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第四部 星巡再会
108 神聖境界線
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それにしても腹に穴が開いたら超痛いな。痛さで気を失えたら楽なのに、そうできないのがつらいところだ。
「HPをゼロにできないなら……苦痛を与え続けて心を折ってやろう」
魔神ベルゼビュートは、忌々しそうに言った。
「っつ!!」
同時に、足元に生えた細い刺が、俺のふくらはぎを貫く。
じわじわ戦意をそぐ作戦か。
「痛いか? お前の不死は、まるで死ねない呪いだな。復活してHPが回復することも、レベルを上げる付加効果も無いのだろう」
「……」
ベルゼビュートの言う通り、同じ不死でも、レベルが上がるなどの嬉しい特典は無い。
俺の不死は、単に死ねないってだけだ。
あー痛い。気を紛らすために、さっき開発したばかりの新しい魔法の式を改良しよう。
「……召喚する、地の霊……ちがうな。大地の……」
魔法の呪文は、リクエストという魔法の専門言語から成る。
俺の口からこぼれた呪文に、ベルゼビュートは目をむいた。
「この状況で魔法式を編集するだと? 馬鹿な、そんな事が可能なのか?!」
うるせ。
血が流れ過ぎて目がかすむ。地面に膝が付きそうになるのを、必死でこらえた。
それにしても黒崎のやつ、一対一にこだわって行儀よく俺だけに攻撃するとか、何考えてんだ。邪魔な大地たちは、殺すか俺に対する人質にした方が効果的なのに。もしかして……。
脇道に逸れた思考を一旦、中断する。
そろそろ魔力が回復して、盾運魔法式を二回撃てる量だ。
今、改良したばかりの魔法を発動する。
「盾運魔法式×2、金剛石投石機!」
地の精霊が宿った結晶を同時に四個生成し、防御魔法でコーティングして発射する。
四個の結晶は、ベルゼビュートの黒炎の反撃を突き破って命中した。
人間辞めて巨体になったのが仇になったな。
あんな大きい化け物に変身したら良い的だ。
「琥珀封呪」
HPが半分以上削れたところで、とどめに封印魔法だ。
琥珀封呪は、対象が弱っていれば成功率が上がる。
「おのれ……っ!」
魔神ベルゼビュートの体を、琥珀がパキパキと包みこんでいく。
倒したら復活するなら、復活しないよう封印すればいい。簡単な解決方法だ。
やがて怒りの表情を浮かべたまま、ベルゼビュートは巨大な琥珀に閉じ込められる。
「いっちょあがり」
はやく心菜を助けにいかないと。
振り返ると、椿が呆然としているのが目に入った。
「永治……」
やば、ちょっとやりすぎたかな。
真が苦笑している。
「さすが枢っち! 魔神も敵じゃねーのな。けどボロボロ過ぎるんじゃね? 大丈」
「枢さん! ベルゼビュートが」
大地が、真の言葉をさえぎって警告の声を上げる。
バキリ。
背後で響いた不吉な音に、俺は「まさか」と思いながら振り返った。
「!」
巨大な琥珀にヒビが入り、爆発四散する。
封印から解放されたベルゼビュートは、黒い翼を広げて悠然と空に舞い上がった。
「……これで勝ちだと思わないことだ」
俺は口元の血を拭いながら、言い返した。
「思ってないさ。そもそも、お前が本気なら範囲魔法なり、もっと物騒な殲滅魔法なりを使ってただろ。気をつかって俺に的を絞るからこうなるんだ」
大地と椿は「どういう意味?」という顔をしている。
真は顔色を変えない。気付いてたんだな。
「大事な誰かさんに攻撃をあてないように、ってことだよ」
笑いかけてやると、椿は目を見開いた。
小さく「嘘……永治?」と呟く
「黙れ」
ベルゼビュートは不機嫌そうに唸った。
「近藤枢、お前の大事な者たちをまとめて消してやる。その舞台は、ここではない」
俺は、アダマスが魔族の攻撃を受けていることを思い出した。
「まさか……まとめて、ってのは」
「俺の今のレベルであれば、神聖境界線を突破できるだろう。礼を言うぞ、近藤の愉快な仲間たち。自殺では、レベルを倍にして復活できないからな」
魔神ベルゼビュートは、俺たちを見下ろしながら、高度を上げていく。
空を飛んで、どこかへ行こうとしているのだ。
「リーシャン!」
「りょうかいだよー」
俺はリーシャンを呼んだ。
以心伝心なリーシャンは、すぐさま巨大化して、元の竜神の姿に戻る。
その背中によじ登りながら回復魔法を使う。
「……解毒、治癒」
毒で傷が治らないから、まずは解毒。その後で治癒。
これで穴が空いた服はともかく、体は元通り。
「置いてくなよ、枢!」
真たちが急いでリーシャンに飛び乗ってきた。
リーシャンは「重いー」と嘆く。
「なんだよー、回復できるなら早くしろよ。痛々しい姿で戦いやがって」
「攻撃されるごとに解毒するのが面倒くて」
真の文句に、軽口を返した。
ついでリーシャンの首筋にしっかりしがみつく。
「リーシャン、全速力で、ベルゼビュートを追ってくれ。お得意の口からビームで撃ち落としても良いぞ」
「オーケーだよー!!」
間延びした口調で答えるリーシャン。
空飛ぶベルゼビュートの後ろ姿が小さくなりつつある。
リーシャンは床を蹴って空に舞い上がると、速度を上げて飛翔を始めた。
「成敗!」
例によって口からビームを放つが、ベルゼビュートに効いている気配は無い。
荒野を抜け、 凍てついた賽河原を越え、山脈の上をジグザグに飛行すれば、その先は……魔界の終わり。人界と魔界を隔てる透明な神聖境界線がある。
ベルゼビュートは、神聖境界線の前で急停止した。
「見るが良い、近藤枢。お前の張った結界が破壊され、守るべき民たちが無惨に蹂躙される様を!」
強大な魔力を秘めた黒炎が、ベルゼビュートの周囲に集まる。
禍々しい炎の渦が産み出された。
ベルゼビュートが押し出す動作をすると、炎の渦は神聖境界線に肉薄する。透明な境界線が炙りだされ、肉眼で見えるようになった。
「止めろ……!」
神聖境界線がたわむ。
俺は「保ってくれ」と願ったが、それが無理だと分かっていた。
さすがにLv.4042の化け物の攻撃に耐えられるようにできていない。
「境界線が」
俺たちの目の前で、ガラスが割れるような音を響かせ、神聖境界線は砕けていった。光の破片が空中に飛び散る。
「ククク……フハハハハ! これでお前たち光の七神の時代は終わりだ。世界は再び我々、魔族の手に戻る!」
魔神ベルゼビュートが高らかに笑い声を上げる。
くそっ……徹夜して作った神聖境界線を、よくも壊してくれたな。
「カナメ! 境界線が消えて魔族が入り放題になったら、人界が大変な事に……カナメ?」
「……どんな構造の境界線にしようかな……ん? どうしたんだリーシャン、そんな慌てて」
次はもっと頑丈な結界を作ろうと、魔法式の改良について考えていた俺の後ろ頭を、真がはたいた。
「枢っち……世界の危機だよ? もっとそれっぽい反応しようぜ」
うーん。神聖境界線はまた作ればいいし、どう反応すれば満足なんだ。
「HPをゼロにできないなら……苦痛を与え続けて心を折ってやろう」
魔神ベルゼビュートは、忌々しそうに言った。
「っつ!!」
同時に、足元に生えた細い刺が、俺のふくらはぎを貫く。
じわじわ戦意をそぐ作戦か。
「痛いか? お前の不死は、まるで死ねない呪いだな。復活してHPが回復することも、レベルを上げる付加効果も無いのだろう」
「……」
ベルゼビュートの言う通り、同じ不死でも、レベルが上がるなどの嬉しい特典は無い。
俺の不死は、単に死ねないってだけだ。
あー痛い。気を紛らすために、さっき開発したばかりの新しい魔法の式を改良しよう。
「……召喚する、地の霊……ちがうな。大地の……」
魔法の呪文は、リクエストという魔法の専門言語から成る。
俺の口からこぼれた呪文に、ベルゼビュートは目をむいた。
「この状況で魔法式を編集するだと? 馬鹿な、そんな事が可能なのか?!」
うるせ。
血が流れ過ぎて目がかすむ。地面に膝が付きそうになるのを、必死でこらえた。
それにしても黒崎のやつ、一対一にこだわって行儀よく俺だけに攻撃するとか、何考えてんだ。邪魔な大地たちは、殺すか俺に対する人質にした方が効果的なのに。もしかして……。
脇道に逸れた思考を一旦、中断する。
そろそろ魔力が回復して、盾運魔法式を二回撃てる量だ。
今、改良したばかりの魔法を発動する。
「盾運魔法式×2、金剛石投石機!」
地の精霊が宿った結晶を同時に四個生成し、防御魔法でコーティングして発射する。
四個の結晶は、ベルゼビュートの黒炎の反撃を突き破って命中した。
人間辞めて巨体になったのが仇になったな。
あんな大きい化け物に変身したら良い的だ。
「琥珀封呪」
HPが半分以上削れたところで、とどめに封印魔法だ。
琥珀封呪は、対象が弱っていれば成功率が上がる。
「おのれ……っ!」
魔神ベルゼビュートの体を、琥珀がパキパキと包みこんでいく。
倒したら復活するなら、復活しないよう封印すればいい。簡単な解決方法だ。
やがて怒りの表情を浮かべたまま、ベルゼビュートは巨大な琥珀に閉じ込められる。
「いっちょあがり」
はやく心菜を助けにいかないと。
振り返ると、椿が呆然としているのが目に入った。
「永治……」
やば、ちょっとやりすぎたかな。
真が苦笑している。
「さすが枢っち! 魔神も敵じゃねーのな。けどボロボロ過ぎるんじゃね? 大丈」
「枢さん! ベルゼビュートが」
大地が、真の言葉をさえぎって警告の声を上げる。
バキリ。
背後で響いた不吉な音に、俺は「まさか」と思いながら振り返った。
「!」
巨大な琥珀にヒビが入り、爆発四散する。
封印から解放されたベルゼビュートは、黒い翼を広げて悠然と空に舞い上がった。
「……これで勝ちだと思わないことだ」
俺は口元の血を拭いながら、言い返した。
「思ってないさ。そもそも、お前が本気なら範囲魔法なり、もっと物騒な殲滅魔法なりを使ってただろ。気をつかって俺に的を絞るからこうなるんだ」
大地と椿は「どういう意味?」という顔をしている。
真は顔色を変えない。気付いてたんだな。
「大事な誰かさんに攻撃をあてないように、ってことだよ」
笑いかけてやると、椿は目を見開いた。
小さく「嘘……永治?」と呟く
「黙れ」
ベルゼビュートは不機嫌そうに唸った。
「近藤枢、お前の大事な者たちをまとめて消してやる。その舞台は、ここではない」
俺は、アダマスが魔族の攻撃を受けていることを思い出した。
「まさか……まとめて、ってのは」
「俺の今のレベルであれば、神聖境界線を突破できるだろう。礼を言うぞ、近藤の愉快な仲間たち。自殺では、レベルを倍にして復活できないからな」
魔神ベルゼビュートは、俺たちを見下ろしながら、高度を上げていく。
空を飛んで、どこかへ行こうとしているのだ。
「リーシャン!」
「りょうかいだよー」
俺はリーシャンを呼んだ。
以心伝心なリーシャンは、すぐさま巨大化して、元の竜神の姿に戻る。
その背中によじ登りながら回復魔法を使う。
「……解毒、治癒」
毒で傷が治らないから、まずは解毒。その後で治癒。
これで穴が空いた服はともかく、体は元通り。
「置いてくなよ、枢!」
真たちが急いでリーシャンに飛び乗ってきた。
リーシャンは「重いー」と嘆く。
「なんだよー、回復できるなら早くしろよ。痛々しい姿で戦いやがって」
「攻撃されるごとに解毒するのが面倒くて」
真の文句に、軽口を返した。
ついでリーシャンの首筋にしっかりしがみつく。
「リーシャン、全速力で、ベルゼビュートを追ってくれ。お得意の口からビームで撃ち落としても良いぞ」
「オーケーだよー!!」
間延びした口調で答えるリーシャン。
空飛ぶベルゼビュートの後ろ姿が小さくなりつつある。
リーシャンは床を蹴って空に舞い上がると、速度を上げて飛翔を始めた。
「成敗!」
例によって口からビームを放つが、ベルゼビュートに効いている気配は無い。
荒野を抜け、 凍てついた賽河原を越え、山脈の上をジグザグに飛行すれば、その先は……魔界の終わり。人界と魔界を隔てる透明な神聖境界線がある。
ベルゼビュートは、神聖境界線の前で急停止した。
「見るが良い、近藤枢。お前の張った結界が破壊され、守るべき民たちが無惨に蹂躙される様を!」
強大な魔力を秘めた黒炎が、ベルゼビュートの周囲に集まる。
禍々しい炎の渦が産み出された。
ベルゼビュートが押し出す動作をすると、炎の渦は神聖境界線に肉薄する。透明な境界線が炙りだされ、肉眼で見えるようになった。
「止めろ……!」
神聖境界線がたわむ。
俺は「保ってくれ」と願ったが、それが無理だと分かっていた。
さすがにLv.4042の化け物の攻撃に耐えられるようにできていない。
「境界線が」
俺たちの目の前で、ガラスが割れるような音を響かせ、神聖境界線は砕けていった。光の破片が空中に飛び散る。
「ククク……フハハハハ! これでお前たち光の七神の時代は終わりだ。世界は再び我々、魔族の手に戻る!」
魔神ベルゼビュートが高らかに笑い声を上げる。
くそっ……徹夜して作った神聖境界線を、よくも壊してくれたな。
「カナメ! 境界線が消えて魔族が入り放題になったら、人界が大変な事に……カナメ?」
「……どんな構造の境界線にしようかな……ん? どうしたんだリーシャン、そんな慌てて」
次はもっと頑丈な結界を作ろうと、魔法式の改良について考えていた俺の後ろ頭を、真がはたいた。
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