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君がこの手に堕ちるまで。
夢の中。3日目、明け方。※
しおりを挟む閲覧注意。夢の中の遼介sideです。
羊を数えたのは何匹目までだったかって?
軽く四桁は数えたんじゃないかと思うけど。
やり慣れない事をやったからいつの間にか数字が戻ってたりして本当の数は定かじゃないが、とにかく煩悩を吹き飛ばそうと頑張って延々と数えてみた。
例えば修学旅行や宿泊研修とかで、男友達と一緒の部屋で寝たり大浴場に入ったりとか。
そういう事がとにかく思い出したくない辛くて恥ずかしくて負担だった記憶で、急に鮮明に思い出された。
そんな普通で当たり前の事がどんなに俺には難しかったか、人にはわからないだろうな。
男同士で風呂に入る事は、俺にとって異性と入るのと同じ感覚だったからだ。
小一時間くらいかかって、やっとの思いで微睡んだのに。
背中に触れた熱で目が覚めて、颯太が俺に触ってるんだと理解した。
遠慮気味に俺のお腹に回してスウェットを握る小さい手に、人の気も知らないでという憤りと、振り返って抱きつきたい気持ちがごちゃ混ぜになって目を瞑った。
スウェットに顔を埋めてる感触に、風呂は入ったけど匂わないだろうかとか、煙草臭くないだろうかと勝手に心配した。
でも、そんなちょっとしたスキンシップはすぐに終わって、元来甘えん坊な所があるだろう末っ子気質の颯太は名残惜しそうに離れて行った。
俺がゲイじゃなかったら、きっと邪心なく抱きしめて甘えさせてあげられたのにって心の中で謝った。
颯太のため息が聞こえて気づかれないように振り返ったら壁側の方を向いていて、一緒のベットに寝てても背中合わせな事を申し訳なく思った。
それからしばらく経って、俺も颯太も少し寝入っていたと思う。
………なんか寒い…?
肌寒さに颯太と一緒に寝ていた事を忘れて寝返りを打つと、布団は見事に颯太にほぼ取られていて自分を寝汚いと言った台詞に納得がいった。
客用の掛け布団を持って来ようと起き上がって、颯太が大きくベットからはみ出して今にも落ちそうなのがわかって笑いを堪えた。
「……ったく、落ちるだろ…」
後ろから腕をお腹に回して引っ張りあげて、端じゃやっぱり危ないから真ん中の方に引き寄せて、ついでに悪戯程度に髪に唇を寄せてキスをした。
颯太はやっぱり基本的に顔がものすごく好みなんだけど、それより表情や仕草や喋り方がすごく可愛らしくてずっと話していたいと思わせる。
「んー、兄ちゃん…?さむ…。布団取るなよぉ…」
俺はお前の兄ちゃんじゃないぞ?
仲良く一緒の布団で寝たりするなんて随分仲良しなんだな。
俺と弟だって仲良い方だと思うけど一緒に寝たりはしないし、ベットは譲ってやっぱり俺はソファーで寝るんだ。
だからそんなに気にしなくていいのに。
ここで2人で寝る方がよっぽど俺にとって疲れる事なんだって言ったら、きっと傷つけてしまうんだろうな。
俺の手を掴んで離さない温かい人肌のぬくもりと、ボディソープの匂いと少しだけ汗の匂いが混じるとたまらなくいい匂いに思えて、ダメだと思いながらも欲情して首筋に吸い付いた。
…もちろんまずいと警告音は頭の中で鳴り響いてたし、すぐに止めるつもりだった。
「颯太、起きるなよ……」
それでも衝動が抑えきれずに耳元でそう小さな声で囁くと颯太の身体が少し震えて、起きないでくれと念じながらスウェットの下から手を入れた。
吸い付くような滑らかな触り心地に一瞬で我慢してた何かが弾けた音がして、熱が集中して固くなった性器を我慢出来ずに颯太の尻に押し当てた。
首筋にゆっくり唇を押し当てて舌を這わせると、颯太から聞いた事のない可愛い声が漏れて、興奮してたまらなくて胸の突起に手を伸ばして弾いた。
こんな風になってしまうのがわかっていたから近くに寄れなかったのに、簡単に俺の中に踏み込んで来る颯太をめちゃくちゃに抱き潰したい衝動を何とか抑える。
耐えるように小さく漏れる声と、颯太が足を擦り合わせて手の指がそこに触りたそうに動いているのも完全に頭がおかしくなってる俺を更に煽った。
寝てても感じてくれてるのかと逃げる身体を抱き締めて下半身に手を伸ばすと、そこは俺が思ってたよりもずっと張り詰めていたから。
同意なくする行為じゃないのは頭の中でわかっていても、反応してくれてる颯太の性器を直接触って吐き出させてあげたい衝動を我慢出来なかった。
止まらない俺の手は颯太の下着の中を弄って上下に挫き始めて、興奮して俺の固くなったモノを押し当てて揺らす。
正直に言ってあまりの気持ち良さに動く腰が止まらなくて、まるで思春期の頃に戻ったみたいに夢中になっていた。
「はぁっ、颯太、出せ」
起きてるような気はしてたし嫌なら嫌だと颯太はちゃんと言えるはずだ。
それでも声を殺して我慢してくれて、俺を完全に拒絶しない理由を知りたい。
「ずっとしてなかったんだろ…?大丈夫だから」
息を荒くしていつの間にか自分の口を必死に抑えてる颯太が乱れてる姿に溺れた。
「………っんんーーーッ!」
何度も痙攣して吐き出される精液の感触に、颯太の耳の後ろに吸い付いて跡を残した。
ここなら颯太からは見えないとわかっててわざと跡を残した自分のずるさに呆れた。
「はぁっ…はぁ、あ…」
意識が飛んだ颯太は肩で息をしていたけど、急にぐったりとして動かなくなって、俺は颯太の耳元で囁いた。
「……可愛い過ぎるから止まらなかった。ごめんな」
意識のない颯太の顔を覗き込むと頰が赤く染まって、いつものあどけなさにはない色気のある表情に思わず唇を塞ぎたくなったけど、おでこに唇を押し当てて俺はそのまましばらく動けなかった。
このまま一緒にベットで寝たら、嫌がっても颯太を傷つける事を無理矢理にでもしてしまいそうで怖くなる。
颯太の下着を取り替えて後始末をして、俺はやっぱりそこにいられなくてソファーに移動する。
自分でした事なのに後悔の気持ちが押し寄せて来てそのまま明け方まで全く眠れなかった。
せっかく俺なんかに思ったよりずっと懐いてくれたのに…もう嫌われてしまっても自業自得だと思った。
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