21 / 36
第21話 会合
しおりを挟む
各グループの料理が出揃い、食べる前に審査が始まる。
「皆さん、お料理ご苦労さまです。
普段アナタ達は親御さんに作ってもらったり、料理人が作っていると思われます。
まあ、中には自分で作っている者もいるかもしれませんが・・・。
今回の合宿では、料理を作る大変さや楽しさを学んで頂きたく、敢えて自分達で作るという形にさせて頂いてます。
アナタ達が将来、どんな状況におかれても食べていける様、食材もランダムに。
そして、今回のテーマ〈創作料理〉も如何にある物で美味しく食べれるかを学んで欲しいという願いが含まれています。
今回の審査基準は
味、見た目そして、如何にテーマに沿っているかがポイントになります。
ただ焼いただけとかではテーマポイントは0となってしまいます。
では、先生方。
試食をお願いします。」
各クラス、先生達が分かれて試食を始める。
一クラス5人。
Sクラスはリリーちゃん、他3人の先生と校長だ。
「では、先ずはローザさんのグループから。」
「はい。」
先生達に出されたのはステーキ肉に他の食材が綺麗に添えられたフランス料理とかに出そうな感じの料理。
やはり焼いただけか・・・。
この世界には料理のレパートリーも少ないからな。
特に中華や和食なんて絶対に出てこない。
味噌汁が恋しい・・・。
「うん!この肉おいしー☆
でも、全く創作料理じゃないねー!」
『うう・・・!』
「見た目、味は素晴らしいです。
しかし、これは全く創作料理とは言えませんね。
まあ、今回一番のハズレくじですからね。
仕方ありませんね。」
『1番のハズレ!?』
ローザグループが驚愕する。
「ええ。
ステーキ肉は創作するには難しい素材ですからね。
素材はいいですが、ハズレと言っても過言ではないでしょう。」
「そんな・・・!」
そして、レン達の番になる。
「では、続いてハルバートさんのチーム。」
「はい。」
ハルバートは料理を差し出す。
「う!何ですか、これは・・・!
失敗したのですか?」
目の前に出た初めて見る親子丼に顔が引き攣る校長。
「親子丼だ!
全然失敗してないぞ?
さっきのステーキに比べたら見た目悪いかもしれないが、味は確かだぞ!」
「親子丼・・・??」
「鳥は卵産むだろ?
だから鶏肉と卵で親子丼!
まあ、食ってみろよ。」
そう言われて、差し出されるが躊躇する校長。
すると、
「ママが食べないなら私から食べるよ☆」
リリーちゃんが校長よりも先に一口食べてしまう。
リリーちゃんは見た目は気にしない派だ!
「何これ!!
超美味しいぃぃぃぃぃぃ☆☆☆」
『へ?』
躊躇している校長と先生、レン以外のグループ4人が唖然とする!
「ふわとろの卵にしっかりとダシが効いたつゆの味が染み込んだ鶏肉と玉ねぎが凄いマッチしてる!!
これ、何杯でも食べれるかも☆」
そう言って、あっという間に一人で食べ終わってしまうリリーちゃん。
「あー美味しかった!!
レンレン、おかわりー☆」
「あ、あのリリーがおかわり!?
普段全然食べないくせに!?」
「だって美味しくないんだもん!!
でもこれなら沢山食べれる!
今まで食べたモノの中で一番かも!!」
「な、なんですってぇ!?
王城には最高のシェフが最高の食材を使って料理しているのですよ!?」
「でも、こっちのほうが100倍美味しいもん!
家の料理は味薄いし、いつも同じようなもんで飽きたの!!」
「リリーにそこまで言わせるとは・・・
レンさん!
私にもください!!」
「いや、無理だ。」
「は?」
「後俺達の分しかないからな。」
レンは自分達の分を指差す。
「なんだ、まだ貴方達の分があるのですね。
ではそれを持ってきなさい。」
「はあ!?
何いってんだ!?
俺達の食べるもんがなくなっちまうだろ!?」
「まだ食材はあるので同じ物作ればいいじゃないですか・・・。
これは王命です・・・。
差し出さないのなら、貴方達は直様降格させます・・・。」
『ええっ!?降格!?』
「降格しても構わなそうなレンさんはローズマリーさん諸共退学です。」
「何!?
職権乱用だ!きたねえぞ!!」
「ほう、難しい言葉を知ってるのですね。
まあ、何とでもいいなさい。
私は校長であり、王妃。
ここで逆らえる者は誰一人としていないのですからね。
ふふふふふふふふ!」
そんなに食いてえのかよ!!
王命なんて使いやがって!!
「校長先生!
生徒たちの分を持ってきました!」
「流石はギリアム先生。
仕事が早いですね!」
「お褒めの言葉、光栄です!!」
ギリアムぅぅぅぅぅぅぅ!!
てめえぇぇぇぇぇぇぇ!!
校長に褒められようとしやがってぇぇ!!
うちのグループは王命と言う言葉にビビり、何も言えなくなってるし!
「では、早速・・・」
校長と先生達は一斉に食べ始める。
「こ、これは・・・!
確かにリリーが言うだけあって・・・
美味しい!!
ご飯が進む!!
早速、うちのシェフ達に作らせないと・・・!!」
他の先生達も黙々と食べ進める!
リリーちゃんは2杯目だ!!
「・・・流石は学年トップ・・・。
料理の発想まで斜め上とは・・・!
あなた達の分を食べてしまい申し訳ありません。
ギリアム先生。
同じ食材を渡して下さい。」
「はい!
・・・あ!!」
「どうしたのです?」
「鶏肉がありません・・・」
「なんですってぇ!?」
焦る校長。
「別に大丈夫だよ。」
『へ?』
「鶏肉ならあの島で獲ったやつあるから。」
そう言うとレンはアイテムボックスから大きな鶏肉の塊を取り出す。
「こ、これは・・・
デビルバートの肉!?」
「デビルバート?
あのでっかい黒い鳥そんな名前なんだ。」
「倒すのが困難な為、市場にも滅多に出ない最高級の鶏肉!!」
「そうなの?
こんなのいっぱいあるぞ?
アイテムボックスの中に入れておけば腐らないしな。
さて、これで作るか。
あ、ご飯だけ炊いといてくれれば後は俺やるから。
そのほうが早く食えるしな。」
「待ちなさい!!」
「は?なに?」
「この卵も使いなさい。玉ねぎも。」
校長が追加で卵と玉ねぎを持ってくる。
「は?こんなにいらないけど。」
「私達の分も作りなさい。
その鶏肉の親子丼を食べたいです!」
「はぁ!?何いってんだよ!
さっき食っただろ!!」
「これは王命です・・・。
さもないと・・・」
「ぐっ・・・!」
なんて王妃だ!!
生徒に王命を使うとは!!
「レン!さっさと作らないと俺達降格だぞ!!」
「レン様!お願いしますぅ!!」
「僕も降格は嫌です!!」
「降格ならまだいいじゃない!
私なんて関係ないのに退学よ!!
レン!速く作るのよ!!
これは命令よ!!」
くっ!!こいつらまで!!
結局、他の先生も加わり大量の親子丼を作る羽目になったレン・・・。
デビルバートで作った親子丼は大絶賛。
その日で卵と玉ねぎはなくなり、ギリアムが街に戻って買い出しに行くのであった・・・。
「はあ・・・疲れた・・・。」
「よくやったわ、レン!
これで私達の勝ちよ!
それにしても美味しかったわ♡」
「確かに美味かった!
見た目はぐちゃぐちゃなのにな!」
「また食べたいですね!!」
「レン様の手料理が食べれたなんて私は幸せ者ですー!!」
「そ、そんなに美味かったのか・・・?」
「ああ!最高だったぞ!
ステーキ肉なんかより遥かにな!」
「うう・・・羨ましい・・・!
レン様の手料理・・・
私も食べたかったですわ・・・!」
「泣いてる先生もいたしな・・・。」
「リリー先生なんか3杯いったもんな・・・。」
「うう・・・ミカミ・レン!
なんで貴方はそんなに凄いのですか!?」
ローザが悔しそうにレンに問いかける!
「別に俺は凄くないぞ?」
「そんなことないです!
何もかも私の想定の斜め上を行き過ぎてます!
なんであんな発想が出るのですか!!」
あんなの前の世界では当たり前だしなぁ・・・。
だからと言ってそんなこと信じないよな・・・。
「うーん、偶々だ。」
「偶々で出来るものではないですわ!!」
「2年間、一人で島に暮せばわかるんじゃないか?」
「うう・・・!それは・・・!」
「さて、部屋に戻って休んだら枕投げ大会な!
モーリス、鼻血出すなよ!」
「お前こそ!
俺のスーパー枕ショットをお見舞いしてやるからな!!」
「なんだ、そのネーミングセンス。
糞だな!」
「なんだと~!!」
そう言って男達は部屋に戻っていく。
「全く男子は・・・
私達も部屋に向かいますわよ。」
「部屋に行く前に・・・
これから大切な会合があるの!」
『会合・・・?』
ローズマリーとローザは首を傾げる。
「そうだ!
ローザちゃんとマリーちゃんも来てくださいよ!!
スペシャルゲスト!!
特にマリーちゃんからはたっぷりと話を聞かないと!!」
「それはいですわね!!
さあ、二人共!!
行きますわよ!!」
『ええ!?』
ミスティーナとミーティアに掴まれ、引き摺られる形で何処かに連れて行かれるローズマリーとローザ。
ある部屋に辿り着くとそこには沢山の女子が集まっていた。
「皆さん、お待たせしました!
では、早速〈レン様を称える会〉の会合を行います!!
そして、今日はスペシャルゲスト!!
レン様に守られているヒロイン、ローズマリーさんにライバルのローザさんです!!」
『わぁぁぁぁぁぁぁぁ!!』
一斉に拍手する女の子達!!
「こ、これはなんですの!?」
「さっき言ったではありませんか!
〈レン様を称える会〉ですわ!
今日はスペシャルゲストのローズマリーにレン様の知られざるプライベートの部分までみっちりとお話頂きます!!」
『レン様のプライベート!?』
女子達が一斉に前のめりになる!
「先ずは夏休み、朝起きてからのレン様の行動をお願いします。」
「朝から!?
えーっと、あいつは朝から喋ってるわ。」
『は?』
女子たちはキョトンとする。
「なんか、あいつが持ってる刀と話せるみたいでいつも朝から喧嘩してるわ!
変な奴でしょ!」
(ふふっ!これであいつを変な目で見るといいわ!)
『ミステリアス!!』
「は!?」
「刀とお話出来るレン様・・・素敵!!」
「何故!?」
「それから!?」
「それから・・・?
えっと一緒に朝ごはん食べて・・・
その後、私は宿題があるから見てないけど・・・。」
「じゃあ、レン様も宿題をやってるのですか?」
「いや、あいつはもう宿題終わらせているわ・・・。
あいつ、1日で終わらせたのよ!!
ありえないでしょ!!」
『1日で・・・!?あの量を!?』
これにはローザもびっくりだ!
『正に神の所業!!』
「最近はお姉様の研究室で何かを開発してるわ。
このクーラーもあいつが考えたのよ。」
『天才過ぎる!!』
「お陰でお姉様は表彰されたわ。
まあ、あいつはされてないけどね。」
「え!?なんでですの!?
考えたのはレン様なのに!?」
「別に表彰に興味ないんだって。
暑い夏を涼しく過ごせればそれでいいって。
変なやつでしょ?」
『超クール!!』
みんなの目がどんどんハートになっていく。
「ローズマリー様!
レン様はローズマリー様が襲われた時、どのように助けてくれるのですか!?」
「え~と、刀で腕をバッサリと?」
『腕を・・・!?』
(ふふっ!これで引かれたはず!!)
『なんて見事なお裁き!!』
「えぇぇぇぇぇぇぇ!?
腕を斬るのよ!?
何の躊躇も無く!!」
「二人の愛を引裂こうとする奴にはそれでも生ぬるいですわ!」
『そうよ!!死あるのみ!!』
「えぇぇぇぇぇぇぇ!?」
「何かかっこいいセリフをいただけましたか!?」
「えーっと・・・
ローズマリーに汚い手で触るな!とか
俺はローズマリーのボディガードだ・・・。
ローズマリーを攫いたいのならば、先ずは俺を倒してみろ・・・。
まあ、ローズマリーには指一本触れさせねえけどな・・・!とか?」
『きゃぁぁぁぁぁぁぁ!!』
女の子達の声にビクッとなるローズマリーとローザ。
「メリッサさん!メモしましたか!?
次はそのセリフを必ず入れるのですよ!!
悪いやつは皆殺しで!!」
『皆殺し!?』
「も、勿論です!会長!!
今、私の中で一つの物語が完成したところです!!」
そういったのはレンにスキルを見抜いてもらったというメリッサ。
はっきり言って地味な子であるが、瞳の奥は輝いていた!
「あの子があの漫画を・・・」
「ええ、そうですわ!
メリッサはレン様の心眼により、才能を開花させた神の申し子ですわ!!」
「心眼・・・!?申し子!?」
「レン様は素晴らしいです!!
メリッサのスキルを見抜き、ローズマリーのスキルも見抜いた・・・!
正に神の使者!!」
「では、ローザ。
ライバルとしてレン様の魅力をどうぞ!!」
「わ、私!?
・・・私はあの人のライバルなんかではないわ・・・。
あの人は次元が違いすぎますわ・・・。」
「貴女は今回のテストで2位。
ライバルと呼んでもいいのでは?」
「こんなに先の見えない1位と2位の差は初めてよ・・・。
私にはオール満点なんか無理。
あの人のように頭の中で計算なんか出来ないもの・・・。
宿題だって、私も全部終わらせたけど・・・
それでも一週間もかかった・・・。
それを1日で・・・。
そして、スキル・・・
あの人の〈模倣する者〉は最強よ・・・。
私のスキルまでコピーし、更に威力を何倍も上げた・・・。
そして、今回の料理。
あの人はちゃんとテーマに沿い、見事素晴らしい料理を作り上げた・・・。
私には到底あんなことは出来ない・・・。
ライバルなんておこがましいですわ・・・。」
そう話すローザはどんどん落ち込んでいく。
まるでプライドをズタズタにされたように・・・。
「ローザ・・・何言ってんのよ!!
あんなのに勝とうとするのが間違いなのよ!!」
「・・・えっ・・・?」
「あれに立ち向かうなんて、ありんこがドラゴンに立ち向かうようなもんよ!!
レベル98よ?
勝てるわけないじゃない!!」
『レベル98!?』
レンのレベルを知らない女子達が驚愕する!
「頭の中も私達と考えてることなんて全然違うんだから!!
掛け算だって計算しないで答えちゃうし、国語だって全然文読まないし、スキルの効果とか全部覚えてるし!
でも、良いところばかりじゃないのよ!
毎日馬鹿にしてくるし!
悪いやつ直ぐ殺そうとするし!
巨乳好きだし!
執事のくせに生意気だし!
私はまだ貴女の事よく知らないけど、きっとあいつに勝ってるところだってあるわ!
落ち込んでるなんて貴女らしくないわ!
頑張ってよ!!
女子でトップは貴女なのよ!
女が男に負けてないってところ見せてよ!!」
「ローズマリー・・・ありがとう・・・。
そうよね・・・落ち込んでる場合じゃないですわね・・・!」
ローザの顔がいつもの様に自信に満ち溢れた顔に戻る。
「こうなったら皆でレンに勝つのよ!!」
『いや、それはちょっと・・・。』
「ちょっと!!
今は一致団結するところでしょ!!」
「貴女が言ったんでしょう?
アリンコがドラゴンに立ち向かうようなもんだって・・・。」
「た、確かに言ったけど・・・。」
「ローズマリー、いい?
神様に人間が勝てるわけないの。
神様には抗うんじゃなくて、崇拝するの。
レン様は最早、神!!
だから貴方達も勝とうとするんじゃなくて崇拝するのよ!!」
『えぇぇぇぇぇぇぇ!?』
ローズマリーとローザが呆気に取られる!
「さあ!貴女達!
時間は限られているわ!
今のうちにローズマリーからレン様の武勇伝を余すところなく聞き出しますわよ!!
そして、メリッサに絵にしてもらうのよ!!
それを見て・・・ハァハァ♡」
『はい!!会長!!』
その後、ローズマリーは質問攻めにあう・・・。
就寝時間になり、先生に怒られ解散・・・。
そして、部屋までの帰り道・・・。
「ローズマリー、ありがとう・・・。
今まで悩んでいたことがバカらしくなったわ。」
「いいのよ。
私達は友達なんだから!」
「友達・・・
そうね。友達ですわよね!」
「勿論、私達もだよー!」
二人の後ろから抱きついてくるミーティア。
「さあ、友達として、レン様を崇拝しましょう!!
ローズマリー、貴女は逐一レン様のかっこいい武勇伝を報告するのよ!!」
「えぇぇぇぇぇぇぇ!」
「これは義務です!
レン様を独り占めしてるんですからね!
そのくらいやっても罰は当たりませんわ!!」
そして、4人は生涯の友として、更に仲を深めるのであった・・・。
「皆さん、お料理ご苦労さまです。
普段アナタ達は親御さんに作ってもらったり、料理人が作っていると思われます。
まあ、中には自分で作っている者もいるかもしれませんが・・・。
今回の合宿では、料理を作る大変さや楽しさを学んで頂きたく、敢えて自分達で作るという形にさせて頂いてます。
アナタ達が将来、どんな状況におかれても食べていける様、食材もランダムに。
そして、今回のテーマ〈創作料理〉も如何にある物で美味しく食べれるかを学んで欲しいという願いが含まれています。
今回の審査基準は
味、見た目そして、如何にテーマに沿っているかがポイントになります。
ただ焼いただけとかではテーマポイントは0となってしまいます。
では、先生方。
試食をお願いします。」
各クラス、先生達が分かれて試食を始める。
一クラス5人。
Sクラスはリリーちゃん、他3人の先生と校長だ。
「では、先ずはローザさんのグループから。」
「はい。」
先生達に出されたのはステーキ肉に他の食材が綺麗に添えられたフランス料理とかに出そうな感じの料理。
やはり焼いただけか・・・。
この世界には料理のレパートリーも少ないからな。
特に中華や和食なんて絶対に出てこない。
味噌汁が恋しい・・・。
「うん!この肉おいしー☆
でも、全く創作料理じゃないねー!」
『うう・・・!』
「見た目、味は素晴らしいです。
しかし、これは全く創作料理とは言えませんね。
まあ、今回一番のハズレくじですからね。
仕方ありませんね。」
『1番のハズレ!?』
ローザグループが驚愕する。
「ええ。
ステーキ肉は創作するには難しい素材ですからね。
素材はいいですが、ハズレと言っても過言ではないでしょう。」
「そんな・・・!」
そして、レン達の番になる。
「では、続いてハルバートさんのチーム。」
「はい。」
ハルバートは料理を差し出す。
「う!何ですか、これは・・・!
失敗したのですか?」
目の前に出た初めて見る親子丼に顔が引き攣る校長。
「親子丼だ!
全然失敗してないぞ?
さっきのステーキに比べたら見た目悪いかもしれないが、味は確かだぞ!」
「親子丼・・・??」
「鳥は卵産むだろ?
だから鶏肉と卵で親子丼!
まあ、食ってみろよ。」
そう言われて、差し出されるが躊躇する校長。
すると、
「ママが食べないなら私から食べるよ☆」
リリーちゃんが校長よりも先に一口食べてしまう。
リリーちゃんは見た目は気にしない派だ!
「何これ!!
超美味しいぃぃぃぃぃぃ☆☆☆」
『へ?』
躊躇している校長と先生、レン以外のグループ4人が唖然とする!
「ふわとろの卵にしっかりとダシが効いたつゆの味が染み込んだ鶏肉と玉ねぎが凄いマッチしてる!!
これ、何杯でも食べれるかも☆」
そう言って、あっという間に一人で食べ終わってしまうリリーちゃん。
「あー美味しかった!!
レンレン、おかわりー☆」
「あ、あのリリーがおかわり!?
普段全然食べないくせに!?」
「だって美味しくないんだもん!!
でもこれなら沢山食べれる!
今まで食べたモノの中で一番かも!!」
「な、なんですってぇ!?
王城には最高のシェフが最高の食材を使って料理しているのですよ!?」
「でも、こっちのほうが100倍美味しいもん!
家の料理は味薄いし、いつも同じようなもんで飽きたの!!」
「リリーにそこまで言わせるとは・・・
レンさん!
私にもください!!」
「いや、無理だ。」
「は?」
「後俺達の分しかないからな。」
レンは自分達の分を指差す。
「なんだ、まだ貴方達の分があるのですね。
ではそれを持ってきなさい。」
「はあ!?
何いってんだ!?
俺達の食べるもんがなくなっちまうだろ!?」
「まだ食材はあるので同じ物作ればいいじゃないですか・・・。
これは王命です・・・。
差し出さないのなら、貴方達は直様降格させます・・・。」
『ええっ!?降格!?』
「降格しても構わなそうなレンさんはローズマリーさん諸共退学です。」
「何!?
職権乱用だ!きたねえぞ!!」
「ほう、難しい言葉を知ってるのですね。
まあ、何とでもいいなさい。
私は校長であり、王妃。
ここで逆らえる者は誰一人としていないのですからね。
ふふふふふふふふ!」
そんなに食いてえのかよ!!
王命なんて使いやがって!!
「校長先生!
生徒たちの分を持ってきました!」
「流石はギリアム先生。
仕事が早いですね!」
「お褒めの言葉、光栄です!!」
ギリアムぅぅぅぅぅぅぅ!!
てめえぇぇぇぇぇぇぇ!!
校長に褒められようとしやがってぇぇ!!
うちのグループは王命と言う言葉にビビり、何も言えなくなってるし!
「では、早速・・・」
校長と先生達は一斉に食べ始める。
「こ、これは・・・!
確かにリリーが言うだけあって・・・
美味しい!!
ご飯が進む!!
早速、うちのシェフ達に作らせないと・・・!!」
他の先生達も黙々と食べ進める!
リリーちゃんは2杯目だ!!
「・・・流石は学年トップ・・・。
料理の発想まで斜め上とは・・・!
あなた達の分を食べてしまい申し訳ありません。
ギリアム先生。
同じ食材を渡して下さい。」
「はい!
・・・あ!!」
「どうしたのです?」
「鶏肉がありません・・・」
「なんですってぇ!?」
焦る校長。
「別に大丈夫だよ。」
『へ?』
「鶏肉ならあの島で獲ったやつあるから。」
そう言うとレンはアイテムボックスから大きな鶏肉の塊を取り出す。
「こ、これは・・・
デビルバートの肉!?」
「デビルバート?
あのでっかい黒い鳥そんな名前なんだ。」
「倒すのが困難な為、市場にも滅多に出ない最高級の鶏肉!!」
「そうなの?
こんなのいっぱいあるぞ?
アイテムボックスの中に入れておけば腐らないしな。
さて、これで作るか。
あ、ご飯だけ炊いといてくれれば後は俺やるから。
そのほうが早く食えるしな。」
「待ちなさい!!」
「は?なに?」
「この卵も使いなさい。玉ねぎも。」
校長が追加で卵と玉ねぎを持ってくる。
「は?こんなにいらないけど。」
「私達の分も作りなさい。
その鶏肉の親子丼を食べたいです!」
「はぁ!?何いってんだよ!
さっき食っただろ!!」
「これは王命です・・・。
さもないと・・・」
「ぐっ・・・!」
なんて王妃だ!!
生徒に王命を使うとは!!
「レン!さっさと作らないと俺達降格だぞ!!」
「レン様!お願いしますぅ!!」
「僕も降格は嫌です!!」
「降格ならまだいいじゃない!
私なんて関係ないのに退学よ!!
レン!速く作るのよ!!
これは命令よ!!」
くっ!!こいつらまで!!
結局、他の先生も加わり大量の親子丼を作る羽目になったレン・・・。
デビルバートで作った親子丼は大絶賛。
その日で卵と玉ねぎはなくなり、ギリアムが街に戻って買い出しに行くのであった・・・。
「はあ・・・疲れた・・・。」
「よくやったわ、レン!
これで私達の勝ちよ!
それにしても美味しかったわ♡」
「確かに美味かった!
見た目はぐちゃぐちゃなのにな!」
「また食べたいですね!!」
「レン様の手料理が食べれたなんて私は幸せ者ですー!!」
「そ、そんなに美味かったのか・・・?」
「ああ!最高だったぞ!
ステーキ肉なんかより遥かにな!」
「うう・・・羨ましい・・・!
レン様の手料理・・・
私も食べたかったですわ・・・!」
「泣いてる先生もいたしな・・・。」
「リリー先生なんか3杯いったもんな・・・。」
「うう・・・ミカミ・レン!
なんで貴方はそんなに凄いのですか!?」
ローザが悔しそうにレンに問いかける!
「別に俺は凄くないぞ?」
「そんなことないです!
何もかも私の想定の斜め上を行き過ぎてます!
なんであんな発想が出るのですか!!」
あんなの前の世界では当たり前だしなぁ・・・。
だからと言ってそんなこと信じないよな・・・。
「うーん、偶々だ。」
「偶々で出来るものではないですわ!!」
「2年間、一人で島に暮せばわかるんじゃないか?」
「うう・・・!それは・・・!」
「さて、部屋に戻って休んだら枕投げ大会な!
モーリス、鼻血出すなよ!」
「お前こそ!
俺のスーパー枕ショットをお見舞いしてやるからな!!」
「なんだ、そのネーミングセンス。
糞だな!」
「なんだと~!!」
そう言って男達は部屋に戻っていく。
「全く男子は・・・
私達も部屋に向かいますわよ。」
「部屋に行く前に・・・
これから大切な会合があるの!」
『会合・・・?』
ローズマリーとローザは首を傾げる。
「そうだ!
ローザちゃんとマリーちゃんも来てくださいよ!!
スペシャルゲスト!!
特にマリーちゃんからはたっぷりと話を聞かないと!!」
「それはいですわね!!
さあ、二人共!!
行きますわよ!!」
『ええ!?』
ミスティーナとミーティアに掴まれ、引き摺られる形で何処かに連れて行かれるローズマリーとローザ。
ある部屋に辿り着くとそこには沢山の女子が集まっていた。
「皆さん、お待たせしました!
では、早速〈レン様を称える会〉の会合を行います!!
そして、今日はスペシャルゲスト!!
レン様に守られているヒロイン、ローズマリーさんにライバルのローザさんです!!」
『わぁぁぁぁぁぁぁぁ!!』
一斉に拍手する女の子達!!
「こ、これはなんですの!?」
「さっき言ったではありませんか!
〈レン様を称える会〉ですわ!
今日はスペシャルゲストのローズマリーにレン様の知られざるプライベートの部分までみっちりとお話頂きます!!」
『レン様のプライベート!?』
女子達が一斉に前のめりになる!
「先ずは夏休み、朝起きてからのレン様の行動をお願いします。」
「朝から!?
えーっと、あいつは朝から喋ってるわ。」
『は?』
女子たちはキョトンとする。
「なんか、あいつが持ってる刀と話せるみたいでいつも朝から喧嘩してるわ!
変な奴でしょ!」
(ふふっ!これであいつを変な目で見るといいわ!)
『ミステリアス!!』
「は!?」
「刀とお話出来るレン様・・・素敵!!」
「何故!?」
「それから!?」
「それから・・・?
えっと一緒に朝ごはん食べて・・・
その後、私は宿題があるから見てないけど・・・。」
「じゃあ、レン様も宿題をやってるのですか?」
「いや、あいつはもう宿題終わらせているわ・・・。
あいつ、1日で終わらせたのよ!!
ありえないでしょ!!」
『1日で・・・!?あの量を!?』
これにはローザもびっくりだ!
『正に神の所業!!』
「最近はお姉様の研究室で何かを開発してるわ。
このクーラーもあいつが考えたのよ。」
『天才過ぎる!!』
「お陰でお姉様は表彰されたわ。
まあ、あいつはされてないけどね。」
「え!?なんでですの!?
考えたのはレン様なのに!?」
「別に表彰に興味ないんだって。
暑い夏を涼しく過ごせればそれでいいって。
変なやつでしょ?」
『超クール!!』
みんなの目がどんどんハートになっていく。
「ローズマリー様!
レン様はローズマリー様が襲われた時、どのように助けてくれるのですか!?」
「え~と、刀で腕をバッサリと?」
『腕を・・・!?』
(ふふっ!これで引かれたはず!!)
『なんて見事なお裁き!!』
「えぇぇぇぇぇぇぇ!?
腕を斬るのよ!?
何の躊躇も無く!!」
「二人の愛を引裂こうとする奴にはそれでも生ぬるいですわ!」
『そうよ!!死あるのみ!!』
「えぇぇぇぇぇぇぇ!?」
「何かかっこいいセリフをいただけましたか!?」
「えーっと・・・
ローズマリーに汚い手で触るな!とか
俺はローズマリーのボディガードだ・・・。
ローズマリーを攫いたいのならば、先ずは俺を倒してみろ・・・。
まあ、ローズマリーには指一本触れさせねえけどな・・・!とか?」
『きゃぁぁぁぁぁぁぁ!!』
女の子達の声にビクッとなるローズマリーとローザ。
「メリッサさん!メモしましたか!?
次はそのセリフを必ず入れるのですよ!!
悪いやつは皆殺しで!!」
『皆殺し!?』
「も、勿論です!会長!!
今、私の中で一つの物語が完成したところです!!」
そういったのはレンにスキルを見抜いてもらったというメリッサ。
はっきり言って地味な子であるが、瞳の奥は輝いていた!
「あの子があの漫画を・・・」
「ええ、そうですわ!
メリッサはレン様の心眼により、才能を開花させた神の申し子ですわ!!」
「心眼・・・!?申し子!?」
「レン様は素晴らしいです!!
メリッサのスキルを見抜き、ローズマリーのスキルも見抜いた・・・!
正に神の使者!!」
「では、ローザ。
ライバルとしてレン様の魅力をどうぞ!!」
「わ、私!?
・・・私はあの人のライバルなんかではないわ・・・。
あの人は次元が違いすぎますわ・・・。」
「貴女は今回のテストで2位。
ライバルと呼んでもいいのでは?」
「こんなに先の見えない1位と2位の差は初めてよ・・・。
私にはオール満点なんか無理。
あの人のように頭の中で計算なんか出来ないもの・・・。
宿題だって、私も全部終わらせたけど・・・
それでも一週間もかかった・・・。
それを1日で・・・。
そして、スキル・・・
あの人の〈模倣する者〉は最強よ・・・。
私のスキルまでコピーし、更に威力を何倍も上げた・・・。
そして、今回の料理。
あの人はちゃんとテーマに沿い、見事素晴らしい料理を作り上げた・・・。
私には到底あんなことは出来ない・・・。
ライバルなんておこがましいですわ・・・。」
そう話すローザはどんどん落ち込んでいく。
まるでプライドをズタズタにされたように・・・。
「ローザ・・・何言ってんのよ!!
あんなのに勝とうとするのが間違いなのよ!!」
「・・・えっ・・・?」
「あれに立ち向かうなんて、ありんこがドラゴンに立ち向かうようなもんよ!!
レベル98よ?
勝てるわけないじゃない!!」
『レベル98!?』
レンのレベルを知らない女子達が驚愕する!
「頭の中も私達と考えてることなんて全然違うんだから!!
掛け算だって計算しないで答えちゃうし、国語だって全然文読まないし、スキルの効果とか全部覚えてるし!
でも、良いところばかりじゃないのよ!
毎日馬鹿にしてくるし!
悪いやつ直ぐ殺そうとするし!
巨乳好きだし!
執事のくせに生意気だし!
私はまだ貴女の事よく知らないけど、きっとあいつに勝ってるところだってあるわ!
落ち込んでるなんて貴女らしくないわ!
頑張ってよ!!
女子でトップは貴女なのよ!
女が男に負けてないってところ見せてよ!!」
「ローズマリー・・・ありがとう・・・。
そうよね・・・落ち込んでる場合じゃないですわね・・・!」
ローザの顔がいつもの様に自信に満ち溢れた顔に戻る。
「こうなったら皆でレンに勝つのよ!!」
『いや、それはちょっと・・・。』
「ちょっと!!
今は一致団結するところでしょ!!」
「貴女が言ったんでしょう?
アリンコがドラゴンに立ち向かうようなもんだって・・・。」
「た、確かに言ったけど・・・。」
「ローズマリー、いい?
神様に人間が勝てるわけないの。
神様には抗うんじゃなくて、崇拝するの。
レン様は最早、神!!
だから貴方達も勝とうとするんじゃなくて崇拝するのよ!!」
『えぇぇぇぇぇぇぇ!?』
ローズマリーとローザが呆気に取られる!
「さあ!貴女達!
時間は限られているわ!
今のうちにローズマリーからレン様の武勇伝を余すところなく聞き出しますわよ!!
そして、メリッサに絵にしてもらうのよ!!
それを見て・・・ハァハァ♡」
『はい!!会長!!』
その後、ローズマリーは質問攻めにあう・・・。
就寝時間になり、先生に怒られ解散・・・。
そして、部屋までの帰り道・・・。
「ローズマリー、ありがとう・・・。
今まで悩んでいたことがバカらしくなったわ。」
「いいのよ。
私達は友達なんだから!」
「友達・・・
そうね。友達ですわよね!」
「勿論、私達もだよー!」
二人の後ろから抱きついてくるミーティア。
「さあ、友達として、レン様を崇拝しましょう!!
ローズマリー、貴女は逐一レン様のかっこいい武勇伝を報告するのよ!!」
「えぇぇぇぇぇぇぇ!」
「これは義務です!
レン様を独り占めしてるんですからね!
そのくらいやっても罰は当たりませんわ!!」
そして、4人は生涯の友として、更に仲を深めるのであった・・・。
0
お気に入りに追加
49
あなたにおすすめの小説
虐げられた令嬢、ペネロペの場合
キムラましゅろう
ファンタジー
ペネロペは世に言う虐げられた令嬢だ。
幼い頃に母を亡くし、突然やってきた継母とその後生まれた異母妹にこき使われる毎日。
父は無関心。洋服は使用人と同じくお仕着せしか持っていない。
まぁ元々婚約者はいないから異母妹に横取りされる事はないけれど。
可哀想なペネロペ。でもきっといつか、彼女にもここから救い出してくれる運命の王子様が……なんて現れるわけないし、現れなくてもいいとペネロペは思っていた。何故なら彼女はちっとも困っていなかったから。
1話完結のショートショートです。
虐げられた令嬢達も裏でちゃっかり仕返しをしていて欲しい……
という願望から生まれたお話です。
ゆるゆる設定なのでゆるゆるとお読みいただければ幸いです。
R15は念のため。
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
【完結】限界離婚
仲 奈華 (nakanaka)
大衆娯楽
もう限界だ。
「離婚してください」
丸田広一は妻にそう告げた。妻は激怒し、言い争いになる。広一は頭に鈍器で殴られたような衝撃を受け床に倒れ伏せた。振り返るとそこには妻がいた。広一はそのまま意識を失った。
丸田広一の息子の嫁、鈴奈はもう耐える事ができなかった。体調を崩し病院へ行く。医師に告げられた言葉にショックを受け、夫に連絡しようとするが、SNSが既読にならず、電話も繋がらない。もう諦め離婚届だけを置いて実家に帰った。
丸田広一の妻、京香は手足の違和感を感じていた。自分が家族から嫌われている事は知っている。高齢な姑、離婚を仄めかす夫、可愛くない嫁、誰かが私を害そうとしている気がする。渡されていた離婚届に署名をして役所に提出した。もう私は自由の身だ。あの人の所へ向かった。
広一の母、文は途方にくれた。大事な物が無くなっていく。今日は通帳が無くなった。いくら探しても見つからない。まさかとは思うが最近様子が可笑しいあの女が盗んだのかもしれない。衰えた体を動かして、家の中を探し回った。
出張からかえってきた広一の息子、良は家につき愕然とした。信じていた安心できる場所がガラガラと崩れ落ちる。後始末に追われ、いなくなった妻の元へ向かう。妻に頭を下げて別れたくないと懇願した。
平和だった丸田家に襲い掛かる不幸。どんどん倒れる家族。
信じていた家族の形が崩れていく。
倒されたのは誰のせい?
倒れた達磨は再び起き上がる。
丸田家の危機と、それを克服するまでの物語。
丸田 広一…65歳。定年退職したばかり。
丸田 京香…66歳。半年前に退職した。
丸田 良…38歳。営業職。出張が多い。
丸田 鈴奈…33歳。
丸田 勇太…3歳。
丸田 文…82歳。専業主婦。
麗奈…広一が定期的に会っている女。
※7月13日初回完結
※7月14日深夜 忘れたはずの思い~エピローグまでを加筆修正して投稿しました。話数も増やしています。
※7月15日【裏】登場人物紹介追記しました。
※7月22日第2章完結。
※カクヨムにも投稿しています。
嘘つき女とクズ男
猫枕
恋愛
「は?」
「ですから婚約を解消してください」
カトリーヌは自分を蔑ろにして浮気を繰り返すグレアムとの破談を望んでいるが相手は一向に応じない。
執着しているのはカトリーヌ本人にではなく彼女の実家の莫大な資産にである。
成り上がり子爵と馬鹿にするくせに一家で集る図々しい侯爵家。
国有数の豪商であるカトリーヌの父親もグレアムの父に弱味を握られていて頭が上がらない。
そこでカトリーヌは次の手に出ることにした。
親友キャサリンと考えた冗談にすぎない馬鹿馬鹿しい計画に。
「私、死んだんですの」
「は?」
「一回死んで戻ってきたんですの」
「馬鹿馬鹿しい嘘を吐くな」
そう思うよね、だって嘘だし。
「どうやって死んだと思います?」
構わず話を続けるカトリーヌ。
「アナタに殺されたんですよ」
うっそりと笑うカトリーヌに顔を引き攣らせるグレアム。
「私はアナタと結婚したんですけど、・・・邪魔になったんでしょうね。
殺されちゃったんですよ。
悶え苦しみながら呪いの言葉を叫んだわ。
最後の力を振り絞って。
そしたら今朝起きたら時間が巻き戻っていましたの。
どうします?
このまま行けばアナタは犯罪者ですけど」
婚約者の地位? 天才な妹に勝てない私は婚約破棄して自由に生きます
名無しの夜
恋愛
旧題:婚約者の地位? そんなものは天才な妹に譲りますので私は平民として自由に生きていきます
「私、王子との婚約はアリアに譲って平民として生きようと思うんです」
魔法貴族として名高いドロテア家に生まれたドロシーは事あるごとに千年に一度の天才と謳われる妹と比較され続けてきた。
「どうしてお前はこの程度のことも出来ないのだ? 妹を見習え。アリアならこの程度のこと簡単にこなすぞ」
「何故王子である俺の婚約者がお前のような二流の女なのだ? お前ではなく妹のアリアの方が俺の婚約者に相応しい」
権力欲しさに王子と結婚させようとする父や、妹と比較して事あるごとにドロシーを二流女と嘲笑う王子。
努力して、努力して、それでも認められないドロシーは決意する。貴族の地位を捨てて平民として自由に生きて行くことを。
婚約破棄と領地追放?分かりました、わたしがいなくなった後はせいぜい頑張ってくださいな
カド
ファンタジー
生活の基本から領地経営まで、ほぼ全てを魔石の力に頼ってる世界
魔石の浄化には三日三晩の時間が必要で、この領地ではそれを全部貴族令嬢の主人公が一人でこなしていた
「で、そのわたしを婚約破棄で領地追放なんですね?
それじゃ出ていくから、せいぜいこれからは魔石も頑張って作ってくださいね!」
小さい頃から搾取され続けてきた主人公は 追放=自由と気付く
塔から出た途端、暴走する力に悩まされながらも、幼い時にもらった助言を元に中央の大教会へと向かう
一方で愛玩され続けてきた妹は、今まで通り好きなだけ魔石を使用していくが……
◇◇◇
親による虐待、明確なきょうだい間での差別の描写があります
(『嫌なら読むな』ではなく、『辛い気持ちになりそうな方は無理せず、もし読んで下さる場合はお気をつけて……!』の意味です)
◇◇◇
ようやく一区切りへの目処がついてきました
拙いお話ですがお付き合いいただければ幸いです
クラス転移で神様に?
空見 大
ファンタジー
集団転移に巻き込まれ、クラスごと異世界へと転移することになった主人公晴人はこれといって特徴のない平均的な学生であった。
異世界の神から能力獲得について詳しく教えられる中で、晴人は自らの能力欄獲得可能欄に他人とは違う機能があることに気が付く。
そこに隠されていた能力は龍神から始まり魔神、邪神、妖精神、鍛冶神、盗神の六つの神の称号といくつかの特殊な能力。
異世界での安泰を確かなものとして受け入れ転移を待つ晴人であったが、神の能力を手に入れたことが原因なのか転移魔法の不発によりあろうことか異世界へと転生してしまうこととなる。
龍人の母親と英雄の父、これ以上ない程に恵まれた環境で新たな生を得た晴人は新たな名前をエルピスとしてこの世界を生きていくのだった。
現在設定調整中につき最新話更新遅れます2022/09/11~2022/09/17まで予定
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる