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第10章 神の使者、魔界に降臨

第102の宴 魔王ソフィア

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「これより魂の浄化を始める・・・。」
「ご主人様!
サクッとやってお祝いしよー!
ソフィアちゃんが魔王になったお祝い!!」

「倒すのは我ではない・・・。」

『へ!?』

「最後はソフィア・・・
新魔王である貴様の番だ・・・!!」
「わ、妾が!?」
「当たり前だろう?
お前はこれから魔王としてこの国を治めるのだ。
何でもかんでも我におんぶにだっこでいいのか?
この先、我はお前の傍にはいられない・・・。
すべて、魔王であるお前が魔王としてカタをつけなければならない。
これはお前が魔王になって初めての仕事だ。
魔族の為・・・自分の為にお前がトドメをさせ!!」
「魔王として・・・初めての仕事・・・。
でも、妾にはヘルライザーを倒すほどの実力が・・・」
「何を言っている?
あの死の森でお前は強くなった。
この悪のヘルライザーは薬を使う前のヘルライザーだ。
このヘルライザーであれば、お前でも充分に倒せるはずだ・・・。
今、こいつを倒すための武器を授けよう・・・。」

《クリエイトアイテム!!》
ソフィアの前に光り輝く大鎌が現れる。

「これでトドメをさせ。お前専用の大鎌だ。」
「大鎌!?
妾・・・大鎌など使ったことは・・・!」
「大丈夫だ。
お前は知らなかったんだろうが、ソフィアには鎌術のスキルがある。
お前の本当の得意武器はこのデスサイズだ・・・。
さあ、魔王として、悪のヘルライザーを討て!!」

「まさか・・・妾にそんなスキルが・・・分かったわ・・・!
妾が倒す!」


ソフィアが大鎌を構えると悪のヘルライザーが襲いかかってくる!!

ガキィィィィン!!

ヘルライザーが振り下ろした剣をソフィアが大鎌で受け止める!!

「!!!
初めて持つ武器なのに・・・!

使いこなせる!!」

「当たり前だろう?
お前の鎌術はレベルMAX。
生まれ持っての才能がお前にはあったんだ。」
「うう・・・もっと早く教えてくれればよかったのに・・・」
言う機会を逃したんだ、すまん。

そして、ソフィアとヘルライザーの戦いは続く。

「嘘だろ・・・あの落ちこぼれのソフィアがヘルライザーと戦えている!?」
「何だ・・・あの魔力は・・・!?」
「本当にソフィアなのか・・・?」
「ソフィア様ァァァ!!
頑張れぇぇぇ!!」
「ソフィア様は我らの希望じゃ!!
ソフィア様こそ魔王に相応しいお方じゃ!!
皆、共にソフィア様に声援を!!」

ソフィアのじいやが観客たちを煽る!
観客たちもそれに応えるように声援を送る!

『ソ・フィ・ア!ソ・フィ・ア!』

「皆・・・!
妾は皆のために貴様を討つ!!」

《スピリット・ドミネーション!!》
悪のヘルライザーが動きを止める!
どうやら魂にもこの洗脳は効くみたいだ!
「妾はこの国全ての者が笑って過ごせる国を作る!!
父が死んでからの魔界はもう終わりにする!!
妾が父以上の魔界を作るのよ!!
妾が魔王!!ソフィアだァァァァ!!!」

ソフィアは美しく弧を描くような鎌捌きで悪のヘルライザーを切り裂いた!!

〈ギャァァァァァァァァァ!!!〉
断末魔の叫びと共に悪のヘルライザーが消えてゆく・・・!

「はぁ、はぁ、はぁ・・・やった・・・」
〈ソフィア選手、ヘルライザーを打ち破り、見事勝利です!!

よって、新たな魔王は・・・

ソフィアだァァァァァァァ!!!〉

『ウオオオオオオオオオオオオ!!!!!』

会場中に湧き上がる歓声・・・!
皆が喜び合っている!!

一部のヘルライザーの部下達を除いて・・・。


「ソフィア・・・魔王として皆に挨拶するといい。
お前の気持ちを皆にぶつけろ!!」

「・・・うん!」

ソフィアは武舞台に立ち、リングアナウンサーからマイクのような拡張器をもらう。

「皆の者・・・!
妾が新たなる魔王ソフィアだ!!
妾はここに宣言する・・・

この魔界を笑顔に溢れる魔界にする!!

前魔王の意志を継ぎ、妾の父のような・・・
いや、それ以上の魔界を作ってみせる!!
その為には皆の協力が必要よ・・・
共にこの魔界を素晴らしいものにしようではないか!!」

『ウオオオオオオオオオオオオオ!!!!』

観客たちが皆一つとなる!

が、しかし・・・


「巫山戯るな!!
俺はてめえを魔王とは認めねえぞ!!」
「そうだ!
何が笑顔あふれる魔界だ!!
街の雑魚どもと仲良くするつもりはねえ!!」
「弱い者を支配して何が悪い!!」

一斉にヤジを飛ばすヘルライザー軍。
今にも襲いかかりそうだが、ハルトが怖くて近寄れない!
(うう!タナトスさえいなければ!!)

「・・・タナトスよ・・・
ちょっとズルをしてもいいかな・・・。」
「それが国の為になるのであればいいんじゃないか?」
「ありがとう・・・。」
ソフィアはヘルライザー軍の前に歩き出す。

「何だ!やるのか!?」
《スピリット・ドミネーション!!》

ヘルライザー軍の目が虚ろになり、反抗しなくなる!
「貴様らが目覚めたとき、ヘルライザーに仕えていたことを忘れる・・・。
そして、妾に対する反抗心もなくなる。
妾を魔王として仕える。
弱い者を助け、この国を良くしようと皆で協力をするようになる。
暴力や喧嘩をしようという心も無くす・・・。」

ヘルライザー軍に洗脳を始めるソフィア。
私利私欲の為の洗脳なら止めたが、国の為になる洗脳なら俺は止めない。
確かにズルかもしれないが、これもソフィアの能力だ。
こんな魔王がいてもいいんじゃないか?
この能力があってもソフィアならいい魔王になれる・・・。

そして、ソフィアが魔王になったということは・・・

もう、ソフィアとはここでお別れだ・・・。



・・・俺は本当にソフィアと別れられるのかな・・・。



そして、ソフィアの洗脳が終わる。
「終わった・・・。
これでもう、この者たちも皆を襲うことはないわ・・・。」

ヘルライザー軍が目覚めると、先程とは全くの別人となっていた!
「ソフィア様!!
我らともに良き魔界を作りましょう!!」
「ソフィア様、バンザーイ!!」

洗脳すげえな・・・。
周りの魔族たちもあ然としている・・・!

そして、ヘルライザーが目覚める・・・。

「ライくん!!目が冷めたのね☆」
「姉ちゃん・・・俺は・・・?」
「今・・・姉ちゃんって・・・!
良かった★
昔のライくんに戻った!!」

泣きながらヘルライザーに抱きつくルーシー。
「おい、恥ずかしいだろ!
止めろよ、姉ちゃん!!
ここはどこだ!?
なぜ、皆見てるんだ!?」

どうやら、悪くなった頃の記憶がないらしい。

悪魂之浄化で記憶のあるものとないものが分かれる。
何故かは解明されてないが、ヘルライザーは記憶がない方側らしい。
年月なのかな・・・?
アレンの父親、ミーナ、ヘルライザーは悪に染まった時間が長かったもんな・・・。
あ、ミーナは別なのかな?
やっぱりわからん!!


ルーシーが今までのことをヘルライザーに話す。
すると、段々とヘルライザーの顔が青ざめてゆく。

「そ、そんな・・・!
俺がサミュエル様を・・・!?
嘘だ・・・!」

今までのことを知り、絶望の顔で膝をつくヘルライザー。

「申し訳ございません!!
ソフィア様!!
記憶がなかったとはいえ、俺はなんて愚かなことを!!
なんて詫びればいいか・・・!」


「じゃあ、死ねよ・・・」

『え・・・!』

土下座をしていたヘルライザーの背中をモーリスがナイフで突き刺す!!

「ぐふぅぅっ!」
「ライくん!!」
「おい!てめぇ!何してんだ!!
ティナ!ミミ!!回復だ!!
急げ!!」
『分かった(にゃん)!!』
二人は急いで観客席から離れる!
アセナとレオンもその後を追いかける!

エリクサーを飲ませるべきなのだが、ヘルライザーは口から大量の血を吐いている・・・
これでは飲ませることが出来ない!!

「モーリス!!何してんのよ!!」
「うるせえ!!
改心したって罪は消えねえんだよ!
こいつはここで俺が殺す!!」

トドメを刺そうとモーリスが剣をヘルライザーに突き刺そうとするが・・・!


ブシュッッ!!


ソフィアがヘルライザーを庇い、ソフィアの腹部に剣が突き刺さる!!

「え・・・!?」
「ぐふっっっ・・・」
口から大量の血を吐くソフィア!

「ソフィアァァァァァァァ!!」

ハルトはすぐさまソフィアの元に駆けつける!

「ソフィアしっかりしろ!!」
ハルトは剣を抜き、止血する!
「ティナ!ミミ!!
早く回復を!!
これではエリクサーを飲ませられない!
早くしろ!!」
「わかったにゃん!!
ミミはヘルライザーを!!
ソファにゃんはみゃーが治すにゃん!!」
「うん!!」
「な、なんでだよ・・・!
そいつはお前の父親を・・・サキュエル様を殺したんだぞ・・・!
なんでお前が庇うんだよ!!」

膝から崩れ落ちるモーリス・・・。

「わかってる・・・
だけど・・・私は・・・魔王だ・・・。
いくら・・・父の仇と言えど・・・ヘルライザーにも・・・家族がいる・・・。
ここで・・・殺したら・・・また・・・悲しみが生まれる・・・そして・・・また復讐が・・・繰り返される・・・
だから・・・魔王の・・・私が・・・それを・・・止めないと・・・」
「ソフィア・・・もう喋るな。
ティナ・・・ソフィアは大丈夫そうか?」
「大丈夫にゃん!
傷口が塞がってきたにゃん!
あとちょっとで回復するにゃん!」

「そうか・・・。良かった・・・!
ソフィア・・・少し寝てろよ?

さて、モーリスよ・・・
ソフィアの言っていることはわかるよな・・・?
復讐は復讐しか生まない・・・。
貴様、言ったよな・・・?

この国を良くすると・・・。

今ここでヘルライザーを殺したら、今度はルーシーがお前を狙う。
お前が殺されたら、今度はお前の周りの者がルーシーを狙う・・・。
そうやって復讐を繰り返し、最後にはこの魔界は悲しみと憎悪で溢れていく・・・。
そんな国の何処が良い国なんだ?
そんなことも分からない貴様は魔王候補失格だ・・・。
貴様はまた、メリッサのような未来に絶望しか持たない子供を増やしたいのか・・・?」

ハルトの言葉に、はっとするモーリス。

「うう・・・ソフィアの言う通りだ・・・。
俺はとんでもない過ちを犯すところだった・・・
すまねえ・・・ソフィア・・・!!」
泣きながらその場で蹲るモーリス。

「わかってくれればいいわ・・・。」
モーリスの言葉に答えるソフィア。

「ソフィア、大丈夫か?」
「ええ、ティナのお陰でもう大丈夫よ・・・
ティナありがとう・・・!」
「治って良かったにゃん!」
「こっちももう大丈夫だよ!!」
「ちびうさちゃん!ありがとう~★
ライくん治ったよ!」

ヘルライザーの方も無事だったみたいだ。

「・・・ソフィア様・・・モーリス。
本当に申し訳なかった・・・。
俺の心がもっと強ければ、心を闇に支配されることはなかった・・・。
謝ったって許されないことはわかっている・・・。
何をしても償えないことも・・・。」

ヘルライザーは自分の犯した罪を悔やんでいた・・・。

「ヘルライザー・・・
貴様が犯した罪は重い・・・。
だが、亡くなった父にも責任はある・・・。」
「前魔王にも?」
「ああ。ヘルライザーが闇に呑まれたのは父の責任でもあるのだ・・・。
父が死ぬ前に聞いた・・・。
父が築いた魔界は表面上はとても良い国であった。
しかし、その影でヘルライザーやバイオレットルーシーのように親を殺され、復讐心を燃やす者がいることを教えてもらった・・・。
父の築いた魔界は皆笑って暮らしているわけではなかったのだ・・・。
父はそのような者達を救えなかった。
その結果、父は殺されたのだ・・・。」
「あの夜の話か・・・?」
「そうよ・・・。
父はバカみたいなプライドのせいでそのような者を救えず、殺されてしまった・・・。
そんな馬鹿なプライドを捨てて、もっと国民に向き合えばこのような事態にはならなかった・・・。」

「ソフィア様・・・知っていたのですか・・・?」
「ああ。
だからこそ、妾はそのような者にも笑顔になってもらいたい。
魔界の者全てが笑って暮らせる国を作りたい!
父が成し遂げられなかったものを妾がやるのだ!!

だから、皆の者・・・!!

困っている者や苦しんでいる者がいれば教えてほしい!!
妾が必ずや解決して見せる!!
もう2度と、悲しみに溢れた魔界にはしない!!
どうか、妾に力を貸してくれ!!
頼む・・・!!」

ソフィアは礼をする。
魔王としての責任を果たすために・・・。

すると、ポツポツと拍手が湧き上がり、次第にそれは大きなものとなる!

「皆・・・!ありがとう・・・!!
必ずや、皆の力で魔界を良き者にしよう!!」

『ウワァァァァァァァァァァァ!!!!』

歓声はしばらく止むことはなかった・・・。


その瞬間、遂にソフィアは魔王として認められるのであった・・・!

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