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第5章 クロスフォードに迫る危機

第44の宴 クロスフォード、崩壊

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「街が・・・半壊している!!」
この何日かで何があったんだ!?
街は・・・皆は大丈夫なのか!?
くっ!
「急くぞ!皆が心配だ!」

『はい!!』

俺達は急いで中に入る。
街では建物が壊れ、無残な光景が広がる。
一体何故だ?
俺たちがギルドの近くに来たときだった・・・

「タ~ナ~ト~ス~!!!!!!」
「な、なんだ!?」

声のする方に振り向くとそこにはルーシアの姿・・・!

「ルーシア!
無事だったのか!!」
「無事だったのか!!じゃねぇよ・・・?」
「え?」
「貴方がいない間に街はモンスターに襲われるわ、貴方がアクセサリー作らないから受付嬢達がボイコットするわ、貴方が王都のギルドマスターに肩入れしたから、カインは拗ねるわで大変だったんじゃァァァァ!!
どうしてくれんじゃ、ボケぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」
「知るかァァァ!!
特にモンスターの件は俺のせいじゃねえだろ!!
アクセサリーだってお前が見せびらかしたせいじゃねえのか!?
カインは自業自得じゃ、ボケェェェェェェェ!!」
「ぐっ!!
兎に角!早くギルドに来てください!!」

ルーシアに言われるままギルドに向かう俺達。
ギルドの中には怪我をした冒険者が沢山いた。
「あ!あんたは!!」
「今までどこにいたんだ!?」
「タナトスさんがいれば百人力だな!!」
なんか歓迎ムードのギルド。
最初の頃と大違いだ。
取り敢えず、怪我をしている者たちに有り余っている薬をだし、回復させる。
「ありがとうございます!
タナトスさん!」
「それで?
これはどうしたんだ?」
「・・・街にいきなりモンスターが現れたんだ。
Bランクや中にはAランクのモンスターまで!
なんとか追っ払ったが、この通り皆ボロボロでな・・・。」
「いきなりか・・・。
回復係はいないのか?
皆ボロボロじゃないか。」
「回復係は数人しかいない・・・
魔力を使いすぎて今寝ている・・・
薬はもうねえ・・・。
もう3回も襲われている・・・。
次はやばいと思ってたところだ・・・。」
「そして、元気なのはあいつだけだ・・・。」
「あいつ?」

するといきなりギルドの受付の奥から凄いスピードで現れる人物が・・・。

「心友ぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!!
やっと帰ってキタァァァァァァ!!!!」

俺に抱きついてくるカイン・・・。

「お前のせいで俺の槍と鎧がァァァァァ!!
どうしてくれんだぁぁぁぁ!!
裏切り者ォォォォォ!!」

泣きながら迫ってくるカイン。
離れろ!気色悪い!!

「煩い!!
お前が悪いんだろうが!!
ちょっと強くなったくらいで調子に乗りやがって!!
お前、ギルドマスター達に嫌われてんぞ!!」
「だって、あのおっさんに勝ったから嬉しくて・・・。
つい調子に乗っちゃったんだよ!!」
「お前は嬉しかったら調子に乗るのか!!
お前には当分創らん!!
猛省しろ!!」
「そんなァァァァァ!!
せめて、あのおっさんより強い槍と鎧をォォォォォォ!!!」
「せめての使い方ちげーし!!
あの人のより強いの創ったらまた、調子に乗るだろうが!」
「カイン!
いい加減にしなさい!!
どう考えたってアンタが悪いんでしょうが!!
今はそんなこと言ってる場合じゃないの!!
それより、タナトスさん。
このモンスター達ですが、どうやら温泉を狙ってるみたいなんです。」
「温泉を!?」
「ええ。
モンスターは2日に一回のペースで来てるのですが、どのモンスターも裏街の方に向かっているのです。」
「裏街を!?
おい、裏街は無事か!?」
「はい。
温泉は死守しております。」
「そうか・・・。
裏街を狙うということは他の街の領主が犯人か?」
「恐らく・・・。」
くっ、やはり予想していたことが起きたな・・・。
領主同士の争い・・・
まさか、ここまでやってくるとはな・・・

「アレンは?」
「只今、使いの者に呼びに行かせています。
領主も貴方の帰りを待っていたので。」
「じゃあ、先ずはアレン待ちだな・・・。」

「領主を待つ間にお話よろしいですか?」
「なんだ?
まだ問題があるのか?」
「こ、この四人の洋服は一体何なんですか!?
とても可愛いわ!!
タナトスさんが創ったのですか!?」
えぇぇぇぇぇぇ!
こんな時に服の話かよ!!
「ふふーん!
いいでしょう!!
発端はご主人様だけど、王都で売ってるのよ!!」

『えぇぇぇぇぇ!?』

他の冒険者を相手にしていた受付嬢が一斉に声を上げる!

「王都にこんなに可愛いものが!?」
「すごいわ!!私も欲しい!」
「有給休暇取らないと・・・!」
「今すぐ王都に行かないと・・・!」
また一斉に休みを取る計画を立てるギルド嬢達!!

「駄目ぇぇぇぇぇぇ!!!
行きたい気持ちは物凄くわかるけど、今はそれどころじゃ無いわ!!
今はいつモンスターが現れるか分からないわ!
とても危ない・・・。

だから、私達にこれを創るしかないわね!!」

え、何?最後の一文は?
最初、凄え良いこと言ってたのに?

『それしかないですね!!』

いや、何、目を輝かせてるの?
創らないよ?

「なんで創ってくれないんですか!!」
「お前らに創ったら、町の人間全てに創らないといけないだろ!!
欲しかったら王都に行ってこい!!
まあ、直ぐに売り切れるから買えないけどな!!
くっくっくっ!!」
「くっ!ケチめ!!」

それにもうすぐ宣伝部長が現れる・・・。
何かするのは、リリが来た後だ。

その前にどうにかしないとな。

あの子が来るまで後4日・・・。
それまでに全てを元通りにしないと・・・。
せっかくの旅行がこんなボロボロな街じゃリリが可愛そうだ・・・。

その時、ギルドにアレンが現れる。

「タナトス様!!
お待ちしておりました!」
「アレン、やはり、他の街の領主が原因か?」
「・・・間違いないと思います。
うちの街の温泉が王の目に止まり。評価が爆上がりしたのです。」
「・・・たぶん、王ではなく、王女だな・・・。
俺が王都に行く前に来ていたみたいだ・・・。」

『えぇぇぇぇぇ!?』

王女が来ていたと言うことに皆が驚く!

「タナトス様は王女と知り合いなんですか!?」
「ここの帰り道に襲われているのを助けたんだ。」
「今では王女に結婚をせがまれてるわよね?」

『えぇぇぇぇぇ!?』

「じゃあ、タナトス様が次の王に・・・?」
「なるわけないだろう?
レナも余計なことを言うな。」
「だってホントのことだし!」
「王女は相当気に入ってたからな。
王にも話したんだろう。」
「成程・・・。
今、我が街は第2位に位置づけています。。
それを妬んだ何処かの街が襲ってきてるのではないかと・・・。」
「第二位!?
あの王女め、余計なことを・・・。」
「タナトス様、どうか力をお貸しください!」
「本当はすぐにでも行きたかったが、仕方ない・・・。
我の施設を脅かす愚か者に断罪してやろう・・・。
だが、その前に街を生まれ変わらせる必要があるな・・・。
アレン、街の人間全てに伝えよ。
全員、荷物を纏めて街の外に出ろと。」

「えっ!?
何故そんなことを・・・?」
「今から街を新しく創り直す。
これからこの街に大事なお客さんが来るんだ。
こんな壊れた街なんて紹介できないだろう?」
「お客さん??
王都の偉い人でしょうか?」
「そうではない・・・。
だが、こんなボロボロの街を見たらがっかりするであろう。
それは許されない・・・。
我にとっては王族よりも大事な者だ。」
「わ、わかりました。」

その後、裏街以外の街の人間が街の外に出される。
皆、これから何が起きるのか分からず、街の外に出されていた。

《深淵之奈落!!》

裏街以外の壊れた家々が闇に沈んでゆく!!

『ギャァァァァァァァァァ!!
街が沈んでゆくぅぅぅぅぅ!!!!』

驚愕する人々。

《クリエイトアイテム!!》
闇に沈んで更地になった場所に新たに家が建ち並ぶ!!

『ギャァァァァァァァァァ!!! 
家がどんどん生えてゆくぅぅぅぅぅ!!』

「お前らの家を創り直した・・・。
前に住んでいた物より良くなっているはずだ・・・。
そして、お前達はもう、モンスターに怯えることはない。
我がモンスター共を殲滅してやる・・・。
二度とこの街を襲えなくなるほどの絶望を味あわせてやろう・・・!」

『わァァァァァァァァァ!!!』

ハルトに送られる大歓声!

そして、住民たちはそれぞれの家に戻る。
すっかり街も元に戻り、以前の様な活気に溢れ出す。
しかし、住民からはまだモンスターの恐怖は取り除くことは出来なかった。
やはり、モンスターを使ってこの街を襲わせている愚か者を捕まえない限りは住民達の不安は取り除くことはできなそうだ・・・。

しかし、その日は結局、モンスターは襲って来なかった。
「くっ、今日は来なかったか・・・。」
「さっさと終わらせたいわね・・・。」
「ああ。
しかし、まだ油断は出来ない・・・。
夜襲ってくる可能性もある。
今日は見張りをしよう。」
「ええ!?
じゃあ、タナトス様とラブラブ出来ないんですかぁ?」
「仕方ないだろ?
もう、街は壊させない・・・。
我がこの街にいる限りな・・・!!」
『かっこいい♡』
「流石は妾の婿殿・・・!
じゃあ、モンスターが来たら起こしてくれ!
妾は寝てるからな!」

ごちんっ!!

「いった~い!!
なんで、殴るのよ!!」
「お前も見張りするんだよ・・・。」
「うう、わかりました・・・。」

一方、その頃・・・

「領主様!
ご報告します!!」
「どうした?
クロスフォードの温泉とやらを破壊することはできたのか?」
「いえ、それは・・・。
クロスフォードの冒険者達は中々手強くて・・・。」
「何時まで手間取ってるんだ!!
全く・・・使えない奴らめ・・・。
で、要件はなんだ?」
「はっ!
実は昨日、壊した街が・・・一瞬で元通りに・・・!」
「な、何だと!?
一体何が起きたんだ!?」
「全くわかりません・・・。」
「今すぐクロスフォードを壊滅させてこい!!

あんな街に我が街が負けるわけにはいかないのだ!!
あの街の人間が何人死のうと構わない・・・。
徹底的に破壊しろ・・・!」
「わ、わかりました・・・!」

そして、真夜中・・・。
皆が寝静まった頃・・・
再び、クロスフォードに大量のモンスターの脅威が迫る・・・!







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