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サトシの譚
稽古の終わり
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結局一睡もできないまま翌朝を迎える。しかしサトシは晴れ晴れとした気持だった。疲労回復は観念動力で万全だし、念願の魔法も使えるようになった。非常に順調である。しかし、一抹の不安もある。昨日エリザベートから魔術について手ほどきを受け、その夜には属性適合を発現させて、初級魔術ができるまでになっている。これはエリザベートやカールから不審に思われるのではないだろうか。サトシは思う。
『魔術の事は秘密にしておこう』
エリザベートには昨晩の時点で魔力の動かし方についての手ほどきを受けたが、適合が無いと思われているはずだ。これほど能力を向上させることができる機会は早々訪れないだろうから、彼らから疑われるのは得策ではないとサトシは考えた。
朝の炊事で早速「炎の魔法」を使ってはいるが、アイにもその様子を見せず黙っておくことにした。
キャラバンの野営地では、すでにカールが稽古の準備をしていた。
昨日サトシが手合わせをしたルーキー冒険者数人と何やら話し込んでいるようだった。
「カールさん、今日も稽古よろしくお願ぇしやす!」
「いやだよ。あっちでやってろ。」
「今日こそは一本取ってみせやすゼ」
「だいたいお前誰だよ?」
サトシが近づくと、かみ合わない会話が聞こえてくる。
「おはようございます。今日もよろしくお願いします!」
「おお、サトシか。おはよう。今日も始めるか!」
カールは先ほどとは打って変わって満面の笑みである。サトシは素朴な疑問をカールにぶつける。
「カールさんは、あの冒険者の方々と親しいんですか?」
「いや、親しくはないな。とりあえず習いに来たから教えてるだけで」
「そうですか」
サトシからすれば、カールとルーキーたちは冒険者仲間という間柄に見える。しかし、会話を聞いているとずいぶんカールの彼らに対する扱いは軽いように感じる。ステータスを見れば当然と言えば当然なのだが、キャラバンの護衛という関係性からみれば仲間というにはずいぶんぞんざいな対応だと感じた。
それに加えて、何とも言い表せない不気味な印象も受けるが、サトシにはそれが何なのか説明することができなかった。あくまで不気味なというか、もやもやした印象を受けていた。しかし、カールの圧倒的なステータスのせいで受ける圧力の様な物だと勝手に納得しようとしていた。
「ようし。俺はこの棒っ切れを使うから、こっからは本気で手合わせするか。」
「よろしくお願いします!」
昨日は10名以上居たルーキー冒険者も、今日は3人ほどに減っている。何人かはここから離れたところでルーキー同士手合わせしている物も居る。サトシは不思議に思ったが、稽古の時間が増えるなら良いか。と、気にしないことにした。
カールは棒切れに魔力を注ぎ、サトシと真剣勝負を行う。と言ってもカールは随分手を抜いている様子だった。
サトシは両手で握った「グラディウス」に魔力を流す。昨日エリザベートに手ほどきを受けていなければ、これほどの魔力を流すことはできなかっただろう。サトシは剣をカールに向かって鋭く振り抜く。しかし、カールはゆったりとした動きでそれらをことごとく捌いてゆく。
サトシの攻撃を難なくいなしつつ、スキがあればケガをしない程度に棒ではたく。けがをせずに練習できることでサトシの腕前はみるみる上達していった。
手が止まるタイミングでカールはサトシの攻撃についてアドバイスをする。
「今の受け流しだが、ビュッときたのをペンっとうけたろ?そこはパンっと返す方がいいな」
「?はい…」
サトシはカールが何を言っているのかが良くわからなかった。昨日の理路整然とした説明とは打って変わって、擬音語ばかりの漠然としたアドバイスが飛ぶ。「あれ?」とサトシは思う。
「お、いまのザッときたのは良いが、その前のボワッってのはまずいな。もっとビュッといこう」
「あ、はい…」
何度かアドバイスを受けるうち、サトシには状況が理解できるようになってきた。
カールの剣術のアドバイスはかなり斑(むら)があった。昨日の魔術に関する説明のように理路整然とした指導をしたかと思えば、今日の手合わせに関しては漠然とした説明になる。サトシはこう考えた。
昨日の魔力や剣術の心構え的な内容については、カールが理解し理論的解釈に基づいて実践している。だから説明も理路整然としていた。
しかし、今日の手合わせに関する内容は、カールが普段反射的に対応している内容であるため、『「こう」来たら「こう」返す』という理解がカールの中に存在していない。あくまで反射的に戦っている。だから、それを説明することができないのではないかと。
そして、その推測はおおむね正解だった。実際カールは脊椎反射的に戦っていたし、それで十分だった。カールがうまく説明できる部分は、以前父親やギルドマスターのラファエルから学んだ部分だ。特に父親から習った内容は理路整然と説明されており。むしろその通りに今回も説明したと言える。ギルマスからの教えはもう少し大雑把ではあったが、説明内容は理論に基づいたものだった。それ以外の実践から学んだものや、祖父・伯父から習ったものは、直感によるものであるため本人にも説明ができない。
つまり、教わったようにしか教えられないのである。
……
サトシはまずカールの説明の理解を放棄し、カールの動作の意味について考えるようになった。サトシの動きをカールが捌く、その一連の動作の意味を読み解く。カールが何を思ってその動作を行ったのか、それをサトシは推測する。推測した内容と、カールのアドバイスを照らし合わせる。すると、カールの意図がつかめるようになってきた。
その手法を取ってから、稽古が一気に捗るようになる。サトシは、カールのアドバイスに「あっはい。」と機械的に返答し自分の仮説と照らし合わせる。見る間にサトシは上達していった。
日が傾き始めると、カールの稽古が終わり小屋に戻る。
小屋ではアイとエリザベートが談笑している。その後わずかな時間ではあるが、魔術の種類や効果についてエリザベートからレクチャーを受けて一日を終わる。
そんな生活を始めて7日目。このころにはカールのアドバイスも擬音語主体ではなく、「良いときだけ褒める」というスタイルに変化していた。その甲斐もあってか練習の成果は目を見張るものであった。が、それと同時にサトシはこの剣術稽古に限界を感じ始める。
カールの望む動作がサトシにはできないのである。圧倒的な筋力・敏捷性不足。これは如何ともし難かった。熟練度も向上しているが、敵を倒していない以上ステータスの向上はほとんどない。土台無理な話である。むしろここまでの向上が異常と言える。が、サトシは満足していなかった。それはいわば「RPG脳」とでもいうべきものだろう。
そこで、別のアプローチからサトシは実力向上を目指す。
筋力・俊敏性が無いのなら動作でそれを克服する。それを目指した。
カールの太刀筋は、良く言えば豪快、悪く言えば大雑把と言える。変則的で急加速・減速の連続する太刀筋は相手を翻弄し一刀で両断する。その分圧倒的な筋力を必要とした。これはサトシには不可能だった。そこで、まったく逆のアプローチから太刀筋を組み立てる。動いている剣を止めることなく、わずかな力で方向を変え、剣の速度と重みを利用し相手に斬撃を加える。言うのは容易いが、行うは難い。思うようにカールに打ち込めず、簡単にあしらわれ続ける。
それでも諦めずに稽古に励む。すでにルーキー冒険者たちは二人の稽古に入ることは無く、離れた所で自主練を行っている。それも幸いし集中して稽古ができた。
10日目を迎える頃には、出来ないながらも理想の太刀筋の兆しをつかみ始めていた。
サトシとしてはもう少し稽古をつけてもらいたいところだが、キャラバン出発の日が来た。
稽古が終わるとカールはサトシに尋ねた。
「サトシ!俺たちと一緒に来ないか?まあ、キャラバンの護衛やら武器の修理は手伝ってもらうことにはなるが、ここにいるよりいいと思うぜ?」
サトシはしばらく考え込む。
『稽古はしたい。そういう面ではついて行きたいけど。』
そう、行きたいのはやまやまだ。しかし、向かう先が問題だ。
魔王討伐
それもラスボスが……
これは激闘になること必至と言わざるを得ない。そんな所にノコノコついて行ったんでは命がいくらあっても足りない。サトシはそう思った。
「あ、ありがとうございます。でも、アイがここに残りたいって言うので。ありがたいお話ですが、ここに残ろうと思います。」
実際、アイはなぜかカールを避けている。エリザベートには懐いているが、カールには近づこうともしない。そんなアイを連れて行くことはできないだろう。
「そうか。悪い話じゃないと思うんだがなぁ。アイちゃんも一緒に来た方がここに居るより怖くないんじゃないか?」
「いえ、できればゴブリンに連れ去られた家族を助けたいんです。まだ実力が足りませんが、早く強くなって助けたいと思います。」
サトシは今回の稽古で剣術にはかなり自信が付いた。今ならゴブリンにも一矢報いることができる気がしている。そのことで、以前の情けなかった自分を打ち消すことができるのではないかと思い始めていた。
「……」
「……」
しばらくの沈黙が流れる。その後カールが、
「そうか。そうだな。助け出せるといいな。がんばれ!応援してるぞ。」
カールは何か言いたそうだが、それを飲み込んだようだった。
「俺も仕事が終わったら、また帰りに寄るからよ。その時に家族を助けられてたら、一緒に王都で鍛冶屋やらねぇか?」
「ありがとうございます。それまでに家族を助け出せるように頑張ります!」
カールと一緒に居ればもっと成長できるだろうし、王都にも興味がある。サトシにとってその申し出は何よりありがたかったし、他人である自分に、ここまで良くしてもらったことに本当に感謝していた。
カールの後ろからオットーが現れる。
「で、どうなった?」
「まあ、お前の予想通りだろう?」
「そうか、そろそろ出発するか?いい骨休めになったろ」
「そうだな。」
二人は、軽く会話を交わすと、出発準備を整えた車列の先頭に向かう。
「じゃあな、サトシ。次来た時にいい知らせが聞けることを期待してるよ。がんばれよ!アイちゃんも元気でな!」
「本当にありがとうございました!このご恩は一生忘れません」
サトシの本心だった。
車列が出発し、彼らの姿が見えなくなるまでサトシとアイはずっと手を振り続けていた。
『魔術の事は秘密にしておこう』
エリザベートには昨晩の時点で魔力の動かし方についての手ほどきを受けたが、適合が無いと思われているはずだ。これほど能力を向上させることができる機会は早々訪れないだろうから、彼らから疑われるのは得策ではないとサトシは考えた。
朝の炊事で早速「炎の魔法」を使ってはいるが、アイにもその様子を見せず黙っておくことにした。
キャラバンの野営地では、すでにカールが稽古の準備をしていた。
昨日サトシが手合わせをしたルーキー冒険者数人と何やら話し込んでいるようだった。
「カールさん、今日も稽古よろしくお願ぇしやす!」
「いやだよ。あっちでやってろ。」
「今日こそは一本取ってみせやすゼ」
「だいたいお前誰だよ?」
サトシが近づくと、かみ合わない会話が聞こえてくる。
「おはようございます。今日もよろしくお願いします!」
「おお、サトシか。おはよう。今日も始めるか!」
カールは先ほどとは打って変わって満面の笑みである。サトシは素朴な疑問をカールにぶつける。
「カールさんは、あの冒険者の方々と親しいんですか?」
「いや、親しくはないな。とりあえず習いに来たから教えてるだけで」
「そうですか」
サトシからすれば、カールとルーキーたちは冒険者仲間という間柄に見える。しかし、会話を聞いているとずいぶんカールの彼らに対する扱いは軽いように感じる。ステータスを見れば当然と言えば当然なのだが、キャラバンの護衛という関係性からみれば仲間というにはずいぶんぞんざいな対応だと感じた。
それに加えて、何とも言い表せない不気味な印象も受けるが、サトシにはそれが何なのか説明することができなかった。あくまで不気味なというか、もやもやした印象を受けていた。しかし、カールの圧倒的なステータスのせいで受ける圧力の様な物だと勝手に納得しようとしていた。
「ようし。俺はこの棒っ切れを使うから、こっからは本気で手合わせするか。」
「よろしくお願いします!」
昨日は10名以上居たルーキー冒険者も、今日は3人ほどに減っている。何人かはここから離れたところでルーキー同士手合わせしている物も居る。サトシは不思議に思ったが、稽古の時間が増えるなら良いか。と、気にしないことにした。
カールは棒切れに魔力を注ぎ、サトシと真剣勝負を行う。と言ってもカールは随分手を抜いている様子だった。
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手が止まるタイミングでカールはサトシの攻撃についてアドバイスをする。
「今の受け流しだが、ビュッときたのをペンっとうけたろ?そこはパンっと返す方がいいな」
「?はい…」
サトシはカールが何を言っているのかが良くわからなかった。昨日の理路整然とした説明とは打って変わって、擬音語ばかりの漠然としたアドバイスが飛ぶ。「あれ?」とサトシは思う。
「お、いまのザッときたのは良いが、その前のボワッってのはまずいな。もっとビュッといこう」
「あ、はい…」
何度かアドバイスを受けるうち、サトシには状況が理解できるようになってきた。
カールの剣術のアドバイスはかなり斑(むら)があった。昨日の魔術に関する説明のように理路整然とした指導をしたかと思えば、今日の手合わせに関しては漠然とした説明になる。サトシはこう考えた。
昨日の魔力や剣術の心構え的な内容については、カールが理解し理論的解釈に基づいて実践している。だから説明も理路整然としていた。
しかし、今日の手合わせに関する内容は、カールが普段反射的に対応している内容であるため、『「こう」来たら「こう」返す』という理解がカールの中に存在していない。あくまで反射的に戦っている。だから、それを説明することができないのではないかと。
そして、その推測はおおむね正解だった。実際カールは脊椎反射的に戦っていたし、それで十分だった。カールがうまく説明できる部分は、以前父親やギルドマスターのラファエルから学んだ部分だ。特に父親から習った内容は理路整然と説明されており。むしろその通りに今回も説明したと言える。ギルマスからの教えはもう少し大雑把ではあったが、説明内容は理論に基づいたものだった。それ以外の実践から学んだものや、祖父・伯父から習ったものは、直感によるものであるため本人にも説明ができない。
つまり、教わったようにしか教えられないのである。
……
サトシはまずカールの説明の理解を放棄し、カールの動作の意味について考えるようになった。サトシの動きをカールが捌く、その一連の動作の意味を読み解く。カールが何を思ってその動作を行ったのか、それをサトシは推測する。推測した内容と、カールのアドバイスを照らし合わせる。すると、カールの意図がつかめるようになってきた。
その手法を取ってから、稽古が一気に捗るようになる。サトシは、カールのアドバイスに「あっはい。」と機械的に返答し自分の仮説と照らし合わせる。見る間にサトシは上達していった。
日が傾き始めると、カールの稽古が終わり小屋に戻る。
小屋ではアイとエリザベートが談笑している。その後わずかな時間ではあるが、魔術の種類や効果についてエリザベートからレクチャーを受けて一日を終わる。
そんな生活を始めて7日目。このころにはカールのアドバイスも擬音語主体ではなく、「良いときだけ褒める」というスタイルに変化していた。その甲斐もあってか練習の成果は目を見張るものであった。が、それと同時にサトシはこの剣術稽古に限界を感じ始める。
カールの望む動作がサトシにはできないのである。圧倒的な筋力・敏捷性不足。これは如何ともし難かった。熟練度も向上しているが、敵を倒していない以上ステータスの向上はほとんどない。土台無理な話である。むしろここまでの向上が異常と言える。が、サトシは満足していなかった。それはいわば「RPG脳」とでもいうべきものだろう。
そこで、別のアプローチからサトシは実力向上を目指す。
筋力・俊敏性が無いのなら動作でそれを克服する。それを目指した。
カールの太刀筋は、良く言えば豪快、悪く言えば大雑把と言える。変則的で急加速・減速の連続する太刀筋は相手を翻弄し一刀で両断する。その分圧倒的な筋力を必要とした。これはサトシには不可能だった。そこで、まったく逆のアプローチから太刀筋を組み立てる。動いている剣を止めることなく、わずかな力で方向を変え、剣の速度と重みを利用し相手に斬撃を加える。言うのは容易いが、行うは難い。思うようにカールに打ち込めず、簡単にあしらわれ続ける。
それでも諦めずに稽古に励む。すでにルーキー冒険者たちは二人の稽古に入ることは無く、離れた所で自主練を行っている。それも幸いし集中して稽古ができた。
10日目を迎える頃には、出来ないながらも理想の太刀筋の兆しをつかみ始めていた。
サトシとしてはもう少し稽古をつけてもらいたいところだが、キャラバン出発の日が来た。
稽古が終わるとカールはサトシに尋ねた。
「サトシ!俺たちと一緒に来ないか?まあ、キャラバンの護衛やら武器の修理は手伝ってもらうことにはなるが、ここにいるよりいいと思うぜ?」
サトシはしばらく考え込む。
『稽古はしたい。そういう面ではついて行きたいけど。』
そう、行きたいのはやまやまだ。しかし、向かう先が問題だ。
魔王討伐
それもラスボスが……
これは激闘になること必至と言わざるを得ない。そんな所にノコノコついて行ったんでは命がいくらあっても足りない。サトシはそう思った。
「あ、ありがとうございます。でも、アイがここに残りたいって言うので。ありがたいお話ですが、ここに残ろうと思います。」
実際、アイはなぜかカールを避けている。エリザベートには懐いているが、カールには近づこうともしない。そんなアイを連れて行くことはできないだろう。
「そうか。悪い話じゃないと思うんだがなぁ。アイちゃんも一緒に来た方がここに居るより怖くないんじゃないか?」
「いえ、できればゴブリンに連れ去られた家族を助けたいんです。まだ実力が足りませんが、早く強くなって助けたいと思います。」
サトシは今回の稽古で剣術にはかなり自信が付いた。今ならゴブリンにも一矢報いることができる気がしている。そのことで、以前の情けなかった自分を打ち消すことができるのではないかと思い始めていた。
「……」
「……」
しばらくの沈黙が流れる。その後カールが、
「そうか。そうだな。助け出せるといいな。がんばれ!応援してるぞ。」
カールは何か言いたそうだが、それを飲み込んだようだった。
「俺も仕事が終わったら、また帰りに寄るからよ。その時に家族を助けられてたら、一緒に王都で鍛冶屋やらねぇか?」
「ありがとうございます。それまでに家族を助け出せるように頑張ります!」
カールと一緒に居ればもっと成長できるだろうし、王都にも興味がある。サトシにとってその申し出は何よりありがたかったし、他人である自分に、ここまで良くしてもらったことに本当に感謝していた。
カールの後ろからオットーが現れる。
「で、どうなった?」
「まあ、お前の予想通りだろう?」
「そうか、そろそろ出発するか?いい骨休めになったろ」
「そうだな。」
二人は、軽く会話を交わすと、出発準備を整えた車列の先頭に向かう。
「じゃあな、サトシ。次来た時にいい知らせが聞けることを期待してるよ。がんばれよ!アイちゃんも元気でな!」
「本当にありがとうございました!このご恩は一生忘れません」
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