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第9章 神の使者、獣人界に降臨(獣人界改革編)
第76の宴 獣人界の車窓から
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そして、俺達は人員集めを始める。
とりあえず、テッサの街に訪れた俺達。
レオンのスキル〈情報共有〉により、全ての街に情報がまわった。
希望者は職人20人、作業員45人。
やはり、職人は少ない。
獣人界では職人は余り人気のない仕事らしく、子供がなりたい職業ランキングでもかなり下のようだ。
これだけ少ないと車作りは絶望的。
やはり、諦めるしかないようだ。
だから、獣人界では職人には剣や鎧、アクセサリーを作ってもらうことにした。
剣も鎧もアクセサリーも俺がデザインを考えるのだが、そうなるとかなり細かい作業が要求される。
例えば、鎧・・・。
普通のなんの味気もない鎧であれば装飾もないので、簡単に作れるらしいが、俺が考えたデザインはかなり細かい装飾がある。
勿論、獣人界の職人には、そんな技術はない。
果たして上手く出来るであろうか・・・。
そして、作業員も同様に問題が・・・。
テッサの街で作業員希望者の中にミミの母親がいた。
どうやら、テッサでは一番裁縫が上手いらしいのだが・・・。
「どうですかぴょん!?
いつも皆の洋服を作ってあげてるぴょん!」
自信満々に作った洋服を見せるミミの母親。
「・・・駄目だな。」
「えぇぇぇぇぇ!!」
長い耳が垂れ下がり、落ち込む母親。
「タナトス様!
ママの服の何処が駄目なんですか!?」
ミミが俺に聞いてくる。
「先ずはデザイン。
ありきたりで面白味がない。
そして、ほつれが何箇所もある。
これでは売り物にならない。」
「うぅ・・・!厳しいぴょん・・・。」
「全然厳しくないぞ?
人間界の作業員はこんな雑な裁縫はしない・・・。
あげるだけならいいが、売り物にだからな。
こんな低レベルの服じゃ誰も買わないぞ?」
「雑・・・低レベル・・・誰も買わない・・・。」
ハルトの言葉がグサッ!グサッ!グサッ!と母親に突き刺さる!!
最早、KO寸前だ!
「酷いぴょん・・・。」
「酷いも何も本当の事を言ったまでだ。
しかし、このままでは駄目だな・・・。
作業員の方も講習会が必須だな。」
取り敢えず、先ずは工房や作業所を創らないとな。
「レオン・・・工房を創るならどこがいい?
なるべく全員が家から通えるような所がいいが・・・。」
「その要望は難しいな。
獣人界は人間界や魔界よりは狭いが、端の街から逆端の街までは馬車で5日以上かかる。
その真ん中に作るとしても、2日~3日はかかってしまうぞ?
まあ、真ん中に創るのは無理だがな。」
「無理?
獣人界の地図はないか?」
「地図なら私の家にあるよ!
今持ってくるね!!」
ミミが家に戻り、地図を持ってきてくれた。
地図を見ると王都から一番近いのは、このテッサの街。
そこから円を描くように街があり、テッサを入れて全部で8つ。
一番端の街から王都は4日かかる。
時計でいうと、王都が一時のところだとすると、最後の街が9時の所。
つまり、10時から12時のところには何も無い感じだ。
因みに奴隷の街は一時と2時の間くらいと考えてほしい。
「先ずは何処に建てるか・・・。
あとは移動手段だな・・・。
車を創るか・・・?
真ん中は何で無理なんだ?」
「真ん中には何も建てられない。
この地図には書いてないが大きな山がある。
その山は鉄や銅、銀など貴重な資源が採れる。
壊すことは許されない・・・。」
「山!?
じゃあ、オリハルコンも取れるの!?」
「いや、昔行ってみたことがあるが、オリハルコンは採れない。
山自体は大きいが、中は天井の高いフロアで5階までしかない。
モンスターも大したことない。
見掛け倒しの山だ。
まあ、資源は大量に採れるがな。」
「なんだ、つまんないのー!」
「正に見掛け倒しですぅ!!
レオンと一緒ですぅ!!」
レルミーよ、山は攻略しないぞ?
そんな時間ないからな?
そして、ミーナよ・・・
本当のことだとしても、さり気なくディスるのは良くないぞ?
若干レオンが落ち込んでるぞ?
「つまり、真ん中に建てるのは駄目か。
そうなるとここしかないか・・・。」
俺は時計で言うと11時の所を指差す。
「ここだとかなり遠いぴょん!
通いきれないぴょん!」
「そうだよな・・・。」
ここに店を創るとして、沢山の人が通うことになる。
車やバスだけでは厳しいよな・・・。
もっと人が運べて、獣人界を何回も周回しないといけない。
ん、これどっかで見覚えが・・・。
「あ~~~~~!!!」
ハルトの大声に周りがビクッとする!!
「ど、どうしたの!?急に大声出して!!」
「思い出した!!じゃなくて・・・閃いた!!」
そうだ!これは前の世界の山手線だ!!
毎日ぐるぐる電車が走ってる!
そうだ!電車を創ればいいんだ!!
レールは創れる!
電車の車輪は鉄で創れる!
電車なら沢山の人が乗れる!
それなら、何処の街に住んでいようが通えるし、買い物も来れる!
「何を閃いたのー?」
「ハティ!
ちょっと大変だが、お前に頼みがある!」
〈ガウ?〉
「この獣人界を街に沿って一周してくれ!」
〈ガウウ!?〉
「え!?どうして!?」
「この場所に建てても皆が通いきれる方法を思いついた。
だけど、先ずは獣人界を一周する必要があるんだ。
ついでに職人や作業員を集めよう。」
そして、俺達は出発する。
レオンは街に残り、俺はミミとハティに。
ミミの希望でまたハティに乗りたいと言うことで、許可した。
アセナはヤキモチ妬いていたがな。
アセナにはソフィアとティナが乗る。
今回は早く移動しなくていいので、二人なら乗せられるとアセナが言ってくれた。
まあ、ハティと離れたくないのであろう。
レルミーは俺の中に入る。
流石に乗れないからな。
《八咫烏の導き!!》
久しぶりに八咫烏が現れる。
「八咫烏!
獣人界の街に沿って獣人界をキレイに一周してくれ。
あと、ここで一旦止まってくれ。」
俺は地図を八咫烏に見せて、建設予定地を指差す。
〈ガァァァァ!!〉
「ミミ、俺はこれから魔法を出し続ける。
途中、声をかけたら俺にエリクサーを飲ませてくれ。
流石に疲れるからな。」
「わかった!!」
「じゃあ、ハティ行くぞ!!
八咫烏の後をキレイについてってくれ。
速く走らなくていい。
速すぎると逆に困るからな。」
〈任せろ!!〉
《クリエイトアイテム!》
両手を広げ、創造魔法を発動するハルト。
そこには高さのある陸橋の線路が2つ出来上がる!
危なくないように敢えて高さをつけた!
地面に直接だと何も知らない者が線路の上を歩いてしまうかもしれないからな。
「走れ!!」
〈おう!!〉
ハティが走るとどんどん陸橋の線路が繋がっていく!
「わあ!タナトス様すご~い!!」
ミミは振り落とされないよう、しっかりと俺に抱きついている。
「くっ!
本当なら妾があそこで抱きつくところなのに!!」
「みゃーもタニャトスに抱きつきにゃがら走りたかったにゃん・・・。」
〈あのメスウサギめ!!
妾のハティ様に乗りおって・・・!〉
嫉妬に狂うアセナ組!
次々と陸橋の線路が繋がり、次の街に到着する。
そこで、希望者を空間魔法でテッサの街に送る。
それを繰り返し、半日で到頭建設予定地に到着する。
「ここなら広くていいな。」
《クリエイトアイテム!!》
ハルトがそう唱えると次々と建物が出来てゆく!
「わぁぁぁ!!
凄い凄い!!
あっという間に街になったよ!!」
「はぁはぁはぁ・・・流石に疲れたな・・・。
だが、これで完成だ!」
「タナトス様大丈夫?
はい、エリクサー!」
「ありがとな。」
街にはお店や工房、作業場に温泉が立ち並んでいる!
「商業施設の完成だ。
ここで働いたり、物を売ったり出来る。
元奴隷たちもここに移住してもらう。」
「元奴隷達にゃん?」
「ああ。あいつらの働き場所と住居だ。」
〈うふふ、なんだかんだで言って手助けしちゃうのね。〉
「あいつらと約束をしたからな・・・。
働く場所くらいは提供してやらないとな。
よし、線路創りの続きをしよう。」
そして、夜になり、到頭線路が繋がる!!
「線路の完成だ!」
『わぁぁぁぁぁぁぁ!!』
「だけど、これは何に使うの?」
「それは明日のお楽しみだ。
今日はもう遅いし、ハティ達も疲れてるからな。
ミミも家に送らないといけない。」
集めた職人や作業員は宿を創り、そこに泊まってもらう。
本当は今日中に施設に案内しようとしたが、思った以上に時間がかかってしまった。
待たせてすまない・・・。
そして、俺達はミミを送り、家に帰る。
夕飯を食べ、今日もイチャイチャ。
あんなに嫌がっていたティナも今では俺のエクスカリバーの虜だ。
ふふっ、今日もにゃんにゃん言わせてやるぜ!
「にゃ~ん♡♡
タニャトスもっと欲しいにゃ~♡♡」
「次は私よ!!
ティナ、にゃんにゃん言ってないでどきなさい!!」
こらこら、慌てなくても全員愛してやるからな。
そして、次の日。
昨日集めた職人や作業員を空間移動で商業施設に連れて行く。
「な、なんだワン!?この街は!?」
「凄いぴょん!
こんな所があったなんて!!」
「ママ!昨日ね、タナトス様が創ったんだよ!」
『えぇぇぇぇぇぇぇ!!!!』
「たった一日でぴょんか!?」
「うん!あっという間に創ってくれたんだよ!!」
「凄いぴょん・・・流石は神の使者だぴょん!」
おいおい、そんなに褒めても何も出ないぞ?
とりあえず新しいロリータ服着るか?
「お前たちにはここで働いてもらう。
この場所は王都の隣。
隣と言っても馬車で4日かかるか。」
『えぇぇぇぇぇぇ!!』
「そんな所じゃ通いきれないガウ!」
「私の街からじゃ何時間かかるか・・・!」
皆が遠いと不満を言う。
「お前たちの不満はわかっている。
だが、我は神の使者、タナトス!
我に不可能はない!!」
『かっこいい♡♡』
「隣町まで20分で行けるようにしてやる!!」
「に、20分!?」
「こちらに来るがいい。」
俺は皆を陸橋の線路の前に集める。
イメージしろ・・・。
電車だ・・・。
どうせなら蒸気機関車みたいなのがいいな。
前の車両に風の魔石を多めに・・・
ブレーキ用も少し多めに創っておこう。
取り敢えず、200人は乗れるように・・・。
よし、いくぜ!!
《クリエイトアイテム!!》
目の前に蒸気機関車っぽい乗り物陸橋の線路の上にが現れる!!
『ギャァァァァァァァ!なんじゃこりゃァァァァァ!!』
「これは電車だ!
昨日創ったレールの上を走る。
車より速いし、200人は乗れる。
これを逆にもう一台創る。
一日、このレールの上を走り続けるからいつでも乗れるぞ!」
「すごーーーい!!」
ミミが目を輝かせる!
「ご主人様、また凄いの創ったわね!」
「乗ってみたーい!!」
「かっこいいですぅ!!」
〈ガウガウ!〉
「こんなのより我の方が速く走れる!!って言ってるよ!」
「どうだろうな・・・?
時速で120~140くらいは出るからな。
ハティと同じくらいじゃないか?」
〈ガウ!?〉
「なんだと!?ってかなり驚いてるよ!」
「でも、これはレールの上しか走れないからな。
俺はハティの方がいい。」
〈ガウ!〉
「まあ、当たり前だな!ってドヤ顔してるよ!」
全く。ハティはいつも乗り物と競争したがるな。
かわいい奴め!
早速、駅を創り、みんなで電車に乗ってみる。
最初はゆっくり進み始め、段々速くなる!
「わあ!速い!
ハティちゃんと同じくらいだぁ!」
因みにハティは電車の横で走る!
自分の方が速いと立証したいらしい。
全く・・・可愛く奴め!
そして、あっという間に王都にに辿り着く。
「ふう、成功だ。
王都にも駅を創らないとな。」
スピードが早いから曲がれるか心配だったが、レールの上だったので大丈夫であった。
まあ、これ以上速かったら脱線するかもしれないからな。
気をつけて運転しなければな。
「凄い・・・本当にあっという間に着いたワン・・・。」
「これなら確かに通えるガウ・・・。」
獣人達は驚きすぎて唖然としている。
そして一周して、全ての街に駅を創る。
勿論逆側にもちゃんと創っておいた。
一周240分。
駅を作った時間も合わせ約4時間くらいで元の場所に帰ってくる。
「これを逆方向行きのも創るから行きと帰りも同じくらいの時間で着くぞ!
これなら通勤出来るだろ?」
『ワァァァァァァァ!!』
「これなら通えるにゃー!」
「神の使者はとんでもないモノをお創りになったがう!!」
ふふふ、もっと我を称えればいい!
「流石ご主人様ね!」
「人間界も羨んじゃうね!」
「とっても便利ですぅ!!」
「妾も運転してみたいぞ!」
「獣人界がタニャトスのおかげて住みやすくにゃったにゃん!!」
「最早、革命だな・・・。」
電車のお陰で移動が楽になった。
あとは作業面だな。
あいつらを呼ぶしかないな・・・。
上手くいくといいが・・・。
とりあえず、テッサの街に訪れた俺達。
レオンのスキル〈情報共有〉により、全ての街に情報がまわった。
希望者は職人20人、作業員45人。
やはり、職人は少ない。
獣人界では職人は余り人気のない仕事らしく、子供がなりたい職業ランキングでもかなり下のようだ。
これだけ少ないと車作りは絶望的。
やはり、諦めるしかないようだ。
だから、獣人界では職人には剣や鎧、アクセサリーを作ってもらうことにした。
剣も鎧もアクセサリーも俺がデザインを考えるのだが、そうなるとかなり細かい作業が要求される。
例えば、鎧・・・。
普通のなんの味気もない鎧であれば装飾もないので、簡単に作れるらしいが、俺が考えたデザインはかなり細かい装飾がある。
勿論、獣人界の職人には、そんな技術はない。
果たして上手く出来るであろうか・・・。
そして、作業員も同様に問題が・・・。
テッサの街で作業員希望者の中にミミの母親がいた。
どうやら、テッサでは一番裁縫が上手いらしいのだが・・・。
「どうですかぴょん!?
いつも皆の洋服を作ってあげてるぴょん!」
自信満々に作った洋服を見せるミミの母親。
「・・・駄目だな。」
「えぇぇぇぇぇ!!」
長い耳が垂れ下がり、落ち込む母親。
「タナトス様!
ママの服の何処が駄目なんですか!?」
ミミが俺に聞いてくる。
「先ずはデザイン。
ありきたりで面白味がない。
そして、ほつれが何箇所もある。
これでは売り物にならない。」
「うぅ・・・!厳しいぴょん・・・。」
「全然厳しくないぞ?
人間界の作業員はこんな雑な裁縫はしない・・・。
あげるだけならいいが、売り物にだからな。
こんな低レベルの服じゃ誰も買わないぞ?」
「雑・・・低レベル・・・誰も買わない・・・。」
ハルトの言葉がグサッ!グサッ!グサッ!と母親に突き刺さる!!
最早、KO寸前だ!
「酷いぴょん・・・。」
「酷いも何も本当の事を言ったまでだ。
しかし、このままでは駄目だな・・・。
作業員の方も講習会が必須だな。」
取り敢えず、先ずは工房や作業所を創らないとな。
「レオン・・・工房を創るならどこがいい?
なるべく全員が家から通えるような所がいいが・・・。」
「その要望は難しいな。
獣人界は人間界や魔界よりは狭いが、端の街から逆端の街までは馬車で5日以上かかる。
その真ん中に作るとしても、2日~3日はかかってしまうぞ?
まあ、真ん中に創るのは無理だがな。」
「無理?
獣人界の地図はないか?」
「地図なら私の家にあるよ!
今持ってくるね!!」
ミミが家に戻り、地図を持ってきてくれた。
地図を見ると王都から一番近いのは、このテッサの街。
そこから円を描くように街があり、テッサを入れて全部で8つ。
一番端の街から王都は4日かかる。
時計でいうと、王都が一時のところだとすると、最後の街が9時の所。
つまり、10時から12時のところには何も無い感じだ。
因みに奴隷の街は一時と2時の間くらいと考えてほしい。
「先ずは何処に建てるか・・・。
あとは移動手段だな・・・。
車を創るか・・・?
真ん中は何で無理なんだ?」
「真ん中には何も建てられない。
この地図には書いてないが大きな山がある。
その山は鉄や銅、銀など貴重な資源が採れる。
壊すことは許されない・・・。」
「山!?
じゃあ、オリハルコンも取れるの!?」
「いや、昔行ってみたことがあるが、オリハルコンは採れない。
山自体は大きいが、中は天井の高いフロアで5階までしかない。
モンスターも大したことない。
見掛け倒しの山だ。
まあ、資源は大量に採れるがな。」
「なんだ、つまんないのー!」
「正に見掛け倒しですぅ!!
レオンと一緒ですぅ!!」
レルミーよ、山は攻略しないぞ?
そんな時間ないからな?
そして、ミーナよ・・・
本当のことだとしても、さり気なくディスるのは良くないぞ?
若干レオンが落ち込んでるぞ?
「つまり、真ん中に建てるのは駄目か。
そうなるとここしかないか・・・。」
俺は時計で言うと11時の所を指差す。
「ここだとかなり遠いぴょん!
通いきれないぴょん!」
「そうだよな・・・。」
ここに店を創るとして、沢山の人が通うことになる。
車やバスだけでは厳しいよな・・・。
もっと人が運べて、獣人界を何回も周回しないといけない。
ん、これどっかで見覚えが・・・。
「あ~~~~~!!!」
ハルトの大声に周りがビクッとする!!
「ど、どうしたの!?急に大声出して!!」
「思い出した!!じゃなくて・・・閃いた!!」
そうだ!これは前の世界の山手線だ!!
毎日ぐるぐる電車が走ってる!
そうだ!電車を創ればいいんだ!!
レールは創れる!
電車の車輪は鉄で創れる!
電車なら沢山の人が乗れる!
それなら、何処の街に住んでいようが通えるし、買い物も来れる!
「何を閃いたのー?」
「ハティ!
ちょっと大変だが、お前に頼みがある!」
〈ガウ?〉
「この獣人界を街に沿って一周してくれ!」
〈ガウウ!?〉
「え!?どうして!?」
「この場所に建てても皆が通いきれる方法を思いついた。
だけど、先ずは獣人界を一周する必要があるんだ。
ついでに職人や作業員を集めよう。」
そして、俺達は出発する。
レオンは街に残り、俺はミミとハティに。
ミミの希望でまたハティに乗りたいと言うことで、許可した。
アセナはヤキモチ妬いていたがな。
アセナにはソフィアとティナが乗る。
今回は早く移動しなくていいので、二人なら乗せられるとアセナが言ってくれた。
まあ、ハティと離れたくないのであろう。
レルミーは俺の中に入る。
流石に乗れないからな。
《八咫烏の導き!!》
久しぶりに八咫烏が現れる。
「八咫烏!
獣人界の街に沿って獣人界をキレイに一周してくれ。
あと、ここで一旦止まってくれ。」
俺は地図を八咫烏に見せて、建設予定地を指差す。
〈ガァァァァ!!〉
「ミミ、俺はこれから魔法を出し続ける。
途中、声をかけたら俺にエリクサーを飲ませてくれ。
流石に疲れるからな。」
「わかった!!」
「じゃあ、ハティ行くぞ!!
八咫烏の後をキレイについてってくれ。
速く走らなくていい。
速すぎると逆に困るからな。」
〈任せろ!!〉
《クリエイトアイテム!》
両手を広げ、創造魔法を発動するハルト。
そこには高さのある陸橋の線路が2つ出来上がる!
危なくないように敢えて高さをつけた!
地面に直接だと何も知らない者が線路の上を歩いてしまうかもしれないからな。
「走れ!!」
〈おう!!〉
ハティが走るとどんどん陸橋の線路が繋がっていく!
「わあ!タナトス様すご~い!!」
ミミは振り落とされないよう、しっかりと俺に抱きついている。
「くっ!
本当なら妾があそこで抱きつくところなのに!!」
「みゃーもタニャトスに抱きつきにゃがら走りたかったにゃん・・・。」
〈あのメスウサギめ!!
妾のハティ様に乗りおって・・・!〉
嫉妬に狂うアセナ組!
次々と陸橋の線路が繋がり、次の街に到着する。
そこで、希望者を空間魔法でテッサの街に送る。
それを繰り返し、半日で到頭建設予定地に到着する。
「ここなら広くていいな。」
《クリエイトアイテム!!》
ハルトがそう唱えると次々と建物が出来てゆく!
「わぁぁぁ!!
凄い凄い!!
あっという間に街になったよ!!」
「はぁはぁはぁ・・・流石に疲れたな・・・。
だが、これで完成だ!」
「タナトス様大丈夫?
はい、エリクサー!」
「ありがとな。」
街にはお店や工房、作業場に温泉が立ち並んでいる!
「商業施設の完成だ。
ここで働いたり、物を売ったり出来る。
元奴隷たちもここに移住してもらう。」
「元奴隷達にゃん?」
「ああ。あいつらの働き場所と住居だ。」
〈うふふ、なんだかんだで言って手助けしちゃうのね。〉
「あいつらと約束をしたからな・・・。
働く場所くらいは提供してやらないとな。
よし、線路創りの続きをしよう。」
そして、夜になり、到頭線路が繋がる!!
「線路の完成だ!」
『わぁぁぁぁぁぁぁ!!』
「だけど、これは何に使うの?」
「それは明日のお楽しみだ。
今日はもう遅いし、ハティ達も疲れてるからな。
ミミも家に送らないといけない。」
集めた職人や作業員は宿を創り、そこに泊まってもらう。
本当は今日中に施設に案内しようとしたが、思った以上に時間がかかってしまった。
待たせてすまない・・・。
そして、俺達はミミを送り、家に帰る。
夕飯を食べ、今日もイチャイチャ。
あんなに嫌がっていたティナも今では俺のエクスカリバーの虜だ。
ふふっ、今日もにゃんにゃん言わせてやるぜ!
「にゃ~ん♡♡
タニャトスもっと欲しいにゃ~♡♡」
「次は私よ!!
ティナ、にゃんにゃん言ってないでどきなさい!!」
こらこら、慌てなくても全員愛してやるからな。
そして、次の日。
昨日集めた職人や作業員を空間移動で商業施設に連れて行く。
「な、なんだワン!?この街は!?」
「凄いぴょん!
こんな所があったなんて!!」
「ママ!昨日ね、タナトス様が創ったんだよ!」
『えぇぇぇぇぇぇぇ!!!!』
「たった一日でぴょんか!?」
「うん!あっという間に創ってくれたんだよ!!」
「凄いぴょん・・・流石は神の使者だぴょん!」
おいおい、そんなに褒めても何も出ないぞ?
とりあえず新しいロリータ服着るか?
「お前たちにはここで働いてもらう。
この場所は王都の隣。
隣と言っても馬車で4日かかるか。」
『えぇぇぇぇぇぇ!!』
「そんな所じゃ通いきれないガウ!」
「私の街からじゃ何時間かかるか・・・!」
皆が遠いと不満を言う。
「お前たちの不満はわかっている。
だが、我は神の使者、タナトス!
我に不可能はない!!」
『かっこいい♡♡』
「隣町まで20分で行けるようにしてやる!!」
「に、20分!?」
「こちらに来るがいい。」
俺は皆を陸橋の線路の前に集める。
イメージしろ・・・。
電車だ・・・。
どうせなら蒸気機関車みたいなのがいいな。
前の車両に風の魔石を多めに・・・
ブレーキ用も少し多めに創っておこう。
取り敢えず、200人は乗れるように・・・。
よし、いくぜ!!
《クリエイトアイテム!!》
目の前に蒸気機関車っぽい乗り物陸橋の線路の上にが現れる!!
『ギャァァァァァァァ!なんじゃこりゃァァァァァ!!』
「これは電車だ!
昨日創ったレールの上を走る。
車より速いし、200人は乗れる。
これを逆にもう一台創る。
一日、このレールの上を走り続けるからいつでも乗れるぞ!」
「すごーーーい!!」
ミミが目を輝かせる!
「ご主人様、また凄いの創ったわね!」
「乗ってみたーい!!」
「かっこいいですぅ!!」
〈ガウガウ!〉
「こんなのより我の方が速く走れる!!って言ってるよ!」
「どうだろうな・・・?
時速で120~140くらいは出るからな。
ハティと同じくらいじゃないか?」
〈ガウ!?〉
「なんだと!?ってかなり驚いてるよ!」
「でも、これはレールの上しか走れないからな。
俺はハティの方がいい。」
〈ガウ!〉
「まあ、当たり前だな!ってドヤ顔してるよ!」
全く。ハティはいつも乗り物と競争したがるな。
かわいい奴め!
早速、駅を創り、みんなで電車に乗ってみる。
最初はゆっくり進み始め、段々速くなる!
「わあ!速い!
ハティちゃんと同じくらいだぁ!」
因みにハティは電車の横で走る!
自分の方が速いと立証したいらしい。
全く・・・可愛く奴め!
そして、あっという間に王都にに辿り着く。
「ふう、成功だ。
王都にも駅を創らないとな。」
スピードが早いから曲がれるか心配だったが、レールの上だったので大丈夫であった。
まあ、これ以上速かったら脱線するかもしれないからな。
気をつけて運転しなければな。
「凄い・・・本当にあっという間に着いたワン・・・。」
「これなら確かに通えるガウ・・・。」
獣人達は驚きすぎて唖然としている。
そして一周して、全ての街に駅を創る。
勿論逆側にもちゃんと創っておいた。
一周240分。
駅を作った時間も合わせ約4時間くらいで元の場所に帰ってくる。
「これを逆方向行きのも創るから行きと帰りも同じくらいの時間で着くぞ!
これなら通勤出来るだろ?」
『ワァァァァァァァ!!』
「これなら通えるにゃー!」
「神の使者はとんでもないモノをお創りになったがう!!」
ふふふ、もっと我を称えればいい!
「流石ご主人様ね!」
「人間界も羨んじゃうね!」
「とっても便利ですぅ!!」
「妾も運転してみたいぞ!」
「獣人界がタニャトスのおかげて住みやすくにゃったにゃん!!」
「最早、革命だな・・・。」
電車のお陰で移動が楽になった。
あとは作業面だな。
あいつらを呼ぶしかないな・・・。
上手くいくといいが・・・。
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宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。
しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。
彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。
このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。
しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。
好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。
※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*)
※他のサイトにも重複投稿しています。
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
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