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魔王の譚
書き換える男
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結果としてルークスが情報を得られるなら大きな問題は無い。ちょっとめんどくさくはあるが……
少なくともルークスは俺に対して隠し事が出来ない状態になっている。
まあ、そんなことを本人に伝える必要もないし、言えば余計に「魔王だ!」と騒ぎ立てるだけだしな。
ありがたく利用させてもらおう。
理由はどうあれ、ユーザーによって天命の書板から得られる情報に違いがあることは判った。
今はそれがわかっただけでも良しとしておくか。
「それじゃ、セ〇ィロス復活させるか」
「どうやるんだ?」
ルークスは興味津々の様子で俺に聞いてくる。
「まあ、どうもこうも、さっき言ったとおりだよ。死亡フラグを上書きするだけだ」
「なるほどね。で、どこにある?その死亡フラグ」
「お前の見方だとそこまでは確認できないだろうな。俺と同じ見方にしないと」
ルークスたちが普段確認しているステータスでは表示項目が少なすぎる。俺に見えている能力値ならある程度の所までは弄ることが出来る。
ちなみに、さっきの死亡「フラグ」と言うのはプログラミング用語だ。条件が揃ったところで、特定の変数に数値を代入する。これの事を「旗(フラグ)が立った」という。「条件が整った」合図って事だな。今回は本当の意味で「死亡フラグ」が立っているのでセ〇ィロスは死んでいるということだ。
別に、「この戦争が終わったら田舎に待たせてる彼女と結婚しようと決めた」とか、「ゾンビの群れから逃げ延びて『ここまでくれば大丈夫だろう』と口走った」という訳ではない。
「あ~。なるほどね。こうするとコードらしきものが見えるね。確かに」
ルークスは天命の書板とセ〇ィロスを交互に見ながら一人ごちる。
「ん?どういうことだ?」
俺も天命の書板を覗き込んでみる。すると
『人々の天命は周囲を巡る光により決定される。光は時に文字となり、その者の精神を表す鏡となる……』
などと、訳の分からないことが書かれている。めんどくせえな。
「で、お前から見るとなんて書いてあるんだ?」
どうやらまた表示がおかしくなっている様だ。ルークスに確認するしかないだろう。
「あ、また変な表示になってる?なんだろうね」
「何だろうね?じゃねぇよ。良いから教えろ!」
流石に俺もこいつの緊張感の無さにはイライラしてきた。
「まあそうカッカしなさんな。今読み上げますよ~。え~と。
『NPCのステータス確認には「パラメータ表示」「光学可視化表示」「詳細表示」の3種類が用意されている。パラメータ表示は能力数値のみの簡易表示となる。光学可視化表示および詳細表示はキャラクター固有値の変更も可能となるが、光学可視化表示の場合変更できる固有値が制限される。光学可視化表示の場合は「ステータス」コマンドの後ろに「-L」オプションを付与する。詳細表示は「-all」オプションを付与することで対応可能』
だってさ」
「は?何言ってんの?」
「いやいや。そのまんまだよ。書いてあることそのまま読んだだけだって」
「お前マジで言ってんのか?」
そこまでか。いや。確かにこの世界がゲームであることは理解したが……
論より証拠だ。まずはやってみよう。
「ステータス -all」
言っててばかばかしいな……などと考えながら口にすると、今までセ〇ィロスの周囲に漂っていた光の粒や文字が一斉に動き出す。そして、目の前には整然と並ぶ「コード」が現れた。これは完全にプログラムだ。
「これは……」
表示されたコードに俺は言葉を失った。するとルークスがそのコードを読みながら呟く
「Pythonっぽいな」
確かに、俺もPythonは転生前よく使ってた。基本はC言語やJavaを使うことが多かったが、AI関連はPythonの方がコードを書き易かったこともあり馴染みがある。
「なるほどね。本当にゲームって事だな」
「だから、そう言ってるじゃないか。まあ、俺も本当かどうかわからなくなる時はあるけど……」
ルークスはそう言いながらセ〇ィロスの前に浮かぶコードを目で追う。
「そう言えば、お前なんだか特殊なログイン方法でダイブしてるって言ってたな」
「ああ、神経節接続な」
「なんだ?それ。なんとなく想像はつくけどよ」
なんだか違法な香りがプンプンする接続方法だが、大丈夫なんだろうか?
「まあ、あんたの想像通りだと思うよ。後頭部……というか、うなじ辺りにある神経節に直接センサーを差し込むんだよ。だから現実と区別がつかないほどだ。五感に直接入力されるからな」
「そんなもん良く国の認可が下りたな」
「実際まだ下りて無いんじゃないかな。実験用として限定使用が認められてるだけだ。実際は臨床試験の|第三相試験(フェーズ3)だったと思うぜ」
「大丈夫なのか?それ」
「大丈夫なんじゃない?たぶん。だめだとしても今更だよね」
おいおい、こいつホントに大丈夫か?一応教育者でもあるんだろ?コンプラ的にNGじゃないか?
まあ、俺が心配する事でもないか。
「にしても、これ便利だな。後は天命の書板が正しく読めれば言うことないんだけどな」
「読めない理由ねぇ」
ルークスはそう言いながら腕を組み考え始めた。まあ、そこを考えても仕方ない。俺はルークスの事を放っておくことにした。まずはセ〇ィロスからだ。
セ〇ィロスの死亡フラグを上書きし、そのほかのパラメータについても確認する。どうやら能力値に関してはカルロスのパラメータで上書きされているらしい。奴のしっぽを掴んだな。思わぬ収穫だ。
カルロスの能力値は思いのほか高い。スキルも厄介な物ばかりだ。「人心掌握」「まねっこ」「ひったくり(スナッチャー)」
特に「ひったくり(スナッチャー)」は気を付けないとな。抜かりが多そうなカールやサトシが狙われると一気にこちらが不利になる。
「なあ」
ルークスが緊張感のない声で話しかける。なんでこいつは、俺が真剣に悩んでいるときに限って思考を邪魔するトーンで来るかなぁ……
「あんたが天命の書板で読めない内容って、権限が無いからなんじゃない?」
少なくともルークスは俺に対して隠し事が出来ない状態になっている。
まあ、そんなことを本人に伝える必要もないし、言えば余計に「魔王だ!」と騒ぎ立てるだけだしな。
ありがたく利用させてもらおう。
理由はどうあれ、ユーザーによって天命の書板から得られる情報に違いがあることは判った。
今はそれがわかっただけでも良しとしておくか。
「それじゃ、セ〇ィロス復活させるか」
「どうやるんだ?」
ルークスは興味津々の様子で俺に聞いてくる。
「まあ、どうもこうも、さっき言ったとおりだよ。死亡フラグを上書きするだけだ」
「なるほどね。で、どこにある?その死亡フラグ」
「お前の見方だとそこまでは確認できないだろうな。俺と同じ見方にしないと」
ルークスたちが普段確認しているステータスでは表示項目が少なすぎる。俺に見えている能力値ならある程度の所までは弄ることが出来る。
ちなみに、さっきの死亡「フラグ」と言うのはプログラミング用語だ。条件が揃ったところで、特定の変数に数値を代入する。これの事を「旗(フラグ)が立った」という。「条件が整った」合図って事だな。今回は本当の意味で「死亡フラグ」が立っているのでセ〇ィロスは死んでいるということだ。
別に、「この戦争が終わったら田舎に待たせてる彼女と結婚しようと決めた」とか、「ゾンビの群れから逃げ延びて『ここまでくれば大丈夫だろう』と口走った」という訳ではない。
「あ~。なるほどね。こうするとコードらしきものが見えるね。確かに」
ルークスは天命の書板とセ〇ィロスを交互に見ながら一人ごちる。
「ん?どういうことだ?」
俺も天命の書板を覗き込んでみる。すると
『人々の天命は周囲を巡る光により決定される。光は時に文字となり、その者の精神を表す鏡となる……』
などと、訳の分からないことが書かれている。めんどくせえな。
「で、お前から見るとなんて書いてあるんだ?」
どうやらまた表示がおかしくなっている様だ。ルークスに確認するしかないだろう。
「あ、また変な表示になってる?なんだろうね」
「何だろうね?じゃねぇよ。良いから教えろ!」
流石に俺もこいつの緊張感の無さにはイライラしてきた。
「まあそうカッカしなさんな。今読み上げますよ~。え~と。
『NPCのステータス確認には「パラメータ表示」「光学可視化表示」「詳細表示」の3種類が用意されている。パラメータ表示は能力数値のみの簡易表示となる。光学可視化表示および詳細表示はキャラクター固有値の変更も可能となるが、光学可視化表示の場合変更できる固有値が制限される。光学可視化表示の場合は「ステータス」コマンドの後ろに「-L」オプションを付与する。詳細表示は「-all」オプションを付与することで対応可能』
だってさ」
「は?何言ってんの?」
「いやいや。そのまんまだよ。書いてあることそのまま読んだだけだって」
「お前マジで言ってんのか?」
そこまでか。いや。確かにこの世界がゲームであることは理解したが……
論より証拠だ。まずはやってみよう。
「ステータス -all」
言っててばかばかしいな……などと考えながら口にすると、今までセ〇ィロスの周囲に漂っていた光の粒や文字が一斉に動き出す。そして、目の前には整然と並ぶ「コード」が現れた。これは完全にプログラムだ。
「これは……」
表示されたコードに俺は言葉を失った。するとルークスがそのコードを読みながら呟く
「Pythonっぽいな」
確かに、俺もPythonは転生前よく使ってた。基本はC言語やJavaを使うことが多かったが、AI関連はPythonの方がコードを書き易かったこともあり馴染みがある。
「なるほどね。本当にゲームって事だな」
「だから、そう言ってるじゃないか。まあ、俺も本当かどうかわからなくなる時はあるけど……」
ルークスはそう言いながらセ〇ィロスの前に浮かぶコードを目で追う。
「そう言えば、お前なんだか特殊なログイン方法でダイブしてるって言ってたな」
「ああ、神経節接続な」
「なんだ?それ。なんとなく想像はつくけどよ」
なんだか違法な香りがプンプンする接続方法だが、大丈夫なんだろうか?
「まあ、あんたの想像通りだと思うよ。後頭部……というか、うなじ辺りにある神経節に直接センサーを差し込むんだよ。だから現実と区別がつかないほどだ。五感に直接入力されるからな」
「そんなもん良く国の認可が下りたな」
「実際まだ下りて無いんじゃないかな。実験用として限定使用が認められてるだけだ。実際は臨床試験の|第三相試験(フェーズ3)だったと思うぜ」
「大丈夫なのか?それ」
「大丈夫なんじゃない?たぶん。だめだとしても今更だよね」
おいおい、こいつホントに大丈夫か?一応教育者でもあるんだろ?コンプラ的にNGじゃないか?
まあ、俺が心配する事でもないか。
「にしても、これ便利だな。後は天命の書板が正しく読めれば言うことないんだけどな」
「読めない理由ねぇ」
ルークスはそう言いながら腕を組み考え始めた。まあ、そこを考えても仕方ない。俺はルークスの事を放っておくことにした。まずはセ〇ィロスからだ。
セ〇ィロスの死亡フラグを上書きし、そのほかのパラメータについても確認する。どうやら能力値に関してはカルロスのパラメータで上書きされているらしい。奴のしっぽを掴んだな。思わぬ収穫だ。
カルロスの能力値は思いのほか高い。スキルも厄介な物ばかりだ。「人心掌握」「まねっこ」「ひったくり(スナッチャー)」
特に「ひったくり(スナッチャー)」は気を付けないとな。抜かりが多そうなカールやサトシが狙われると一気にこちらが不利になる。
「なあ」
ルークスが緊張感のない声で話しかける。なんでこいつは、俺が真剣に悩んでいるときに限って思考を邪魔するトーンで来るかなぁ……
「あんたが天命の書板で読めない内容って、権限が無いからなんじゃない?」
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