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もりひろ

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癒しの天才

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 思えば、久しぶりの感触。相手から与えられる動きについていくのがやっとで、唇が離れたころには全身から力が抜けていた。
 かすかに煙草の味がした。いままでにないキスにも酔ったのかもしれない。
 喉奥から響く心音がせわしない。
 逢坂先生が舌なめずりをしている。それに釣られるように、僕は唇を舐めた。
 逢坂先生は首を斜めに倒すと、また顔を近づけてきた。今度は耳に唇を寄せる。僕の腰をなぞり、服の中まで進んできた。
 触れられているところにいちいち神経をやっていたら軽いパニックになる。
 僕の服を捲ろうとする左手を、一応の抵抗として掴むと、逢坂先生が右手を振り上げた。
 僕は思わず肩をすくめた。なにをされるんだろうと、逢坂先生の腕を見上げたら、なんてことはなく、ただシンクを掴んでいるだけだった。

「どうした」

 たぶん、怯えたような目になっていたんだと思う。
 逢坂先生は僕を見下ろし、訝しげな表情をした。

「あ、いえいえ」
「続き……してもいいんだろ?」
「あ、ええと」

 ちょっと間を置いてから、僕はこくんと首を落とした。
 逢坂先生は、僕の着ているセーターをインナーごとたくし上げ、舌先を伸ばした。
 やっぱり女の子と同じで、そこを舐められるんだ。される側というのはどんな気分になるんだろう。
 しかし、触れる手前で、先生は顔を上げた。
 身構えていた僕は、思わぬ行動に唇を噛む。こういうのが先生のテかと思い、つい睨むようにして目を上げた。

「ちょ、フェイント……」
「フェイントじゃねえ。あれ、ほら。敦士の存在忘れんなってこと。お前、感度よさげだから、デカい声あんま出すなって」
「え……あっ」

 僕の返事も待たず、言うだけ言って、逢坂先生は今度こそ口に含んだ。
 そうだ、根津先生が……という頭は、ぜんぶそっちに持っていかれた。
 周りを広く舐められたかと思うと、一点を刺激するように吸われる。歯も立てられ、もう片方は強くつねられた。
 漏れ出そうな声を歯噛みし、そうやって追い立てられる自分にも興奮した。まだ触れられていないというのに、あそこはもう膨らんでいる。
 僕はズボンを握りしめた。逢坂先生の膝が入っていて、太ももはちょっと浮いている。

「どうせ掴むんなら、こっち」

 ズボンから手を離され、逢坂先生の首元に乗せられた。
 言われるがままに服を掴んだとき、とうとう僕の中芯は、あの手に捉えられた。

「んう」

 さすがに声を抑えられない。
 僕のズボンの前を開かせた指が、残りの一枚を越えていく。
 隙間から漏れ出るこの声をすくうように逢坂先生はキスをして、手の動きを止めた。しかし、僕が息をつく間もなく、先端の窪みを親指の腹でノックしてきた。

「お前さ……量、多いな」

 そんなことはないと首を横に振った。
 逢坂先生の服をさらに握り込んで、固く目をつむる。

「やべえな。どこもかしこも天然かよ」

 息の一つも乱さず、バカにするようなニュアンスも含めて言う。
 僕はちょっとカチンとなって、その懐へ潜り込まんと前傾姿勢をとった。なんとか手を伸ばす。
 僕だって……やるときはやる。
 すると、ぼくが額をくっつけていた肩がぴくっと反応した。
 ジーンズ越しではあるけれど、手のひらに硬いものが当たる。
 僕が取り出す前に、先生自ら、ボタンとジッパーを開いて、それを掴んできた。
 自分のもの以外に触るのはもちろん初めてだ。
 嫌悪感なくキスができる相手であっても、それを目の当たりにしたら、さすがに気持ち悪くなって、僕自身も萎えてしまうんじゃないか。そんな懸念もあったけれど、むしろ興奮は増していた。
 逢坂先生のも上を向き始めていて、僕と同じ状態であるとわかったから。膨張し、筋立ってもいる。
 唇を噛みしめ直し、僕は、鼻から喘ぎを逃がすようにして、逢坂先生のを両手で扱いた。
 僕がいきそうになると、逢坂先生は、寸止めがいいんだと言って、根元を握りしめてきた。
 い、痛いっ。
 中途半端なところで頂点を逃す。けれども、腰に渦巻く快感は溜まる一方。
 逢坂先生は僕のを握りしめたまま、反対の手を自分のに添える。僕の手ごと掴んで、もっとだというように動かした。
 逢坂先生が噛みつくようなキスをした。
 なにがなんだかわからないくらい僕は興奮して、腰を揺らした。熱い、二重の息遣いが行き交う中、お願いしますと、懇願もした。

「たまらんな……」

 逢坂先生がようやく僕をいかせる。僕が吐き出したものを、まるで味わうかのように指先をこすり合わせている。
 少し手こずったけれど、先生のもなんとか抜くことができた。
 
「久々、すげえ興奮した……。そんで、お前のイき顔な。ありえんくらいヤバい」

 触れたら火傷しそうなため息を、先生は吐いた。
 視線を合わせられる。
 はっきりとした欲が宿る目をしても、逢坂先生はイケメンだった。
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