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生方蒼甫の譚

試行錯誤

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 ザシュ!!

 サトシが俺に向かって大剣を振り下ろす。そのスピードは凄まじく俺は身動き一つできなかった。

 カキィン!!

 甲高い金属音と共に目の前にメッセージが表示される。

「ダメージ40%減少」
「ダメージ40%減少」
「ダメージ40%減少」

 そして遅れてやってきた激痛。

「痛てぇぇぇぇぇ!!!!!!!」

 痛い。痛い痛い痛い。痛い。嫌!ナニコレ!!すげー痛い。ダメージ減少してるとは思えない。なんで!!

 A:痛覚リミッター上限値を5倍に変更中

 なんでだよ!!終わっただろ!粛清。充分食らったじゃん。粛清。戻せよ!チキショー。


 俺はその場をのたうち回りながら痛みに耐える。

 その様子を不憫に思ったのか、サトシが治癒をかけてくれた。

 ……

 はぁ。ようやく痛みが落ち着いた。

「重ね掛けはできてそうですけど、足し算じゃないっぽいですね」

「どういうこと?」
 俺は鈍痛の残る首筋を摩りながらサトシに質問する。

 いや、もっと聞きたいことは山ほどあるが……

「40%減少を3つなので、効果が足し算なら120%で100%超えるじゃないですか。だからダメージ無効になるかと思ったんですよ」

「ああ、そう言うことね」

「でも、違うみたいですから。もう一回やってみましょう。今度はアクセサリーどれか一つ外してください」


「待てぇい!!!ちょっと待て!!お前俺をなんだと思ってる!?さっきも聞こうと思ったけど、お前躊躇なく俺を切り伏せたよな!?どういう了見だ!!」

「あ~。ルークスさん頑丈じゃないですか。俺も本気では打ち込んでませんし。死ぬほどじゃないと思いまして。で、ダメージの具合を見れるとありがたいなぁと思ったんですけど……思いのほか痛がってましたからあんまり効いてないんですかね?ってことで今度はアクセサリーを外して……」

「だから待てぇい!!俺を殺す気か!」

 ふざけてんな。こいつ。ここまでずれてるとは思ってなかったよ。

「今俺は天使の呪いで痛みが5倍になってんだよ!」

 まぁ、チーター扱いだから罰を受けてるだけだけど。ってか、これバグじゃね?

「あっそうだったんですか。大変っすね」

 あ、軽い。

 すげー興味なさそう。

「まあ、すぐに治癒しますから。さ、一個外してください」

「無理無理無理!!お前頭大丈夫か!?絶対嫌だ!」
 
「そうですか。残念ですが、まあいいでしょう」

「え?何が残念なの?なに、俺恨まれてる?」

「何がです?恨んではいないですよ。身近にいる頑丈な人がルークスさんしかいないですから」

 それだけの理由で?ほんとに恐ろしい子だな。

「まあ、重ね掛けは効いてるみたいですから。でも、今回ダメージが入ったところから推測すると、たぶん掛け算だと思うんですよね」

 ダメージ ー(マイナス)40%。ってことは、被ダメージは60%だ。3重で掛かってるので 0.6×0.6×0.6=0.216 となって受けるダメージは21.6%つまり8割減って感じか。

「そうなると、以前ルークスさんが持ってたスキルみたいに『無効』化は出来ないってことでしょうね。どうしたもんでしょうか。あの天使相手だとダメージゼロが欲しいところですよね」

「ああ、それか。お前のスキル上げればイケるみたいよ」

 俺はまだ痛む首のあたりをマッサージしながら答える。
 
「へ?どういうことです?」

「作成スキルの熟練度は、お前の熟練度に影響されるらしいからな。お前が「創造主(クリエイター)」の熟練度を上げれば作成スキルの熟練度も上がるみたいだ」

「マヂっすか!?どこ情報です!?」

「天命の書板」

「何でそれ先に教えてくれないんですか!!」

 えーと。殴ってもいい?

「さっき俺の言葉を遮ったの君じゃない?」

「あ、それだったんですか。それならそうと言ってくれれば」

 ん~。やっぱり殴るべきかな。

「そうと判れば、レベル上げ行きますか!」

 いやぁーーーーーーーーーーーーーーーー!!!しくったぁ!!!!!!!! 
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