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終章

攻撃

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「じゃあ行きますよっと」
 エンリルの支援で気を良くしたサトシは以前の軽薄さを取り戻す。
 その声に天使は怪訝な表情でサトシに視線を移すが、その刹那、天使の胴に何やら禍々しいデザインのベルトが現れた。

 すると天使は上空から自由落下し地面に尻もちをつく。
「な!?」
 天使は驚きの声を上げると虚空を見つめながら眉間にしわを寄せる。

 その隙にルークスは眼前には天命の書板を確認する。そこには天使のステータスが映し出されていた。

「アズラーイール 職業:管理者 LV:4095 HP:16,777,214/16,777,215 MP:4,294,967,295/4,294,967,295 MPPS:4,294,967,295 STR:65,535 ATK:65,535 VIT:65,535 INT:65,535 DEF:16,777,214 RES:16,777,214 AGI:16,777,214 LUK:16,777,214 スキル:絶対防御(アブソリュートディフェンス)「極」無効 絶対干渉(アブソリュートインターフィアー)「極」無効 無効化(ヴォイド)「極」無効 ・・・・」

 そして、サトシが創りだした禍々しいベルトには「業(カルマ)のベルト 付与スキル:全能の逆説」と表示されている。

「なるほどね」
 ルークスは納得の表情で天使へ杖を向け魔法陣を展開すると、眼前に浮かぶウィンドウに記載された呪文を詠唱しながらあらん限りの魔力をぶつける。

「冥府の守護者たるジャヤガンテよ、我は御身に魂を捧ぐ者なり……」

 アズラーイールはやおら立ち上がり、衣についた砂埃を払いながら呪文を詠唱するルークスを見て嘲笑する。

「いい歳をして何を遊んでいるんですか?呪文ですか?ごっこ遊びも大概に……」

「……御力を賜りてまつろわぬ者どもを焼き払わん。|地獄の業火(インフェルノ)!」

 語りかける天使の言葉をかき消すように、魔法陣から灼熱の炎が噴き出し天使を襲う。

「熱っ!?」
 アズラーイールが驚きと痛みの声を上げると、すかさずサトシもその炎の中に踏み込みアズラーイールに斬りかかる。

「次元斬!」
 
「ぐっ!」
 再びアズラーイールがうめき声を上げながら後ろへ吹き飛ぶ。
 
 サトシが2撃目を放とうと踏み込むが、アズラーイールは踏み込むサトシの懐へと飛び込み肘打ちをお見舞いする。

「ぐは!?」
 サトシは鳩尾に一撃を喰らい、大きく後ろへと吹き飛んだ。

 
 アズラーイールはその勢いのまま炎の外に飛び出すと、ルークスを視線で制する。

 ルークスは、アズラーイールの挙動に注意を払いながら、天命の書板に映し出される呪文と魔法陣から効果の大きそうなものを必死で探していた。目の前にはエンリルによって提案された戦闘計画が3つ映し出されている。
 
 デバフによるアズラーイールの防御力低下
 バフによる自分たちの俊敏性の向上
 短勁によるアズラーイールに対する直接物理攻撃

 ルークスはバフによるヘイストを選択する。

 ルークスとサトシ、アズラーイールのはるか向こうでカールを蘇生しているフリードリヒの足元に魔法陣が広がりヘイストが掛かる。


「なるほど。これが『神経節接続ユニット』の効果ですか。熱や痛みまで感じるとは……確かに衛生局が民間利用の許可を出さなかった訳ですね。
 それに私のスキルも無効化されているというわけですか。
 さて、どうしたものでしょうね」

 アズラーイールは自らの手足を眺めながら一人ごちる。
 そして、何かを探るように虚空を見つめると、にやりと広角を上げる。

「なら、こんなのはどうですか?神罰発動」

 すると、幾度となく聞いた嫌なアナウンスがルークスたちの頭に響き渡る。

「管理者権限による発動指示を確認しました。これより神罰による粛清を開始します」
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