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エレベーターに閉じ込められたその後で。

新しい朝に何を思いますか?(拓海くんの場合)

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ふと目を開けると、いつもより陽の光が眩しいような気がして思わずまた目を閉じた。

俺の部屋のカーテンは遮光カーテンだから朝になってもかなり暗いはずで、明るい方に目をやると見覚えのない明るめの青いカーテンの模様が目に入った。

隣に寝てたはずの陸がベットの端で若干落ちそうになりながら眠ってる。

慌てて陸の身体が落ちないように真ん中の方に引き寄せると、軽いからすんなり俺の腕の中に収まった。

昨日のエレベーターに閉じ込められた出来事や、その後このベットの上で俺達が何をしたのかを瞬時に思い出す。

後ろから抱きしめて陸の髪に顔を埋めて昨日覚えた陸の匂いを吸い込んだら、俺と同じシャンプーの匂いがした。

「……成瀬、鼻息荒いんだけど」

「あれ?起きた?」

しまった。甘い朝を想像してたのにうっかり変態臭い事をして陸が引いてしまった。

こっちを向いた陸を正面から抱きしめようとすると思いっきり胸を押された。

「そんな爽やかな顔しても騙されないからな…。嘘つき…」

「んー?俺のどこが」

「優しくするって言ったじゃん!!」

やばい。完全にやり過ぎたような気はしてた。
ゆっくり優しくしてあげようと思ってたのに。

初めてで何もわからない陸を不安にさせないように。
熱のある陸の身体に負担をかけないように。

エレベーターに閉じ込められて疲れ切ってる陸をこれ以上疲れさせないように。

でも理想と現実は違って、すっかりのぼせ上がった俺は陸が気を失うまで抱きつくしてしまった。

こんな事初めてで自分でも信じられないけど、完全に俺の方が陸の身体に溺れたんだと思う。

今までしたセックスの中で大袈裟でもなんでもなく一番相性が良くて一番気持ちが良かった。

「成瀬のせいで全身痛い…」

「ごめん…でも言い訳してもいい?陸が可愛過ぎるから止まんなくてだな」

「言い訳は、嫌い」

時計はまだ9時を示している。
今日は学校は休みだし、朝方に寝たはずだからまだ全然睡眠時間は取れてないし、もう少し寝かせてあげたい。

「陸、まだ身体痛いならもう少し寝たらいい。後でゆっくり俺の事怒っていいから」

しっかり抱きしめて頭を優しく撫ぜると、今度は俺の首元に頭を擦り付けて猫みたいに甘えた。

「どの辺が痛い?身体」

「……腰。それ以外ないでしょ」

酷使した腰をゆっくりさすってあげると気持ち良さそうに目を閉じる。

陸が寝た後、裸で寝かせるわけにもいかず部屋着を着せてあげたんだけど、Tシャツ越しに抱き合うと腕だけでも素肌が触れてなんだか幸せな気持ちになる。

出来ればシャワーくらい入れてあげたかったけど、俺も服を着せた後倒れるように寝てしまって、こんなに疲れさせてしまうならやっぱり中出しはしなくてそこは正解だったと思った。

俺が中に出したものを掻き出す想像をすると、かなりムラッとするけど。

「ごめんな、無理させて」

「やだって言ったのにやめなかった…」

だって、本気で嫌がってるように見えなかったんだよ。腰動いてたしな。

これは言ったらもっと怒りそうなので言わなかった。

下から見上げて睨まれて、可愛くてつい笑うと陸は照れ臭そうに頬を染める。

「成瀬の笑ってる顔見てると、怒れなくなる…ほんと、タチ悪い…」

可愛過ぎて思わず顎を片手で持ち上げて唇を重ねると、嫌がらないで応えてくれた。

「……、んっ…ふ、なるせ…」

啄むような軽いキスなのに俺のTシャツの裾を握りしめて、陸は気持ち良さそうに声を漏らした。

「すごく気持ち良かった。陸の中」

「またそういう事ばっか…」

「陸は、痛くなかった?昨日」

「い…たくはなかった」

「じゃあ、気持ち良かった?」

「……………いや、初めてなのに気持ち良かったとか言ったら引かない?成瀬…」

気持ち良かったと素直に言えない陸の唇をまた塞いで、本気で寝かしつけようと背中をぽんぽんとすると、陸が笑う。

「成瀬ってさ…子供に好かれるでしょ」

「ん?そういや親戚の集まりでは子守押し付けられるんだよな。何でか知らねーけど」

「裏表がないし、レベルが一緒だからじゃ…」

「お、なんだ。馬鹿にしてんの?」

「ふふ、違うよ。褒めてんだよ…」

俺の胸に顔を埋めて陸は眠そうなあくびをひとつした。

「陸、俺まだここにいても大丈夫か?お父さんとお母さんっていつ帰ってくる?」

「あ、大丈夫…帰ってくるの明日の夜だから…」

眠そうな声に返事をしないで頭を撫ぜていたら、小さな声で呟いた。

「起きたら、俺が朝ご飯…いや、昼ご飯?作ってあげるからさ…」

「え?マジ?」

「ん。だからさ、一緒に食べようね…成瀬…」

眠りに入った陸が苦しくないように軽く抱きしめておでこにキスをして、俺も寝ようと目を閉じた。








「おい」

上から呼ぶ声に違和感を覚えて目を覚ましかけて、腕の中の陸を抱きしめる。

……今の陸の可愛い声じゃないよな?

「おい。起きろこの野郎。つーかお前誰だ?」

目を開ける前に首根っこを掴まれて布団の中から引きずり出される。

「…え?うわっ!!」

一気に目が覚めて床に叩き落とされてケツをしこたま打ってしまった。

「……やっぱ見た事ねぇ顔だな。お前誰だよ?」

いや、それは俺が聞きたいです。

「……わっ、そら兄!?なんでいんの!?」

陸のめちゃくちゃ嫌そうな声が部屋に響いて、俺は瞬時に全てを理解した。

ここに入って来れるなら陸のお兄さんしかいない。……でも恐ろしい程似てないけど。













お兄さんの名前はそらさんにしました。
伊藤 宙と伊藤 陸。はい、安易です(笑)
海は拓海くんと被るのでやめました。
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