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第一部

後書き

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これにて、第一部完結となります。
ご拝読ありがとうございました。

本作は、以下の成分で構成されています。

・可愛いタヌキ
・主人公とヒロインのイチャ
・急に覚醒して無双する主人公
・ガン⚫ム
・たぬき

舞台を日本にしてロボットを神様にしたのは、日本神話の蘊蓄を入れたかったからです。
有名なアマテラス、スサノオ以外の神様について、本作を読めば少し特徴が分かるかも?

コノハナサクヤ……桜の神様、火山の神様です
アメノクラト……「クラ」と付いていたら水の神です。クラミツハ、クニノクラト、クラオカミ、全部水神
オモイカネ……天岩戸を開く時に作戦を考案した知恵の神様です
ヤハタ……武神。八幡神。ヤハタとは「数多く」という意味で本作ではこちらを採用。
シナトベ……和泉式部の和歌にも登場する科戸の風は、この神様が吹かせている
アヅミイソラ……阿曇磯良。安曇という一族が祀る神だった

水の神や、海の神が複数いるのは不思議だと思いませんか?
古事記や日本書記では、日本の国の成り立ちが描かれますが、私たちの先祖は大昔はいくつかの部族に分かれ、それぞれの部族でその地方の神様を祀っていました。
日本という一つの国になるまで、多くの部族を話し合いや戦いで統合していったのです。
神様が多いのはそのなごりです。
最終的にアマテラスが主神として君臨しますが、本当はどの神様も超強かったんですよ。その部族の崇める最高神ですからね。サルタヒコも元は太陽神だったという話ですし。

別の話になりますが、主人公の「なりや」の名前の由来は、鏑矢(かぶらや)です。
先っちょに球体の付いた特殊な矢で、発射するとキュルルーと高い音が鳴ります。
開戦の合図に使っていました。正確には鳴矢です。

話が逸れましたね。

ここまで蘊蓄に付き合ってくださった皆様に、一部の最終話で海際で花火を見た主人公の、直後のイチャイチャ話をお届けします。

ここまでお付き合い下さり誠にありがとうございました。









 花火というのは、次の射出まで準備時間があるものだ。
 バンバン上がっていた花火が鳴り止んだので、先ほどまで空に夢中だった人魚たちの注意の矛先が俺に戻ってきた。
 遊び半分に、水鉄砲やシャボン玉をこちらに飛ばしてくる。

「ちょっと貴女たち! もう、響矢は本当に縁神に好かれやすいんだから! 嫌になっちゃう」

 咲良は貝を投げ付けて応戦している。

「こんなことなら、家にも焚いてる縁神避けのお香を持って来れば良かった」

 縁神避け? 
 咲良のヤツそんなことをしてたのか。

「うわっ」

 人魚の一人が、俺の足を掴んで引っ張った。
 悪ふざけも度が過ぎる。

「響矢!」

 ドボン! と海に放り出される。
 ちょうど花火の続きが始まったらしく、水中から見上げると天井に花火が輝いていた。おかげで夜なのに海中はロマンチックな光に満たされていて、そんなに暗くない。

 その花火が映る水面から、大量の泡と共に、咲良が飛び込んできた。
 馬鹿。お前まで水の中に入ることないだろ。
 再び花火に夢中になっている人魚たちを尻目に、俺と咲良は泳いで砂浜を目指した。

「……ハア……ハァ」

 幸い浅瀬が続くサンゴ礁だったので、溺れる心配はそう高くない。
 砂浜に辿り着いて、立ち上がる直前に、咲良が抱きついてくる。
 雰囲気で何となく俺たちは唇を合わせた。

「しょっぱ」

 当たり前だが海水の味がする。
 俺たちは顔を合わせて笑い出す。
 また響き出した花火の音と、寄せては返す波が、じゃれあう俺たちを穏やかに洗い流していった。
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