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第21話 会合

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各グループの料理が出揃い、食べる前に審査が始まる。

「皆さん、お料理ご苦労さまです。
普段アナタ達は親御さんに作ってもらったり、料理人が作っていると思われます。
まあ、中には自分で作っている者もいるかもしれませんが・・・。
今回の合宿では、料理を作る大変さや楽しさを学んで頂きたく、敢えて自分達で作るという形にさせて頂いてます。
アナタ達が将来、どんな状況におかれても食べていける様、食材もランダムに。
そして、今回のテーマ〈創作料理〉も如何にある物で美味しく食べれるかを学んで欲しいという願いが含まれています。
今回の審査基準は
味、見た目そして、如何にテーマに沿っているかがポイントになります。
ただ焼いただけとかではテーマポイントは0となってしまいます。
では、先生方。
試食をお願いします。」

各クラス、先生達が分かれて試食を始める。
一クラス5人。
Sクラスはリリーちゃん、他3人の先生と校長だ。

「では、先ずはローザさんのグループから。」
「はい。」
先生達に出されたのはステーキ肉に他の食材が綺麗に添えられたフランス料理とかに出そうな感じの料理。
やはり焼いただけか・・・。
この世界には料理のレパートリーも少ないからな。
特に中華や和食なんて絶対に出てこない。
味噌汁が恋しい・・・。

「うん!この肉おいしー☆
でも、全く創作料理じゃないねー!」
『うう・・・!』
「見た目、味は素晴らしいです。
しかし、これは全く創作料理とは言えませんね。
まあ、今回一番のハズレくじですからね。
仕方ありませんね。」
『1番のハズレ!?』
ローザグループが驚愕する。
「ええ。
ステーキ肉は創作するには難しい素材ですからね。
素材はいいですが、ハズレと言っても過言ではないでしょう。」
「そんな・・・!」

そして、レン達の番になる。
「では、続いてハルバートさんのチーム。」
「はい。」
ハルバートは料理を差し出す。
「う!何ですか、これは・・・!
失敗したのですか?」
目の前に出た初めて見る親子丼に顔が引き攣る校長。
「親子丼だ!
全然失敗してないぞ?
さっきのステーキに比べたら見た目悪いかもしれないが、味は確かだぞ!」
「親子丼・・・??」
「鳥は卵産むだろ?
だから鶏肉と卵で親子丼!
まあ、食ってみろよ。」
そう言われて、差し出されるが躊躇する校長。
すると、
「ママが食べないなら私から食べるよ☆」
リリーちゃんが校長よりも先に一口食べてしまう。
リリーちゃんは見た目は気にしない派だ!

「何これ!!
超美味しいぃぃぃぃぃぃ☆☆☆」
『へ?』
躊躇している校長と先生、レン以外のグループ4人が唖然とする!
「ふわとろの卵にしっかりとダシが効いたつゆの味が染み込んだ鶏肉と玉ねぎが凄いマッチしてる!!
これ、何杯でも食べれるかも☆」
そう言って、あっという間に一人で食べ終わってしまうリリーちゃん。
「あー美味しかった!!
レンレン、おかわりー☆」
「あ、あのリリーがおかわり!?
普段全然食べないくせに!?」
「だって美味しくないんだもん!!
でもこれなら沢山食べれる!
今まで食べたモノの中で一番かも!!」
「な、なんですってぇ!?
王城には最高のシェフが最高の食材を使って料理しているのですよ!?」
「でも、こっちのほうが100倍美味しいもん!
家の料理は味薄いし、いつも同じようなもんで飽きたの!!」
「リリーにそこまで言わせるとは・・・
レンさん!
私にもください!!」
「いや、無理だ。」
「は?」
「後俺達の分しかないからな。」
レンは自分達の分を指差す。

「なんだ、まだ貴方達の分があるのですね。
ではそれを持ってきなさい。」

「はあ!?
何いってんだ!?
俺達の食べるもんがなくなっちまうだろ!?」
「まだ食材はあるので同じ物作ればいいじゃないですか・・・。
これは王命です・・・。
差し出さないのなら、貴方達は直様降格させます・・・。」
『ええっ!?降格!?』
「降格しても構わなそうなレンさんはローズマリーさん諸共退学です。」
「何!?
職権乱用だ!きたねえぞ!!」
「ほう、難しい言葉を知ってるのですね。
まあ、何とでもいいなさい。
私は校長であり、王妃。
ここで逆らえる者は誰一人としていないのですからね。
ふふふふふふふふ!」
そんなに食いてえのかよ!!
王命なんて使いやがって!!
「校長先生!
生徒たちの分を持ってきました!」
「流石はギリアム先生。
仕事が早いですね!」
「お褒めの言葉、光栄です!!」
ギリアムぅぅぅぅぅぅぅ!!
てめえぇぇぇぇぇぇぇ!!
校長に褒められようとしやがってぇぇ!!
うちのグループは王命と言う言葉にビビり、何も言えなくなってるし!

「では、早速・・・」
校長と先生達は一斉に食べ始める。
「こ、これは・・・!
確かにリリーが言うだけあって・・・
美味しい!!
ご飯が進む!!
早速、うちのシェフ達に作らせないと・・・!!」
他の先生達も黙々と食べ進める!
リリーちゃんは2杯目だ!!

「・・・流石は学年トップ・・・。
料理の発想まで斜め上とは・・・!
あなた達の分を食べてしまい申し訳ありません。
ギリアム先生。
同じ食材を渡して下さい。」
「はい!
・・・あ!!」
「どうしたのです?」
「鶏肉がありません・・・」
「なんですってぇ!?」
焦る校長。
「別に大丈夫だよ。」
『へ?』
「鶏肉ならあの島で獲ったやつあるから。」
そう言うとレンはアイテムボックスから大きな鶏肉の塊を取り出す。
「こ、これは・・・
デビルバートの肉!?」
「デビルバート?
あのでっかい黒い鳥そんな名前なんだ。」
「倒すのが困難な為、市場にも滅多に出ない最高級の鶏肉!!」
「そうなの?
こんなのいっぱいあるぞ?
アイテムボックスの中に入れておけば腐らないしな。
さて、これで作るか。
あ、ご飯だけ炊いといてくれれば後は俺やるから。
そのほうが早く食えるしな。」
「待ちなさい!!」
「は?なに?」
「この卵も使いなさい。玉ねぎも。」
校長が追加で卵と玉ねぎを持ってくる。
「は?こんなにいらないけど。」
「私達の分も作りなさい。
その鶏肉の親子丼を食べたいです!」
「はぁ!?何いってんだよ!
さっき食っただろ!!」
「これは王命です・・・。
さもないと・・・」
「ぐっ・・・!」
なんて王妃だ!!
生徒に王命を使うとは!!
「レン!さっさと作らないと俺達降格だぞ!!」
「レン様!お願いしますぅ!!」
「僕も降格は嫌です!!」
「降格ならまだいいじゃない!
私なんて関係ないのに退学よ!!
レン!速く作るのよ!!
これは命令よ!!」
くっ!!こいつらまで!!

結局、他の先生も加わり大量の親子丼を作る羽目になったレン・・・。
デビルバートで作った親子丼は大絶賛。

その日で卵と玉ねぎはなくなり、ギリアムが街に戻って買い出しに行くのであった・・・。

「はあ・・・疲れた・・・。」
「よくやったわ、レン!
これで私達の勝ちよ!
それにしても美味しかったわ♡」
「確かに美味かった!
見た目はぐちゃぐちゃなのにな!」
「また食べたいですね!!」
「レン様の手料理が食べれたなんて私は幸せ者ですー!!」
「そ、そんなに美味かったのか・・・?」
「ああ!最高だったぞ!
ステーキ肉なんかより遥かにな!」
「うう・・・羨ましい・・・!
レン様の手料理・・・
私も食べたかったですわ・・・!」
「泣いてる先生もいたしな・・・。」
「リリー先生なんか3杯いったもんな・・・。」
「うう・・・ミカミ・レン!
なんで貴方はそんなに凄いのですか!?」
ローザが悔しそうにレンに問いかける!
「別に俺は凄くないぞ?」
「そんなことないです!
何もかも私の想定の斜め上を行き過ぎてます!
なんであんな発想が出るのですか!!」

あんなの前の世界では当たり前だしなぁ・・・。
だからと言ってそんなこと信じないよな・・・。

「うーん、偶々だ。」
「偶々で出来るものではないですわ!!」
「2年間、一人で島に暮せばわかるんじゃないか?」
「うう・・・!それは・・・!」
「さて、部屋に戻って休んだら枕投げ大会な!
モーリス、鼻血出すなよ!」
「お前こそ!
俺のスーパー枕ショットをお見舞いしてやるからな!!」
「なんだ、そのネーミングセンス。
糞だな!」
「なんだと~!!」

そう言って男達は部屋に戻っていく。
「全く男子は・・・
私達も部屋に向かいますわよ。」
「部屋に行く前に・・・
これから大切な会合があるの!」
『会合・・・?』
ローズマリーとローザは首を傾げる。
「そうだ!
ローザちゃんとマリーちゃんも来てくださいよ!!
スペシャルゲスト!!
特にマリーちゃんからはたっぷりと話を聞かないと!!」
「それはいですわね!!
さあ、二人共!!
行きますわよ!!」 
『ええ!?』
ミスティーナとミーティアに掴まれ、引き摺られる形で何処かに連れて行かれるローズマリーとローザ。

ある部屋に辿り着くとそこには沢山の女子が集まっていた。

「皆さん、お待たせしました!
では、早速〈レン様を称える会〉の会合を行います!!
そして、今日はスペシャルゲスト!!
レン様に守られているヒロイン、ローズマリーさんにライバルのローザさんです!!」
『わぁぁぁぁぁぁぁぁ!!』
一斉に拍手する女の子達!!
「こ、これはなんですの!?」
「さっき言ったではありませんか!
〈レン様を称える会〉ですわ!
今日はスペシャルゲストのローズマリーにレン様の知られざるプライベートの部分までみっちりとお話頂きます!!」
『レン様のプライベート!?』
女子達が一斉に前のめりになる!
「先ずは夏休み、朝起きてからのレン様の行動をお願いします。」
「朝から!?
えーっと、あいつは朝から喋ってるわ。」
『は?』
女子たちはキョトンとする。
「なんか、あいつが持ってる刀と話せるみたいでいつも朝から喧嘩してるわ!
変な奴でしょ!」
(ふふっ!これであいつを変な目で見るといいわ!)
『ミステリアス!!』
「は!?」
「刀とお話出来るレン様・・・素敵!!」
「何故!?」
「それから!?」
「それから・・・?
えっと一緒に朝ごはん食べて・・・
その後、私は宿題があるから見てないけど・・・。」
「じゃあ、レン様も宿題をやってるのですか?」
「いや、あいつはもう宿題終わらせているわ・・・。
あいつ、1日で終わらせたのよ!!
ありえないでしょ!!」
『1日で・・・!?あの量を!?』
これにはローザもびっくりだ!
『正に神の所業!!』
「最近はお姉様の研究室で何かを開発してるわ。
このクーラーもあいつが考えたのよ。」
『天才過ぎる!!』
「お陰でお姉様は表彰されたわ。
まあ、あいつはされてないけどね。」
「え!?なんでですの!?
考えたのはレン様なのに!?」
「別に表彰に興味ないんだって。
暑い夏を涼しく過ごせればそれでいいって。
変なやつでしょ?」
『超クール!!』
みんなの目がどんどんハートになっていく。
「ローズマリー様!
レン様はローズマリー様が襲われた時、どのように助けてくれるのですか!?」
「え~と、刀で腕をバッサリと?」
『腕を・・・!?』
(ふふっ!これで引かれたはず!!)
『なんて見事なお裁き!!』
「えぇぇぇぇぇぇぇ!?
腕を斬るのよ!?
何の躊躇も無く!!」
「二人の愛を引裂こうとする奴にはそれでも生ぬるいですわ!」
『そうよ!!死あるのみ!!』
「えぇぇぇぇぇぇぇ!?」
「何かかっこいいセリフをいただけましたか!?」
「えーっと・・・
ローズマリーに汚い手で触るな!とか
俺はローズマリーのボディガードだ・・・。
ローズマリーを攫いたいのならば、先ずは俺を倒してみろ・・・。
まあ、ローズマリーには指一本触れさせねえけどな・・・!とか?」
『きゃぁぁぁぁぁぁぁ!!』
女の子達の声にビクッとなるローズマリーとローザ。
「メリッサさん!メモしましたか!?
次はそのセリフを必ず入れるのですよ!!
悪いやつは皆殺しで!!」
『皆殺し!?』
「も、勿論です!会長!!
今、私の中で一つの物語が完成したところです!!」
そういったのはレンにスキルを見抜いてもらったというメリッサ。
はっきり言って地味な子であるが、瞳の奥は輝いていた!
「あの子があの漫画を・・・」
「ええ、そうですわ!
メリッサはレン様の心眼により、才能を開花させた神の申し子ですわ!!」
「心眼・・・!?申し子!?」
「レン様は素晴らしいです!!
メリッサのスキルを見抜き、ローズマリーのスキルも見抜いた・・・!
正に神の使者!!」
「では、ローザ。
ライバルとしてレン様の魅力をどうぞ!!」
「わ、私!?
・・・私はあの人のライバルなんかではないわ・・・。
あの人は次元が違いすぎますわ・・・。」
「貴女は今回のテストで2位。
ライバルと呼んでもいいのでは?」
「こんなに先の見えない1位と2位の差は初めてよ・・・。
私にはオール満点なんか無理。
あの人のように頭の中で計算なんか出来ないもの・・・。
宿題だって、私も全部終わらせたけど・・・
それでも一週間もかかった・・・。
それを1日で・・・。
そして、スキル・・・
あの人の〈模倣する者〉は最強よ・・・。
私のスキルまでコピーし、更に威力を何倍も上げた・・・。
そして、今回の料理。
あの人はちゃんとテーマに沿い、見事素晴らしい料理を作り上げた・・・。
私には到底あんなことは出来ない・・・。
ライバルなんておこがましいですわ・・・。」
そう話すローザはどんどん落ち込んでいく。
まるでプライドをズタズタにされたように・・・。
「ローザ・・・何言ってんのよ!!
あんなのに勝とうとするのが間違いなのよ!!」
「・・・えっ・・・?」
「あれに立ち向かうなんて、ありんこがドラゴンに立ち向かうようなもんよ!!
レベル98よ?
勝てるわけないじゃない!!」
『レベル98!?』
レンのレベルを知らない女子達が驚愕する!
「頭の中も私達と考えてることなんて全然違うんだから!!
掛け算だって計算しないで答えちゃうし、国語だって全然文読まないし、スキルの効果とか全部覚えてるし!
でも、良いところばかりじゃないのよ!
毎日馬鹿にしてくるし!
悪いやつ直ぐ殺そうとするし!
巨乳好きだし!
執事のくせに生意気だし!
私はまだ貴女の事よく知らないけど、きっとあいつに勝ってるところだってあるわ!
落ち込んでるなんて貴女らしくないわ!
頑張ってよ!!
女子でトップは貴女なのよ!
女が男に負けてないってところ見せてよ!!」
「ローズマリー・・・ありがとう・・・。
そうよね・・・落ち込んでる場合じゃないですわね・・・!」
ローザの顔がいつもの様に自信に満ち溢れた顔に戻る。
「こうなったら皆でレンに勝つのよ!!」
『いや、それはちょっと・・・。』
「ちょっと!!
今は一致団結するところでしょ!!」
「貴女が言ったんでしょう?
アリンコがドラゴンに立ち向かうようなもんだって・・・。」
「た、確かに言ったけど・・・。」
「ローズマリー、いい?
神様に人間が勝てるわけないの。
神様には抗うんじゃなくて、崇拝するの。
レン様は最早、神!!
だから貴方達も勝とうとするんじゃなくて崇拝するのよ!!」
『えぇぇぇぇぇぇぇ!?』
ローズマリーとローザが呆気に取られる!
「さあ!貴女達!
時間は限られているわ!
今のうちにローズマリーからレン様の武勇伝を余すところなく聞き出しますわよ!!
そして、メリッサに絵にしてもらうのよ!!
それを見て・・・ハァハァ♡」
『はい!!会長!!』
その後、ローズマリーは質問攻めにあう・・・。
就寝時間になり、先生に怒られ解散・・・。

そして、部屋までの帰り道・・・。
「ローズマリー、ありがとう・・・。
今まで悩んでいたことがバカらしくなったわ。」
「いいのよ。
私達は友達なんだから!」
「友達・・・
そうね。友達ですわよね!」
「勿論、私達もだよー!」
二人の後ろから抱きついてくるミーティア。
「さあ、友達として、レン様を崇拝しましょう!!
ローズマリー、貴女は逐一レン様のかっこいい武勇伝を報告するのよ!!」
「えぇぇぇぇぇぇぇ!」
「これは義務です!
レン様を独り占めしてるんですからね!
そのくらいやっても罰は当たりませんわ!!」

そして、4人は生涯の友として、更に仲を深めるのであった・・・。



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