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9話 ストーカー呼ばわりされる
しおりを挟む9話
どういうことだ。
遅刻寸前。食パンをくわえて道の角を曲がると
百合絵ゆりがいるではないか。
この辺りに住んでるのか?
いや、それなら小学校同じだったはずだよな...。
「お前、この辺に住んでるのか??」
「...そうだけど」
下を向いて放たれた言葉はなんだか寂しそうにみえた。
☆☆☆☆☆☆
百合絵と共に電車に乗り、学校へ向かった俺らは
無事時間内に学校に着いた。
「ちょっと...。今何分!?」
百合絵が聞いてきた。
言い方キツイし怖いよ!?
名前と性格合ってないよね!?
「...8時20分」
8時半までに席についていれば良いので、まだ10分は余裕がある。
「はぁ...。疲れた」
俺は体力が無い事には自信がある。
かつて中学で毎年行われるマラソン大会で
ワースト10位を記録していた伝説がある。
まあ長距離が苦手な分、短距離は物凄く得意
なのだが。
「...っ。うちの方が疲れたし!!」
「いや。俺の方が疲れた」
「いや、うちのほうが!!」
そんなたわいの無い会話を教室の前でしていると
ドアが物凄い勢いで開いた。
「お前ら...!!もう遅刻か!いい度胸してるな」
うわああああ。
物凄い剣幕で俺らに怒鳴っているこの人は、
担任の五津井春臣である。
てか、時間的に10分の余裕があるはずだ。
俺の時計の時間があっていればの話だが。
開かれたドアの隙間から教室にある時計に目をやると、時刻は9時を示していた。
あれ?9時?俺の時計時間40分も遅れてる...。
やばい。このままでは百合絵に殺されてしまう。
「時計を見ろ!!もう9時だぞ。お前ら早々遅刻
とはどういうことだ」
また五津井が怒鳴った。
「...え?9時?」
驚いた声を出した百合絵は教室の時計を確認した
瞬間、すべてを察し俺を睨んだ。
「瀬戸おおおお!!!!!何が8時20分!?
9時じゃん9時!!」
...この後俺らは散々怒られた。
☆☆☆☆☆☆
キーンコーンカーンコーン
1時間目終了。
それにしても五津井が英語の先生だったとは...。
一時間目が英語じゃなかったらあんなに怒られ
なかっただろうな...。五津井に散々怒られた挙句
俺らは放課後残って反省文を書かされることに
なった。
それにしても前の人がちょくちょく睨んでくる。
きゃーこわーい。
「瀬戸おおおおお。あんたのせいで放課後
反省文書かされることになったじゃん。
どうしてくれんのよ。」
遂には睨むだけでは足りず喋りかけてきた。
「俺のせいって訳でもないだろ。たしかに俺の時計
遅れてたけど。お前、今日寝坊したろ?」
「なっ...」
フッ。なぜ分かったかって?何故なら俺が寝坊
したからさ。朝から寝坊したのにあの時間であの場所で百合絵に会うのは、百合絵も寝坊したからに
違いないと思った訳だ。
「...」
ん? 百合絵が何か呟いた。
小さな声で聞こえない。
「なんだ?」
「...なんで、なんで寝坊したこと知ってるの!?
この、この!ストーカー!!変態!!」
はああああああ。なんでストーカー呼ばわりされなきゃならねんだよ!
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