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生方蒼甫の譚

匙加減と隠ぺい

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「で、再建についてだが……どうする?」
「どうするも何も、やるしかないでしょうね。」
「でも、最近は文明の利器に頼ってたんじゃないのか?すぐに手作業で挽回できそうか?」
「すぐに再建ってわけにはいかないでしょうね。石油にしても農産物にしても。そうですね~」

 サトシは腕を組みながら目を瞑って考え込む。まあ、そうだな。厳しいよなぁ。

「生産量は1/3くらいまでは落ちるでしょうね」
「へ?そんなもん?」
「いや、激減ですよ!?」
「ああ、そりゃそうだけどさ。俺もっと落ちるかと思ってたんだけど、人海戦術でそんなに行ける?」

 NPCの粛清は阻止したから従業員への被害はほとんどない。が、自動化のおかげで生産性は大幅に向上していたはずだ。
 それを加味すれば生産量が1/100くらいまで落ちてもおかしくないと思うんだが。

「こんなこともあろうかと」
「こんなこともあろうかと!?」
 なんだって!?期待できるセリフを吐くね!
 
「というのは噓ですけど」
「嘘なのかよ」
 なんだよ。期待させやがって。サトシは俺の食いつきにちょっと面食らったようだった。
 
「まあ、予想していたのは嘘ですが、設備の予備品があるのは本当です」
「まじで!?」

 それはうれしい誤算だ。本当ならずいぶん再建計画が楽になる。
 
「ええ、試作品とか改良品作った後の旧世代バージョンの機器を地下に保管してたんですよ」
「ああ、みんなが逃げ込んでた地下シェルターみたいなやつ?あれ倉庫だったの?」
「そうなんです。従業員の意見を聞きながら、定期的に機器の改善してたんですよ。手直しするより一から作り直した方が楽なんで、毎回新製品を作ってたんですけど……機器を更新した後、古い設備を捨てるのももったいなくて。まあ、思い入れもありましたしね。そのまま使っててもよかったんですが、古い機械は何かと操作が面倒なので全自動ってわけにいかないから人手がいるでしょ?そんなに従業員が居ないですしね。で、地下に倉庫作ってそこに保管してたんですよ。いずれ使う日が来たらってことで」

「じゃあ、結構早く事業の再開できそう?」

「そうですね。農業は植え付けからですから当分かかりますけど、石油は比較的すぐにできるかもしれませんね」

 そりゃ朗報だ!

 あ、ってことは。
 
「また天使にやられるか?」

「あ~。そうですねぇ。どのくらいまでなら襲ってきませんかねぇ?」

「ん~」

 二人で腕を組みながら考え込む。サトシは周囲を見渡すと、ぽつりとつぶやく。

「イモータライトは無事でしたよね?」

 確かに、防壁・防塁に使った超合金は傷一つない。
 
「?無事だったな。それがどうした?」

「イモータライトで地下シェルター作って、その中に石油精製施設作りますか?」

 なんと!すげーなこいつ。確かにこいつならできる。できるぞ!

「いいかもしれんな。ついでだから設備関係は全部地下に隠すか?」

「ですね。その方向で行きましょう。そうすれば今の設備も地上に出す必要ないですし作業も楽です」

 いいね。再建計画が現実的になってきた。
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