86 / 321
サトシの譚
かくれんぼ
しおりを挟む
「デュラハン Lv88 HP:172862/172862 ATK:15891 DEF:18254 吸収:火 耐性:水 土 風 光 闇」
「無理ですよ。これ。」
「まじでか。試すまでもなくってか?」
「試してみましょうか?、いや、無理でしょ。まあ、やってみましょう。「ライトボール」」
ライトボールがルークスの横を通り過ぎデュラハンに全弾命中する。
「うわぁ」
サトシの諦めにもともため息ともつかない言葉が漏れる。
「どのくらいダメージ与えられた?」
「1です。」
「は?1?で、HPは?」
「17万」
「いや、馬鹿にしてんのか?物理攻撃は?」
「じゃあ、試してみますか?ちょっとどいてください。」
ひらりと身をかわしたルークスの陰からサトシが突きを放つ。
キイィーーーン。
金属音が響き、サトシの手にはしびれが残るほどの衝撃があった。
「で、どれだけだ?」
「0です。」
「マジかぁ~。
こりゃ旗色悪いな。ちょっと退くか。徐々に後退するからお前ら距離取れ。」
「わかりました。」
サトシとアイは、ルークスから距離を取り後方に退避する。ルークスは押して来るデュラハンの攻撃を受けながら、じりじりと後退してゆく。
10mほど後退したところで、ルークスがサトシの方を見る。その様子にサトシは行動加速をかけながらルークスの近くまで戻る。
「おい、あいつ俺に集中して横穴には意識が向いて無さそうだ。いまひとつ素通りしてた。お前らは横穴に身を隠しておけ、俺は後からこいつを飛び越えて転移する。転移できそうな所にマークつけといてくれ。」
「わかりました。」
サトシはそう言うと、素早くアイの元に駆け寄り次の横穴を探す。
暗がりの中に、腰高の横穴が開いている。サトシは「探索(シーク)」をかけ安全を確認すると中に滑り込む。
息をひそめて、しばらく待っていると、サトシたちの目の前をデュラハンに攻撃されながらルークスが後退し通過してゆく。ルークスたちが遠ざかったことを確認して、二人は横穴から這い出す。
サトシは足元に転移用のマークを付けると、合図としてライトボールをデュラハンに打ち込む。
しばらくすると、マークの位置に転移の魔法陣が広がり、ルークスが現れる。
「いやはや。当たらないと分かってても、打ち込まれ続けるのは精神衛生上よくないな。」
「あれはヤバいっすね。これ死にイベントってことですね?」
「やっぱりゲーム脳だな。こんなところで死んでも、どうなるもんでもなかろう。」
「早くしないと、あいつが戻ってくるよ。」
「ああ、そうだな。急ごう。」
3人は足早に奥へと進む。
しばらく歩くと、分かれ道に出る。ギルドで写したマップが正しいとするなら、この分岐はいずれ合流するはずだ。サトシは「探索(シーク)」でこのループ状になっている坑道の安全を確認する。
すると、ループ状の坑道には二匹の魔獣が居るようだった。二匹は坑道ををぐるぐると周回するように動いていた。
「侵入者の排除か?」
「またデュラハンですかね?」
一匹は、右の分岐路を奥へと進んでいるようだった。もう一匹は奥から左の分岐路をこちらに向かって進んできている。
「奴だと厄介だな……
でも、この動き方なら、おんなじ方向に回ったら、出会わずに進めるんじゃね?」
「おお、ですね。それでいきますか。」
「そうだな。いくら俺には攻撃が当たらんとは言え、お前らに被害が及ばんとは限らんもんな。」
「一応、両方ともステータス確認しましょうか。」
「サトシ、こんな遠くからでも確認できるのか?」
「もう少し近づけばイケそうです。ちょっとやってみます。」
「サイクロプス Lv90 HP:258261/258261 ATK:18693 DEF:14254 吸収:火 水 土 風 耐性:光 闇」
「ミノタウロス Lv87 HP:228362/228362 ATK:18911 DEF:12548 吸収:光 闇 耐性:火 水 土 風 」
「あはははは。」
サトシは乾いた笑い声をあげる。
「どうした?」
「え~っと。サイクロプスとミノタウロスです。」
「ああ、なんか聞かなくても強さは判る気がするな。でも、一応聞いとくか。」
「両方HP20万越えです。魔法も耐性と吸収持ってますね。」
「よし。スルー決定!行くぞ。」
ルークスは諦め切った笑顔で二人に告げると、前後に控えるサイクロプスとミノタウロスの距離を測りながら、慎重に進み始める。
サイクロプス、ミノタウロスともに変則的な動きは無く、3人は安全にループ状になった分岐路を通過することが出来た。その先は脇道こそあるが、広く進みやすい行動だった。
脇道を探索するが、特にドロップアイテムも魔獣もなく、そのままメインの坑道をまっすぐ進む。
しばらく進むと、岩肌の変化に気づく。それまでは柔らかそうで、採掘するには楽だろうが簡単に崩落しそうな危なっかしい岩肌だった。が、坑道の奥に近づくと急にしっかりとした硬そうな岩肌になった。明らかにここから地層が変わっているようだった。
坑道の最奥と思われるところにたどり着くと、掘りっぱなしの穴がぽっかりと口を開けていた。大きさは人一人がやっと通れるほどの大きさだったが、穴の先は不自然に明るかった。
サトシたちは念のため「探索」をかけた上でその先へ進む。
穴を潜り抜けると、そこには王宮と見まごうばかりの立派な廊下があった。
「無理ですよ。これ。」
「まじでか。試すまでもなくってか?」
「試してみましょうか?、いや、無理でしょ。まあ、やってみましょう。「ライトボール」」
ライトボールがルークスの横を通り過ぎデュラハンに全弾命中する。
「うわぁ」
サトシの諦めにもともため息ともつかない言葉が漏れる。
「どのくらいダメージ与えられた?」
「1です。」
「は?1?で、HPは?」
「17万」
「いや、馬鹿にしてんのか?物理攻撃は?」
「じゃあ、試してみますか?ちょっとどいてください。」
ひらりと身をかわしたルークスの陰からサトシが突きを放つ。
キイィーーーン。
金属音が響き、サトシの手にはしびれが残るほどの衝撃があった。
「で、どれだけだ?」
「0です。」
「マジかぁ~。
こりゃ旗色悪いな。ちょっと退くか。徐々に後退するからお前ら距離取れ。」
「わかりました。」
サトシとアイは、ルークスから距離を取り後方に退避する。ルークスは押して来るデュラハンの攻撃を受けながら、じりじりと後退してゆく。
10mほど後退したところで、ルークスがサトシの方を見る。その様子にサトシは行動加速をかけながらルークスの近くまで戻る。
「おい、あいつ俺に集中して横穴には意識が向いて無さそうだ。いまひとつ素通りしてた。お前らは横穴に身を隠しておけ、俺は後からこいつを飛び越えて転移する。転移できそうな所にマークつけといてくれ。」
「わかりました。」
サトシはそう言うと、素早くアイの元に駆け寄り次の横穴を探す。
暗がりの中に、腰高の横穴が開いている。サトシは「探索(シーク)」をかけ安全を確認すると中に滑り込む。
息をひそめて、しばらく待っていると、サトシたちの目の前をデュラハンに攻撃されながらルークスが後退し通過してゆく。ルークスたちが遠ざかったことを確認して、二人は横穴から這い出す。
サトシは足元に転移用のマークを付けると、合図としてライトボールをデュラハンに打ち込む。
しばらくすると、マークの位置に転移の魔法陣が広がり、ルークスが現れる。
「いやはや。当たらないと分かってても、打ち込まれ続けるのは精神衛生上よくないな。」
「あれはヤバいっすね。これ死にイベントってことですね?」
「やっぱりゲーム脳だな。こんなところで死んでも、どうなるもんでもなかろう。」
「早くしないと、あいつが戻ってくるよ。」
「ああ、そうだな。急ごう。」
3人は足早に奥へと進む。
しばらく歩くと、分かれ道に出る。ギルドで写したマップが正しいとするなら、この分岐はいずれ合流するはずだ。サトシは「探索(シーク)」でこのループ状になっている坑道の安全を確認する。
すると、ループ状の坑道には二匹の魔獣が居るようだった。二匹は坑道ををぐるぐると周回するように動いていた。
「侵入者の排除か?」
「またデュラハンですかね?」
一匹は、右の分岐路を奥へと進んでいるようだった。もう一匹は奥から左の分岐路をこちらに向かって進んできている。
「奴だと厄介だな……
でも、この動き方なら、おんなじ方向に回ったら、出会わずに進めるんじゃね?」
「おお、ですね。それでいきますか。」
「そうだな。いくら俺には攻撃が当たらんとは言え、お前らに被害が及ばんとは限らんもんな。」
「一応、両方ともステータス確認しましょうか。」
「サトシ、こんな遠くからでも確認できるのか?」
「もう少し近づけばイケそうです。ちょっとやってみます。」
「サイクロプス Lv90 HP:258261/258261 ATK:18693 DEF:14254 吸収:火 水 土 風 耐性:光 闇」
「ミノタウロス Lv87 HP:228362/228362 ATK:18911 DEF:12548 吸収:光 闇 耐性:火 水 土 風 」
「あはははは。」
サトシは乾いた笑い声をあげる。
「どうした?」
「え~っと。サイクロプスとミノタウロスです。」
「ああ、なんか聞かなくても強さは判る気がするな。でも、一応聞いとくか。」
「両方HP20万越えです。魔法も耐性と吸収持ってますね。」
「よし。スルー決定!行くぞ。」
ルークスは諦め切った笑顔で二人に告げると、前後に控えるサイクロプスとミノタウロスの距離を測りながら、慎重に進み始める。
サイクロプス、ミノタウロスともに変則的な動きは無く、3人は安全にループ状になった分岐路を通過することが出来た。その先は脇道こそあるが、広く進みやすい行動だった。
脇道を探索するが、特にドロップアイテムも魔獣もなく、そのままメインの坑道をまっすぐ進む。
しばらく進むと、岩肌の変化に気づく。それまでは柔らかそうで、採掘するには楽だろうが簡単に崩落しそうな危なっかしい岩肌だった。が、坑道の奥に近づくと急にしっかりとした硬そうな岩肌になった。明らかにここから地層が変わっているようだった。
坑道の最奥と思われるところにたどり着くと、掘りっぱなしの穴がぽっかりと口を開けていた。大きさは人一人がやっと通れるほどの大きさだったが、穴の先は不自然に明るかった。
サトシたちは念のため「探索」をかけた上でその先へ進む。
穴を潜り抜けると、そこには王宮と見まごうばかりの立派な廊下があった。
0
お気に入りに追加
14
あなたにおすすめの小説
小さな大魔法使いの自分探しの旅 親に見捨てられたけど、無自覚チートで街の人を笑顔にします
藤なごみ
ファンタジー
※2024年10月下旬に、第2巻刊行予定です
2024年6月中旬に第一巻が発売されます
2024年6月16日出荷、19日販売となります
発売に伴い、題名を「小さな大魔法使いの自分探しの旅~親に見捨てられたけど、元気いっぱいに無自覚チートで街の人を笑顔にします~」→「小さな大魔法使いの自分探しの旅~親に見捨てられたけど、無自覚チートで街の人を笑顔にします~」
中世ヨーロッパに似ているようで少し違う世界。
数少ないですが魔法使いがが存在し、様々な魔導具も生産され、人々の生活を支えています。
また、未開発の土地も多く、数多くの冒険者が活動しています
この世界のとある地域では、シェルフィード王国とタターランド帝国という二つの国が争いを続けています
戦争を行る理由は様ながら長年戦争をしては停戦を繰り返していて、今は辛うじて平和な時が訪れています
そんな世界の田舎で、男の子は産まれました
男の子の両親は浪費家で、親の資産を一気に食いつぶしてしまい、あろうことかお金を得るために両親は行商人に幼い男の子を売ってしまいました
男の子は行商人に連れていかれながら街道を進んでいくが、ここで行商人一行が盗賊に襲われます
そして盗賊により行商人一行が殺害される中、男の子にも命の危険が迫ります
絶体絶命の中、男の子の中に眠っていた力が目覚めて……
この物語は、男の子が各地を旅しながら自分というものを探すものです
各地で出会う人との繋がりを通じて、男の子は少しずつ成長していきます
そして、自分の中にある魔法の力と向かいながら、色々な事を覚えていきます
カクヨム様と小説家になろう様にも投稿しております
異世界に召喚されたけど、聖女じゃないから用はない? それじゃあ、好き勝手させてもらいます!
明衣令央
ファンタジー
糸井織絵は、ある日、オブルリヒト王国が行った聖女召喚の儀に巻き込まれ、異世界ルリアルークへと飛ばされてしまう。
一緒に召喚された、若く美しい女が聖女――織絵は召喚の儀に巻き込まれた年増の豚女として不遇な扱いを受けたが、元スマホケースのハリネズミのぬいぐるみであるサーチートと共に、オブルリヒト王女ユリアナに保護され、聖女の力を開花させる。
だが、オブルリヒト王国の王子ジュニアスは、追い出した織絵にも聖女の可能性があるとして、織絵を連れ戻しに来た。
そして、異世界転移状態から正式に異世界転生した織絵は、若く美しい姿へと生まれ変わる。
この物語は、聖女召喚の儀に巻き込まれ、異世界転移後、新たに転生した一人の元おばさんの聖女が、相棒の元スマホケースのハリネズミと楽しく無双していく、恋と冒険の物語。
2022.9.7 話が少し進みましたので、内容紹介を変更しました。その都度変更していきます。
異世界でゆるゆるスローライフ!~小さな波乱とチートを添えて~
イノナかノかワズ
ファンタジー
助けて、刺されて、死亡した主人公。神様に会ったりなんやかんやあったけど、社畜だった前世から一転、ゆるいスローライフを送る……筈であるが、そこは知識チートと能力チートを持った主人公。波乱に巻き込まれたりしそうになるが、そこはのんびり暮らしたいと持っている主人公。波乱に逆らい、世界に名が知れ渡ることはなくなり、知る人ぞ知る感じに収まる。まぁ、それは置いといて、主人公の新たな人生は、温かな家族とのんびりした自然、そしてちょっとした研究生活が彩りを与え、幸せに溢れています。
*話はとてもゆっくりに進みます。また、序盤はややこしい設定が多々あるので、流しても構いません。
*他の小説や漫画、ゲームの影響が見え隠れします。作者の願望も見え隠れします。ご了承下さい。
*頑張って週一で投稿しますが、基本不定期です。
*無断転載、無断翻訳を禁止します。
小説家になろうにて先行公開中です。主にそっちを優先して投稿します。
カクヨムにても公開しています。
更新は不定期です。
異世界じゃスローライフはままならない~聖獣の主人は島育ち~
夏柿シン
ファンタジー
新作≪最弱な彼らに祝福を〜不遇職で導く精霊のリヴァイバル〜≫がwebにて連載開始
【小説第1〜5巻/コミックス第3巻発売中】
海外よりも遠いと言われる日本の小さな離島。
そんな島で愛犬と静かに暮らしていた青年は事故で命を落としてしまう。
死後に彼の前に現れた神様はこう告げた。
「ごめん! 手違いで地球に生まれちゃってた!」
彼は元々異世界で輪廻する魂だった。
異世界でもスローライフ満喫予定の彼の元に現れたのは聖獣になった愛犬。
彼の規格外の力を世界はほっといてくれなかった。
【書籍化決定】俗世から離れてのんびり暮らしていたおっさんなのに、俺が書の守護者って何かの間違いじゃないですか?
歩く魚
ファンタジー
幼い頃に迫害され、一人孤独に山で暮らすようになったジオ・プライム。
それから数十年が経ち、気づけば38歳。
のんびりとした生活はこの上ない幸せで満たされていた。
しかしーー
「も、もう一度聞いて良いですか? ジオ・プライムさん、あなたはこの死の山に二十五年間も住んでいるんですか?」
突然の来訪者によると、この山は人間が住める山ではなく、彼は世間では「書の守護者」と呼ばれ都市伝説のような存在になっていた。
これは、自分のことを弱いと勘違いしているダジャレ好きのおっさんが、人々を導き、温かさを思い出す物語。
※書籍化のため更新をストップします。
転移した場所が【ふしぎな果実】で溢れていた件
月風レイ
ファンタジー
普通の高校2年生の竹中春人は突如、異世界転移を果たした。
そして、異世界転移をした先は、入ることが禁断とされている場所、神の園というところだった。
そんな慣習も知りもしない、春人は神の園を生活圏として、必死に生きていく。
そこでしか成らない『ふしぎな果実』を空腹のあまり口にしてしまう。
そして、それは世界では幻と言われている祝福の果実であった。
食料がない春人はそんなことは知らず、ふしぎな果実を米のように常食として喰らう。
不思議な果実の恩恵によって、規格外に強くなっていくハルトの、異世界冒険大ファンタジー。
大修正中!今週中に修正終え更新していきます!
異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた
りゅう
ファンタジー
異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。
いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。
その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる