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第三章『地下ダンジョンと禁忌の実験』
五話『ダンジョン突入』
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しばらく寮門に先輩を見かけないと思ったが、どうやら寝込んでしまっているらしい。
どうしたんだろう・・・体弱いのかな。
これでつくもに触れなくなるリスクが減った。
触れられないと・・・比喩なく死ねる自信がある。
僕は最近至福というものを見つけたのだ。
ベット上でつくもを枕にして寝て、お腹の上にレヴィを乗せる。
もしくは、レヴィのとぐろに緩く座って小さくなった狐のつくもをお腹に乗せる。
これが最高なのだ・・・
交互にやると死ぬほど幸せだった。
「・・・幸せだ・・・これでフールが居ればなぁ・・・」
『心中お察しします』
「悲しい訳じゃないけどさぁ・・・」
どっちかって言うと幸せだ。
この温もり・・・
雨の日に寄り添って寝ていたのを思い出す。
とても安心するんだ・・・あれは。
「そういえば、そろそろダンジョン解放日だよね?」
「あぁ、その事なんだが。ついさっき副会長とやらが尋ねて来てな。貴様は寝ていたから私が対応したのだが、貴様には特別に最下層へ直接降りる許可が出たそうだ」
「・・・ふーん。多分、生徒会長がその情報を片手に約束こじつけようとしてたのかな」
『そのような所でしょう。あの臭い人間はお父様に近付く権利すらありません。本来ならその御姿を拝見することさえ・・・』
「はいはい。でもまぁ、なら明日にでも行ってみようか?」
僕は研究室も持ってないし、勉強も図書館である程度した。
文字の読み書きはできるし、1年の内容はほぼ完璧と言って相違ないだろう。
ここ暫くは修行がてらレヴィの適切な魔力量を調整してたからなぁ。
最終的には僕の魔力の半分を上げた。
・・・まぁ成長で元より増えたんだけどね。
それでも少し倦怠感はある。
「・・・体、動かしたいよね」
『そうですね・・・私がお父様の御身体を御守り致します』
「私がサポートか。あまり手は出さないからな」
「うん。レヴィも気持ちは嬉しいけど、これは僕の修行だから。どっちかって言うと魔具の見落としがないか一緒に探してね」
『かしこまりました』
そうして明日の準備を果たし、僕らは床に付いた。
翌日、朝早くに副会長が訪れた。
最初はつくもが対応していたが、僕を出せとうるさいらしい。
・・・もう少し寝たかったなぁ。
意外と朝に弱いレヴィを寝かせ、僕はつくもの側へ寄る。
「・・・貴様、なんだその体たらくは。男としての恥を──」
「で、何の用ですか?」
「我が主よ。どうやら迎えのようだぞ」
・・・?迎え・・・?
え、地下ダンジョンの?
「え?一緒に行かなきゃなんですか?」
「その通りだ。昨日は伝え忘れたが、迎えに行けばいいと結論づけた」
・・・・・・この人、アホだ。
前に生徒会長が『脳筋が』と言っていたのを思い出す。
そのまんまの意味なのか・・・
「はぁ・・・分かりましたよ・・・少し待っててください」
「私に男の部屋に入れ──」
「部屋には入れません」
口を紡ぐ副会長。
ほんとに面倒な人だな・・・
§
目の前にある大きな扉。
金の縁に彩られ、そして真ん中には扉と同じく巨大な魔法陣が描けれている。
僕らが到着すると、学園長が扉に手をかざし、魔力を流した。
・・・たしかに常人じゃ無理な量ではあるが、僕からすれば全く問題のないものだ。
『この程度の扉ならば食べれますね』
「食べないでね」
『承知致しました』
僕らはそう軽口を叩き合い、開いた扉の少し奥に見える塔に近付いた。
・・・なるほど、これで下まで行くのか。
魔力を流して最後に行った階層まで飛ぶ感じかな。
だから同伴なのかな?
「本来ならば会長が赴く筈だったが、今日は少し体調が優れないようでな」
副会長がレヴィを見ながら言う。
というか、副会長だけじゃなく、周りの殆どの人間はレヴィを見ている。
・・・まぁ蛇だし、見方によっては僕が襲われてるように見えるのかも?
じゃあ助けようとしてよ・・・
「・・・じゃあお願いします」
「うむ。柱に手をつけろ」
瞬間、副会長が魔力を流すのがわかった。
視界が一瞬白く染まり、収まるとそこは。
宮殿のような場所だった。
「・・・・・・入り口とは随分と雰囲気が違うようだ」
「そうだね」
扉が開いた所は洞窟のような場所だった。
だがここは、そんなことを感じさせるような雰囲気はない。
むしろ、陽の光が──
「空がある・・・?」
『お父様、これは空間魔法の1種です。外の時間と連動し、外の天気を再現します。ダンジョンのコアにもよりますが、ここは相当レベルが高いようですね』
レヴィがそう言うならそうなのだろう。
そもそも最下層が見つかってないダンジョンだ。
それはもちろん、魔物が強くて先へ進めないことも関係している。
・・・まぁ、そうだな。
とりあえず・・・
「副会長・・・どこ?」
行方不明者を探そうか。
§
奥には進まず、ホールのようなこの場所を見渡すが、やはり副会長は見えない。
そこで僕ら・・・というか、僕はいくつかの仮説を立てた。
1つは、そもそも、僕らだけを送るつもりだったというもの。
あれは僕の知識にもレヴィの知識にもなかったから、どんな効果があるのからわからないけど、生徒会の先輩だし、もしかしたら出来てもおかしくない。
2つめは、別々の階層への転移。
まぁ別におかしなことじゃない。
元々僕はこのダンジョンに入ったことなんてない。
けど、イレギュラーであることには変わりはないだろう。
生徒会側がこのリスクを理解してない訳が無い。
だからこそ。
「・・・まぁいいや」
「うむ。問題はあるまい」
『私達であればこの階層レベルなら問題ないでしょう』
「だね」
未だにモンスターが現れないのが不思議だが、もしかしたらセーフゾーンなのかもしれない。
それならこの装飾にも頷ける。
ぴくりと、レヴィが反応した。
『・・・そんな・・・・・・・・・まさか・・・・・・・・・同胞の気配・・・?』
どうしたんだろう・・・体弱いのかな。
これでつくもに触れなくなるリスクが減った。
触れられないと・・・比喩なく死ねる自信がある。
僕は最近至福というものを見つけたのだ。
ベット上でつくもを枕にして寝て、お腹の上にレヴィを乗せる。
もしくは、レヴィのとぐろに緩く座って小さくなった狐のつくもをお腹に乗せる。
これが最高なのだ・・・
交互にやると死ぬほど幸せだった。
「・・・幸せだ・・・これでフールが居ればなぁ・・・」
『心中お察しします』
「悲しい訳じゃないけどさぁ・・・」
どっちかって言うと幸せだ。
この温もり・・・
雨の日に寄り添って寝ていたのを思い出す。
とても安心するんだ・・・あれは。
「そういえば、そろそろダンジョン解放日だよね?」
「あぁ、その事なんだが。ついさっき副会長とやらが尋ねて来てな。貴様は寝ていたから私が対応したのだが、貴様には特別に最下層へ直接降りる許可が出たそうだ」
「・・・ふーん。多分、生徒会長がその情報を片手に約束こじつけようとしてたのかな」
『そのような所でしょう。あの臭い人間はお父様に近付く権利すらありません。本来ならその御姿を拝見することさえ・・・』
「はいはい。でもまぁ、なら明日にでも行ってみようか?」
僕は研究室も持ってないし、勉強も図書館である程度した。
文字の読み書きはできるし、1年の内容はほぼ完璧と言って相違ないだろう。
ここ暫くは修行がてらレヴィの適切な魔力量を調整してたからなぁ。
最終的には僕の魔力の半分を上げた。
・・・まぁ成長で元より増えたんだけどね。
それでも少し倦怠感はある。
「・・・体、動かしたいよね」
『そうですね・・・私がお父様の御身体を御守り致します』
「私がサポートか。あまり手は出さないからな」
「うん。レヴィも気持ちは嬉しいけど、これは僕の修行だから。どっちかって言うと魔具の見落としがないか一緒に探してね」
『かしこまりました』
そうして明日の準備を果たし、僕らは床に付いた。
翌日、朝早くに副会長が訪れた。
最初はつくもが対応していたが、僕を出せとうるさいらしい。
・・・もう少し寝たかったなぁ。
意外と朝に弱いレヴィを寝かせ、僕はつくもの側へ寄る。
「・・・貴様、なんだその体たらくは。男としての恥を──」
「で、何の用ですか?」
「我が主よ。どうやら迎えのようだぞ」
・・・?迎え・・・?
え、地下ダンジョンの?
「え?一緒に行かなきゃなんですか?」
「その通りだ。昨日は伝え忘れたが、迎えに行けばいいと結論づけた」
・・・・・・この人、アホだ。
前に生徒会長が『脳筋が』と言っていたのを思い出す。
そのまんまの意味なのか・・・
「はぁ・・・分かりましたよ・・・少し待っててください」
「私に男の部屋に入れ──」
「部屋には入れません」
口を紡ぐ副会長。
ほんとに面倒な人だな・・・
§
目の前にある大きな扉。
金の縁に彩られ、そして真ん中には扉と同じく巨大な魔法陣が描けれている。
僕らが到着すると、学園長が扉に手をかざし、魔力を流した。
・・・たしかに常人じゃ無理な量ではあるが、僕からすれば全く問題のないものだ。
『この程度の扉ならば食べれますね』
「食べないでね」
『承知致しました』
僕らはそう軽口を叩き合い、開いた扉の少し奥に見える塔に近付いた。
・・・なるほど、これで下まで行くのか。
魔力を流して最後に行った階層まで飛ぶ感じかな。
だから同伴なのかな?
「本来ならば会長が赴く筈だったが、今日は少し体調が優れないようでな」
副会長がレヴィを見ながら言う。
というか、副会長だけじゃなく、周りの殆どの人間はレヴィを見ている。
・・・まぁ蛇だし、見方によっては僕が襲われてるように見えるのかも?
じゃあ助けようとしてよ・・・
「・・・じゃあお願いします」
「うむ。柱に手をつけろ」
瞬間、副会長が魔力を流すのがわかった。
視界が一瞬白く染まり、収まるとそこは。
宮殿のような場所だった。
「・・・・・・入り口とは随分と雰囲気が違うようだ」
「そうだね」
扉が開いた所は洞窟のような場所だった。
だがここは、そんなことを感じさせるような雰囲気はない。
むしろ、陽の光が──
「空がある・・・?」
『お父様、これは空間魔法の1種です。外の時間と連動し、外の天気を再現します。ダンジョンのコアにもよりますが、ここは相当レベルが高いようですね』
レヴィがそう言うならそうなのだろう。
そもそも最下層が見つかってないダンジョンだ。
それはもちろん、魔物が強くて先へ進めないことも関係している。
・・・まぁ、そうだな。
とりあえず・・・
「副会長・・・どこ?」
行方不明者を探そうか。
§
奥には進まず、ホールのようなこの場所を見渡すが、やはり副会長は見えない。
そこで僕ら・・・というか、僕はいくつかの仮説を立てた。
1つは、そもそも、僕らだけを送るつもりだったというもの。
あれは僕の知識にもレヴィの知識にもなかったから、どんな効果があるのからわからないけど、生徒会の先輩だし、もしかしたら出来てもおかしくない。
2つめは、別々の階層への転移。
まぁ別におかしなことじゃない。
元々僕はこのダンジョンに入ったことなんてない。
けど、イレギュラーであることには変わりはないだろう。
生徒会側がこのリスクを理解してない訳が無い。
だからこそ。
「・・・まぁいいや」
「うむ。問題はあるまい」
『私達であればこの階層レベルなら問題ないでしょう』
「だね」
未だにモンスターが現れないのが不思議だが、もしかしたらセーフゾーンなのかもしれない。
それならこの装飾にも頷ける。
ぴくりと、レヴィが反応した。
『・・・そんな・・・・・・・・・まさか・・・・・・・・・同胞の気配・・・?』
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