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生方蒼甫の譚
類は友を呼ぶ
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サトシは「展開」したゴーレム球(ゴーレムが入った超合金のケース)を地面に置くと、周囲の超合金で出来た殻を消し去る。
中からは、1匹のゴーレムが現れる。が、すぐさまサトシの斬撃により切り刻まれた。
20cm角ほどの大きさに切り刻まれたゴーレムの欠片をサトシは造作も無く蹴り飛ばしながら辺りにばら撒いている。
ひとしきり周囲にゴーレムの欠片をばらまくと一息ついてしばらく待つ。ゴーレム復活まで休憩だ。ぼんやりゴーレムの欠片を見ていると、もぞもぞと成長してゆく。植物の成長を早送りで見ているような感覚だな。結構楽しい。二人でほっこりしながら眺めていたら、いつのまにやら30体ほどのゴーレム軍が完成していた。こちらを敵認定しているらしく、のそのそと俺たちの方に向かってきた。
「さてと」
俺が腰を上げようとしたとき、隣にいたサトシの姿が一瞬かすむ。残増か。どうやらゴーレム軍の中央へと切り込んで行ったようだ。
このだだっ広い闘技場は天上も高い。本当に体育館と言った様子で天井には整然と証明が並んでいる。正体のほどはよくわからんが石油ランプではなさそうだ。サトシの事だから魔力で照らしてるんじゃないだろうか。かかなり光量がある。昼間の明るさに近いかな。そんな中時折残像と共にサトシの剣が反射する光が見える。鋭い斬撃が闘技場所狭しと飛び回っていた。
俺の仕事はまだなさそうだな。ようやく違和感が取れ始めた手足を動かしながらその様子を眺めていた。
さっきと同じ感じで増殖させる気かな……と思い至って、ちょっと暗算してみる。900?
サトシは調子に乗って切り刻んでるが、それだと900体くらいのゴーレムが出来上がる計算だ。いや。ちょっとまずくない?
別に負けるとは思わないけど……
ほら。言わんこっちゃない。
闘技場の床一面ゴーレムの破片だらけだ。これぎゅうぎゅうだよ。全部のゴーレムが回復したら圧死するぜ?俺達。
「ちょっと数多過ぎじゃない?入りきるか?この場所に」
「やり過ぎましたかね……ちょっと減らしますか……」
そう言いながら、サトシは高出力LASERやら斬撃で破片の数を調整してゆく。
なんやかんやで200体くらいかな。ま、こんなもんでしょ、取り敢えずは。
そこからは、俺も加わりゴーレム相手の100人組手が開始された。
実際は、倒しながらも破片を残し、100どころか無限組手ではあるんだが……
あ、やべ。楽しいぞこれ。
『……』
無手での攻撃や無属性魔法を駆使しながらゴーレムを屠る。
時折、杖を棍棒代わりに殴打を加えつつ……って、どんどん魔導士から離れていくんですけど。大丈夫?
『……』
短勁
『……』
高出力LASER
『……す』
殴打
『……あ』
脳天割
『……』
骨砕き
俺が技を繰り出すと、目の前ではじけ飛ぶゴーレム。
倒すごとに体が軽くなる。そして目の前に現れるメッセージ。経験値を得て熟練度が向上する。
これはイケるか!
俺は目の前のゴーレムに向かって掌をかざす。そして
「超重力(ウルトラグラビティ)」
と唱えると、ゴーレムの眉間のあたりに黒点が現れる。その黒点はゴーレムの体にめり込みながら、周囲の像を歪ませる。黒点の周囲にあるゴーレムの体は引き延ばされながらどんどん黒点へと落ち込んで行く。
『……』
「吸え!吸え!吸いこめぇ!!」
ゴーレムを吸い込む勢いは加速度的に増してゆく。瞬く間にゴーレム一体が黒点の中に吸い込まれてしまった。
「いっちょ上がり!」
その言葉を合図に、目の前の黒点がぱっと姿を消す。
「何すか!それ!?」
サトシがゴーレムを微塵斬りにしながら俺に質問する。えらい余裕だな。こっちのことまで観察してたの?
「何って、『超重力(ウルトラグラビティ)』だよ。まあ、ありていに言うと極小ブラックホールだな」
「なんですか、教えてくださいよ。それ超おもしろそうじゃないっすか」
「いや、結構熟練度が高くないと使えないみたいなんだよ。まあ、呪文と言うか名前を唱えるだけだからやってみたら。イメージは簡単だろ?
あ!いや。ちょっとまて!お前、バカでかいブラックホールをイメージする気だろ!」
「あっはい。なんか問題あります?」
なにか?くらいの勢いでゴーレムを切り刻みながら俺に答える。やっぱりそうか。巨大ブラックホールで一掃する気だな。
「問題も何も!俺達も吸い込まれるだろうが!このバカちんが!!できるだけ小さく。小さくだ!わかったな」
「ああ、そう言うことですか。わかりましたよ。結構小心者ですね」
小心者って……こいつ絶対いずれやらかすな。注意しとかないとまずいな……。
『……』
サトシは俺の注意を守る気があるのかないのか……そこそこ大きなブラックホールを発生させてはゴーレムを吸い込む。
何回か繰り返した後、一度自分も吸われかかってようやく事の重大さに気づいたようだ。それからは小さめの(という割にはデカいが)ブラックホールに落ち着いた。
そんな楽しい時間を過ごしていると、俺達の頭の中にアイの声が響き渡る。
『二人とも一体どこに居るの!?』
中からは、1匹のゴーレムが現れる。が、すぐさまサトシの斬撃により切り刻まれた。
20cm角ほどの大きさに切り刻まれたゴーレムの欠片をサトシは造作も無く蹴り飛ばしながら辺りにばら撒いている。
ひとしきり周囲にゴーレムの欠片をばらまくと一息ついてしばらく待つ。ゴーレム復活まで休憩だ。ぼんやりゴーレムの欠片を見ていると、もぞもぞと成長してゆく。植物の成長を早送りで見ているような感覚だな。結構楽しい。二人でほっこりしながら眺めていたら、いつのまにやら30体ほどのゴーレム軍が完成していた。こちらを敵認定しているらしく、のそのそと俺たちの方に向かってきた。
「さてと」
俺が腰を上げようとしたとき、隣にいたサトシの姿が一瞬かすむ。残増か。どうやらゴーレム軍の中央へと切り込んで行ったようだ。
このだだっ広い闘技場は天上も高い。本当に体育館と言った様子で天井には整然と証明が並んでいる。正体のほどはよくわからんが石油ランプではなさそうだ。サトシの事だから魔力で照らしてるんじゃないだろうか。かかなり光量がある。昼間の明るさに近いかな。そんな中時折残像と共にサトシの剣が反射する光が見える。鋭い斬撃が闘技場所狭しと飛び回っていた。
俺の仕事はまだなさそうだな。ようやく違和感が取れ始めた手足を動かしながらその様子を眺めていた。
さっきと同じ感じで増殖させる気かな……と思い至って、ちょっと暗算してみる。900?
サトシは調子に乗って切り刻んでるが、それだと900体くらいのゴーレムが出来上がる計算だ。いや。ちょっとまずくない?
別に負けるとは思わないけど……
ほら。言わんこっちゃない。
闘技場の床一面ゴーレムの破片だらけだ。これぎゅうぎゅうだよ。全部のゴーレムが回復したら圧死するぜ?俺達。
「ちょっと数多過ぎじゃない?入りきるか?この場所に」
「やり過ぎましたかね……ちょっと減らしますか……」
そう言いながら、サトシは高出力LASERやら斬撃で破片の数を調整してゆく。
なんやかんやで200体くらいかな。ま、こんなもんでしょ、取り敢えずは。
そこからは、俺も加わりゴーレム相手の100人組手が開始された。
実際は、倒しながらも破片を残し、100どころか無限組手ではあるんだが……
あ、やべ。楽しいぞこれ。
『……』
無手での攻撃や無属性魔法を駆使しながらゴーレムを屠る。
時折、杖を棍棒代わりに殴打を加えつつ……って、どんどん魔導士から離れていくんですけど。大丈夫?
『……』
短勁
『……』
高出力LASER
『……す』
殴打
『……あ』
脳天割
『……』
骨砕き
俺が技を繰り出すと、目の前ではじけ飛ぶゴーレム。
倒すごとに体が軽くなる。そして目の前に現れるメッセージ。経験値を得て熟練度が向上する。
これはイケるか!
俺は目の前のゴーレムに向かって掌をかざす。そして
「超重力(ウルトラグラビティ)」
と唱えると、ゴーレムの眉間のあたりに黒点が現れる。その黒点はゴーレムの体にめり込みながら、周囲の像を歪ませる。黒点の周囲にあるゴーレムの体は引き延ばされながらどんどん黒点へと落ち込んで行く。
『……』
「吸え!吸え!吸いこめぇ!!」
ゴーレムを吸い込む勢いは加速度的に増してゆく。瞬く間にゴーレム一体が黒点の中に吸い込まれてしまった。
「いっちょ上がり!」
その言葉を合図に、目の前の黒点がぱっと姿を消す。
「何すか!それ!?」
サトシがゴーレムを微塵斬りにしながら俺に質問する。えらい余裕だな。こっちのことまで観察してたの?
「何って、『超重力(ウルトラグラビティ)』だよ。まあ、ありていに言うと極小ブラックホールだな」
「なんですか、教えてくださいよ。それ超おもしろそうじゃないっすか」
「いや、結構熟練度が高くないと使えないみたいなんだよ。まあ、呪文と言うか名前を唱えるだけだからやってみたら。イメージは簡単だろ?
あ!いや。ちょっとまて!お前、バカでかいブラックホールをイメージする気だろ!」
「あっはい。なんか問題あります?」
なにか?くらいの勢いでゴーレムを切り刻みながら俺に答える。やっぱりそうか。巨大ブラックホールで一掃する気だな。
「問題も何も!俺達も吸い込まれるだろうが!このバカちんが!!できるだけ小さく。小さくだ!わかったな」
「ああ、そう言うことですか。わかりましたよ。結構小心者ですね」
小心者って……こいつ絶対いずれやらかすな。注意しとかないとまずいな……。
『……』
サトシは俺の注意を守る気があるのかないのか……そこそこ大きなブラックホールを発生させてはゴーレムを吸い込む。
何回か繰り返した後、一度自分も吸われかかってようやく事の重大さに気づいたようだ。それからは小さめの(という割にはデカいが)ブラックホールに落ち着いた。
そんな楽しい時間を過ごしていると、俺達の頭の中にアイの声が響き渡る。
『二人とも一体どこに居るの!?』
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