126 / 321
生方蒼甫の譚
建物探訪
しおりを挟む
鉱山から廃墟に向かう道はすでに荒れ果て所々崩れて通れなくなっていた。
まあ、飛んでいくから特に問題ないんだけど。
と言うことで、反重力ですいすいと廃墟に向かう。
探索で探していたからたどり着けたけど、こんなに木々に覆われていては上空からですら気づかなかっただろう。
「これですか。」
「だな。ずいぶん荒れてるなぁ」
「いつ頃から放置されてるんでしょうね?」
「どうだろう。数年っていうレベルの話じゃない事は確かだな。」
屋敷の前方には庭の痕跡がある。
痕跡と言っても、噴水らしき石組と屋敷の敷地境界を示すフェンスがちらりと見える程度だ。ほとんどは背の高い木や蔦に覆われて見えなくなっている。
以前は広々とした芝生がきれいな庭が広がってたんだろうな。知らんけど。
現在の印象は、見事なまでの「幽霊屋敷」といった感じだ。
まあ、俺はオカルト系の話が好きではないので、とっとと終わらせてしまいたい。
日も高いことだし、手短に行こう。
「あのあたりが玄関だろう。さ、行くぞ。」
「ハイ。」
3人で、玄関のあたりに降りてゆく。
「廃墟っすね。」
「廃墟だな。」
見事な廃墟っぷりだ。ドアは朽ち果て、壁もほとんどの漆喰が剥がれ落ちていて、どこからでも建物の中に入れそうだ。
「これ、入った途端に崩れ落ちるってことないですかね?」
「ん~。なんでフラグ立てるようなこと言うかなぁ。」
入っていい物なのか、正直悩む。が、そんな中ひとりの勇者が。
「早く終わらせよう。」
アイがすたすたと中に入っていく。
よっぽどレベル上げが堪えたんだろうな。一秒でも早く帰りたいと見える。
まあ、ある意味頼もしい。
アイの後ろを男二人がついて行く。
玄関を入った先は、大きなエントランスホールになっていた。ザ・洋館という豪華な造りだ、たぶん、当時はね。
中央には二階に上がる大きな階段があり、壁際にある踊り場を境に左右に分かれて二階に向かう構造になっている。
踊り場には何やら大きな絵が飾ってあるが、何の絵なのかは暗くてよくわからない。
今いる場所は吹き抜けになっていて、天井の中央には立派なシャンデリアの残骸らしきものがぶら下がっている。
床にガラスが散らばっているところを見ると、経年変化で落ちて割れたんだろうな。
さあて、どこから調べたもんかね。正直見当もつかない。
「まずは、手当たり次第部屋らしきところに入ってみますか。」
「そうだな。それが良い。」
「手分けしますか?」
「どうだろうな。それでもいいとは思うが……アイはどうする?」
「アタシはサトシと一緒に行く。」
いい心がけだ。しっかり監視してくれ。
って、おや?さっきは意気揚々と入っていったのに
「どうした?アイ。なんか震えてないか?」
「うるさい!」
何だろう。まあいいか。
「じゃあ、二手に分かれて調べようか。俺は二階を調べるよ。お前たちは1階を頼む。」
「わかりました。じゃあ、何かあったら大声で知らせますね。」
「あ~。というか、出来ればこれで頼みたい。」
一応ゲームだからな。ユーザー同士のチャットが装備されている。神経節接続されている場合は、ほぼ念話になるが。
『サトシ、聞こえるだろ?』
『おお!凄いっすね。これも魔法っすか』
いい反応だ。ちょっとうれしいな。
『便利だろ?これで頼む。アイも聞こえるよな』
『あんたの声が頭に響くのキモイ』
『くぅ~!!』
『だから!キモイ!!』
『え~と。ルークスさん。自重してください。』
自重とはこれ如何に。
「オホン。と、いうわけだ。じゃ、俺は二階に行ってくるんでよろしく。なんか見つけたら連絡くれ。」
『わかりました!』
使いたがりだな。まあ、気持ちはわかるよ。
ホール中央の階段に向かう。床も所々抜け落ちていて危なかしいったらありゃしない。この様子だと、階段も同じだな。
なので、階段は使わず、反重力で上がって行く。
取り敢えず階段中央の踊り場に降り立つ。踊り場からは壁沿い二方向に階段が伸びている。どちらの階段も登り切った先にドアがある。
さて、どちらの部屋から調べるかな。
とぼんやり考えながら視線を移すと、背後の絵画が目に入る。
エントランスから見たときは、暗くて何の絵かわからなかったが、ここで見ると人物画であることが分かった。
あれ?これ。だれだっけ?見たことある気がするな。
まあ、飛んでいくから特に問題ないんだけど。
と言うことで、反重力ですいすいと廃墟に向かう。
探索で探していたからたどり着けたけど、こんなに木々に覆われていては上空からですら気づかなかっただろう。
「これですか。」
「だな。ずいぶん荒れてるなぁ」
「いつ頃から放置されてるんでしょうね?」
「どうだろう。数年っていうレベルの話じゃない事は確かだな。」
屋敷の前方には庭の痕跡がある。
痕跡と言っても、噴水らしき石組と屋敷の敷地境界を示すフェンスがちらりと見える程度だ。ほとんどは背の高い木や蔦に覆われて見えなくなっている。
以前は広々とした芝生がきれいな庭が広がってたんだろうな。知らんけど。
現在の印象は、見事なまでの「幽霊屋敷」といった感じだ。
まあ、俺はオカルト系の話が好きではないので、とっとと終わらせてしまいたい。
日も高いことだし、手短に行こう。
「あのあたりが玄関だろう。さ、行くぞ。」
「ハイ。」
3人で、玄関のあたりに降りてゆく。
「廃墟っすね。」
「廃墟だな。」
見事な廃墟っぷりだ。ドアは朽ち果て、壁もほとんどの漆喰が剥がれ落ちていて、どこからでも建物の中に入れそうだ。
「これ、入った途端に崩れ落ちるってことないですかね?」
「ん~。なんでフラグ立てるようなこと言うかなぁ。」
入っていい物なのか、正直悩む。が、そんな中ひとりの勇者が。
「早く終わらせよう。」
アイがすたすたと中に入っていく。
よっぽどレベル上げが堪えたんだろうな。一秒でも早く帰りたいと見える。
まあ、ある意味頼もしい。
アイの後ろを男二人がついて行く。
玄関を入った先は、大きなエントランスホールになっていた。ザ・洋館という豪華な造りだ、たぶん、当時はね。
中央には二階に上がる大きな階段があり、壁際にある踊り場を境に左右に分かれて二階に向かう構造になっている。
踊り場には何やら大きな絵が飾ってあるが、何の絵なのかは暗くてよくわからない。
今いる場所は吹き抜けになっていて、天井の中央には立派なシャンデリアの残骸らしきものがぶら下がっている。
床にガラスが散らばっているところを見ると、経年変化で落ちて割れたんだろうな。
さあて、どこから調べたもんかね。正直見当もつかない。
「まずは、手当たり次第部屋らしきところに入ってみますか。」
「そうだな。それが良い。」
「手分けしますか?」
「どうだろうな。それでもいいとは思うが……アイはどうする?」
「アタシはサトシと一緒に行く。」
いい心がけだ。しっかり監視してくれ。
って、おや?さっきは意気揚々と入っていったのに
「どうした?アイ。なんか震えてないか?」
「うるさい!」
何だろう。まあいいか。
「じゃあ、二手に分かれて調べようか。俺は二階を調べるよ。お前たちは1階を頼む。」
「わかりました。じゃあ、何かあったら大声で知らせますね。」
「あ~。というか、出来ればこれで頼みたい。」
一応ゲームだからな。ユーザー同士のチャットが装備されている。神経節接続されている場合は、ほぼ念話になるが。
『サトシ、聞こえるだろ?』
『おお!凄いっすね。これも魔法っすか』
いい反応だ。ちょっとうれしいな。
『便利だろ?これで頼む。アイも聞こえるよな』
『あんたの声が頭に響くのキモイ』
『くぅ~!!』
『だから!キモイ!!』
『え~と。ルークスさん。自重してください。』
自重とはこれ如何に。
「オホン。と、いうわけだ。じゃ、俺は二階に行ってくるんでよろしく。なんか見つけたら連絡くれ。」
『わかりました!』
使いたがりだな。まあ、気持ちはわかるよ。
ホール中央の階段に向かう。床も所々抜け落ちていて危なかしいったらありゃしない。この様子だと、階段も同じだな。
なので、階段は使わず、反重力で上がって行く。
取り敢えず階段中央の踊り場に降り立つ。踊り場からは壁沿い二方向に階段が伸びている。どちらの階段も登り切った先にドアがある。
さて、どちらの部屋から調べるかな。
とぼんやり考えながら視線を移すと、背後の絵画が目に入る。
エントランスから見たときは、暗くて何の絵かわからなかったが、ここで見ると人物画であることが分かった。
あれ?これ。だれだっけ?見たことある気がするな。
0
お気に入りに追加
14
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
家庭菜園物語
コンビニ
ファンタジー
お人好しで動物好きな最上 悠(さいじょう ゆう)は肉親であった祖父が亡くなり、最後の家族であり姉のような存在でもある黒猫の杏(あんず)も静かに息を引き取ろうとする中で、助けたいなら異世界に来てくれないかと、少し残念な神様に提案される。
その転移先で秋田犬の大福を助けたことで、能力を失いそのままスローライフをおくることとなってしまう。
異世界で新しい家族や友人を作り、本人としてはほのぼのと家庭菜園を営んでいるが、小さな畑が世界には大きな影響を与えることになっていく。
幼馴染の彼女と妹が寝取られて、死刑になる話
島風
ファンタジー
幼馴染が俺を裏切った。そして、妹も......固い絆で結ばれていた筈の俺はほんの僅かの間に邪魔な存在になったらしい。だから、奴隷として売られた。幸い、命があったが、彼女達と俺では身分が違うらしい。
俺は二人を忘れて生きる事にした。そして細々と新しい生活を始める。だが、二人を寝とった勇者エリアスと裏切り者の幼馴染と妹は俺の前に再び現れた。
転生したら赤ん坊だった 奴隷だったお母さんと何とか幸せになっていきます
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
転生したら奴隷の赤ん坊だった
お母さんと離れ離れになりそうだったけど、何とか強くなって帰ってくることができました。
全力でお母さんと幸せを手に入れます
ーーー
カムイイムカです
今製作中の話ではないのですが前に作った話を投稿いたします
少しいいことがありましたので投稿したくなってしまいました^^
最後まで行かないシリーズですのでご了承ください
23話でおしまいになります
幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話
妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』
『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』
『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』
大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。
クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~
いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。
他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。
「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。
しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。
1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化!
自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働!
「転移者が世界を良くする?」
「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」
追放された少年の第2の人生が、始まる――!
※本作品は他サイト様でも掲載中です。
俺のギフト【草】は草を食うほど強くなるようです ~クズギフトの息子はいらないと追放された先が樹海で助かった~
草乃葉オウル
ファンタジー
★お気に入り登録お願いします!★
男性向けHOTランキングトップ10入り感謝!
王国騎士団長の父に自慢の息子として育てられた少年ウォルト。
だが、彼は14歳の時に行われる儀式で【草】という謎のギフトを授かってしまう。
周囲の人間はウォルトを嘲笑し、強力なギフトを求めていた父は大激怒。
そんな父を「顔真っ赤で草」と煽った結果、ウォルトは最果ての樹海へ追放されてしまう。
しかし、【草】には草が持つ効能を増幅する力があった。
そこらへんの薬草でも、ウォルトが食べれば伝説級の薬草と同じ効果を発揮する。
しかも樹海には高額で取引される薬草や、絶滅したはずの幻の草もそこら中に生えていた。
あらゆる草を食べまくり最強の力を手に入れたウォルトが樹海を旅立つ時、王国は思い知ることになる。
自分たちがとんでもない人間を解き放ってしまったことを。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる