102 / 137
第10章 神の使者、魔界に降臨
第102の宴 魔王ソフィア
しおりを挟む
「これより魂の浄化を始める・・・。」
「ご主人様!
サクッとやってお祝いしよー!
ソフィアちゃんが魔王になったお祝い!!」
「倒すのは我ではない・・・。」
『へ!?』
「最後はソフィア・・・
新魔王である貴様の番だ・・・!!」
「わ、妾が!?」
「当たり前だろう?
お前はこれから魔王としてこの国を治めるのだ。
何でもかんでも我におんぶにだっこでいいのか?
この先、我はお前の傍にはいられない・・・。
すべて、魔王であるお前が魔王としてカタをつけなければならない。
これはお前が魔王になって初めての仕事だ。
魔族の為・・・自分の為にお前がトドメをさせ!!」
「魔王として・・・初めての仕事・・・。
でも、妾にはヘルライザーを倒すほどの実力が・・・」
「何を言っている?
あの死の森でお前は強くなった。
この悪のヘルライザーは薬を使う前のヘルライザーだ。
このヘルライザーであれば、お前でも充分に倒せるはずだ・・・。
今、こいつを倒すための武器を授けよう・・・。」
《クリエイトアイテム!!》
ソフィアの前に光り輝く大鎌が現れる。
「これでトドメをさせ。お前専用の大鎌だ。」
「大鎌!?
妾・・・大鎌など使ったことは・・・!」
「大丈夫だ。
お前は知らなかったんだろうが、ソフィアには鎌術のスキルがある。
お前の本当の得意武器はこのデスサイズだ・・・。
さあ、魔王として、悪のヘルライザーを討て!!」
「まさか・・・妾にそんなスキルが・・・分かったわ・・・!
妾が倒す!」
ソフィアが大鎌を構えると悪のヘルライザーが襲いかかってくる!!
ガキィィィィン!!
ヘルライザーが振り下ろした剣をソフィアが大鎌で受け止める!!
「!!!
初めて持つ武器なのに・・・!
使いこなせる!!」
「当たり前だろう?
お前の鎌術はレベルMAX。
生まれ持っての才能がお前にはあったんだ。」
「うう・・・もっと早く教えてくれればよかったのに・・・」
言う機会を逃したんだ、すまん。
そして、ソフィアとヘルライザーの戦いは続く。
「嘘だろ・・・あの落ちこぼれのソフィアがヘルライザーと戦えている!?」
「何だ・・・あの魔力は・・・!?」
「本当にソフィアなのか・・・?」
「ソフィア様ァァァ!!
頑張れぇぇぇ!!」
「ソフィア様は我らの希望じゃ!!
ソフィア様こそ魔王に相応しいお方じゃ!!
皆、共にソフィア様に声援を!!」
ソフィアのじいやが観客たちを煽る!
観客たちもそれに応えるように声援を送る!
『ソ・フィ・ア!ソ・フィ・ア!』
「皆・・・!
妾は皆のために貴様を討つ!!」
《スピリット・ドミネーション!!》
悪のヘルライザーが動きを止める!
どうやら魂にもこの洗脳は効くみたいだ!
「妾はこの国全ての者が笑って過ごせる国を作る!!
父が死んでからの魔界はもう終わりにする!!
妾が父以上の魔界を作るのよ!!
妾が魔王!!ソフィアだァァァァ!!!」
ソフィアは美しく弧を描くような鎌捌きで悪のヘルライザーを切り裂いた!!
〈ギャァァァァァァァァァ!!!〉
断末魔の叫びと共に悪のヘルライザーが消えてゆく・・・!
「はぁ、はぁ、はぁ・・・やった・・・」
〈ソフィア選手、ヘルライザーを打ち破り、見事勝利です!!
よって、新たな魔王は・・・
ソフィアだァァァァァァァ!!!〉
『ウオオオオオオオオオオオオ!!!!!』
会場中に湧き上がる歓声・・・!
皆が喜び合っている!!
一部のヘルライザーの部下達を除いて・・・。
「ソフィア・・・魔王として皆に挨拶するといい。
お前の気持ちを皆にぶつけろ!!」
「・・・うん!」
ソフィアは武舞台に立ち、リングアナウンサーからマイクのような拡張器をもらう。
「皆の者・・・!
妾が新たなる魔王ソフィアだ!!
妾はここに宣言する・・・
この魔界を笑顔に溢れる魔界にする!!
前魔王の意志を継ぎ、妾の父のような・・・
いや、それ以上の魔界を作ってみせる!!
その為には皆の協力が必要よ・・・
共にこの魔界を素晴らしいものにしようではないか!!」
『ウオオオオオオオオオオオオオ!!!!』
観客たちが皆一つとなる!
が、しかし・・・
「巫山戯るな!!
俺はてめえを魔王とは認めねえぞ!!」
「そうだ!
何が笑顔あふれる魔界だ!!
街の雑魚どもと仲良くするつもりはねえ!!」
「弱い者を支配して何が悪い!!」
一斉にヤジを飛ばすヘルライザー軍。
今にも襲いかかりそうだが、ハルトが怖くて近寄れない!
(うう!タナトスさえいなければ!!)
「・・・タナトスよ・・・
ちょっとズルをしてもいいかな・・・。」
「それが国の為になるのであればいいんじゃないか?」
「ありがとう・・・。」
ソフィアはヘルライザー軍の前に歩き出す。
「何だ!やるのか!?」
《スピリット・ドミネーション!!》
ヘルライザー軍の目が虚ろになり、反抗しなくなる!
「貴様らが目覚めたとき、ヘルライザーに仕えていたことを忘れる・・・。
そして、妾に対する反抗心もなくなる。
妾を魔王として仕える。
弱い者を助け、この国を良くしようと皆で協力をするようになる。
暴力や喧嘩をしようという心も無くす・・・。」
ヘルライザー軍に洗脳を始めるソフィア。
私利私欲の為の洗脳なら止めたが、国の為になる洗脳なら俺は止めない。
確かにズルかもしれないが、これもソフィアの能力だ。
こんな魔王がいてもいいんじゃないか?
この能力があってもソフィアならいい魔王になれる・・・。
そして、ソフィアが魔王になったということは・・・
もう、ソフィアとはここでお別れだ・・・。
・・・俺は本当にソフィアと別れられるのかな・・・。
そして、ソフィアの洗脳が終わる。
「終わった・・・。
これでもう、この者たちも皆を襲うことはないわ・・・。」
ヘルライザー軍が目覚めると、先程とは全くの別人となっていた!
「ソフィア様!!
我らともに良き魔界を作りましょう!!」
「ソフィア様、バンザーイ!!」
洗脳すげえな・・・。
周りの魔族たちもあ然としている・・・!
そして、ヘルライザーが目覚める・・・。
「ライくん!!目が冷めたのね☆」
「姉ちゃん・・・俺は・・・?」
「今・・・姉ちゃんって・・・!
良かった★
昔のライくんに戻った!!」
泣きながらヘルライザーに抱きつくルーシー。
「おい、恥ずかしいだろ!
止めろよ、姉ちゃん!!
ここはどこだ!?
なぜ、皆見てるんだ!?」
どうやら、悪くなった頃の記憶がないらしい。
悪魂之浄化で記憶のあるものとないものが分かれる。
何故かは解明されてないが、ヘルライザーは記憶がない方側らしい。
年月なのかな・・・?
アレンの父親、ミーナ、ヘルライザーは悪に染まった時間が長かったもんな・・・。
あ、ミーナは別なのかな?
やっぱりわからん!!
ルーシーが今までのことをヘルライザーに話す。
すると、段々とヘルライザーの顔が青ざめてゆく。
「そ、そんな・・・!
俺がサミュエル様を・・・!?
嘘だ・・・!」
今までのことを知り、絶望の顔で膝をつくヘルライザー。
「申し訳ございません!!
ソフィア様!!
記憶がなかったとはいえ、俺はなんて愚かなことを!!
なんて詫びればいいか・・・!」
「じゃあ、死ねよ・・・」
『え・・・!』
土下座をしていたヘルライザーの背中をモーリスがナイフで突き刺す!!
「ぐふぅぅっ!」
「ライくん!!」
「おい!てめぇ!何してんだ!!
ティナ!ミミ!!回復だ!!
急げ!!」
『分かった(にゃん)!!』
二人は急いで観客席から離れる!
アセナとレオンもその後を追いかける!
エリクサーを飲ませるべきなのだが、ヘルライザーは口から大量の血を吐いている・・・
これでは飲ませることが出来ない!!
「モーリス!!何してんのよ!!」
「うるせえ!!
改心したって罪は消えねえんだよ!
こいつはここで俺が殺す!!」
トドメを刺そうとモーリスが剣をヘルライザーに突き刺そうとするが・・・!
ブシュッッ!!
ソフィアがヘルライザーを庇い、ソフィアの腹部に剣が突き刺さる!!
「え・・・!?」
「ぐふっっっ・・・」
口から大量の血を吐くソフィア!
「ソフィアァァァァァァァ!!」
ハルトはすぐさまソフィアの元に駆けつける!
「ソフィアしっかりしろ!!」
ハルトは剣を抜き、止血する!
「ティナ!ミミ!!
早く回復を!!
これではエリクサーを飲ませられない!
早くしろ!!」
「わかったにゃん!!
ミミはヘルライザーを!!
ソファにゃんはみゃーが治すにゃん!!」
「うん!!」
「な、なんでだよ・・・!
そいつはお前の父親を・・・サキュエル様を殺したんだぞ・・・!
なんでお前が庇うんだよ!!」
膝から崩れ落ちるモーリス・・・。
「わかってる・・・
だけど・・・私は・・・魔王だ・・・。
いくら・・・父の仇と言えど・・・ヘルライザーにも・・・家族がいる・・・。
ここで・・・殺したら・・・また・・・悲しみが生まれる・・・そして・・・また復讐が・・・繰り返される・・・
だから・・・魔王の・・・私が・・・それを・・・止めないと・・・」
「ソフィア・・・もう喋るな。
ティナ・・・ソフィアは大丈夫そうか?」
「大丈夫にゃん!
傷口が塞がってきたにゃん!
あとちょっとで回復するにゃん!」
「そうか・・・。良かった・・・!
ソフィア・・・少し寝てろよ?
さて、モーリスよ・・・
ソフィアの言っていることはわかるよな・・・?
復讐は復讐しか生まない・・・。
貴様、言ったよな・・・?
この国を良くすると・・・。
今ここでヘルライザーを殺したら、今度はルーシーがお前を狙う。
お前が殺されたら、今度はお前の周りの者がルーシーを狙う・・・。
そうやって復讐を繰り返し、最後にはこの魔界は悲しみと憎悪で溢れていく・・・。
そんな国の何処が良い国なんだ?
そんなことも分からない貴様は魔王候補失格だ・・・。
貴様はまた、メリッサのような未来に絶望しか持たない子供を増やしたいのか・・・?」
ハルトの言葉に、はっとするモーリス。
「うう・・・ソフィアの言う通りだ・・・。
俺はとんでもない過ちを犯すところだった・・・
すまねえ・・・ソフィア・・・!!」
泣きながらその場で蹲るモーリス。
「わかってくれればいいわ・・・。」
モーリスの言葉に答えるソフィア。
「ソフィア、大丈夫か?」
「ええ、ティナのお陰でもう大丈夫よ・・・
ティナありがとう・・・!」
「治って良かったにゃん!」
「こっちももう大丈夫だよ!!」
「ちびうさちゃん!ありがとう~★
ライくん治ったよ!」
ヘルライザーの方も無事だったみたいだ。
「・・・ソフィア様・・・モーリス。
本当に申し訳なかった・・・。
俺の心がもっと強ければ、心を闇に支配されることはなかった・・・。
謝ったって許されないことはわかっている・・・。
何をしても償えないことも・・・。」
ヘルライザーは自分の犯した罪を悔やんでいた・・・。
「ヘルライザー・・・
貴様が犯した罪は重い・・・。
だが、亡くなった父にも責任はある・・・。」
「前魔王にも?」
「ああ。ヘルライザーが闇に呑まれたのは父の責任でもあるのだ・・・。
父が死ぬ前に聞いた・・・。
父が築いた魔界は表面上はとても良い国であった。
しかし、その影でヘルライザーやバイオレットルーシーのように親を殺され、復讐心を燃やす者がいることを教えてもらった・・・。
父の築いた魔界は皆笑って暮らしているわけではなかったのだ・・・。
父はそのような者達を救えなかった。
その結果、父は殺されたのだ・・・。」
「あの夜の話か・・・?」
「そうよ・・・。
父はバカみたいなプライドのせいでそのような者を救えず、殺されてしまった・・・。
そんな馬鹿なプライドを捨てて、もっと国民に向き合えばこのような事態にはならなかった・・・。」
「ソフィア様・・・知っていたのですか・・・?」
「ああ。
だからこそ、妾はそのような者にも笑顔になってもらいたい。
魔界の者全てが笑って暮らせる国を作りたい!
父が成し遂げられなかったものを妾がやるのだ!!
だから、皆の者・・・!!
困っている者や苦しんでいる者がいれば教えてほしい!!
妾が必ずや解決して見せる!!
もう2度と、悲しみに溢れた魔界にはしない!!
どうか、妾に力を貸してくれ!!
頼む・・・!!」
ソフィアは礼をする。
魔王としての責任を果たすために・・・。
すると、ポツポツと拍手が湧き上がり、次第にそれは大きなものとなる!
「皆・・・!ありがとう・・・!!
必ずや、皆の力で魔界を良き者にしよう!!」
『ウワァァァァァァァァァァァ!!!!』
歓声はしばらく止むことはなかった・・・。
その瞬間、遂にソフィアは魔王として認められるのであった・・・!
「ご主人様!
サクッとやってお祝いしよー!
ソフィアちゃんが魔王になったお祝い!!」
「倒すのは我ではない・・・。」
『へ!?』
「最後はソフィア・・・
新魔王である貴様の番だ・・・!!」
「わ、妾が!?」
「当たり前だろう?
お前はこれから魔王としてこの国を治めるのだ。
何でもかんでも我におんぶにだっこでいいのか?
この先、我はお前の傍にはいられない・・・。
すべて、魔王であるお前が魔王としてカタをつけなければならない。
これはお前が魔王になって初めての仕事だ。
魔族の為・・・自分の為にお前がトドメをさせ!!」
「魔王として・・・初めての仕事・・・。
でも、妾にはヘルライザーを倒すほどの実力が・・・」
「何を言っている?
あの死の森でお前は強くなった。
この悪のヘルライザーは薬を使う前のヘルライザーだ。
このヘルライザーであれば、お前でも充分に倒せるはずだ・・・。
今、こいつを倒すための武器を授けよう・・・。」
《クリエイトアイテム!!》
ソフィアの前に光り輝く大鎌が現れる。
「これでトドメをさせ。お前専用の大鎌だ。」
「大鎌!?
妾・・・大鎌など使ったことは・・・!」
「大丈夫だ。
お前は知らなかったんだろうが、ソフィアには鎌術のスキルがある。
お前の本当の得意武器はこのデスサイズだ・・・。
さあ、魔王として、悪のヘルライザーを討て!!」
「まさか・・・妾にそんなスキルが・・・分かったわ・・・!
妾が倒す!」
ソフィアが大鎌を構えると悪のヘルライザーが襲いかかってくる!!
ガキィィィィン!!
ヘルライザーが振り下ろした剣をソフィアが大鎌で受け止める!!
「!!!
初めて持つ武器なのに・・・!
使いこなせる!!」
「当たり前だろう?
お前の鎌術はレベルMAX。
生まれ持っての才能がお前にはあったんだ。」
「うう・・・もっと早く教えてくれればよかったのに・・・」
言う機会を逃したんだ、すまん。
そして、ソフィアとヘルライザーの戦いは続く。
「嘘だろ・・・あの落ちこぼれのソフィアがヘルライザーと戦えている!?」
「何だ・・・あの魔力は・・・!?」
「本当にソフィアなのか・・・?」
「ソフィア様ァァァ!!
頑張れぇぇぇ!!」
「ソフィア様は我らの希望じゃ!!
ソフィア様こそ魔王に相応しいお方じゃ!!
皆、共にソフィア様に声援を!!」
ソフィアのじいやが観客たちを煽る!
観客たちもそれに応えるように声援を送る!
『ソ・フィ・ア!ソ・フィ・ア!』
「皆・・・!
妾は皆のために貴様を討つ!!」
《スピリット・ドミネーション!!》
悪のヘルライザーが動きを止める!
どうやら魂にもこの洗脳は効くみたいだ!
「妾はこの国全ての者が笑って過ごせる国を作る!!
父が死んでからの魔界はもう終わりにする!!
妾が父以上の魔界を作るのよ!!
妾が魔王!!ソフィアだァァァァ!!!」
ソフィアは美しく弧を描くような鎌捌きで悪のヘルライザーを切り裂いた!!
〈ギャァァァァァァァァァ!!!〉
断末魔の叫びと共に悪のヘルライザーが消えてゆく・・・!
「はぁ、はぁ、はぁ・・・やった・・・」
〈ソフィア選手、ヘルライザーを打ち破り、見事勝利です!!
よって、新たな魔王は・・・
ソフィアだァァァァァァァ!!!〉
『ウオオオオオオオオオオオオ!!!!!』
会場中に湧き上がる歓声・・・!
皆が喜び合っている!!
一部のヘルライザーの部下達を除いて・・・。
「ソフィア・・・魔王として皆に挨拶するといい。
お前の気持ちを皆にぶつけろ!!」
「・・・うん!」
ソフィアは武舞台に立ち、リングアナウンサーからマイクのような拡張器をもらう。
「皆の者・・・!
妾が新たなる魔王ソフィアだ!!
妾はここに宣言する・・・
この魔界を笑顔に溢れる魔界にする!!
前魔王の意志を継ぎ、妾の父のような・・・
いや、それ以上の魔界を作ってみせる!!
その為には皆の協力が必要よ・・・
共にこの魔界を素晴らしいものにしようではないか!!」
『ウオオオオオオオオオオオオオ!!!!』
観客たちが皆一つとなる!
が、しかし・・・
「巫山戯るな!!
俺はてめえを魔王とは認めねえぞ!!」
「そうだ!
何が笑顔あふれる魔界だ!!
街の雑魚どもと仲良くするつもりはねえ!!」
「弱い者を支配して何が悪い!!」
一斉にヤジを飛ばすヘルライザー軍。
今にも襲いかかりそうだが、ハルトが怖くて近寄れない!
(うう!タナトスさえいなければ!!)
「・・・タナトスよ・・・
ちょっとズルをしてもいいかな・・・。」
「それが国の為になるのであればいいんじゃないか?」
「ありがとう・・・。」
ソフィアはヘルライザー軍の前に歩き出す。
「何だ!やるのか!?」
《スピリット・ドミネーション!!》
ヘルライザー軍の目が虚ろになり、反抗しなくなる!
「貴様らが目覚めたとき、ヘルライザーに仕えていたことを忘れる・・・。
そして、妾に対する反抗心もなくなる。
妾を魔王として仕える。
弱い者を助け、この国を良くしようと皆で協力をするようになる。
暴力や喧嘩をしようという心も無くす・・・。」
ヘルライザー軍に洗脳を始めるソフィア。
私利私欲の為の洗脳なら止めたが、国の為になる洗脳なら俺は止めない。
確かにズルかもしれないが、これもソフィアの能力だ。
こんな魔王がいてもいいんじゃないか?
この能力があってもソフィアならいい魔王になれる・・・。
そして、ソフィアが魔王になったということは・・・
もう、ソフィアとはここでお別れだ・・・。
・・・俺は本当にソフィアと別れられるのかな・・・。
そして、ソフィアの洗脳が終わる。
「終わった・・・。
これでもう、この者たちも皆を襲うことはないわ・・・。」
ヘルライザー軍が目覚めると、先程とは全くの別人となっていた!
「ソフィア様!!
我らともに良き魔界を作りましょう!!」
「ソフィア様、バンザーイ!!」
洗脳すげえな・・・。
周りの魔族たちもあ然としている・・・!
そして、ヘルライザーが目覚める・・・。
「ライくん!!目が冷めたのね☆」
「姉ちゃん・・・俺は・・・?」
「今・・・姉ちゃんって・・・!
良かった★
昔のライくんに戻った!!」
泣きながらヘルライザーに抱きつくルーシー。
「おい、恥ずかしいだろ!
止めろよ、姉ちゃん!!
ここはどこだ!?
なぜ、皆見てるんだ!?」
どうやら、悪くなった頃の記憶がないらしい。
悪魂之浄化で記憶のあるものとないものが分かれる。
何故かは解明されてないが、ヘルライザーは記憶がない方側らしい。
年月なのかな・・・?
アレンの父親、ミーナ、ヘルライザーは悪に染まった時間が長かったもんな・・・。
あ、ミーナは別なのかな?
やっぱりわからん!!
ルーシーが今までのことをヘルライザーに話す。
すると、段々とヘルライザーの顔が青ざめてゆく。
「そ、そんな・・・!
俺がサミュエル様を・・・!?
嘘だ・・・!」
今までのことを知り、絶望の顔で膝をつくヘルライザー。
「申し訳ございません!!
ソフィア様!!
記憶がなかったとはいえ、俺はなんて愚かなことを!!
なんて詫びればいいか・・・!」
「じゃあ、死ねよ・・・」
『え・・・!』
土下座をしていたヘルライザーの背中をモーリスがナイフで突き刺す!!
「ぐふぅぅっ!」
「ライくん!!」
「おい!てめぇ!何してんだ!!
ティナ!ミミ!!回復だ!!
急げ!!」
『分かった(にゃん)!!』
二人は急いで観客席から離れる!
アセナとレオンもその後を追いかける!
エリクサーを飲ませるべきなのだが、ヘルライザーは口から大量の血を吐いている・・・
これでは飲ませることが出来ない!!
「モーリス!!何してんのよ!!」
「うるせえ!!
改心したって罪は消えねえんだよ!
こいつはここで俺が殺す!!」
トドメを刺そうとモーリスが剣をヘルライザーに突き刺そうとするが・・・!
ブシュッッ!!
ソフィアがヘルライザーを庇い、ソフィアの腹部に剣が突き刺さる!!
「え・・・!?」
「ぐふっっっ・・・」
口から大量の血を吐くソフィア!
「ソフィアァァァァァァァ!!」
ハルトはすぐさまソフィアの元に駆けつける!
「ソフィアしっかりしろ!!」
ハルトは剣を抜き、止血する!
「ティナ!ミミ!!
早く回復を!!
これではエリクサーを飲ませられない!
早くしろ!!」
「わかったにゃん!!
ミミはヘルライザーを!!
ソファにゃんはみゃーが治すにゃん!!」
「うん!!」
「な、なんでだよ・・・!
そいつはお前の父親を・・・サキュエル様を殺したんだぞ・・・!
なんでお前が庇うんだよ!!」
膝から崩れ落ちるモーリス・・・。
「わかってる・・・
だけど・・・私は・・・魔王だ・・・。
いくら・・・父の仇と言えど・・・ヘルライザーにも・・・家族がいる・・・。
ここで・・・殺したら・・・また・・・悲しみが生まれる・・・そして・・・また復讐が・・・繰り返される・・・
だから・・・魔王の・・・私が・・・それを・・・止めないと・・・」
「ソフィア・・・もう喋るな。
ティナ・・・ソフィアは大丈夫そうか?」
「大丈夫にゃん!
傷口が塞がってきたにゃん!
あとちょっとで回復するにゃん!」
「そうか・・・。良かった・・・!
ソフィア・・・少し寝てろよ?
さて、モーリスよ・・・
ソフィアの言っていることはわかるよな・・・?
復讐は復讐しか生まない・・・。
貴様、言ったよな・・・?
この国を良くすると・・・。
今ここでヘルライザーを殺したら、今度はルーシーがお前を狙う。
お前が殺されたら、今度はお前の周りの者がルーシーを狙う・・・。
そうやって復讐を繰り返し、最後にはこの魔界は悲しみと憎悪で溢れていく・・・。
そんな国の何処が良い国なんだ?
そんなことも分からない貴様は魔王候補失格だ・・・。
貴様はまた、メリッサのような未来に絶望しか持たない子供を増やしたいのか・・・?」
ハルトの言葉に、はっとするモーリス。
「うう・・・ソフィアの言う通りだ・・・。
俺はとんでもない過ちを犯すところだった・・・
すまねえ・・・ソフィア・・・!!」
泣きながらその場で蹲るモーリス。
「わかってくれればいいわ・・・。」
モーリスの言葉に答えるソフィア。
「ソフィア、大丈夫か?」
「ええ、ティナのお陰でもう大丈夫よ・・・
ティナありがとう・・・!」
「治って良かったにゃん!」
「こっちももう大丈夫だよ!!」
「ちびうさちゃん!ありがとう~★
ライくん治ったよ!」
ヘルライザーの方も無事だったみたいだ。
「・・・ソフィア様・・・モーリス。
本当に申し訳なかった・・・。
俺の心がもっと強ければ、心を闇に支配されることはなかった・・・。
謝ったって許されないことはわかっている・・・。
何をしても償えないことも・・・。」
ヘルライザーは自分の犯した罪を悔やんでいた・・・。
「ヘルライザー・・・
貴様が犯した罪は重い・・・。
だが、亡くなった父にも責任はある・・・。」
「前魔王にも?」
「ああ。ヘルライザーが闇に呑まれたのは父の責任でもあるのだ・・・。
父が死ぬ前に聞いた・・・。
父が築いた魔界は表面上はとても良い国であった。
しかし、その影でヘルライザーやバイオレットルーシーのように親を殺され、復讐心を燃やす者がいることを教えてもらった・・・。
父の築いた魔界は皆笑って暮らしているわけではなかったのだ・・・。
父はそのような者達を救えなかった。
その結果、父は殺されたのだ・・・。」
「あの夜の話か・・・?」
「そうよ・・・。
父はバカみたいなプライドのせいでそのような者を救えず、殺されてしまった・・・。
そんな馬鹿なプライドを捨てて、もっと国民に向き合えばこのような事態にはならなかった・・・。」
「ソフィア様・・・知っていたのですか・・・?」
「ああ。
だからこそ、妾はそのような者にも笑顔になってもらいたい。
魔界の者全てが笑って暮らせる国を作りたい!
父が成し遂げられなかったものを妾がやるのだ!!
だから、皆の者・・・!!
困っている者や苦しんでいる者がいれば教えてほしい!!
妾が必ずや解決して見せる!!
もう2度と、悲しみに溢れた魔界にはしない!!
どうか、妾に力を貸してくれ!!
頼む・・・!!」
ソフィアは礼をする。
魔王としての責任を果たすために・・・。
すると、ポツポツと拍手が湧き上がり、次第にそれは大きなものとなる!
「皆・・・!ありがとう・・・!!
必ずや、皆の力で魔界を良き者にしよう!!」
『ウワァァァァァァァァァァァ!!!!』
歓声はしばらく止むことはなかった・・・。
その瞬間、遂にソフィアは魔王として認められるのであった・・・!
0
お気に入りに追加
52
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
【R-18】クリしつけ
蛙鳴蝉噪
恋愛
男尊女卑な社会で女の子がクリトリスを使って淫らに教育されていく日常の一コマ。クリ責め。クリリード。なんでもありでアブノーマルな内容なので、精神ともに18歳以上でなんでも許せる方のみどうぞ。
淫らなお姫様とイケメン騎士達のエロスな夜伽物語
瀬能なつ
恋愛
17才になった皇女サーシャは、国のしきたりに従い、6人の騎士たちを従えて、遥か彼方の霊峰へと旅立ちます。
長い道中、姫を警護する騎士たちの体力を回復する方法は、ズバリ、キスとH!
途中、魔物に襲われたり、姫の寵愛を競い合う騎士たちの様々な恋の駆け引きもあったりと、お姫様の旅はなかなか困難なのです?!
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!
当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。
しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。
彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。
このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。
しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。
好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。
※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*)
※他のサイトにも重複投稿しています。
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる