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君がこの手に堕ちるまで。

嘘と予防線。3日目、夜。

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もう言い訳は出来ない状況に腹を括って、俺はソファーに颯太を組み敷いて正面から颯太の顔を見つめる。

顔を赤く染めた颯太は何をされるのかわからないようで目を閉じなくて、そのままキスしてもいいけど流石に躊躇してしまう。

「……出来れば目は閉じようか、颯太」

慌てて目を閉じてきゅっと唇に力を入れる颯太がこういう事に慣れてないんだと思うと可愛くて、汚してしまうようで罪悪感を感じた。

まだ出会ってから数日しか経ってないのに、ずっと前から好きだったみたいな錯覚に陥るほど、颯太への気持ちが大きく膨らんでしまった。

好きになってはいけない理由ならたくさん思いつくのに、もう手放せない程颯太が大切なんだと自覚する。

前の恋人が俺から去った時、あんなにもう誰も好きになれないと思ったのに。

好きだとも告白してないし付き合ってとも言ってないし、キスより先に手を出したし、何より多分颯太は自白しないけど18歳未満だろうという確信があるからこそ、ここで踏みとどまらなくちゃいけない。

嘘をついてるし、ゲイだってカミングアウトしてないし、順番がまるで違うのもわかっていたけど、颯太が俺を拒まないでいてくれる事が予想外に嬉しくて止められなくなった。

颯太の唇を開かせて舌をねじ込むと戸惑ったように身体を強張らせたのに、少しずつ応えてくれて可愛い声が漏れる。

段々息が上がって苦しそうにしてるけど下半身に当たる颯太の性器がだんだん固くなっていくのが感じられてますます止まらなかった。

「遼介さん…、んっ、あの、待って……くるし…」

苦しがるから唇を離して、颯太の両手を掴んで指を絡ませて首筋にキスをした。

「あっ…はぁっ、俺、遼介さんに…聞きたい事が…」

「……聞きたい事いっぱいあるだろうけど、少しだけ待てるか…?」

精一杯理性を保ってるつもりだけど正直ヤバい。

颯太の着ているスウェットの裾から手を入れて脇腹を弄りながら、もう一度颯太の唇を塞ぐ。

「……待って…っ!今日、俺……あっ、お風呂まだ…借りてな…」

触って欲しいと言ったのは颯太の方からだけど、やっぱりいっぱいいっぱいなのはわかってるから理性を総動員して耳元で聞いた。

「……本当の歳、ちゃんと言え。じゃないと止められない」

「えっやだ……そしたら、遼介さんやめちゃうんでしょ?」

「お前、待てって言ったりやめるなって言ったりどっちなんだよ」

キスだけで身体に力が入らなくなってしまった颯太は、観念したように目を閉じた。

「………ごめんなさい、17です…」

やっぱり高校生か…ってわかってたけど落胆して、触るのを止めて颯太を離した。

「頭冷やしてくるから、ちょっと待ってて」

「え?りょ、遼介さん……?」

このままじゃ嫌がっても抱いてしまいそうで、ベランダに出て煙草を咥える。

部屋をチラッと見ると、颯太がスウェットの裾を直してソファーに不自然に座り直してる所だった。

股間を気にしてるようだけど、今日は手伝ってあげられそうにないんだ、ごめんな。

さあ、これからどうするか、寒空の下俺は綺麗な星空を見上げてため息をついた。







「……え?本当に彼女いないんですか?」

「嘘をついたのは悪いと思ってる。ごめんな」

颯太がちゃんと本当の歳を言ったから、俺は彼女がいるっていうのは嘘だって事だけは伝える。

「なんでそんな嘘ついたんですか?俺…めっちゃ気にしてたのに」

「手を出さないように、予防線を張った…」

「……え?ちょっと何言ってるかわかんないんですけど…」

颯太は眉間に皺を寄せて一生懸命頭を整理しているようだ。

「……だって、手、出してますよね?遼介さん」

「うん。でもそれはお前が可愛過ぎるからだからな。不可抗力なんだ」

どこかの犯罪者が言いそうな台詞が口から出て、颯太は脱力してため息をつく。

「そのため息はどんな意味なんだ?」

「いや、そんなの安心したからに決まってるじゃないですか…」

少し困った顔をして笑った颯太は、俺の手を握って肩にもたれかかる。

「晶さんが言ってた通りで良かった……」

ん?今なんて言った?

「は?待て。もしかして…あいつ今日来たんじゃないだろうな?」

しまったっていう顔をして黙った颯太に、嫌な予感がして部屋を見渡して見慣れないレジ袋を発見する。

颯太を引き剥がしてそれを拾い上げた俺は、中身が晶に貸してたBlu-rayなのを確認した。

「遼介さん、妹さんいるなんて言わなかったですよね?だから晶さん来た時、俺ほんっとに彼女だと思って…」

「颯太、晶……どんな服着てた?」

「はい?いや私服ですよ?普通の…セーターに、長いスカート…」

「颯太、俺は兄弟は弟しかいない」

「え?だって、じゃああの人、誰なんです?」

「弟だ。5つ下の…名前はそのままだけど、別にニューハーフとかじゃなくて、その…」

声も出せなくなった颯太に引かれたようで俺は焦って言い訳する。

「晶はその…変わってるとこあって、女装が趣味で。いつもってわけじゃなくて、普通の格好してる時は中身も男なんだけど、女装する時は…喋り方も女になる…んだ」

完全にフリーズした颯太の頭を撫ぜながら、自分が男が好きだと言う前に弟の女装癖がバレるなんて悪夢だと思った。





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