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第二章 起源
第二章 起源(朝)
しおりを挟む毎朝セットしている目覚ましが鳴る。
今日は休みなのだが、昨日アラームのスイッチを切るのを忘れていた。
……そうだ、昨日眠気に勝てず制服のまま寝てしまった。
通知を知らせる携帯の点滅ライトがチカチカしてる。
そういえば昨日寝る前に姫依に返事を返したのを思い出して、携帯を開いてみた。
3件、メールが来てる。
1件はインフォメーション、2件は姫依からだった。
『いつもの駅にする?あ、でも新しく出来たアイスクリーム屋さんにも行きたいな!反対方向だけどどうしよっか?』
『夢姫ー?寝たのかな?とりあえず明日10時に駅にいるねー』
最初のメールが7時半くらい。
次のメールが11時。
……寝てた、こっちの世界の私は爆睡だった。
とりあえず、「ごめん完璧に寝てた、駅ね了解!」と返信する。
時計を見ると7時。
アラームの音で起きたので学校のある日と変わらない時間に起きてしまった。いつもの休日のスタートは早くて8時……遅くて昼くらいに目が覚める。
ふと、夢のことを思い出した。
思い……出し……
「……何も覚えてない」
なんとなく、ぼやけた感じでは脳裏に残っている。
ただ昨日の朝みたいな感じではなくて、今日夢なんて見てたっけ?くらい全く覚えてない。
あの夢を見るのは正直怖い。
でもこうやって思い出せずにいるとなんだかモヤモヤする……
「……お腹空いた」
自分のお腹の音で思い出す。
そういえば昨日の夜から何も食べてなかった……
部屋着に着替えて、リビングに行くと母親が朝ごはんの支度を終えて会社に行く準備をしていた。
父はもう出掛けたのか、姿が見当たらなかった。
「おはよ」
「あら、おはよう 昨日ぐっすりだったわね」
母は作ってあった夕飯を食べていなかったから様子を見に部屋に来ていたらしい。
「でも、制服シワシワになるからせめて脱いでね」と言われ夢姫は小さくなって頷いた。
『────次のニュースです。』
用意してくれていた朝食をもそもそと食べながらテレビを見る。
まだ、朝のニュース真っ最中らしい。
土曜だというのに、社会人のほとんどの人が仕事。
この人たちはいつ休んでいるのだろう?
『今日未明、○○市のマンションの1室で……』
「夢姫、今日も遅くなるかもしれないから夕飯置いておくね」
「…あ、うん。毎日ご苦労さま」
行ってきます、と母は家を出ていった。
見送った後に視線をテレビに返すと先ほどのニュースは終わってしまっていた。
通販のながーいCMになってしまったので
リモコンでチャンネルを切り替える。
朝のちょこっとドラマをやっているところがあった。
『あ……私これ夢でも見た』
『なんだと?!じゃあ、この後はどうなるんだ』
『この後は……』
……途中から見てもよくわからなそう。事件ものかな?
番組表を見ると、「予知夢少女」連続ドラマの再放送らしい。
『この後は……えっと、掛け時計の鳩が』
テレビのメニューを閉じると、予知夢少女と呼ばれているらしい主人公の女の子がノートを開いている。
どうやら見た夢を忘れないように記録しているらしい。
「……ノートか」
今、自分が見ている夢も日記みたいにつければ何か変わるだろうか?
恐らく、現実世界の夢姫は
夢の世界の夢姫が帰って来るまで
あの夢を見続けるだろうから、
起きて、忘れて1日モヤモヤするよりノートにまとめておけば少しは気が楽かもしれない。
それに、姫依にも夢の始まりをほんの少しだけ伝えている
多分、これから見続けるとなると夢依にも話すだろう。
珍しいもの好きな2人なので「今日はどんなんじ?」とか聞かれる日が来ると思うのと、
今後その夢について相談にのってもらったりすることもあるだろうから。
時計を見るとまだ8時前。
今から準備をして、家から待ち合わせの駅の中間にある病院
夢依の所に寄っても約束の時間には充分間に合うので、お見舞いをしてから待ち合わせ場所に向かうことにした。
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