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生方蒼甫の譚
一時帰郷
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「とりあえず疲れた。
一旦休みたい。
それにあいつら強くなりすぎだろ。なんだよパラメータ8bitが上限だと思ってたのに。考え方が古いのかな。」
ぶつぶつ愚痴を言いながら階段を上る。
部屋に入ると、ルークスは椅子に腰かけ
「ログアウト」
そう宣言すると、目の前の風景が歪み遠くなる。
……
顔に装着しているHMD(ヘッドマウントディスプレイ)を外し、目の前にある机に置く。椅子から立ち上がろうとしたときうなじから伸びるコードが引っ掛かる。
「これもか。」
うなじに貼ってあるシールをはがす、シールには小さな針がついている。
「いてて。ああ、頭も痛い。なんだよこの倦怠感。すげー疲れる。演算停止っと。」
俺はキーボードで演算停止命令を入力すると、壁の時計を確認する。23時を指している。ログインしていたのは4時間ほどだろうか。研究室から外に出ると、廊下は明かりが落とされていた。
「アパートに帰るのもだるいなぁ。また泊まるか。」
こんな生活が3か月ほど続いている。
事の始まりは政府高官が視察に来た時の何気ない一言からだった。
……
「生方先生、こちら人力資源社会保障部の田……」
「ああ、あなたが生方先生ですか。お噂はかねがね」
研究所の所長ですよ?紹介してくれてるの。食い気味に来るね。
それに噂と来たか、どうせろくなことは聞いてないんだろうな。
「どうも。生方です。」
「何やら面白い研究をなさっていらっしゃるそうで」
「じゃあ、生方先生。説明をお願いしても?」
所長は『あとはよろしく!』っていう清々した顔をしている。はいはい。わかりましたよ。
「わかりました。ではこちらへ。」
俺は研究室へと皆を案内する。まあ、研究室って言ってもPCが並んでるだけなんだが、
「今私は人工知能の高度化に関する研究をすすめております。以前から活用されている機械学習やディープラーニングを用いたAIとは違うアプローチで……」
「ほう。それはどんな?」
いや、さっきから食い気味でぐいぐい来るね。そんなに興味無かろ?
どうせ残予算執行のための物見遊山だろ?
さらっと流してくれよ。メンドクサイ。
が、
予算を減らされてもかなわんしな。まあ、一応説明するか。
「以前趙博士が発表された『シナプススキャンによる人格・記憶のバックアップ』を活用して……」
「その研究については当部局でも支援しておりまして。」
ぐいぐい来るね。
聞けよ最後まで……と言いたいが、まあいい。話す手間が省けた。
「そうでしたか。当研究室では、人から得られた人格・記憶のデータを用いる方がAIとしての利用価値が増えるのではないかと考えまして……」
「なるほど、コンピュータ上で疑似人格をシミュレートすると言う事ですか。しかし、それは難しいのでは?」
「その通りです。実際今までのスーパーコンピュータを活用してもなかなか完全再現と言うのは難しいところがありました。これは量子コンピュータを用いても同じで、根本的な演算方法の違いによるものだと私は考えております。」
「では、解決方法があると?」
「現在申請を検討中なのですが、スーパーコンピュータの『阿吽』を利用したいと考えております。」
「ほほう。『阿吽』ですか。生体コンピュータの。」
「そうです。『阿吽』には人口脳細胞が使用されていますので、シナプススキャンされた人格・記憶との親和性が高いと考えております。」
「しかし、そのあたりの研究は趙博士も実施しているはずですが。」
「確かに趙博士も研究しておられますが、当研究室においては、シナプススキャンで得られるデータをそのまま活用するのではなく、いくつかのレイヤーに分割します。」
「分割ですか。」
「はい。記憶……といっても、それらは視覚・聴覚・嗅覚・触覚等のあらゆる感覚神経からの入力の総称です。それぞれを一纏めで扱っても正しく機能させることが出来ないのではないかと考えております。ですから、それらを得られた感覚神経別データとして分類しレイヤ分けします。脳内のカテコールアミンバランスなどの化学反応データも含めると全部で256のレイヤーに分割した状態で『阿吽』上に展開してやることで疑似人格がシミュレートできるのではないかと考えております。」
「今その研究はどのあたりまで進んでますか?」
「我々の手元にある個体データを用いて、レイヤ分割作業をしているところです。この作業もかなり時間が掛かるので、スーパーコンピュータ「神威3号」利用の申請をしていますが、現在回答待ちの状態です。その作業が終わってから『阿吽』の利用申請となりますので、まだ始まったばかりと言ったところですね。」
あれ、俺結構研究の核心部分話しちゃった?まずったかな。
でも、まあいいか。
どうせ聞いてないだろ。
「いや、非常に興味深い内容でした。生方先生の研究が順調に進むことを期待しております。当局にお手伝いできることがあればぜひご連絡ください。」
「ああ、どうも……ありがとうございます。」
と、名刺を受け取った。
あ、局長だったのね。
やべ、トップじゃん。うちの大学、この局の直下だよね?
失礼なことやってないよな。
などと心配しながら、局長とお付きの人たちを見送る。
「ふぅ~。」
やれやれとため息をつきながら、作業に戻る。さっきは簡単にレイヤー分割などと言っていたが、そんな簡単な作業ではない。少なくとも手入力の作業も多いし、入力後の演算が半端じゃない。すべての記憶データに「視覚」とか「聴覚」などというタグが付いていてくれれば言うことないが、実際にはそんなものは無い。言ってみればすべて暗号化されたデータの様な物だ。それを「視覚データだった場合どのような像を結ぶか」というあたりを付けて複合化する。
それが動画データのように可視化できる結果になれば、それは「視覚情報に基づいた記憶」と言うことになるが、そうでなければ今度は「聴覚」情報として複合化してみる。
ちょうど一度消去したHDDやSSDに保存されていたデータの復元をしているようなものだ。復元するべきデータの正解がわからない状態でやっているんだから正直先が見えない。
だれ?こんな事研究するって言った奴。バカじゃねぇの?っていう気分だ。
自分で言いだしたことじゃなきゃ、とっくにやめているだろう。
まあ、仕方ないな。と作業していると1時間ほどして、所長が研究室に駆け込んできた。
「ああ、さっきはどうも。」
「生方先生。朗報ですよ。朗報。」
「なにがですか?」
「早速人力資源社会保障部から連絡がありましてね。先生の「神威3号」と「阿吽」の利用申請。人社部から最優先にするように科学技術部に依頼していただけたみたいですよ。」
「まじっすか?」
「良かったですね。」
「はあ。」
なんだか、急な話過ぎて理解できない。
「生方先生。ボーっとしてないで、しゃきっとしてください。本学の命運があなたにかかってるんですよ!」
「いや、そう言われましても。」
「よろしくお願いしますね。あ、それと、なにやらいくつか提供できるものがあるって言ってました。」
「『なにやら』ってなんですか?」
「さあ、良くわからない事言ってましたよ。先生専門なんだからわかるでしょ?」
いや、「なにやら」じゃわからんだろ!?
「はあ、まあ。届けばわかりますよね。」
「そうでしょうね。じゃ、よろしく。」
所長は風のように去っていった。なんだあの人。
さて、ともあれスパコンが両方使用できるのはありがたい限りだ。これで一気に研究が進みそうだ。
一旦休みたい。
それにあいつら強くなりすぎだろ。なんだよパラメータ8bitが上限だと思ってたのに。考え方が古いのかな。」
ぶつぶつ愚痴を言いながら階段を上る。
部屋に入ると、ルークスは椅子に腰かけ
「ログアウト」
そう宣言すると、目の前の風景が歪み遠くなる。
……
顔に装着しているHMD(ヘッドマウントディスプレイ)を外し、目の前にある机に置く。椅子から立ち上がろうとしたときうなじから伸びるコードが引っ掛かる。
「これもか。」
うなじに貼ってあるシールをはがす、シールには小さな針がついている。
「いてて。ああ、頭も痛い。なんだよこの倦怠感。すげー疲れる。演算停止っと。」
俺はキーボードで演算停止命令を入力すると、壁の時計を確認する。23時を指している。ログインしていたのは4時間ほどだろうか。研究室から外に出ると、廊下は明かりが落とされていた。
「アパートに帰るのもだるいなぁ。また泊まるか。」
こんな生活が3か月ほど続いている。
事の始まりは政府高官が視察に来た時の何気ない一言からだった。
……
「生方先生、こちら人力資源社会保障部の田……」
「ああ、あなたが生方先生ですか。お噂はかねがね」
研究所の所長ですよ?紹介してくれてるの。食い気味に来るね。
それに噂と来たか、どうせろくなことは聞いてないんだろうな。
「どうも。生方です。」
「何やら面白い研究をなさっていらっしゃるそうで」
「じゃあ、生方先生。説明をお願いしても?」
所長は『あとはよろしく!』っていう清々した顔をしている。はいはい。わかりましたよ。
「わかりました。ではこちらへ。」
俺は研究室へと皆を案内する。まあ、研究室って言ってもPCが並んでるだけなんだが、
「今私は人工知能の高度化に関する研究をすすめております。以前から活用されている機械学習やディープラーニングを用いたAIとは違うアプローチで……」
「ほう。それはどんな?」
いや、さっきから食い気味でぐいぐい来るね。そんなに興味無かろ?
どうせ残予算執行のための物見遊山だろ?
さらっと流してくれよ。メンドクサイ。
が、
予算を減らされてもかなわんしな。まあ、一応説明するか。
「以前趙博士が発表された『シナプススキャンによる人格・記憶のバックアップ』を活用して……」
「その研究については当部局でも支援しておりまして。」
ぐいぐい来るね。
聞けよ最後まで……と言いたいが、まあいい。話す手間が省けた。
「そうでしたか。当研究室では、人から得られた人格・記憶のデータを用いる方がAIとしての利用価値が増えるのではないかと考えまして……」
「なるほど、コンピュータ上で疑似人格をシミュレートすると言う事ですか。しかし、それは難しいのでは?」
「その通りです。実際今までのスーパーコンピュータを活用してもなかなか完全再現と言うのは難しいところがありました。これは量子コンピュータを用いても同じで、根本的な演算方法の違いによるものだと私は考えております。」
「では、解決方法があると?」
「現在申請を検討中なのですが、スーパーコンピュータの『阿吽』を利用したいと考えております。」
「ほほう。『阿吽』ですか。生体コンピュータの。」
「そうです。『阿吽』には人口脳細胞が使用されていますので、シナプススキャンされた人格・記憶との親和性が高いと考えております。」
「しかし、そのあたりの研究は趙博士も実施しているはずですが。」
「確かに趙博士も研究しておられますが、当研究室においては、シナプススキャンで得られるデータをそのまま活用するのではなく、いくつかのレイヤーに分割します。」
「分割ですか。」
「はい。記憶……といっても、それらは視覚・聴覚・嗅覚・触覚等のあらゆる感覚神経からの入力の総称です。それぞれを一纏めで扱っても正しく機能させることが出来ないのではないかと考えております。ですから、それらを得られた感覚神経別データとして分類しレイヤ分けします。脳内のカテコールアミンバランスなどの化学反応データも含めると全部で256のレイヤーに分割した状態で『阿吽』上に展開してやることで疑似人格がシミュレートできるのではないかと考えております。」
「今その研究はどのあたりまで進んでますか?」
「我々の手元にある個体データを用いて、レイヤ分割作業をしているところです。この作業もかなり時間が掛かるので、スーパーコンピュータ「神威3号」利用の申請をしていますが、現在回答待ちの状態です。その作業が終わってから『阿吽』の利用申請となりますので、まだ始まったばかりと言ったところですね。」
あれ、俺結構研究の核心部分話しちゃった?まずったかな。
でも、まあいいか。
どうせ聞いてないだろ。
「いや、非常に興味深い内容でした。生方先生の研究が順調に進むことを期待しております。当局にお手伝いできることがあればぜひご連絡ください。」
「ああ、どうも……ありがとうございます。」
と、名刺を受け取った。
あ、局長だったのね。
やべ、トップじゃん。うちの大学、この局の直下だよね?
失礼なことやってないよな。
などと心配しながら、局長とお付きの人たちを見送る。
「ふぅ~。」
やれやれとため息をつきながら、作業に戻る。さっきは簡単にレイヤー分割などと言っていたが、そんな簡単な作業ではない。少なくとも手入力の作業も多いし、入力後の演算が半端じゃない。すべての記憶データに「視覚」とか「聴覚」などというタグが付いていてくれれば言うことないが、実際にはそんなものは無い。言ってみればすべて暗号化されたデータの様な物だ。それを「視覚データだった場合どのような像を結ぶか」というあたりを付けて複合化する。
それが動画データのように可視化できる結果になれば、それは「視覚情報に基づいた記憶」と言うことになるが、そうでなければ今度は「聴覚」情報として複合化してみる。
ちょうど一度消去したHDDやSSDに保存されていたデータの復元をしているようなものだ。復元するべきデータの正解がわからない状態でやっているんだから正直先が見えない。
だれ?こんな事研究するって言った奴。バカじゃねぇの?っていう気分だ。
自分で言いだしたことじゃなきゃ、とっくにやめているだろう。
まあ、仕方ないな。と作業していると1時間ほどして、所長が研究室に駆け込んできた。
「ああ、さっきはどうも。」
「生方先生。朗報ですよ。朗報。」
「なにがですか?」
「早速人力資源社会保障部から連絡がありましてね。先生の「神威3号」と「阿吽」の利用申請。人社部から最優先にするように科学技術部に依頼していただけたみたいですよ。」
「まじっすか?」
「良かったですね。」
「はあ。」
なんだか、急な話過ぎて理解できない。
「生方先生。ボーっとしてないで、しゃきっとしてください。本学の命運があなたにかかってるんですよ!」
「いや、そう言われましても。」
「よろしくお願いしますね。あ、それと、なにやらいくつか提供できるものがあるって言ってました。」
「『なにやら』ってなんですか?」
「さあ、良くわからない事言ってましたよ。先生専門なんだからわかるでしょ?」
いや、「なにやら」じゃわからんだろ!?
「はあ、まあ。届けばわかりますよね。」
「そうでしょうね。じゃ、よろしく。」
所長は風のように去っていった。なんだあの人。
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