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第一章 ハムスターだもの

友達のメグです

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 お城から逃げ出した私は、王都の地下にあるハムスターの巣に帰って来た。
 人間の住む街の下には、私達ハムスターが住む穴が縦横無尽に掘られている。穴は個人の住む穴と皆が通る道が至る所で連結され、迷路のようになっている。穴のところどころにぼんやり光るキノコが生えていたり、木の実の山が置いてあったり、結構退屈しない風景だ。

 水溜まりで鼻血を洗い流した後、私は友達のメグのところに行った。
 彼女は私程丸くない、しゅっとした美人?のハムスターだ。

「聞いてよ~メグ~!」
「はいはい何?」
「王子様にキスされちゃったあ!」
「えっ」

 泣きながら切々と酷い目に遭ったと訴える。

「美形の王子様にキスされて…怖くなって逃げ出してきたと…王子様は鑑賞用?」
「うん」
「これが他の子なら、自慢してるのって思うけど、あんたは天然だからねえ」

 メグは雪のように白い鼻をピクピク動かして笑った。

「その王子様が本当にあんたを好きだったらどうするの?」
「有り得ないわ…」
「その有り得ないことが起こったら?」

 想像してみる。
 美貌の王子様が自分に向かって愛を囁くところを……

 --君、素敵にポヨポヨしたお腹だね。大好きだよ。

 うん、有り得ないから。
 私は頭を振って妄想を頭から追い出した。

「いやいや、やっぱり無いから」
「そうかしら…」

 何故かメグは残念そうだ。

「そういえば長老様が私達を呼んでいたわよ。ちょうど良いから一緒に行きましょう」
「いったい何の用かな」
「さあ」

 私達は地下の道をとことこと歩いて長老の下へ向かった。


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