利を優先したいとセアム三世は考えているらしい。
コルネリアは少しだけ俯き、じっと何かを考えた。艶のある髪が、さらさらと肩口からこぼれる。
「……ねえ、お父様。エツスタンの人々は、わたくしを歓迎しないでしょうね」
コルネリアの一言に、セアム三世は一瞬言葉を詰まらせ、暗い顔をした。
「その通りだ。あそこは色々難しい。……だからこそ、一生エツスタンに身を置けとは言わぬ。リシャールが成人する数年持ちこたえれば、それでいい。お前にはこれからしばらくの間、辛い思いをさせるだろうが、しばしこの国のためを思って耐えてくれ。リシャールが一人前になれば、すぐに破婚して帰ってくるように」
「はい、承知いたしました」
「お前にふさわしい夫を見つけようと結婚を引き延ばしてきたが、このような結果になってすまない。お前が帰ってきたあかつきには、お前にはなんでも望むものをやろう。そうだ、トレヴァスあたりの皇族直轄領をお前に渡してもいい」
「破婚した皇女に皇族領を譲渡した前例はなかったはずですが、よろしいのですか?」
「そこまでしなければ、これから先お前にのしかかる心労と釣り合いがとれぬだろう。……すまない。お前にはなんとしてでも幸せな結婚をしてもらいたかった」
皇帝は肺の全ての空気を吐き出すような、重いため息をつく。
「そんなに気に病まないでください。わたくしはきっと大丈夫です」
コルネリアはしっかりと頷いた。
セアム三世とその妻オリヴィアには、長い間男児に恵まれなかった。今でこそ皇位継承権第一位は第四皇子トビアスであるものの、そんな彼も生まれてしばらくは身体が弱く、典医から「成人まで生きられるかわからない」と言われていた時期もあったほどだ。
そこで、幼い頃から際だって聡明な子供だったコルネリアは、いつピエムスタ帝国の皇帝になっても困らぬよう、あらゆる将来の可能性を見越して教育されてきた。語学にも長けており、エツスタンの公用語であるエツスタン語も堪能だ。
コルネリアはエツスタンの元王子の配偶者として、これ以上ないほどの人材だった。だからこそ、セアム三世はコルネリアを選んだのだ。
「お父さまのご期待に添えるよう、尽力いたします」
コルネリアの了承を得て、セアム三世はゆっくりと頷くと、侍従を呼ぶ鈴を鳴らす。すぐに宰相たちがこの執務室に呼ばれ、コルネリアの縁談をまとめるよう指示がなされるだろう。
コルネリアは忙しい父の邪魔をしないよう、優雅に一礼すると部屋を去った。
皇帝の居城、リドス宮殿の庭園の木々は鮮やかな赤や黄金に色づいており、白亜の城壁とのコントラストが美しい。澄んだ空は高く、雲ひとつない。心地よい爽やかな秋風が、中庭の回廊を歩く第三皇女コルネリア・ラムベールの豊かな栗色の髪を揺らした。
――こんな時間にお父様の部屋に呼ばれるなんて珍しい。きっと、大事な話なのね。
王の居室のある中央棟に早足で歩を進めるコルネリアの顔は、かすかに緊張している。
それもそのはず、コルネリアを呼び出したのは、尊敬する父であり、ピエムスタ帝国の皇帝セアム三世だった。彼はここのところ、先の戦争の処理で多忙を極めており、家族ですら謁見するのは難しい。皇后である母ですら、顔を合わせない日々が続いていると零していたほどだ。
そんなセアム三世からの呼び出しなのだから、おそらく重要な要件があるのだろう。
回廊を抜け、中央棟の階段をあがったコルネリアは、すぐに皇帝の執務室の重厚な扉をノックした。すぐに侍従が扉を開け、コルネリアは中に通される。
古い本と葉巻の匂いがする執務室で、皇帝セアム三世は窓辺の椅子に腰掛けて腕を組んでいた。コルネリアと同じ栗色の髪には白いものがちらほら混じるものの、堂々とした体躯には皇帝としての威厳が漂う。
コルネリアは背筋を伸ばし、優雅に一礼する。
「この国の偉大なる太陽、皇帝陛下にご挨拶申し上げます。お呼びでしょうか、お父様」
「おお、来たか。儂の大事な娘、コルネリアよ」
セアム三世は部屋に入ってきた愛娘を笑顔で迎えたものの、その笑顔にはどこか陰りがあった。皇帝に相応しい、全てを照らす太陽のような笑顔を浮かべている父にしては珍しい表情だ。心なしか顔色も悪い。
「お父様、どうなされたのですか? お顔色が優れないようですが」
「お前は相変わらず、優しい娘だ。しかし、儂のことを案ずる必要はない」
一瞬寂しげに微笑んだセアム三世だったが、次の瞬間には威厳のある皇帝の顔になった。
「我が娘、コルネリアよ。エツスタン公爵リシャール・ラガウェンのもとへお前を嫁がせようと思う」
急に結婚を下命されたコルネリアは、薄緑色の目を大きく見開いた。
結婚を命じられること自体は、別に驚くべきことではない。コルネリアは十九歳。結婚適齢期が十代半ばであるこの国では、むしろ少々遅すぎる年だ。現にコルネリアの二人の姉は、十代半ばで結婚している。
それに、皇族の一員としてこの世に生を享けた以上、政略結婚を命じられる覚悟もできていた。
しかし、結婚相手がリシャール・ラガウェンとなれば話は別だ。
「エツスタンの元王子が、わたくしの結婚相手ですか……」
「すまない。お前には、非常に難しい立場に身を置いてもらうことになるだろう。可能であれば、避けたい選択ではあったが……」
セアム三世は深く皺が刻まれた眉間を揉む。
エツスタン公爵領といえば、先の戦争でピエムスタ帝国が支配して間もない、海と山脈に挟まれた北の領土であり、元はエツスタン王国と呼ばれていた地域である。
古代語で「長い冬の国」という意味を持つエツスタン王国に住む人々は、古代の神話に出てくるエルフの末裔とも言われており、独自の文化と精巧な工芸品で知られていた。エツスタン人たちは、細々と、しかし誇り高くその文化を守ってきたのである。
しかし、二年前に北方の海のはるか向こうにあるハンソニア王国とエツスタン王国の間で戦争が起こった。ハンソニアは、不凍港を持つエツスタンを足掛かりにしてソロアピアン大陸すべての覇権を握ろうと企んでいたのだ。
これを看過できないソロアピアン大陸最大の領土を持つピエムスタ帝国がエツスタン王国に加勢し、先の戦争は辛くもピエムスタ・エツスタン連合軍が勝利した。
しかし、先の戦争はエツスタンに深い傷跡をのこした。
戦場の舞台となったエツスタンの地は、目も当てられないほど荒廃した。ハンソニアの野蛮な騎士たちは田畑を踏み荒らし、街や村を燃やしつくしたのである。しかも、かなり徹底的に。
さらに悲劇的なことに、エツスタンは名君と誉れ高かった国王、ヨナソン王とその妻クラウディアを失ってしまった。
エツスタン王国の王族は、ヨナソン王の一人息子リシャールのみとなってしまったのである。リシャールは12歳。政を為すにはあまりに幼い。
そこで、当面の間、ピエムスタ帝国はエツスタン王国を支配下に置くと宣言した。リシャールは表向き、エツスタン公爵という地位を封爵され、エツスタン王国はエツスタン公爵領へとその呼び名を変えることとなった。
この措置はあくまで一時的なものであるとセアム三世は繰り返し宣言したが、それに納得するエツスタン人はほとんどいなかった。それどころか、「混乱に乗じて国を乗っ取った卑怯者」とピエムスタに強く反発する始末。
しかし、ピエムスタ帝国とて、荒廃したエツスタンを放置するわけにもいかない。エツスタン首都オルナにある不凍港がハンソニア王国の手中に落ちれば、次に狙われるのはピエムスタ帝国の広大な領土だ。目下、南の新興国であるラーク王国との関係に頭を悩ませているピエムスタ帝国にとって、ハンソニアのエツスタン支配だけは何としてでも避けねばならない。北からハンソニア、南からラークに挟まれてしまえば、ピエムスタはその覇権を大きく損ねてしまうことになるだろう。
セアム三世はコルネリアに難しい顔をした。
「リシャール・ラガウェンは、12歳。さすがに実権を渡すには若すぎる。一方で、ピエムスタ帝国から使者を派遣したとして、あの国は反発を強める一方だろう。そこで、お前にはリシャール・ラガウェンの配偶者となり、リシャールを補佐するという名目でよくあの領土を治めてほしいのだ」
「念のため確認しますが、お父様はエツスタン王国を永久に支配したいわけではないのですよね?」
コルネリアの質問に、セアム三世は白いものが混じりはじめた顎髭を撫でた。
「……あのエツスタンを支配できるとは思わない方がいい。そもそも、ピエムスタ帝国とエツスタン王国は歴史的に敵国同士時代の方が長い。先帝の時代は激しい戦を何度となく繰り返している。我が帝国がエツスタンを併呑したところで、いずれ道を違えるのは目に見えている。かような辺境の地であれば、派兵費も馬鹿にならん。それならば、共生の道を歩んだほうがピエムスタ、エツスタン両国の利益になろう」
エツスタンの民は、エツスタンの王族に対しての忠誠心が高いと言われている。ピエムスタ帝国の皇帝に従うくらいなら、誇り高く滅びの道を歩むだろう。だからこそ、やみくもに領地を拡げるより、共生によって得られる実利を優先したいとセアム三世は考えているらしい。
コルネリアは少しだけ俯き、じっと何かを考えた。艶のある髪が、さらさらと肩口からこぼれる。
「……ねえ、お父様。エツスタンの人々は、わたくしを歓迎しないでしょうね」
コルネリアの一言に、セアム三世は一瞬言葉を詰まらせ、暗い顔をした。
「その通りだ。あそこは色々難しい。……だからこそ、一生エツスタンに身を置けとは言わぬ。リシャールが成人する数年持ちこたえれば、それでいい。お前にはこれからしばらくの間、辛い思いをさせるだろうが、しばしこの国のためを思って耐えてくれ。リシャールが一人前になれば、すぐに破婚して帰ってくるように」
「はい、承知いたしました」
「お前にふさわしい夫を見つけようと結婚を引き延ばしてきたが、このような結果になってすまない。お前が帰ってきたあかつきには、お前にはなんでも望むものをやろう。そうだ、トレヴァスあたりの皇族直轄領をお前に渡してもいい」
「破婚した皇女に皇族領を譲渡した前例はなかったはずですが、よろしいのですか?」
「そこまでしなければ、これから先お前にのしかかる心労と釣り合いがとれぬだろう。……すまない。お前にはなんとしてでも幸せな結婚をしてもらいたかった」
皇帝は肺の全ての空気を吐き出すような、重いため息をつく。
「そんなに気に病まないでください。わたくしはきっと大丈夫です」
コルネリアはしっかりと頷いた。
セアム三世とその妻オリヴィアには、長い間男児に恵まれなかった。今でこそ皇位継承権第一位は第四皇子トビアスであるものの、そんな彼も生まれてしばらくは身体が弱く、典医から「成人まで生きられるかわからない」と言われていた時期もあったほどだ。
そこで、幼い頃から際だって聡明な子供だったコルネリアは、いつピエムスタ帝国の皇帝になっても困らぬよう、あらゆる将来の可能性を見越して教育されてきた。語学にも長けており、エツスタンの公用語であるエツスタン語も堪能だ。
コルネリアはエツスタンの元王子の配偶者として、これ以上ないほどの人材だった。だからこそ、セアム三世はコルネリアを選んだのだ。
「お父さまのご期待に添えるよう、尽力いたします」
コルネリアの了承を得て、セアム三世はゆっくりと頷くと、侍従を呼ぶ鈴を鳴らす。すぐに宰相たちがこの執務室に呼ばれ、コルネリアの縁談をまとめるよう指示がなされるだろう。
コルネリアは忙しい父の邪魔をしないよう、優雅に一礼すると部屋を去った。
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