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第二章 花選びの儀スタート!
アーリアの自己PR
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自己PRの順番は並んだ順番ではないらしい。
司会が前口上を述べた後、手に持った紙を見ながら一人ずつ名前を呼び始めた。
順番に壇上に上がって数分の簡単な自己紹介をする。聴衆は投票用紙に気に入った娘の名前を書いて投票するらしい。
ステージの前の特別席には審査員が座っていた。
いかにも偉そうな年長の男性ばかりだ。一人若い人も混じっているなあと思ったら王子様だった。
!?
王子様と目が合った気がする。
あまつさえ微笑まれたような……き、気のせいだよね。
「次、アーリア・カンビオーネ」
「はい!」
元気の良い声を出してアーリアが壇上に上がっていく。
「……あの娘、やっぱり貴族じゃないかしら」
鞄から頭を出したメグが呟く。私以外の人にはキューとしか聞こえていない。
変な人に思われないよう声を潜めて私は問い返した。
「そうなの?」
「名字があるのは貴族だって聞いたことあるわ」
ふーん。道理でキラキラしてるわけだわ。
壇上に上がったアーリアは観衆に向かって優雅に一礼した。その美しい動作と際立った容姿に観衆が息を呑む。
「私はアーリア・カンビオーネと申します。この国の北地方を治めるカンビオーネ家の次女ですわ。本日はこうして花選びの儀に参加できること、大変光栄に思います」
やっぱり貴族なのね。それも大物っぽい。
「先ほど家名を紹介しましたが、この花選びの儀では身分は関係ありません。花々は等しく女神イーリアスの前に平等ですわ。もし他の方が選ばれても、私はその方を祝福いたします。それでは僭越ながら、イーリアス様に感謝の舞を捧げて紹介を終わらせて頂きます」
舞ですと。
彼女は壇上で両腕を広げ、薄く透ける布を翻してステップを踏んだ。ダンスのことが分からない私にも、この舞の素晴らしさは分かった。白鳥のように鮮やかに舞う姿に、私を含め皆視線が釘付けになっている。
ほんの短い時間だったが、もっと長く見たいと思わせる舞だった。
静まり返った観衆に一礼してアーリアは壇を降りる。
アーリアすごいよ。舞もそうだけど、度胸が。
私はどうしよう。
「次、パダサント地区教会推薦のエステル!」
こ、心の準備が出来てません!
司会が前口上を述べた後、手に持った紙を見ながら一人ずつ名前を呼び始めた。
順番に壇上に上がって数分の簡単な自己紹介をする。聴衆は投票用紙に気に入った娘の名前を書いて投票するらしい。
ステージの前の特別席には審査員が座っていた。
いかにも偉そうな年長の男性ばかりだ。一人若い人も混じっているなあと思ったら王子様だった。
!?
王子様と目が合った気がする。
あまつさえ微笑まれたような……き、気のせいだよね。
「次、アーリア・カンビオーネ」
「はい!」
元気の良い声を出してアーリアが壇上に上がっていく。
「……あの娘、やっぱり貴族じゃないかしら」
鞄から頭を出したメグが呟く。私以外の人にはキューとしか聞こえていない。
変な人に思われないよう声を潜めて私は問い返した。
「そうなの?」
「名字があるのは貴族だって聞いたことあるわ」
ふーん。道理でキラキラしてるわけだわ。
壇上に上がったアーリアは観衆に向かって優雅に一礼した。その美しい動作と際立った容姿に観衆が息を呑む。
「私はアーリア・カンビオーネと申します。この国の北地方を治めるカンビオーネ家の次女ですわ。本日はこうして花選びの儀に参加できること、大変光栄に思います」
やっぱり貴族なのね。それも大物っぽい。
「先ほど家名を紹介しましたが、この花選びの儀では身分は関係ありません。花々は等しく女神イーリアスの前に平等ですわ。もし他の方が選ばれても、私はその方を祝福いたします。それでは僭越ながら、イーリアス様に感謝の舞を捧げて紹介を終わらせて頂きます」
舞ですと。
彼女は壇上で両腕を広げ、薄く透ける布を翻してステップを踏んだ。ダンスのことが分からない私にも、この舞の素晴らしさは分かった。白鳥のように鮮やかに舞う姿に、私を含め皆視線が釘付けになっている。
ほんの短い時間だったが、もっと長く見たいと思わせる舞だった。
静まり返った観衆に一礼してアーリアは壇を降りる。
アーリアすごいよ。舞もそうだけど、度胸が。
私はどうしよう。
「次、パダサント地区教会推薦のエステル!」
こ、心の準備が出来てません!
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