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第12章 神の使者、エルフの国に降臨

第135の宴 ジーク、寿司の使者になる。

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エルフ達が指導を受けてから一週間が経った・・・。

くっ、ここにそんなに滞在する予定ではなかったのに!!
しかし、俺も命がかかっている。
適当にやるわけにはいかない・・・。

「タナトスの親方ー!!
船が出来上がりましたァァァァァァァ!!
見てくだせえー!!」
もうすっかりと親方ポジションに君臨したハルト。
スキルのお陰もあってか、船造り班の技術がメキメキと上昇。
流石はユニークスキルだな!

ハルトは造船所に向かう。
そこには大きな船が2艘出来上がっていた!

「遂にできたな!
これが有れば魚を大量に捕まえられるな!!」
「全て親方のおかげです!!」
「こんなにも早く造れるとは思ってなかったぞ!」
「寝る間も惜しんで造りましたから!!」
「じゃないと・・・殺される・・・レナ様に・・・」
怒れるレナが怖くて死ぬ気で造ったエルフ達。
流石に可愛そうなので、温泉を創って疲れを癒やしつつ、急ピッチで造ってもらった!
「よし、魚を取りに行くぞ!
この網を2艘の船の間につけろ。」

ハルトはクリエイトアイテムで大きな網を創り出す。

「網?
これで魚が取れるんですか?」
「2艘を並行させて発進させ、この網に魚を入れていく。
そうすれば、大量に魚が捕れる!」
『なるほど!!』
「早速やってみるぞ!」

俺達は船に乗り込み、船を出港させる。
網を2艘の間につけ、並行させ、海を航海する。
途中船酔いする者が続出。
ティナが回復してくれ、なんとかなった。
ティナを連れてきてよかった。

そして、港に戻る俺達。
「よし、網を船上に上げるぞ!
力いっぱい引け!!」
『おおおおおおおおおお!!』
片方の船に掛かってる網をもう片方の船に渡し、力の限り、網を引っ張る!

すると、大量の魚が網にかかっていた!!

「大漁だ!!」
『ウオオオオオオオオオオ!!!!』

大量の魚が取れたことで歓喜に包まれるエルフ達!
「早速城に持っていくぞ!
このトラックを使え!」

《クリエイトアイテム!》
目の前に沢山のトラックが現れる!
荷台には生きた魚を運べるよう、水槽になっている!
循環器付きだ!

大量の魚をトラックに入れ、いざ王城へ!

そして、寿司班・・・。

「師匠!!
どうですか!!
師匠のようにキレイに捌けました!!」
ジークがキレイに捌けた魚を俺に見せてくる。
因みに俺は分身している。
さっきのは俺の分身だ。
一人じゃ見きれないからな。
「よし、じゃあ側を引いてネタ切してみろ!」
「はい!師匠!」
ここでの俺は師匠ポジションだ。
スキルのお陰もあってかこちらも皆上達している。
もう魚に土下座をする必要はなさそうだ。
そして、先程魚の捕獲にも成功したみたいだな。
さっき俺からトランシーバーで連絡があった。

ふぅ・・・。
一週間もかかっちまった・・・。
まあ、船造りも寿司作りも普通なら一週間でマスター出来るわけないしな。
一週間で住んで良しとしよう・・・。
流石は〈神の指導者〉だな。
あ、このスキルがあれば人間界で指導している俺達にも役に立ってるはずだな。
自動発動スキルだからな。
今頃驚いてるかな?

実際のところ、急にハルトの指導が良くなり、人間界での名物作りが飛躍的に進んでいた。
各地にいるハルト達はそれに気づかぬまま、作業を進めるのであった・・・。

そして、港から魚が届く。
「おお!大漁だな!!」
「すげえ・・・こんなに釣ったのか!?」
「いや、二艘の船を使って網で捕ったんだ。
釣りなんかしてたら日が暮れるだろ?」
「そんな方法もあったんですね・・・。」
「魚を捕る方法なんていくらでもある。
それより、魚も届いたから本番だ。
一週間も待たせたからな。
今から創造神の為に寿司を作る!」
『!!!!!!!』
急に本番がきて、ビビるエルフ達・・・。
当然だろう・・・。
もしダメだった時、創造神の怒りを買い、滅びる・・・。
途轍もないプレッシャーがエルフ達に襲う・・・。

「・・・俺にやらせてください・・・。」
前に出るジーク。
「策士様!!」
「俺が今度こそ創造神様にちゃんとしたお寿司を献上します・・・。
リベンジさせてください・・・!!
お願いします!!」
頭を下げるジーク。
「策士様!私も手伝います!!」
サブリナがジークに訴えるが・・・
「ありがとう、サブリナちゃん。
だけど、ここは俺一人にやらせて欲しい。
最初に創造神様を怒らせたのは俺だ・・・。
寿司を舐めてたからな・・・。
だけど、今回は前とは違う・・・。
必ず俺が創造神様の納得のいく寿司を作る!
だから、見ててくれよ・・・。」
「策士様・・・分かりました。
私は貴方を信じます!」
「じゃあ、ジーク。お前がやれ・・・。
一族の命と俺の命がかかってる・・・。
手を抜くなよ・・・?」
「はい!勿論です!!」
「てめぇ・・・クソみたいなもん作ったら分かってるよなぁぁぁ!?」
怒れるレナがジークを脅す!

「その時は・・・死んで詫ます!!」

真剣な目で答えるジーク。
「策士様・・・!カッコいい・・・!!」
が・・・
「ああ!?貴様の命如きで詫びれると思ってんのかァァァァァ!!!!
貴様の命如きがご主人様の命と釣り合うと思うなよォォォォォ!!
一族全員皆殺しじゃァァァァァァァ!!!」
『ヒィィィィィィィィィィィィィィィ!!!!』
レナの威圧にビビるエルフ達。
「レナ、やめろ。
余計なプレッシャーを与えるな。」
「だって・・・!」
「大丈夫だ・・・。
ジークはあれから一番努力してきた・・・。
きっと創造神も納得するはずだ。」
「師匠・・・見ててくれたんですね・・・!
やってやりますよ・・・!
見ててください!!」

そして、ジークの寿司作りが始まる・・・。
最初の時に比べて、飛躍的に上手くなっている!
顔つきは正に寿司職人。
丁寧に魚を卸し、皮を引いていく。
ネタ切りも完璧。
握りも文句なしだ。
そして・・・
「出来ました!!」
ジークが作った寿司はハルトが作ったものと全く変わりのない完璧なものであった。

「よし、献上しろ・・・。」
「はい!」
ジークは恐る恐る創造神の像の前に寿司を置く。
「この前は寿司作りを舐めてかかって申し訳ありませんでした!!
どうぞ、お召し上がりください!!」

するとジークの創ったすしが光に包まれ消えていく!

「第一段階クリアだ。」
「良し!!」
ガッツポーズを取るジーク。
「まだだ。
あとは食べた後だ・・・。」
皆が唾を飲み、創造神の信託を待つ・・・。

そして、5分後・・・
またも像の前が光に包まれ寿司下駄のみが置かれた・・・。
そこには紙が貼ってある。

〈ジークよ・・・よくやりましたね。
美味しかったです・・・。
これからも宜しくお願いしますね。〉

「よし、合格だ!!」
『ウオオオオオオオオオオオオオオオ!!!』
「やった・・・!やったぞ!!」
「策士様!!やりましたね!!」
嬉しさのあまり抱きつくサブリナ!
「これで一族は滅亡しなくて済むのじゃな!!」
「やったぞ!ルミリアン!!」
オルフェノスはルミリアンを高い高いする!
歓喜に沸くエルフ達!
皆が滅亡から逃れ喜び合う!!


「感動しているところ悪いが、これを毎日やるんだぞ?
今のままで満足していたら創造神だって飽きるからな?
色んな寿司の研究しないと駄目だぞ?
もっとレベル上げないとな。」

『えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?!?』
啞然とするエルフ達!!

「待ってましたァァァ!!ムードクラッシャー!!!」
「やっぱり来ると思ったよー!!」
「やっぱりクラッシャーはぁ期待を裏切らないですぅ!」
「やっぱりこれが無ければタナトスじゃないわね!」
「もうタニャトスの十八番にゃん!!」
「クラッシュした時のみんなの顔が堪らないね☆」
くっ!またも期待しやがって!
俺は正論を言っただけなのに!!

「とにかく!
色んな寿司を教えるから色々研究して創造神に献上しろよ?」
「わ、分かりました・・・。」
「しかし・・・創造神は毎日寿司で大丈夫なのか?飽きないのか?」
すると空から紙がひらひらと降ってくる・・・。

〈飽きたら違うの要求するから大丈夫〉
・・・そうですか・・・。
その時は俺が作れるものにして頂きたいね・・・。

そして、俺は海鮮丼やちらし寿司などの作り方も教える。

「以上だ。
もう俺が教えることは何もない・・・。
寿司班はこれからも創造神の献上を忘れないように。
そして、船班はこれからも船を造り続け、他国に売れるようにすれば、エルフの国ももっと栄えるだろう。」
「タナトスよ・・・
礼を言うぞ・・・。
お主達が来なければ、妾たちはまだあそこで暮らしていた・・・。
こうやってエルフとダークエルフが手を取り合って協力することも無かった。
ありがとう・・・。」
「俺からも礼を言う。
お前のおかげでルミリアン達と仲良くなれた。
船や寿司の作り方も覚えることが出来た。
全てお前のお陰だ。ありがとう・・・。」
「言っておくが、まだ妾は許してないからな!!」
「わかってる。
何年かけても俺がお前を振り向かす!」
「ばっ!みんなの前で恥ずかしいこというでない!!」
顔を赤くするルミリアン。
「師匠!
俺は策士として、寿司の使者としてがんばります!!
ありがとうございました!」
あ、意外と寿司の使者気に入ってんだな。
「神の使者様!
貴方のお陰で女王様も女王として自覚を持ってくれました!
ありがとうございました!!」
「これからもお互い仲良くしろよ?」
「もちろんよ!
先ずは私とルーン様の結婚式をあげます♡」
「け、結婚式!?
気が早いですぞ!!」
「いいの!
私達が先ずは先頭を切るんだから!」

うん、これは押し切られる奴だな。
頑張れよ、ルーン。

「じゃあ、俺達は先を行く。
皆元気でな!」
『はい!!ありがとうございました!!』

こうして俺達はエルフ達に別れを告げ、造船所に向かおうとした・・・。

が・・・

・・・おかしい。
うちのメンバーは7人と2匹だった筈・・・。
なんだ、この白の巨塔みたいな列は?
「おい・・・
何故ついてくる?」
俺達の後ろにはエルフ達がぞろぞろと付いてくる。
「いや、見送ろうと思ってな・・・。」
「だったらさっき別れの挨拶とか必要なかったじゃないのか?」
「何か言わなきゃいけない雰囲気だったので・・・。」
「俺達は親方がどんな船を創るのか見てみたかっただけっす!!」
「全く・・・。
もう勝手にすればいい・・・。
ミーナ、頼む・・・。」
「はいですぅ!」
『わぁぁぁぁぁぁい!!』

そして、俺達は空間魔法を使い、造船所にたどり着いた。

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