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番外編

イケメンコンテスト舞台裏 -01

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※少し時を遡って、ハムスター捕獲までの流れを王子様視点でお届けします




 この国の王子であるパドリックは、花選びの儀で出会ったある少女が気になって仕方なかった。その少女は格別美人でも特殊な能力を持っている訳でもない。
 ただの平凡なぽっちゃりした娘だ。

 だがそれが良い。

 派手な貴族の娘を見飽きたパドリックの目には、彼女の姿は新鮮に映った。
 理想の癒し系少女を見つけてしまったと、パドリックは興奮した。

 彼はその少女と会う機会を作って直接話をしてみた。
 そして少女の中身もどうやら普通の娘と違っているようだと感じる。山奥から出てきたせいか、彼女は時折妙なことを言ったが、その表情も言動も作っている風はなく、自然だった。

 彼女の前では、パドリックは王子ではないただの男でいられる。
 それは嬉しい発見だった。

 外見も中身も好みだと分かった少女だったが、花選びの儀の終了を境に姿を見せなくなってしまう。山奥から出て来たという彼女の出身についてパドリックは何も知らなかった。会いに行こうにも、どこへ行けば良いか分からない。

 だからその少女、エステルの保護者だった銀髪の神官アルジェンを訪ねたのだ。
 銀髪の神官はパドリックに向かってこう言った。

「イケメンコンテストはいかがですか、殿下」

 何だそれは一体何なのだ。
 意味不明の提案に驚愕するパドリックだったが、銀髪の神官の説明を聞いて更に訳が分からなくなる。
 彼女は「男同士が仲良くしている光景を見るのが趣味」らしい。
 いったいどういう趣味なのだ。
 むむ…

「諦めますか?」
「いや。やってみよう」

 頭を抱えたパドリックだったが、アルジェンの提案に頷いた。
 手掛かりが他にない以上仕方ない。

「しかし…」

 パドリックは顔を上げて、自分と同レベルに顔が良い銀髪の美青年を眺めた。訪れた時は不機嫌な表情だったのだが、今は妙に楽しそうにしている。

「貴方はエステルが気に入っていたのではないか。何故、私に協力してくれるんだ」

 この神官はエステルを気に入っていたらしく、以前はパドリックの邪魔をしてくれたこともある。
 聞くと銀髪の青年は遠い目をした。

「エステルは実家に帰ると挨拶しに来たっきり、あれから一度もこの教会に顔を出してくれないのです……」

 なるほどな。
 何だか寂しそうなその姿に思わずパドリックは同情した。



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